死を悲しむのは人間だけではない?

マイケル・アランダ氏: あなたが思っている以上に、他の動物たちは私たち人間と似ています。ある動物は相手の顔を認識したり、道具を使用したりしますし、子犬がしっぽを振る様子はなにかの感情を表しているようですよね。

また、映像で見たことがあるかもしれませんが、群れのメンバーが死んだときに象はまるでその死を悲しんでいるかのような行動を起こします。

しかし私たちには彼らが一体なにをしているのか、一体なぜそのような行動を起こすのかを知るのは難しい問題です。動物が死を理解できるのか、またはどうやって理解するのかを知ることはできません。

しかしある文化人類学者は、悲しみを定義する基本的な方法を見つけ出しました。それは、死者を知っていた者の行動が変化することです。

そして、この方法が人間の悲しみを定義する方法になる一方で、これは人間以外の動物の悲しみを理解しようとしている科学者たちにとっても、よいガイドラインになるのです。

現在、研究者たちは、死体を確認、また埋葬する以外での行動の変化を探し出しています。それは日常のルーティンとなる行動を変えたり、悲しみを感じさせるような行動をしたりといった変化です。

動物たちには生活のためにやるべきことがありますが、私たちはそこからわかるサインに気づいていませんでした。

例えばライオンは、お手頃のカロリー源を逃す代わりに死んだ仲間を食べてしまいます。

ハチやハダカデバネズミは集団の中で生きています。したがって、清潔さというのはもっとも考慮しなければいけない問題になります。これらの種は、死体を素早く処理しようと試みるか、腐敗や病原菌が広がるのを防ぐため生活から遠ざける傾向があります。

カラス科に属する鳥は、群れのメンバーが死んだ場合にそのメンバーの周りに集まり、騒がしい態度を見せます。

しかしある鳥類学者は、この行為は他の生存したメンバーに警告を促し、どのようにして仲間が死んでしまったのかを調査し、予測される危険性を学ぶためのものだと考えています。

死に対してさまざまな反応があるため、どの種が問題解決のための実用的な行動をしているのか、また悲しみを経験しているのかを判断することが難しい状態です。

しかし、哺乳類はその知能の高さで知られています。象は仲間の死を悲む様子を記録されていますし、一方で他の動物の死に対しては無視をしています。

象の場合は、死体に優しく触れ、死んでいるかを確かめ数日死体に寄り添ったり、牙を切り離し、それを数キロまで持ち運びます。ある場合には、象が死体を汚れや植物で覆うこともあることがわかっています。そしてこういった行為はすべて普通の行為ではありません。

象、類人猿、オナガザル科、そしてイルカは、たとえ腐敗していても、数日間子供の遺体を持ち運ぶことが観測されています。実際、イルカに関しては、遺体を非常に攻撃的に守り、研究者たちを寄せ付けないことで知られています。

野生ではないチンパンジーは、グループのメンバーの死に対して、静かで大人しくなりまたは切実な声をあげます。

そして猿やキツネザルは、特別な音をだし、何度も死体を訪れるといった行為が確認されています。したがって、ある動物は死に対し、何らかの行動を起こすことがわかります。

こういった他の動物の感情や知能を研究することは、簡単にいくものではありません。しかし、人類のみが誰かが亡くなったことと気づく種族ではない、ということは驚くべきことではないんですよね。