まずは英会話より「メール留学」

上村潤(以下、上村):あとは、自分の家にあるマイクとヘッドホンを使って、自分でしゃべって自分で聞くぐらいしかないですかね(笑)。

西澤ロイ氏(以下、ロイ):まあ、そうですね。しゃべるとなると、確かに……。僕も確かに自分でしゃべる練習というか、英会話のスキル高める時には、書くことをけっこうやったんですよ。

上村:ほう、書く。

ロイ:書く。だから、しゃべるのは確かに相手がいないし、相手がいて英会話ってなると、タイムリミットみたいなのがあるわけですよ。「3秒以内に言えないとまずいな」みたいなのがあるので(笑)。

上村:はい。

ロイ:文章書くのだったら、いくらでも考えることができる。

上村:あー。

ロイ:だから、僕「メール留学」って呼んでるんですけど、外国人の人とメールを送る、メル友みたいな感じで。

上村:あー、それいいっすね。メールだったら、考える時間ってある程度あるじゃないですか。会話になると、それこそ3秒ルールじゃないですけど、出てこないと気まずい空気が流れますけどね(笑)。

ロイ:そう。会話になると、なんとなくで通じちゃうんですよ。相手が察してくれるとか、例えば単語並べれば、その場はなんとかできちゃう。でも、そうすると絶対身につかないわけです。もちろんコミュニケーションのうえではいいけれども、英語力向上という意味だと身につかなくて。文章を書くとなるとごまかせないんです。

上村:確かに。

ロイ:うん。「え、この後、何を持ってくればいいんだろう?」って、ちゃんと考えないといけないので、そこは非常に勉強になるやり方ですね。

上村:メールかあ。よし、友達にちょっと送ってみようかな(笑)。

ロイ:(笑)。え、日本人?

上村:えー、今のところ日本人ですけど(笑)。

ロイ:いやいや、それをネイティブの人とか、日本語のわからない外国の人に。

上村:……いるかなあ?(笑)。

ロイ:いや、そうしないと、やっぱ甘えちゃうから。

上村:そうですよね。

ロイ:うん。

上村:まずはその友達を、メールアドレスをゲットすることから、始めていきたいですね(笑)。

好きなアーティストの曲を歌ってみよう

ロイ:僕の場合だと、書くだけだと口から出せないので、あとは歌を歌うことをやってましたね。英語の歌を歌うことで、発音練習になるし、口から英語を言う練習にはなるので。で、その2つをくっつけたら、まあ、しゃべれるところにけっこう近づけたかなと思います。

上村:ちなみに、それは好きなアーティストとかでもぜんぜんかまわないんですか?

ロイ:もちろん。自分がやっぱ歌いたい歌じゃないと。

上村:なんか、課題曲みたいな(笑)。

ロイ:(笑)。

上村:それこそ日本で言う童謡みたいなものを、こう(笑)。

ロイ:まあ、課題曲をつくるとしたら、カーペンターズとかじゃないですか?

上村:やっぱりカーペンターズって、発音とか、すごくいいんですかね?

ロイ:きれいですねえ。

上村:確かにみなさん挙げますよね、カーペンターズって必ず。

ロイ:あれは本当。なんか「映画で学べ」って言ったら、だいたい『ユー・ガット・メール』が出てくるんですよ(笑)。

上村:ほう(笑)。

ロイ:曲で言うとカーペンターズですね。

英語が身についたと実感した瞬間

上村:ちなみに聞きたいんですけど、ロイさんが自身で、「英語が身についたな」って思った瞬間ってありました?

ロイ:うーんと……、細かく分けると3回ぐらいあるんですね。それは読めるようになった、しゃべれるようになった、聞けるようになったっていうのが、それぞれあるんですけど。

そもそもできるできないっていうふうに、ゼロイチみたいな、そういう考え方をしちゃってるんじゃないかなと、ちょっと思うんですけど。

上村:あー。

ロイ:できる人を見ると「この人はすべて聞き取れてる」とか、しゃべれる人を見ると「この人はなんでも表現できるんだ」っていうとらえ方を、しちゃってないですか?

上村:……してますね。完全にロイさんは、雲の上の人みたいなイメージですからね。

ロイ:(笑)。

上村:実際は、地続きなわけですもんね。

ロイ:そうそう。階段のどっかの途中にいるだけで、できることもあればできないこともあるし、得意なこともあれば苦手なこともあって。

上村:英語に関して全知全能っていうわけではないですもんね、それこそ。

ロイ:(笑)。例えばですけど、TOEIC満点って「すごい」って思われるじゃないですか。一般論として、TOEICのリスニング問題全部聞き取れたとしても、映画とか海外ドラマ観たら、半分わかるかどうかですよ。

上村:そうやって聞くと、なんかすごくロイさんが身近に感じますけど(笑)。

ロイ:(笑)。もうちょっとわかりますけどね、僕は。

上村:なんだろう。やっぱりよくない癖というか、なんかすごく「恐れ多い」みたいな気持ちを持ってしまうんですよね。英語がすごくできる人、憧れの存在みたいな。でも、そうやって身につけるためには、考え方からやっぱり変えることが大事なのかなって、今一度認識いたしました。

ロイ:本当、考え方から変わらないと。だから、日本語と英語ってぜんぜん違うものなので、単に暗記してできるんだったら、もうすでにみんなできてるはずなんですよ。それで今まで日本人ができてないってことは、もうちょっと根本的なところから学ぶ必要がある、っていうことなんですよね。

上村:じゃあ、最後に、ロイさん流の英語の身につけ方のコツって、なにか1つありますか? 身につけるためのコツ。

ロイ:できるだけトータルな理解をちょっと目指してほしいな、っていうのがあるんですよ。さっきじゅんじゅんが言ってくれたみたいに、「インプットだけじゃなくてアウトプットも」みたいな感じで、例えば、単語があったら、まずその音を聞いてわかるとか、あと読んでわかる。

読んでわかるのは多くの人ができると思うんですけど、その単語が単に暗記じゃなくてイメージとして意味がわかるとか。で、その使い方がわかる。で、それがパッと使える、みたいな。そうやっていろんな側面があるんですね、1個の単語を使えるようになるにしても。そうやっていろんな面をカバーすることで、トータルな理解をやってほしいな、と。

上村:はい。今日は「身につけるのはどういうことか?」というのを、テーマにしてきました。今後の勉強の糧に、すごくなったような気がします。