TOEICは英語の試験ではない?

西澤ロイ(以下、ロイ):TOEICって試験、多くの方が思っているのは英語の試験だと思ってるんですよ。

上村潤(以下、上村):違うんですか?

ロイ:僕は違う意見を持ってます。

上村:ほほ~。

上村:僕は実はTOEICを英語の試験だと思ったことはないんです。あれは英語を使った情報処理試験なんですよ。

上村:は~そういう視点ですか。

ロイ:あれって2時間という時間の中で200問解かないといけないんですよ。

上村:2時間で200問! 200問全部が全部マークシートにチェック入れてくださいみたいのじゃないですもんね?

ロイ:あ、チェック入れるんですけど。でも長文読んでから書くとかあるので、けっこう時間がないんですよ。だから例えばTOEIC700点くらいの人だと試験終わってない人もかなりいますよ。

上村:ですよねぇ。1問1分で解いたとしても120分しかないわけですから、フルで使っても120問しか解けないわけですよね。あと80問どうしましょうってかたちですよね(笑)。

ロイ:そう、だから1問を15秒とか20秒で解くとか。

上村:そういう観点で考えると確かに情報処理ですね。

ロイ:英語ができるからTOEICの試験でスコアが取れるかというとちょっとずれるんですよね。でもみんな「勉強したのにTOEICのスコアが上がらない」って言ってがっかりしちゃうのってもったいないと思うんですよ。それって単にTOEICが評価してくれることをできていないだけ。そもそも評価される必要があるのかという話もありますし。

例えばTOEICがなにを評価するかと言うと、まず時間内にパパッと問題を解けることなんです。裏返して言うと、悩まないこと。「これ何だろう~?」って悩んだら絶対点数下がるので悩んじゃいけない試験なんですよ。

上村:これ僕は大変そうですよ~。1問悩んだらもう(笑)。

ロイ:そうそう。そういう真面目な人とかおっとりした人はあんまり点数が伸びずらかったりしますし。あとビジネス英語っていうのがあるので、例えばコミュニケーションがすごく上手とか、私翻訳が得意ですっていう人が点数取れるかと言うとやっぱりちょっとずれますよね。

上村:へ~そんなに違うものなんですね。英語の知識があればどの試験もいい点が取れるみたいなイメージがありましたけど、ぜんぜん違うんですね。

ロイ:ある程度は取れるんですけど、ちょっと情報処理試験だけあって癖があるなと僕は思いますね。

上村:そこの視点が変わるだけでもぜんぜん勉強法とかも変わってきそうな気がしますね。ただ漠然と英語を学んでやってるだけじゃダメなんですね。

モチベーションが上がる勉強法

上村:そこで、リスナーさんから質問が来ておりまして。

ロイ:ありがとうございます。

上村:TOEICに関してですね。ラジオネーム、パインさんからいただきました。「ロイさん、じゅんじゅんさん、こんにちは!」。

ロイ:こんにちは。

上村:「今私はTOEIC425点、51歳です。50歳を超えていますが、700超えを目指しています。勉強の気持ちはアゲアゲなんですが、行動が今ひとつ伴いません。

夢と現実にギャップがあり未来が遠すぎると感じるのか、今日はやらなくてもいい的なのんきな毎日になってしまっています。本当は1年以内に600点を超え、2年以内に700点を超え、5年以内には会話もペラペラになりたいです」。

その先に質問を3ついただいておりまして、1つずつお答えいただきたいと思います。質問1「点数とモチベーションが上がる有効な勉強法を教えてください」ということなんですが。

ロイ:なるほど。まず、勉強法によってモチベーションは上がらないですよね。モチベーションって結局目標設定、もしくは目的。「これをやりたい!」と思って燃えてこないとやる気って出ないんですよ。

この方の目標として、1年以内に600点ってあるんですけど、たぶんあんまりTOEICって感じじゃないんですよね。

上村:おぉ(笑)。

ロイ:だって最終的にペラペラになりたいんですよね。だったら先に会話やってしゃべれるようになったほうがたぶん英語に対するやる気が出ていいんじゃないかなと。はしごをのぞくような回答かもしれないですけど(笑)。

上村:TOEICというものに視野が狭くなっちゃうと。

ロイ:そうそう、ちょっとこだわり過ぎてる感があるので。もちろんTOEICのスコアが取れたらいいんですけど、それと英語ができるのは違うとさっきからお伝えしてますけど。この方の場合は先に会話やっちゃったほうがいいのかなと。3ヶ月でしゃべれるようになってくださいっていうほうが僕はおすすめですね。

上村:それこそ5年以内に英会話がペラペラになったときにまたTOEICに向き合ってみて、自分に必要だなと思ったらまた受けてみればいいかなといった感じですかね。

ロイ:そうですね。

問題の先読みに意味はあるのか?

上村:質問その2「試験中、問題を先読みするようにとよく書いてありますが、リズムが掴めなかったり眺めているだけに終わったり、いまいち乗りきれてないです。先読みするときの具体的なポイントはないでしょうか?」ということなんですが。

ロイ:これはリスニングの試験中ですね。問題を先読みすることっていう、よくそういうアドバイスをされるんですけど。これもする必要ないと思うんですよ。問題先読みって合う人と合わない人がいるというか。

例えば僕の場合だったら先読みはするんですね。それはなんでかと言うと、心の余裕を持ちたいから先読みしてるだけなんですよ。もし聞いてパッとわかってパッと答えられるんだったら先読みする必要がなくて。

この間、天満さんという大阪にいるTOEICの先生の講座を受けたんですけど。その先生は先読み一切しないんですよ。そのくらいトレーニングしてるちょっとマニアックな人なんですけど(笑)。

上村:でましたね(笑)。

ロイ:結局先読みって単なるテクニックなので、別に必要なければしなくていいし。自分で解いていて「これ先読みしたらもっと点数上がるな」とか「先読みしないと辛いな」と思ったら先読みすればいいのであって。先読みありきみたいなのはちょっと捉え方としてもったいないなという気がします。

上村:さっきのTOEICにこだわり過ぎみたいな話と一緒だと思いますけど、テクニックに視野が狭くなっちゃうとほかのテクニックがおろそかになったりとか、そもそもが使えなかったりというのも出てくると思いますしね。やっぱりあまりこだわらないほうがいいんですかね。

ロイ:そうですね。ちゃんと問題解くなら問題解くことに集中できたほうがいいですからね。

一番効率的な単語の覚え方

上村:なるほど。わかりました。そして質問の3つ目ですね。「コツコツ単語を覚えるのが必要だとは思いますが、毎日できる日替わりオーケーの勉強セットなどはないでしょうか?」ということですね。

ロイ:え~言っちゃっていいですかね?

上村:言っちゃいますか!

ロイ:ないです。

上村:ないです(笑)。

ロイ:自分で作らない限りないです。単語を覚えるって、1番効率的な方法は自分で単語帳を作ることなんですよ。このことは『頑張らない英語学習法』の中でもお伝えしているんですけど。

人が作った単語帳を覚えるって辛いことなんですよ。それってけっこうがんばらないとできないんですよね。だったら自分で作っちゃったほうがずっとがんばらずにできるし、覚えられるんですよ。

例えばTOEICの単語を覚えたいんだったら、TOEICの問題集とか解いてるときにたぶんわからない単語が出てきますよね。それを使って単語帳を作っちゃったらそれがたぶん1番効率的だろうなと。ちょっと面倒くさくは感じるんですけど、そのほうが早いですね。

上村:確かにもともとある書籍に載ってるような単語を羅列して、知ってる単語ばっかりだったらそもそもモチベーションも上がらないし、「知ってるよ」と思って進まないでしょうし。

ロイ:そうそう、本に書いてあってもテストで出てくるかと言うとわからないですよね。それを覚えろっていうのは僕は辛いですね。

上村:それなら自分で作ってしまったほうがよっぽどいいと。

ロイ:そうですね。

上村:ぜひともこの3つのアドバイスを参考にして、パインさんにはより英語の上達に向かっていただきたいと思います。

ロイ:参考になれば嬉しいです。

上村:パインさん、ありがとうございました。