2018年3月期第2四半期決算説明会

内藤忠顕氏:本日は、日本郵船第2四半期決算説明会においでいただきまして、ありがとうございます。私より、第2四半期ならびに上半期の決算説明および見通しについてお話し申し上げます。

最初に、ハイライトと申しますか、概要でございますが、3点お話しさせていただきます。2017年度第2四半期、上半期実績の評価でございますが、前回予想より良好な結果で終了いたしました。上半期で申しますと、経常利益ベースで220億円、当期純利益ベースで62億円という結果でございました。

まず、市況の概況でございますが、ちょうど1年前、この席でお話しさせていただきましたときは、まさにパーフェクトストームでございます。

例えばドライバルクで言えばBDI、ドライバルクインデックスが800ぐらいでございますが、それが徐々に、去年の末に底を打ちまして、改善してまいりまして、第1四半期の発表時点で「雲の隙間に光が見える」と申し上げましたが、さらに改善が進んでおります。

今回申し上げるとすれば、「時として青空も見えるようになってきました」という、そんな市況でございました。業績でございますが、この市況を反映いたしまして改善しております。とくに定期船事業ならびにドライバルク事業に改善が見られます。

2点目、2017年度の当期の見通しでございますが、経常利益ベースで350億円、当期純利益ベースで110億円ということで、前回予想に比較いたしまして上方修正とさせていただきました。

下期のハイライトを申し上げれば、営業利益段階では好調を維持しておりますが、経常段階に至りますと、若干控え目の予想になっております。

これは、7月に設立いたしました定期船の事業統合の会社ONEでございますが、この会社は現在準備作業に入っておりまして、収入はゼロ、費用は増えている。

とくに10月以降、本格稼働して人員も拡充しておりますので、費用は増えております。この統合会社の決算が営業外損益の段階に入ってまいりまして、これが赤字となっております関係上、経常利益は控え目の数字となっております。

それにもう1点でございます。配当でございます。中間配当は見送り、期末配当は未定とさせていただきました。当然のことでございますが、利益に応じて配当を配分していくということなんでございますが、復配は最重要課題の1つと考えております。

慎重を期して、今回は未定とさせていただいております。適正な内部留保等、諸条件を勘案いたしまして決定してまいります。未定ということで発表させていただいております。

3点目、経営課題でございます。2点ございます。1点は、本日の取締役会で郵船ロジスティクスに対して、現金を対価とする公開買付、TOBの決議をいたしました。これにつきましては資料もございますので、別途お話しさせていただきます。

また、時間が許せば2点目でございますが、喫緊の経営課題の1つであります統合会社の進捗につきましても、資料を使いながらご説明申し上げたいと思っております。

2018年3月期第2四半期決算概要

それでは、スライドに従いましてご説明申し上げます。ページ3番をお願いします。第2四半期の決算の概要でございます。

対前年同期比、大幅な増収・増益、黒字転換でございます。コンテナ船、ドライバルクともに活発な荷動きに支えられ、市況は改善しております。業績は前回予想を上回っております。

当期純利益は、構造改革に伴う大幅な特別損失を計上いたしましたが、前年同期比で黒字転換ということでございます。

では、定期船でございますが、ここでは4行目、第2四半期より事業統合会社、ONE社を持分法適用会社として連結決算に取り込み開始ということでございます。

実際には7月に設立いたしまして、10月1日から本格稼働に入っておりますので、第2四半期はまだ半稼働といった段階での取り込みでございます。

航空運送・物流は、若干苦戦をしております。不定期専用船では、ドライバルクマーケットの市況は一進一退を繰り返しながら、順調に回復しているところでございます。

LNG・海洋事業は高稼働で収益に貢献ということで、後ほど出てまいりますが、これは営業外に大きく効いております。

欄外でございますが、第2四半期の特別損失ですが、事業再編関連損失、コンテナ船事業統合。これはシステム関連でございますが、42億円を特別損失として計上しております。

第2四半期決算(サマリー)

それでは、次のページをお願いいたします。これは、第2四半期決算のサマリーでございます。

第2四半期の欄をご覧いただきまして、増収増益でございますが、営業外利益でLNG・海洋事業の持分法適用会社が大きく健闘しております。中期経営計画に掲げておりましたLNG・海洋事業の拡充が、少しずつ形になって現れてきております。

また、特別損失では、第2Qの段階で事業再編で40億円強の赤字が出ております。その結果、当期純利益は第2Q8億円と、一応なんとか黒字を維持した段階でございます。

右端の一番下に、上期増減の一番下でございますが、前の期と比較いたしますと、バンカー高が目立っております。100ドル以上のバンカー高でございますが、今期はバンカー高を克服しての利益でございます。

前年同期比較(セグメント別)

それでは、次のページにまいります。セグメント別の状況でございます。この表では、一番右の欄をご参照ください。上期増減が出ております。上から、一番上の定期船の経常利益。

また次の航空運送の経常利益、ならびに不定期専用船の経常利益。いずれも増収増益ということでございます。不定期専用船につきましては、ドライバルクが主力でございます。

ただ目立つのは上から3つ目の欄でございますが、物流では残念ながら減益ということでございます。高仕入れということで苦しんでいますが、期を追うごとに少しずつ改善はしてきておりまして、下期以降は改善してくる予定をしています。

経常損益 前年同期比増減分析

この表では上半期を前年同期と比較いたしまして、要因分析をいたしております。上半期で前期との比較は、456億円の改善ということでございます。

一番大きい要因は上から3つ目の海運市況変動等という欄でございます。310億円ということで、一番の大きな要因となっています。これはマーケットの運賃もございますが、積高の増も寄与しています。

次の欄、コスト削減でございますが、15億円ということでかなり減ってきています。これは主に定期船の、以前よりお話申し上げています運航の効率化を目指す「IBIS」、それから箱回しの効率化を目指しています「EAGLE」、残念ながら少しずつコスト削減の額が減ってきています。また新しい取り組みをして、これをまた増やすべくがんばっているところでございます。

一番下の欄、その他でございます。81億円と出ていますが、こちらでは構造改革効果というのを上げたいと思います。

80億円でございます。昨年の秋2,000億円強の減損をさせていただきました。その結果の効果が年間で160億円となっていまして、上期に80億円ということで出ています。以上が増減分析でございます。

2018年3月期通期業績予想

続きまして、通期の業績予想でございます。前年比大幅な増収。業績は改善し、全段階損益で黒字転換という予定でございます。

前回予想比でも増収、黒字幅を拡大ということでございます。定期船では荷動きは堅調に推移すると見込んでいます。一定の事業統合費用を営業外に織り込んでいますが、下期も黒字を見込み、前年比増収増益と考えています。

航空運送事業ですが、これは前年同期比ということでございますが。前年は為替の関連で一時収益が出ていました。それが剥離いたしますが、堅調な荷動きに支えられて実質的には増益を予想しています。

物流でございますが、仕入れコストの高止まりで粗利が低下するということが続いていました。前年同期比で増収減益という予想でございます。

不定期専用船ですが、ドライバルク市況の回復とLNG船・海洋事業の、こちらは安定的な収支というのを狙っているわけですが、これの収支貢献もございまして、前年比増収増益という予想をしています。不動産でございますが、前年の一時収益がこちらも剥離し、前年比減収減益となりますが、引き続き安定的に利益を計上しています。

ここで1点申し忘れましたので付け加えさせていただきますと、ドライバルクでございますが、市況は回復してきています。そのままダイレクトに収益に反映するとうれしいんですが、残念ながら業績への反応は若干遅れるということを、リマークとして申し上げさせていただきます。

遅効性であるということでございます。ご承知のとおり、1点は航海完了基準を取っていまして、会計上の理由で遅れるということでございます。

もう1点はこちらが大きいんですが、当社安定利益を、ということで長期契約を取っていくスタンスでやっています。まだ前の低い市況のレベルで成約いたしました契約が残っています。

これを今、市況が回復していますので、少しずつ置き換えていくと、こういう作業を続けていってまいりますので、結果が出てくるまでに時間がかかるということでございます。

営業外費用のところでは、下にまいりまして、ONE社設立から開始までの損益を第2四半期より計上開始していますが、とくに下半期はフル稼働のコストがかかってまいりますので、これでは厳しいというところです。配当につきましては、期末配当は引き続き未定とさせていただいています。

通期業績予想(サマリー)

それでは次のページでございます。業績予想、これは段階損益で書いてあるところでございます。右の2つの欄を見ていただきまして、共に上振れ、増収増益というところでございます。

一番右の前回予想比のところで見ていただきますと、計上損益・当期純利益ともに上振れしています。この段階損益では、特需損バランスは通期ではトントンと見込んでいます。

あと一番下の為替と油ならびに感応度でリマークさせていただきますと、為替・油は前回とほぼ同じ、油について10ドル上がった程度であまり変わっていません。

為替レートと油の感応度、これは今期は四半期ですが、下期6ヶ月分の感応度が記載してあります。為替レートにつきましてはドルコスト化を進めています関係で、為替感応度が下がっています。2億3,000万円、1円での動きと見ています。

通期業績予想(セグメント別)

セグメント別に前年度との比較をしています。定期船でございますが、一番右、通期増減に出ていますが、前年度の比較で最も改善した項目でございます。統合関連費用を織り込んでこの結果ということで、かなり改善しているのがご理解いただけるかと思います。

また、航空運送と不動産については一番右の欄でマイナスと出ていますが、前年度、16年度は一時的収益が出ておりましたので、そのため、こういう形になっておりますが、実力は堅調であるということでございます。

あと、ここには売上高も出ておりますので、ご説明申し上げようかと思うのですが、通期の一番下で売上高が2兆1,000億円を予想しております。

このうち、定期船が6,950億円ということでございます。

来年4月からはこれが持分法適用ということで、この売上から多くは消えていくと、1部残るものもございますが、ということでございまして、売上高で30パーセントくらいを占める定期船が持分法として社外に出ていくというところでございます。

後ほどご説明いたします、郵船ロジスティクスの完全子会社化、これはこういった定期船が社外に出ていくということにたいする対応という面もございます。

通期業績予想(セグメント別・前回今回予想比較)

前回予想との比較ということで、右端に前回予想との差が出ております。

定期船事業・不定期船事業ともに上期も下期も上振れということでございます。一番大きい変化は、上下で申しますと、定期船でございます。

上期が133億円の利益でございましたが、下期は2億円というところでございます。要素としましては、1つは従前からお話しております統合費用、これを見込んでいるということ。

それから、運賃が若干下がる部分の粗利の減少、それと、コストの大きな部分を占めます、燃料油、これの前提を上げておりますので、コスト増ということで、130億円くらいの下降修正をしているというのが大きなところでございます。

あと、航空輸送と物流につきましては、残念ながら黒三角という、マイナスということで前回予想を下げております。

セグメント別状況 (一般貨物輸送事業)

コンテナ事業、ここは数字が並んでおりますが、簡単に言いますと、荷動きは堅調です。

第2四半期も好調で、ほぼ輸送増と。下期も好調を見込んで、若干上方修正をしているところです。運賃ですが、あまり動いておりません。

下期の就中第4四半期ですが、太平洋航路も欧州航路も若干の下方修正をしております。以上でございます。

セグメント別状況 (一般貨物輸送事業)

次のページですが、NCAでございますが、上の段から、売上高が950億円というところでございます。

以前売上高1,000億円くらいで赤字だという状況でございましたが、構造改革等を経まして950億円でもトントンになる、若干の黒字が出るというところにきております。

非競合性でございますが、残念ながら複合的要因でコストが増えていると。なにかと申しますと、整備時期が重なりました結果、整備費用が膨らんでおります。

雷でありますとか、バードストライキでありますとか、航空の混雑ですとか、いくつかの不運が重なりまして、整備費用が重なっているという点がございます。

イールド、輸送重量ともに好調でございます。

セグメント別状況 (一般貨物輸送事業)

物流事業でございますが、ここに経常損益を示しておりますが、昨年度の第4四半期より下方修正、また、結果もあまりよろしくないという時期が続いてまいりましたが、第2四半期は13億円で少し戻ってまいりました。

下期においては通常の形に戻ってくるということでございます。

YLK、郵船ロジスティクスの完全子会社化で、会社全体、日本郵船にとってのコア事業として、ますますこの分野を大きく育てていきたいと思っております。

セグメント別状況 (不定期専用船事業)

それでは次のページ、不定期専用船事業でございますが、市況は大底を打って改善の途中でございます。

中国向けの鉄鉱石、石炭ともに前年に比較して大きく伸びております。

中国共産党大会が開かれて、その後の動向が気になるところではございますが、今得ている情報では、やはり急に落ち込むことなく、徐々に回復していくだろうと考えております。

2番目ですが、一番右にマーケット前提について前回の輸送と今回の輸送を比較しているわけですが、前回予想に対しまして下期は若干上方に持ち上げております。

最後にですが、よくご質問いただきます郵船ペナルティを支払った上での郵船解約でございますが、全社的に一気にまたやろうというところではございません。

個船ベースで、1船1船見ながら対応していこうというのが今の状況でございます。

ただ、マーケットはかなり改善してまいりましたので、状況は非常にいいということでございます。

セグメント別状況 (不定期専用船事業)

自動車専用船でございますが、輸送台数を、ここに書いてございますが、ほんの少し上方修正、ほとんど一緒でございます。

さらなる効率の最適化を追求というコメントが書いてございますが、配船頻度やサービスループの統合等進めていきたいと思っております。

財務状況

財務状況でございます。ここではここが今回予想でございます。

ここの投資キャッシュフローに目を転じていただきますと、前回予想より300億円キャッシュアウトフローが増えているということでございます。

これは郵船ロジスティクスさんのTOBということで、260億円くらいを見込んでいる、それを反映しているわけでございます。

その分営業キャッシュフローが業績改善ということで伸びておりますので、結果としての有利子負債ですが、おおよそ1兆円ということで、前回予想を据え置いております。

当面利益を積み上げて、財務の健全化を目指していきたいと考えております。

運航船舶

最後に運航船舶でございます。

これは昨年の9月末と今年度の9月末を比較したものでございます。

ちょうど9月末が今からピークに向かうということで、スポット船をたくさんとる時期でございまして、若干この数字に全体を正しく示さない部分がございますが、いずれにしましても昨年は810隻であったものが今期9月末で790隻ということで、20隻減っております。

ドライバカーと在来・プロジェクトが減っていると。逆にエネルギーが若干増えているというところでございます。

以上が第2四半期の決算の概要をご報告しました。