ラストクリック評価は果たして正確か?

デ・スーザリッキー氏:では、本題です。

先ほどまでの話では、月額広告費が100万円未満の会社は、基本的にクリックベースでコンバージョンを見ています。ラストクリックの効果を評価していました。設立初年度や従業員20人未満の企業が多い。

だけどそれを、Webプロモーションをもっと本気でやろうと思った時、クリックベースのコンバージョンは当然見ますが、アトリビューションも見る、という話になっています。

うちの会社は、よくサッカーに例えるのですが、要するにこういうことですよね。

ラストクリック評価というのは、ゴールを決めた人だけを評価しているんです。だから、ゴールを決めた人に3点あげましょう、と。ですが、アシストまで評価するということは、潜在的な広告にも評価を入れていくかたちになるので、これが行われることによって「1人を取るのにいくらかけたのか」がわかるようになります。

こんな感じですね。これが直接、ラストクリック評価の時点の話をサッカーに例えた話です。いわゆる顕在層の獲得に集中してしまったがゆえに、なんだかわかんないけど、ゴールに入れた人だけOKという評価をしているんです。でも、その前の3人を最適化しようと思っても、これではよくわかりません。

今、全体の2割以上の企業が取り組まれているアトリビューション分析とは一体どんな評価をしているのか? これもサッカーに例えると、こんな感じでゴールの獲得に寄与した広告も正しく評価しています。

この絵面ではよくわからないので、もう少しわかりやすくします。

こういうことです。つまり、初期接点からゴールにいくまで、お客さんはいろんなパスを踏んでいるんですが、そのパスがどうつながって、どうゴールに寄与したかを出しています。

ラストクリックだけで評価している時は、フォワードの選手だけを評価している状態ですよね。

「デ・スーザくん、わかった。この白い選手はすごく評価しているからここは残していいけど、残りの3人は全部カットしてくれ」ということは企業のあるあるですね。

そうするとパスが供給されないので、「センタリングが上がらないのでゴールできません」という話になってしまって、当然、得点力が落ちてしまいます。こうすると、広宣費は増えません。「うちって、社名でしか取れないんですよね」ということはよくあると思うんですけど、それは、この状態なのではないかと危惧してしまいます。

先ほどのパスの供給の例も、もしこのように評価ができていたら「社長、この三角の選手だけがダメなので、ここだけカットさせてください」と。

それができると、基本フローは崩れていないので、得点力はそれほど下がりません。こうしたことを4社に1社がやっている、ということです。これがアトリビューション分析です。

効果測定にはレベルが存在する

では、世の中は Webの効果測定ツールにいくら払っているのか? これも気になるところですよね。「ツールの機能もわかったし、アトリビューション分析をやるのもいいんだけど、いくらかけるの?」と、こんな感じです。

これは、月額3万円~5万円ぐらいです。

これは先ほどと同じです。「よくわからないよね。広告費別でまた違うんじゃないんですか?」、おっしゃるとおりです。では、なにか特徴はないのか? 調べてみました。

やはり、当たり前なんですが、月額の広告費に応じてツールに使うお金も伸びています。やはり広宣費にお金をかければかけるほど、ツールにかけていくお金も増えていくので、基本的には安定レンジで3万円から5万円を中心に展開されています。

では、広告費がある企業はツール代を許容できるのか? これはすごく簡単な話です。弊社でも自社のツールを使っていますが、要するにこういうことです。広告の改善効果が、ツールに払っている費用よりも大きいんですね。

だから、コストじゃないんですよ。改善した金額のほうが大きいので、分析したほうがいいよねという話になっています。

ただ、先ほど説明したとおり、プロモーションにはフェーズがあり、拡大していく段階によってニーズは変わってきます。僕は今、みなさんにバーッと話しましたが「自社はここなんだけどな」みたいな感じで、各々のフェーズがあると思います。

例えば、プロモーション、コンバージョンの評価はずっとやります。でも、それに対してラストクリックの評価、つまり、「最後のゴールの評価をしていました」とおっしゃっていた会社が、だんだん「アトリビューション分析をやらなきゃいけないですね」となっていって、クリックの間接効果を見たり、サーチの効果を見たりということを始めます。

先ほどの調査結果にもあったように、「ビュースルーを見たい」とおっしゃる企業さんもいらっしゃいます。もっと進んだ企業になってくると、「ユーザーの属性が見たい」という企業さんも増えています。

ここで勘違いしてほしくないのは、ここでのユーザーの属性というのは、Googleアナリティクスに出てくる、サイトの来訪者のデモグラフィックではありません。どんなデモグラフィックかというと、「この広告に触れて、このページに来てコンバージョンした人は誰なの?」ということが知りたい。

つまり、30代男性に向けてバナーを打ったのに、実は40代の男性が来ていたら、もしかしたらキャンペーンのメッセージ変えなきゃいけないかもしれない。そういったことを見ていきたいとおっしゃる企業さんがいらっしゃる、ということです。

効果測定ツールの課題

みなさま担当者さまにおいても非常に大事なことが1つあります。それは、この成長レンジの全部で、基本的にはツール変えたくないですよね? 「新しいフェーズに入ったから、ツールも全部差し替えなんだよね」と言われたら、「また覚え直しですか?」みたいな話になってしまいます。

今まで、いろいろな調査データを出しましたよね。それが御社のフェーズと比較してどうだったか、という話が1つです。もしプロモーションを強化するのであれば、そのフェーズに伴って変遷する計測指標、効果測定の考え方も、拡張性があるものを使ったほうがいいですよね。

実はそれが弊社のプロダクトだとできますよ、ということで紹介をさせてください。まず、クリックのアトリビューションの話をします。

コンバージョンの重複計測、発生していませんか? 具体的には、代理店が月初・月末に持ってくるレポートで、「今月はGoogleで1件、Yahoo!で1件、Facebookで1件取れました」。でも、自社の獲得データ見ると1件。

つまり、Googleに行って、Yahoo!に行って、Facebookに行って、その後成約しているから1件なんですよね。重複しています。「そんなことに課題感じませんか?」という話です。

ゴールを決めた広告だけを評価していませんか? あとはメールマガジンですね。送りっぱなしになっていて、「その後、サイトに来たのかな?」「成約来たのかな?」という話。これがいわゆるクリックベースのアトリビューションです。

もう1つレベルを上げると、今度は「ビューベースを見たい」という話が出てきます。よくあるのはTrueView。動画広告を出して認知が上がりました。でも、指標は取れないので、ブランド調査をします。よくある話ですが、こうなるとかみ合っていません。

そうではなくて、例えばTrueViewを見た時に1万インプレッションあり、このうちサイトに来たことがない人は9,000人いて、そのうち7,000人がうちのサイトに検索で来てくれました、というところまで可視化したい。これは今なら可視化できるんです。

記事広告を読んだお客さまにも同じことができます。つまり、「その記事は自社にとって新規の人に当たっていますか?」とか、「当たった後、サイトにちゃんと来てくれましたか?」ということを評価したい。そんなことに応えるために、ビュースルーというものが使われます。

もしくは、広告から来訪したサイト。例えば、「うちの会社って社名で取れるんです」と。「でも、どうして社名なのかわからないんですよ」。そうしたら、サイトのログを見なきゃいけないですよね。このページを踏んだから、その人はその後社名で来た。

よくある話というか、こんな事例があります。ある車のサイトで、展示会に来てくれる人がまあまあ見ていたページがありました。そこに来た人にリターゲティング広告を打つとすごくいいんです。何だと思いますか? ……ちょっと考えてみてください。

これは、カーアクセサリーなんです。つまり、車を買うことはもう決めてて、「アクセサリーは何をつけられるのか」を調べてたんです。そんなことが見えると、打ち手が出てきますよね。「では、このカーアクセサリーのページに対する導線を付けよう」とか、「そこに呼び込むためにリタゲを打ったらいいんじゃないか」とか、そういうことをつかむためにも、ログが使えます。

なぜログを溜めるべきなのか

あとは、ユーザーが成約するまでのWeb上の行動を追いかける。ここまでがいわゆる計測ツールの話です。世の計測ツールでだいたいできる世界が今の話なんですけれども。ここからがおもしろい話で、僕がよく「ログは溜めたほうがいいですよ」と言う理由です。

ログって、溜めて見るために使っていたと思います。ですが、私に言わせていただくと、ログは資産です。要するに、溜めたログデータを利活用する、という考え方を持っていただきたい。

例えば、サイトに来訪したユーザーの性別・年齢を知りたい。さらに、経路別に知りたい。これ、先ほども言いましたが、この広告を出した人がこの経路で来た時に、何歳の誰だったのかがわかると、訴求するメッセージやランディングページのつくりが変わるはずですよね。だから、溜めたログデータが使えます。これは、1つ目です。

2つ目以降が、サイト来訪者が成約しなかった理由が知りたい。これはみなさん議論になるやつだと思います。そして、答えが出ないやつだと思います。「カゴまでは来るんだけど、成約しないんだよね。なんでだと思う?」と。たぶんそのための会議もあるのではないでしょうか?

でも、一番早いのは、その人に聞くことですよね。そして、聞けるんです。どうやるかというと、うちのプロダクトの話なんですが、ログを溜めるじゃないですか。溜めたログがリサーチ会社のデータとシンクしています。

なので、例えば楽天リサーチやGMOリサーチのユーザーに対して、後で、「最近、何々しましたか?」みたいなことを、シレッと自社の来訪ユーザーだけに聞けるんです。そうすると、その後、自社の製品を買ったのか、もしくは買わなかったのか、他社の製品を買ったのかを定性的に聞くこともできます。

マーケティングを次に生かすために

実際の活用事例として、ある飲料系メーカーさんの事例を挙げさせていただきます。Webの広告評価は全部数字でやってきました、と。だけど、どうしても1個だけわからなかったことがあります。SNSの効果があるかどうかがわからないんです。エンゲージだけは計測ができません。

その時に何をしたかというと、キャンペーンのサイトで申込みをした人だけにアンケートを取ったんです。それで、「このSNSを見ましたか?」「どうでしたか?」ということを聞くことで、定量的な数字と定性的なアンケート結果をもって、プロモーションの評価をされた。そんな事例もあります。

最後にSNS。ここにいらっしゃる方は、ほぼみなさん活用されていると思うんですけれども。ものすごくバズって「いやー、よかったよかった」。そして上から言われる「もう1回やって」「いや、できないですよ。バズったんですから」みたいな話があると思います。

例えばなんでもいいんですが、あるバズった内容に対して、再現する投稿をもう1回することは無理なんですが、箱を持っている、ログを持っているということは、その経路から入った人のデータを持っているんですね。何をするかというと、その人だけにリタゲを打ったり、そのユーザーに類似拡張配信をするなんてことも、できるんです。

そうすることで、例えば、半年前にやったプロモーションで、めちゃくちゃバズって人が来た。その人に続編の話がしたいという時に、前にSNSで来た人に対してリタゲして、続編のターゲティング広告、つまり疑似リターゲティングをしてみようとか。もしくは、似た人を連れてくるために類似拡張配信しよう、ということもできるのが、活用の第3フェーズです。

それを1つのプロダクトで、弊社のツールだと実現できますよ、という話です。

ちなみに、営業みたいになってしまいますが、弊社のツールのお金は、ちゃんとこのレンジの中にも収まっています。

今回ご紹介した調査データを見て、「他社はこうなんだな」ということがあったと思います。それに課題もあると思うので、もう1歩、先まで見て戦略を立てていただければ、と考えております。その時に、もし我々が力になれることがあれば、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)