2017年9月期決算報告 ポイント

宮本宗氏:それでは私から通期の業績についてご説明いたします。数字の前に、まずポイントをご説明したいと思います。

外部環境は、再生医療関連法が浸透してまいりまして、市場全体については追い風になっていると認識しています。

とくに今年、厚生労働省の監査が強化されて、みなさんご存知のとおり、いくつもの医療機関で法律違反が見つかり、治療を止められています。直近では「臍帯血(さいたいけつ)」を不当に使っていたということで、10以上の医療機関が治療を止めさせられたということも出てきています。

2番目は、免疫チェックポイント阻害剤の適応が拡大したことにより、我々としては少し想定外だったのですが、影響が出ているということです。

どういうことかと申しますと、別名オプジーポという薬が、免疫細胞治療とは併用できないということになってしまいました。オプジーポを使われる患者さんは、免疫細胞治療が受けられないので、まずオプジーポの治療に専念する。これにより、免疫細胞治療の患者さんが減るということが起きておりました。

これについては、今、逆に併用するということで臨床研究が始まっていますので、いずれ解消されるのかなと思います。

とくに第4四半期で影響が大きかったのは、免疫細胞治療、自由診療に関する批判記事(メディア、SNS含)がかなり長い期間掲載されていたことから、契約医療機関において患者さんがかなり減りました。

これはウチだけではなく、業界全体で免疫細胞治療、自由診療のところに影響を及ぼしています。このような外部環境がございました。

一方、内部環境は、これまでもご説明申し上げているとおり、営業活動を活発化させています。そして細胞加工受託やバリューチェーン事業の受注拡大を目指して、営業体制を強化して活動を進めているという段階です。またCDMOビジネス室を作り、これに専念するということを、対策として行なっています。

以上、契約医療機関での患者が減ってしまったということから、「免疫細胞療法総合支援サービス」の売上が減ってしまいました。

新規大型契約医療機関との計画ができたのですけれども、治療開始が全体的に遅延してしまい、細胞加工業でこれらの売上は計上できませんでした。

新規の契約医療機関との契約数でかなりの数を目指していたのですけれども、これが少し計画未達になっているという部分がございます。

細胞医療製品事業は早期の収益化を実現しようとしているのですけれども、まだまだ期間を要するという見通しになり、会計上、固定資産の一部を減損処理することとなりました。

業績ハイライト

数字に移らせていただきます。業績ハイライトです。

一番左の列が昨年度(2016年9月期)、左から2番目の列が今年度(2017年度9月期)です。売上高は17億400万円。営業損失は18億100万円。経常損失は17億4,500万円。親会社株主に帰属する四半期の純損失は、特損も含めて26億300万円となりました。これらの中で、設備投資は約4,000万円。減価償却費は3億2,000万円となりました。

ポイントとしては、「細胞加工業」「バリューチェーン事業」「CDMO事業」の3つのビジネス領域に向けて展開し、領域は拡大しつつあります。

しかし、契約医療機関における患者数が減少してしまい、実際には売上が減少したということです。販売費および一般管理費は25億7,000万円の損失となりました。

売上総利益、販売費及び一般管理費の内訳

売上総利益、販売費および一般管理費の内訳です。

売上総利益は7億6,900万円。販売費および一般管理費は25億7,000万円です。(販管費の)内訳は、研究開発費が6億1,200万円。販売費は5億800万円。一般管理費は14億4,900万円です。営業強化というところもありますので、販売費のところで人件費が増えています。

セグメント別の売上高およびセグメント利益

セグメント別の売上高およびセグメントの利益です。細胞加工業で17億200万円。細胞医療製品事業で100万円となりました。

細胞加工業での損失が4億6,200万円。細胞医療製品事業での損失が7億700万円。それから「全社費用」と書いておりますが、6億3,100万円の損失になっています。セグメント利益合計では18億100万円の損失になります。

細胞加工業の売上高・利益

続いて、細胞加工業の売上高・利益を細かくお見せします。

売上高は前期18億7,600万円だったものが、今期17億200万円となりました。セグメント利益は今期4億6,200万円の損失となりました。

予定していた加工受託がずれ込み、売上高は減少していますし、先ほど申し上げたとおり、患者数が減少したことにより、総合支援サービスの売上が減少したことが大きく寄与しています。あとは営業強化のために販売費が増加しています。

細胞医療薬品事業の売上高・利益

続いて、細胞医療製品事業の売上高と損失です。

売上高は(前期)3,200万円だったものが、今期は100万円。セグメント利益は今期7億700万円の損失になります。引き続き、細胞医療製品につながるシーズの探索と技術の改良、知財の確保ということで、注力してまいります。

細胞加工件数

細胞加工件数の昨年度と今年度の動きです。ご覧のようにオプジーポの影響が上半期に出ていたものが、最後第4四半期のネガティブキャンペーンで大きく落ち込んでいるということが(グラフに)現れています。

貸借対照表の概要

貸借対照表の概要です。総資産は13億8,000万円の減少。流動資産が2億5,800万円の減少。固定資産が11億2,200万円の減少。長期前払費用が4億300万円の減少となりました。

負債は短期借入金の8億円の返済も含めて、9億2,900万円減少しています。

純資産は4億5,000万円の減少となりました。

このうちの大きいところは、ご承知のとおり、今年度の株主総会で、繰越利益剰余金の欠損填補を行いましたので、こちらが大きく寄与しています。資本金が9億6,300万円の減少。資本剰余金が81億9,100万円の減少。これを受けて利益剰余金91億5,400万円の増加ということで処理をしています。

次に、第三者割当増資、新株予約権付社債、それと新株予約権の行使により、資本金と資本剰余金がそれぞれ9億7,000万円増加しています。結果、親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が26億300万円減少しました。

その他有価証券の評価差額金で2億2,000万円ほど増加がございます。新株予約権は約1,000万円減少しています。以上、私の説明を終わらせていただきます。