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今年新たにクレヨンに追加された色も 研究室で生み出された“新しい青”

今年新たにクレヨンに追加された色も 研究室で生み出された“新しい青”

赤、青、黄色、緑、紫などなど、この世界には数え切れないほどの色が存在します。そのなかには、元々自然界に存在する色もあれば、人工的に作り出された色もあります。そして驚くべきことに、2009年に新たに作り出された色も存在するのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、研究室で化学的に生み出された色を3つ紹介します。

スピーカー
Stefan Chin(ステファン・チン)氏
参照動画
3 Brand New Colors That Scientists Discovered

化学によって作り出された色

ステファン・チン氏 今でこそ私たちの身の回りには、鮮やかな青い車、緑色のカップケーキ、ピンク色のスマホケースで溢れていますが、いつの時代もカラフルだったわけではありません。 西暦1000年頃、天然の顔料や染料は地中から掘り出されたり、植物から作られたりしていました。 Image01 Image02 また、白いチョークは洞窟に絵を描くには最適ですが、カラフルな布を染めるには適していません。 簡単には落ちない鮮やかな色を、膨大な時間とお金をかけて地中から掘り出す以外の方法で手に入るには、化学の出番です。この300年ほどで、化学合成は科学技術、芸術、ファッションの世界に革命的な影響を与えてきました。 最初に化学合成された顔料の1つは「紺青」です。 Image03 1706年にベルリンで作られたこの顔料は、プロイセン軍の軍服の染料に使われたことで有名になりました。この色は1903年にクレヨラ社がクレヨンの色として採用して以来、今でもクレヨンの1色となっています。1958年からは「ミッドナイトブルー」と呼ばれるようになったので、別の色の名前で聞いたことがあるかもしれません。 この色の発見にははっきりしない点もありますが、ストーリーはこうです。顔料を作っていたディースバッハという人は、カイガラムシから赤い顔料を作り出そうとしていました。ところが彼が研究室の同僚から借りた化学物質に鉄が混入しており、そのせいで深い青色になってしまったのです。 そもそも色というのは、その物質が光をどの程度吸収したり反射したりするかによって決まります。例えば赤いリンゴであれば、赤色に見えるのは波長の長い赤い光を反射し、それ以外の光を吸収しているからです。逆に青いシャツであれば、より短い波長である青い光を反射しているのです。 もしくは補色、つまり色相環の反対に位置する色だけを吸収することで青っぽく見える場合もあります。この場合はオレンジ色ですね。 Image06 白い光はすべての光が混ざった色です。そのためそのうちの1色だけを取り除くと、残った色、つまり補色に見えます。 顔料が特定の波長を反射したり吸収したりする理由はいくつかあります。紺青の場合、鉄を含んでいることと、電荷移動と呼ばれる現象が挙げられます。 顔料には2種類の鉄イオン原子が含まれており、オレンジ色の光を吸収したエネルギーを使って電子が別の鉄原子へと移動するのです。補色によって紺青は結局青く見えるというわけです。 ディースバッハの失敗は幸運でした。当時インディゴをはじめとした青い染料の数多くは、時間が経つと薄くなってしまいました。 Image07 また、アフガニスタンから運ばれた半貴石のウルトラマリンのようにとても高価なものでした。紺青は安価で耐久性があったため、服飾、消印、芸術などの分野でヨーロッパ中が欲しがりました。 Image08 人気を博した理由はその見た目だけではありません。紺青はセシウムやタリウムといった金属と結合するため、そうした物質を摂取してしまった人への医薬品としても活用されたのです。

たった数年前に新たに作り出された新色も

需要の高いもう1つの顔料は医薬品を作る過程で発見されました。キニーネというマラリアの治療に使われる天然の薬物です。 紺青が発見されてから150年経っても、紫色を作るのは難しい作業でした。古代ローマでは紫色をMediterranean snails(注:アッキガイの仲間。シリアツブリガイ)から作っていましたが、染料を作るためには大量に必要となるため紫色は極めて高価な色でした。 Image09 Image10 ウィリアム・ヘンリー・パーキンというロンドンに住む18歳の化学大学の学生は、石炭を乾留させた時にできるコールタールを使ってキニーネを合成する実験を行っていました。合成には失敗しましたが、代わりに興奮するできごとを目にします。紫色の色素が布をしっかりと染めていたのです。彼はこの色を「モーブ」と名付けました。 Image11 モーブは炭素、水素、窒素から成る有機顔料です。この紫色は金属によってもたらされるのではなく、有機物が環状構造を作り電子を分散させることによって生じます。 炭素が環状構造を作るためには、それぞれの炭素が別の炭素と二重結合しておく必要があります。これはつまり、電子が六角形のドーナツ状になった結合の中を自由に動けるということを意味します。この電子は黄色の光によって励起し、結果的に黄色の光は吸収されてしまいます。 Image13 すると黄色の補色が紫であるため、顔料は紫に見えるというわけです。 ここまで見てきたような色に関する発見は、過去の話だと思われるでしょうか。2009年にオレゴン州立大学の大学院生は、酸化マンガンと他の物質を摂氏1200度まで熱して、高効率な新しい電子材料を作り出そうとしていました。 彼はシリコンに変わる物質は作れませんでしたが、200年ぶりに新しい色の顔料を作りだせたのです。高熱によって作り出された鮮やかな青で、化学的に極めて安定していることも確認されました。 Image14 顔料には酸素の他に、イットリウム(Yttrium)、インジウム(Indium)、マンガン(Manganese)の3つの元素によって構成されていたため、インミンブルー(YInMn Blue)と名付けられました。 この色の秘密は、マンガン原子が小さなピラミッド状に配置された酸素原子に囲まれるかたちで結晶構造をしている点です。 Image15 ピラミッド状になっているため、マンガンの電子は酸素原子からそれぞれ違った反発を受け、その結果異なったエネルギー量を持つことになります。これはつまり励起する余裕があるということなので、電子は多くの光を吸収します。インミンブルーは赤と緑の光を非常によく吸収しますが、青い光は反射するため鮮やかな青に見えるのです。 さらに毒性がなく熱を反射するため、見た目が綺麗というだけではなく、屋根に塗ることで建物の冷却効果も期待できるのです。 この研究チームはこの発見の後、亜鉛とチタンを加えることで紫色にすることも発見しました。さらにマンガン原子を銅や鉄に置き換えることで、同じような特性を持ちながら緑やオレンジにすることもできたのです。 今年クレヨラ社はインミンブルーを24色クレヨンの1色に加えることにしました。ですが、紺青と同じように、別の名前を付けられてしまいました。 もちろんマーケティング上の理由があるのでしょうが、子供たちが化学の楽しさに触れる機会がなくなってしまいましたね。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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