高校魅力化プロジェクトとはなにか?

藤岡慎二氏(以下、藤岡):高校魅力化プロジェクトとはなにかを簡単に説明すると、高校がなくなると地域から人がいなくなっていくんです。子育て世代を中心にどんどん人口が減っていって、その市とか町の人口が減っていってしまうんです。そして、空洞化し、市の衰退につながってしまう。

高校を守るということはその地域を守ることだ、ということで、大きくは3つです。生徒数を伸ばさないと高校はなくなってしまうので、その高校、その地域でしかできないカリキュラムを作ること。あとは公営の塾ですね。離島中傘下の高校が多いので、塾とかないんですよ。「今でしょ!」とか言う先生いないんです(笑)。(離島に)来るはずないですよね。別に彼に恨みはないんですけど。あとは寮を作ります。そして、全国から生徒を呼んでくる。

寮と公営の塾とその地域でしか学べないカリキュラムの3本柱で、地域の子どもたちが行きたい、地域の保護者も行かせたい、地域外の人も行きたい、日本中の高校生が行きたい。そういう高校づくりをして、人を集めて、高校を守ろうというのが高校魅力化プロジェクトです。

僕は民間の立場で、そもそも教材を作る会社だったんですが、なんで地方創生や高校魅力化プロジェクトに関わっているかというと。そもそもその3本柱のなかで、塾で大学受験対策ということを誰ができるかというと、行政の人はなかなかできないんです。今、入試ってすごいじゃないですか。推薦、AO入試とか、海外の入試とか、たくさんありますよね。2020年に入試変わるとか。

あまりにもそういう変化が速すぎて対応できないんです。そんな時に、民間として自分たちはそういう教材を作っていますよとか、そういうことできますよ、と言うと組めるんです。いろんなプロジェクトがある中で、行政では変化がありすぎてできないところが必ずあるんです。そこに「自分たちはこんなことができますよ」って言うと組んでくれたりします。

ただポイントは、民間としてはなにか1つ武器を持っていくというのは条件なんですけど、官のほうも、なにが求められているか、なにが必要かということをきちんと解析・分析しないといけません。なので、官にそういう人がいないとなかなか組みにくい。僕らが教材会社で入っていって、「すみませんやりたいんですけども」と言っても完全に不審人物。こんな髭とか生やしていたら、不審人物なんです(笑)。官としてこういうことに困っている。自分たちはこういうことができる。そのマッチングがないとなかなか官民協働は難しいと思います。

行政が持っている3つの力

武内淳氏(以下、武内):じゃあ世の中への活動をしている脇さんとしては……。

脇雅昭氏(以下、脇):はい! 挙手制ですよね。

武内:すみません(笑)。

:まさに今言った官の側、受け入れる側がどういうモチベーションかというのはめちゃくちゃ大きいわけです。僕が総務省にいたとき、全国の若手の公務員が国に修行に来ていました。1年から4年間。彼らの生活を見ていると、むちゃくちゃ頑張ってくれているんですけど、言われた仕事を気合と根性で土日もなくやっているんです。

それは大事なことだし価値はあるんですが、今必要な力は、言われたことを頑張るというよりも、まさに言ってくれたように、なにが地方で起きていて、その課題を絶対行政だけじゃ上手く解決できないから、それをどういった仲間と一緒にやっていくかということ。

その思考が大事な時に、ずっと霞ヶ関の中にいるだけじゃそういう思考にならないよねと。じゃあみんなで外に行こうよということで、ヒカリエというおしゃれな空間で、みんなに来てもらったりとか。吉本興業の本社が新宿にあるんですが、一番最初はあそこでみんなで飲もうぜって行くわけです。そうするとみんなつられてきて、そこで「僕らの価値ってあるよね」みたいな話をして志を上げていこうみたいなことをやっています。

今日はうれしいことに、官と一緒に組みたい人たちけっこういてくれたので、そういう意味で組みやすいと思っているのは、行政の持っている力は3つあるかのなと思います。1つは法律とか規制ですよね。それは国が持っていて、まさに特区といったかたちで解除していくこともありますし。

あとはお金ですよね。お金って正直難しい。行政にお金を取りに来てる人とはなかなか一緒にはできないです。なぜならみんなのお金だから。みんなの税金を議会というところでなぜ使うのか説明しなきゃいけない時に、そのハードルはめちゃくちゃ高いです。

一番組みやすいのは信用がほしい場合ですね。当然なんでもかんでもはやりませんが、そういう信用力はまだまだ行政が使い勝手があるところだし、そこは公平性というのもあんまり問題にならないかなって思っています。

要は1個と組んでお金が発生すると、他のところと組むとまたお金が発生する、というのはすごく難しいんですけど。信用であれば、僕がやっていたのは観光の行政だったんですけど、ある会社と組むと「公平性はどうなんですか?」と言われるんですが、その場合は「全部と組みます」って言うんです。「文句があるんだったら言ってください。そこと組みますから」って言うとすごく平等性って保たれて。

なのでみなさんそういったところを狙いに来る、狙いに来るじゃないな、そういったところを一緒にやりたいっていうのがあればそうだし、さっき手を挙げてくれた人はなんで官と組みたいのかをもう1回考えてくれると、なにが必要かというのは見えてくるかなと思います。

あと、長くなって申し訳ないんですけど、この中にけっこう公務員の人いるんですよね。公務員の人、手を挙げてもらっていいですか。

(会場挙手)

思った以上にいて、組みたいっていう人は、今手を挙げている人と仲良くなるのが一番早いです(笑)。それだけ言いたかったです。

ネットワークを作るのは難しくない

竹家正剛氏(以下、竹家):はい、ありがとうございます。今の話で言うと、制度はだんだんできていると。ただ、それを使いこなすために、例えば中間組織的なところで翻訳機の役割を果たしてくれるような人が必要であったり、行政もすでにお金がなくなってきているんですよね、正直な話。

なので今、地方創生というお題目を唱えて、一緒に地域を活性化する人を探しているというところだと思います。ただ、例えば藤岡さんがいきなり、あるAさんという公務員のところに行っても、「いやいや、ひげが生えてる人は困りますよ」と言われるんですよね。でも、脇さんのところに行ったら、「脇さん、やりましょうよ!」と言ったら「それいいね」と言ってくれるんですよ、たぶん。

そういうタッチポイントに触れようと思ったら、どういうところ、どういう公務員に話を持っていくべきなのか、というところでご配慮されるようなところってありますか? 

はい!

(会場笑)

木藤亮太氏(以下、木藤):意外なところからきた。

平将明氏(以下、平):まず、なんていうのかな、こういうところに来ることが大事ですよね。小幡(こはた)さん? ごめんなさい、小幡(おばた)さん。

(会場笑)

:私も小幡さんに頼まれて来たんですけど、こういうところに来る人っていろんなネットワークを持つわけですよね。だから、こういうところに来るのが大事で、そうすると、だいたい知り合いになっていくわけですよね。そこに官僚もいれば、NPOの人もいれば、ブロガーの人もいれば、ってことです。

あと、小幡さんが特別何かに優れているようには、見えないですよね。

(会場笑)

何か特別なスキルがあるとか、ないですよね。でも、なんとなく彼がいると集まっちゃうんです。高野山までみんな来て。これってすごいことなんだけど、やろうと思ったら、たぶん結構できちゃうんですよね。そもそも、よく借りられましたよね、ここも本当に。

(会場笑)

だから、そういう意味では、意外とみんなが思っているほど難しくないし、社会や法律を変えるのもみんなが思ってるほど難しくないと思います。小幡さんの売りは、昔引きこもっていたということ。「今は、こんなになりました」って、BeforeとAfterの写真を見せられるけど、正直、どっちがBeforeでどっちがAfterなのか、よく分からないですよね。

(会場笑)

でも、それでもこれだけの人が来る。だいたい彼が声を掛けたら、誰でも来るようになるんですよね。そういうところに顔出して行くことと、あとはやっぱりSNSですよね。今、私のところにいろんな依頼が来ますけど、TwitterとかFacebookで直接来ます。首長でも来ますよ、直接。

特区なんかはちょっと特殊な制度なので、できる政治家って少ないんですよ。規制改革と特区はできる政治家が少ない。だいたい普通の政治家というのは、「補助金よこせ」とか「税金まけろ」とか、そういう仕事しかしないので。やっぱり政治家もこれからはクリエイティビティの世界なので、この提案が付加価値を生み出す、もしくは、日本を変える可能性があるっていう目利きがあるかどうかです。

地方創生の鍵は地産地消

:1つだけ事例で、まだうまくできてないんですが、「地方創生」というと、枠組みとしては新たな需要を生み出す、新たな人の流れを生み出すというポイントがあって、舞台回しは、地産地消でできるだけ回す。地産地消は、食材は当たり前だけど、人材だったりエネルギーもそうだし、金融もそうですよね。これは、ベストプラクティスです。

しかも、日本は人口が減ってくるので、できるだけ外需、人も外から来てもらったほうがいいし、できれば外国の人に来てもらえばいいし、できるだけ高付加価値化していかなければなりません。ということになります。

この間、僕のところに新潟の錦鯉の産地、小千谷というところから相談が来ました。錦鯉ってすごいんですよ。ヨーロッパで大ブームで、彼らは生産を増やしたい。でも、場所がない。

一方で農家の人たちは、耕作放棄地を「貸してもいいよ」と言っている。でもそれは、農地法とか農振法(注:農業振興地域の整備に関する法律)があるので、うまく融通できないんですね。だから、「それは特区を使ってやりましょう。Win-Winなんだから」ということで、その錦鯉を増産して、輸出をして高く売ってくる。

外国人のバイヤーが来るんだったら、シェアリングエコノミーを使ってコミュニティを使って、どんどん人を呼び込んでくる。そこで消費する仕組みをいっぱい作るし、あとは、錦鯉をモチーフにした、デザイン性に優れた街並みをつくるとか。いろんなことが、たぶんできるんだと思うんですよね。

ですから、まずは相談してみると。たぶん地元選出の国会議員がその話を聞いても、「あっ、それ特区でやってみよう。できるかどうか分からないけど」とはならないかもしれない。これまた首長とあわせて、選出の国会議員がイケてないとすごく遠回りになりますよ。その時は、もう躊躇なく飛ばしていいですから、みなさんの地元の国会議員。ダメな人はダメなんで。

(会場笑)

そのためにSNSとかそういうものがあるので。そうやったら、意外と早いと思いますよ。

木藤:大丈夫ですか? ものすごいメール来ますよ。

(会場笑)

これだけの数が来ると思います。

武内淳氏(以下、武内):他に……。どうぞ!

イケてる政治家を見極める方法

藤岡慎二氏(以下、藤岡):ちょっと、僕、質問してもいいですか?

:はい、どうぞ、どうぞ。

藤岡:そういうイケてる政治家といけてない政治家の見極めるポイントとかありますか? 髭がないとかでもいいんですけど。

(会場笑)

藤岡:結構僕もこの人に話し掛けていいのやらみたいなのがあるんですよね。それありますか? 共通項とか。

:これは、難しくてですね。悪そうな顔の政治家が本当に悪いかというと、意外と悪くなかったり、若くてイケてる奴なんだけど、実はものすごく薄っぺらかったり。分からないですよね。

でも、小選挙区なので、みなさんは、ちゃんとそれを見極めて入れてもらわないと、そもそもいけないので。ということと、あとは、ネットとかいろいろ見れば、だいたいどのくらいか分かると思います。

あの、顔だけで判断しないでくださいね。顔だけで。そうすると自民党7割ぐらい落ちちゃうんで。

(会場笑)

ちょっと外見的にはないですね。

脇雅昭氏(以下、脇):はい。いいですか?

武内:はい、どうぞ。

:たぶん平先生に聞くのが一番早いんで。議員さんは、(他の)議員さんの良さ悪さを結構分かってるから、「この人どうですか?」って聞くのが、やっぱり実際一番いいですよね。

:そうね、私に聞いてください。

(会場笑)

:またメールを増やしてしまいました。ごめんなさい(笑)。

(会場笑)