2018年3月期 第2四半期決算説明会

大隈郁仁氏:本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。

今期も半年が経過いたしました。当初は地政学リスク等、非常に不透明感が漂っていましたが、先般の衆議院の解散総選挙で安倍政権が継続し、かつ金融緩和方針の変更がないという見通しとなりました。

そのようなことを背景に、我が国の景気回復は緩やかながら順調に進んでいると考えています。不動産業界を取り巻く環境も同様で、比較的堅調に推移していると捉えています。

業績ハイライト

業績ハイライトです。当第2四半期連結累計決算は、営業収益4,080億円。営業利益350億円となっています。

投資家向けビル等売却収益の増加に加えて、分譲マンションの売上増や、好調に推移する仲介事業を中心に、増収増益となっています。

18年3月期予算です。営業収益8,400億円。営業利益735億円。DEレシオは2.6倍、EBITDA倍率12.1倍を計画しています。

堅調な市況を背景に、各事業とも通期計画に対しておおむね順調に推移しており、この目標についても、射程範囲に入っていると考えています。配当は年間14.5円と5期連続の増配を予定してます。

ご案内のとおり、期初にスタートした中長期経営計画のステージ2において、「関与アセット拡大」「新たな需要創出」の2つの基本方針と、「ライフスタイル提案型の街づくり」「循環型再投資事業の領域拡大」「ストックの活用強化」の3つの成長戦略を策定しています。

これらの方針・戦略のもと、当期のトピックスを3点挙げさせていただきます。

1点目は、広域渋谷圏構想の着実な推進です。道玄坂・南平台の渋谷再開発2プロジェクトの建設が着実に推移しており、リーシングも旺盛な需要を背景に順調に進み、道玄坂につきましてはオフィス床のリーシングが終了。南平台についても75パーセントが内定しています。

2点目は、循環型再投資事業の領域拡大です。再生可能エネルギー分野を中心にインフラ関連投資が進捗し、リニューアブル・ジャパン社との業務提携により、太陽光発電事業パイプライン約250メガマットを目処付することができました。

3点目は、ストックの活用強化戦略の一環として、東急コミュニティーと東急ホームズのリフォーム事業を、東急Re・デザイン社へ統合しました。

グループ内に分散をしていた機能・人材を集約し、東急コミュニティーのマンション管理ストックやグループの関与アセットに対応する、リフォーム事業の事業機会拡大に努めてまいります。

今後も株主や投資家のみなさまのご期待に添えられるよう引き続き取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

決算概要について、引き続き担当の兼松よりご報告いたします。

2018年3月期 第2四半期決算概要

兼松将興氏:2018年3月期第2四半期決算概要です。冒頭で社長より説明したとおり、当第2四半期は増収増益という結果です。

堅調な市況を背景に、各事業とも順調に推移しており、投資家向けのビル等の売却収益の増加に加えて、分譲マンションの売上増加等が寄与いたしました。

DEレシオは9月末で2.7倍。前期末と比べて一時的に上昇していますけれども、3月期末は当初の予想どおり2.6倍を予定しています。

2018年3月期 セグメント別第2四半期実績

セグメント別の営業収益および営業利益増減です。

営業収益は887億円の増収です。主な要因は、都市での投資家向けのビル等の売却収益の増加。住宅におけるマンションの売上増加や土地の一括売却の増加、仲介の寄与等によるものです。

営業利益も営業収益と同様に、都市・住宅・仲介事業セグメントを中心に96億円の増収となりました。

2018年3月期 第2四半期 期末BS

期末のバランスシートの概要です。

(資料5ページ)赤枠内をご覧ください。9月末総資産は2兆1,255億円。前期末比584億円増加です。インフラ関連への投資、またマンション等の建築工事金の支払いに伴う仕掛販売用不動産の増加、海外投資に伴う投資有価証券等によるものです。

負債の部については、有利子負債の増加等により前期末から481億円の増加です。期末有利子負債は、対期末から851億円増加して1兆2,230億円。DEレシオは2.7倍。自己資本比率は21.3パーセントです。

2018年3月期 第2四半期 キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フローの状況です。第2四半期はたな卸資産の増加等により、営業活動によるキャッシュ・フローが343億円の資金の減少。固定資産や有価証券の取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローも477億円の資金減少となりましたが、有利子負債の調達等の財務活動によるキャッシュ・フローで充当し、現金等の期末残高は748億円です。

2018年3月期 業績予想

2018年3月期の業績予想です。5月に発表した当初予想からの変更はなく、営業収益は8,400億円。営業利益は735億円。経常利益は640億円。当期純利益は345億円の計画です。期末の有利子負債は1兆2,300億円。DEレシオは2.6倍を維持する計画です。

2018年3月期 セグメント別業績予想

セグメント別業績予想です。営業収益については、主に住宅事業における投資家向けの賃貸住宅の売却収益や土地の一括売却収益の増加等により増収。

また、当社グループ内で管理事業および次世代・関連事業で行っていたマンション・オフィス等のリフォーム事業の機能を東京コミュニティの子会社として新設いたしました。

株式会社東急Re・デザインへ集約したことにより、管理事業が増収となる一方で、次世代・関連事業が減少の計画としています。東急Re・デザインについては、(2017年)10月から本格的に営業を開始いたしました。その他のセグメントすべてで増収で、全体で対前期315億円増収の計画です。

営業利益については、住宅事業では前期に高採算の分譲マンションの計上があったことや、ウェルネス事業において別荘地の売上計上があったこと等の反動により、減益の計画ですが、都市事業における投資家向けのビル等の売却益の増加、好調に推移する仲介事業などの増益でカバーし、全体としては対前期3億円の増益の計画です。

都市事業① 2018年3月期 第2四半期業績

ここからはセグメント別にお話しいたします。最初に都市事業です。上段が第2四半期の実績、下段が通期予想となっています。

実績においては、投資家向けのビル等の売却収益の増加、既存ビルでの収益改善に加えて、前期にM&Aで取得した学生情報センターの通期寄与等により増収増益です。

通期予想も投資家等向けのビル等売却益の増加、既存ビルの収益改善により増収増益の計画です。

都市事業② 空室率・賃料の推移

空室率・賃料の推移です。

空室率については、既存オフィスビルでの入居が進み、2017年9月末で0.3パーセントと低水準になっています。私どもは空室率を入居ベースでカウントしています。

オフィスの平均賃料は9月末の月坪あたり2万5,050円と2012年3月末から840円、約3.5パーセント上昇いたしました。

物件の入れ替えということもありますが、既存ビルでの契約更改による値上げも順調に進捗して、賃貸収益は着実に改善しています。

都市事業③ 主要プロジェクト

主要な新規開業プロジェクトです。2017年度は4月に「キュープラザ二子玉川」開業いたしました。

また商業施設の「銀座一丁目計画」。横浜市のみなとみらいに所在するオフィス「OCEAN GATE MINATOMIRAI」が上期に開業して、計画どおり9月末までに売却が完了いたしました。

下期にかけては、ビジネスホテルの「新橋三丁目計画」。また大阪心斎橋筋商店街に位置する商業施設「心斎橋筋二丁目計画」の開業を予定しています。

今回新たに2018年度の開業予定物件として、商業施設の「銀座七丁目計画」。2019年度に千代田区三崎町水道橋駅近くの「三崎町三丁目計画」、中計期間の外となりますが、2021年度以降のプロジェクトとして、千代田区の「九段南一丁目プロジェクト」、大阪梅田駅近くの「茶屋町B-2地区市街地再開発事業」を記載しています。

「九段南一丁目プロジェクト」については、九段会館の建て替えプロジェクトということで、歴史的な建造物の一部保存を行う希少性の高いプロジェクトです。

また、(2017年)9月に70年間の定期借地による国有地開発事業の事業協力者に私どもが選定されました。正式な契約は来年(2018年)の3月です。

都市事業④ 主要プロジェクト<広域渋谷圏>

こちらは広域渋谷圏での当社グループ関与の商業施設・オフィス物件の地図です。

都市事業⑤ 再生可能エネルギー事業

再生エネルギー事業についてご説明いたします。冒頭でも社長より話がありましたが、現中計では循環型再投資事業の領域拡大に取り組んでいます。

従来投資対象としてきたオフィス、商業施設、賃貸住宅などのアセットに加えて、インフラ、インダストリーやホテル、学生情報センターとの連携による学生レジデンスなどのアセットを加えて、収益力の強化を図る方針です。

ここ半年で太陽光、風力発電を中心とした再生可能エネルギー事業への投資が進捗いたしました。8月に再生可能エネルギー事業のディベロッパーであるリニューアブル・ジャパンと資本業務提携をいたしました。

同社が保有する再生可能エネルギー事業の権利のうち約250メガワットを共同開発することを決定し、パイプラインの確保を進めました。

また、7月に釧路で三菱UFJリース、日本グリーン電力開発と共同で国内最大級の蓄電池併設型メガソーラー発電所を2019年度中の開業を目指して着工いたしました。

9月末時点での再生可能エネルギー事業のプロジェクト確保状況としては、稼働中物件が8件、開発中事業が太陽光発電所で8件、風力で2件の計10件となりました。

なお9月末時点の持分換算後の投資額は215億円です。

住宅事業① 2018年3月期 第2四半期実績

続いて住宅事業です。

上段の実績として、分譲マンションの計上戸数は減少しましたが、高価格帯物件が増加したことにより、マンションでの売上が増加したことに加えて、売上高の内訳その他に含まれる土地の一括売却の計上が増加したこと等により、増収増益となりました。通期予想は増収減益の計画です。

その他に含まれる投資家向け賃貸住宅の売却事業の売上増加や、土地の一括売却の増加等により、増収の計画ですが、分譲マンションにおいて、前期に高価格帯物件の計上があったことの反動により、戸当たり平均単価が下落、また粗利率も低下することにより、減益の計画です。

住宅事業② マンション計画概要

マンションの計画概要です。(資料16ページ)赤枠内をご覧ください。今期は1,655戸、981億円を計上する計画です。

マンションの売上予想に対する契約確保済みの割合は、表の中段記載のとおり80パーセントと、順調に進捗して、完成在庫は9月末で332戸と2017年3月末から減少しています。

2018年3月期の分譲マンションの粗利率は通期で約22パーセントを計画しています。なお上期の粗利率は21.5パーセントでした。

マンションの販売状況については、引き続き販売価格の2極化の傾向が続く中でも全般的には堅調に推移していると見ています。

用地の仕入状況については、土地投資額に記載のとおり、第2四半期で47億576戸分を取得いたしました。

都心物件や再開発案件を中心に厳選投資を継続し、結果として来期以降に計上を予定する手当済のマンションは約8,500戸となっています。

管理事業① 2018年3月期 第2四半期実績

管理事業です。実績はマンション・ビルともに管理ストックが拡大したこと等により、増収増益となりました。

通期予想は引き続きマンション・ビルともに管理ストックが拡大したことによる増収に加えて、リフォーム事業の集約もあり増収増益の計画です。

リフォーム事業集約の影響額ですが、2017年10月から2018年3月までの次世代関連事業におけるリフォーム事業の売上の見込み額78億円を管理事業に計上することといたしました。

管理事業② 物件ストック状況

下は管理ストックの状況で、上段がマンションの管理戸数の推移です。9月末のマンションの管理戸数は81万9,000戸、2017年3月末から約7万8,000戸増加いたしました。とくに施設管理において約7万6,000戸増加しています。これは公営住宅等の指定管理者案件を新たに受注したことによるものです。下段はビル等の管理戸数の推移です。こちらも9月末1,517件と順調に拡大しています。

仲介事業① 2018年3月期 第2四半期実績

続きまして、仲介事業です。

上段の実績は増収増益です。東急リバブルにおいては、お客様へのサービス充実に努めるとともに、テレビCM等を通じてリバブルブランドの強化に努めてまいりました。

結果として、リテール・ホールセール部門ともに取引件数・成約価格が上昇し、増収となったことに加えて、不動産販売における買取再販事業の売上増加等により、増収増益となりました。

通期予想についても引き続き売買仲介の好調、不動産販売での増収等を見込み、増収増益の計画としています。

仲介事業② 売買仲介営業指標

売買仲介営業指標です。

上段左上の実績をご覧ください。リテール部門においては取引件数が増加し、取扱高が約8パーセント上昇いたしました。

右側の概況に記載のとおり、新規店舗についても上期で4店舗、下期も品川など3店舗をすでに出店済みで、着実に事業の拡大に努めています。

ホールセール部門においては、取引件数が増加したことに加えて、平均取扱価格が2億2,800万円から2億6.400万円に上昇したこと等により、取扱高は対前年同期で32パーセント上昇いたしました。

下段の右側、通期の計画ですが、引き続きリテール部門、ホールセール部門ともに取引件数の増加等により、取扱高の増加を見込んでいます。

ウェルネス事業① 2018年3月期 第2四半期実績

ウェルネス事業です。実績は増収減益となりました。

シニア住宅においては、2017年7月にグランクレール世田谷中町が開業したこと等による増収に加えて、都市型ホテルの東急ステイを始めとした既存施設も堅調に推移し、増収となりましたが、前年同期に好採算の別荘地の売上計上があったことの反動から減益となりました。通期予想についても増収減益の計画です。

シニア住宅や東急ステイにおける新規稼働に加えて、スキー場等の既存施設の改善を見込み増収の計画ですが、前期における別荘地の売上計上の反動等から減益の計画としています。

ウェルネス事業② 主要プロジェクト

ウェルネス事業の主要プロジェクトです。東急ステイについては、現在都内で17施設・2,445室を展開しています。

2017年度は11月末に「東急ステイ京都両替町通」、2018年2月には「東急ステイ高輪泉岳寺駅前」の開業を予定しています。

2018年度以降は札幌、博多、京都などの開業を計画しており、2020年度には約30施設、部屋数では4,400室の規模まで拡大する計画です。

ハーヴェストクラブでは10月に「那須Retreat」開業いたしました。こちらはスモールラグジュアリーヴィラタイプのハーヴェストクラブで、すでに約7割が販売済みと好調な売れ行きです。

さらに、2018年7月に開業を予定している「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」についても、会員権はすでに7割が契約済みで、開業に向けて順調に進捗しています。

ハンズ事業 2018年3月期 第2四半期実績

ハンズ事業です。

既存店の実績は減収となったものの、新規店舗の寄与に加えて、費用の減少等により、増収増益となりました。

通期予想については、新規店舗の寄与等により増収を見込みますが、開業費用の増加等もあり、減益の計画としています。

次世代・関連事業 2018年3月期 第2四半期実績

次世代・関連事業です。こちらは主にリフォーム、注文住宅等の請負事業と海外事業で構成されているセグメントです。上段の実績についてはリフォーム、注文事業等の完工高の減少等により、減収減益となりました。

先ほど管理事業での説明でも触れされていただいたように、次世代・関連事業内東急ホームズで行っていたリフォーム事業を、東急デザイン社に移管しています。その影響等により、通期予想は減収増益の計画としています。

自己資本・有利子負債の推移

自己資本・有利子負債の推移です。

2018年3月末は新規投資等により、有利子負債が増加する一方、自己資本が着実に拡充、DEレシオについては2017年3月末から横ばいの2.6倍の計画です。現中計最終年度である2021年3月末は2.3倍程度まで改善させる計画です。

有利子負債EBITDA倍率についても、過去5年の間でおおむね低下傾向にあり、2018年3月期は一時的に上昇しますが、2021年3月期には10倍程度まで改善させる計画です。

株主還元

最後に株主還元です。還元の方針については、安定的な配当の継続・維持かつ配当性向25パーセント以上を基本方針としています。

過去5年、最高利益を確実に成長させることで増配を実現しており、2018年3月期も過去最高の最終利益を見込む中で、1株当たり年間14.5円、5期連続の増配の計画です。

決算予算についてのご説明は以上です。