2017年度第3四半期累計(1-9月)実績

稲田晴久氏:財務担当の稲田でございます。よろしくお願いいたします。それではさっそく私から、2017年度第3四半期決算についてご説明させていただきます。

2ページをご覧ください。連結売上高は、前年同期に比べて2.7パーセント増の1兆950億円。営業利益は、3.2パーセント増の768億円。四半期純利益は、1.7パーセント増の370億円となりました。この9ヶ月の間、地域・国ごとにそれぞれ競合の激化など、事業環境の変化が起きております。そうした変化に対応しながら、増収増益を達成することができました。

セグメント別売上高/利益

3ページをご覧ください。セグメント別の売上高および利益です。売上高・利益ともに、地域ごとにばらつきがありますが、主に日本とアジアが牽引するかたちとなりました。

日本 第3四半期累計(1-9月)実績

次のページから、各セグメントについて詳しくご説明いたします。4ページをご覧ください。まず、日本です。売上高は1.5パーセント増の6,885億円。セグメント利益は5.1パーセント増の478億円となりました。1-9月の市場は前年並みと推定される中、当社の売上数量は3パーセント増加いたしました。

年初に掲げた、ブランド強化とイノベーションの取り組みが功を奏し、サントリー天然水をはじめ、基幹ブランドが好調に推移したほか、クラフトボスやサントリー天然水PREMIUM MORNING TEAといった、新たな価値を持った新商品も貢献いたしました。

また、新商品の発売やリニューアルに伴うブランド投資を、効率的に行いました。なお、最盛期である7月から9月にかけての3ヶ月累計でも、天候不順等の影響もあって市場が微増にとどまる中、当社は新商品等の好調もあり、市場を上回る売上成長を達成いたしました。

日本「ブランド強化とイノベーション」で成長

5ページをご覧ください。ここで、年初に掲げましたブランド強化とイノベーションに関しまして、サントリー天然水とBOSSの事例で説明させていただきます。

サントリー天然水は近年、水源を軸にしたブランディングで、清冽でおいしい水、ナチュラル&ヘルシーといったブランド価値の強化に注力しており、ミネラルウォーター・サントリー天然水の販売数量は伸長しつづけております。

さらに今年は、サントリー天然水PREMIUM MORNING TEAを発売し、ここまで好調に推移しております。天然水ブランドを強化しつづけたこと、そしてそのブランド価値をうまく活用し、変化するライフスタイルに対応した新提案を行ったこと、この両輪がうまく回り、9月までのサントリー天然水ブランドトータルの販売数量は、8パーセント増と大きく伸長いたしました。

BOSSは1992年の発売以来、働く人の相棒というコンセプトを継続し、成長しつづけているブランドです。今年も発売25周年を記念した新商品、プライドオブボスで大々的なマーケティングを行っており、さまざまな転換費を投入したりする等、ヘビーユーザーの方との絆を強化する活動を進めてきました。

加えて、現代のオフィスワーカーの働き方や価値観に合わせたクラフトボスを4月に発売し、これまでの缶コーヒーのコアユーザーではなかったお客さまにも好評をいただき、想定を超える大きな需要を獲得できております。

コーヒー市場が2パーセント減と想定される中、パイが大きい185グラム缶で引き続きお客さまの支持を得ながら、新たな需要をペットボトルのクラフトボスで取り込み、9月までのBOSSトータルでの販売数量は3パーセント増と、着実に増加いたしました。

このように、今年の成長は、ブランドの強化と新たな価値提案でお客さまのニーズをしっかりと取り込んだことにより実現し、結果、売上成長のみならず、利益成長にもつながっております。今後もこのような取り組みを継続し、売上や利益の成長を目指してまいります。

欧州 第3四半期累計(1-9月)実績

6ページをご覧ください。次に、欧州です。欧州では、為替中立ベースの売上高は2.4パーセント増、セグメント利益は4.9パーセント減となりました。フランスが売上を牽引し、セグメント売上は堅調に推移しているものの、フランスのサプライチェーンコストの増加と英国の売上減少により、減益となりました。

主要国では、フランスはOrangina、Oasisともに伸長し増収となりましたが、英国はLucozade Energyが前年を下回り減収となりました。

欧州 フランスのサプライチェーンコストについて

次のスライドで、今フランスと英国で起きております課題と、その対応についてご説明いたします。まず、フランスのサプライチェーンコスト増加の背景と、現在の状況をご説明いたします。

フランスにおいては、第2四半期から第3四半期にかけて、これまでのブランド強化の取り組みの結果、Oranginaを中心に当社製品への需要が高まりましたが、5月に発生した製造トラブルからラインが一時的に停止し、製品の供給能力が低下いたしました。

これに伴い、製造面では外部への委託製造費用が増加し、物流面では別の工場からの製品配送により物流費が増加しました。さらに、製品を販売いただく小売チャネルに対しては、ご注文どおり配送できないことに対する追加的費用の支払いが発生し、第2四半期と第3四半期の売上と利益に大きく影響いたしました。

こうしたサプライチェーンコストの増加によるマイナス影響は一時的な要因であり、すでに課題は解決しております。ブランドコンディションは引き続き良好でありまして、マーケットシェアも拡大しております。今後も引き続き、コアブランド強化に向けたマーケティング活動を行い、売上および利益拡大を図ってまいります。

欧州 英国における低糖化への取り組み

次に、英国における当社の低糖化への取り組みについてご説明いたします。世界的な健康志向を背景に、消費トレンドとして、自然なものや健康により良いものを求めるニーズが高まっています。また、世界各国において、砂糖を含んだ炭酸飲料などに課税する動きが出ており、英国においても2018年4月から、100ミリリットルあたり5グラム以上の砂糖を含む飲料に対して課税を行う砂糖税が導入される予定です。

こうした中、当社においては、Lucozade Ribena Suntoryが昨年11月に、すべての加糖飲料の設計を見直し、製品ポートフォリオの砂糖含有量を100ミリリットルあたり4.5グラム未満とする方針を掲げました。この方針に基づき、主力のLucozade Energyのレシピを見直し、今年の4月から低糖の商品を投入するという大きなチャレンジをしております。

現時点では、残念ながら一部のコアなユーザーが離れてしまったことで売上が減少し、思いどおりの成果にまで至っておりません。しかしながら、新しいLucozade Energyの味を知っていただくための、サンプリング等のプロモーション活動を実施しており、徐々に手応えを感じているところでございます。

時間はかかるかもしれませんが、新規顧客の獲得に向けた取り組みを継続し、来年4月の砂糖税導入に向けて、強いLucozade Energyの復活を遂げたいと思っております。

アジア 第3四半期累計(1-9月)実績

次に、アジアです。アジアでは、為替中立ベースの売上高は5.2パーセント増、セグメント利益は16.2パーセント増となりました。ベトナムの飲料市場は、上期は前年並みでしたが、第3四半期からプラスとなりました。こうした中、当社においては、エナジードリンクStingの新商品も功を奏し、7月から9月にかけての3ヶ月累計で、売上が2桁の増収となりました。

健康食品事業では、タイにおいて1月から、配荷力に優れるディストリビュータの活用を開始したことが貢献し、BRAND'S Essence of Chickenを中心に売上が大きく伸長しました。

アジア ベトナムは回復傾向

次に、ベトナムの状況についてご説明いたします。上期までは茶飲料が大きく前年を割るなど、昨年来の市場減速が継続しておりましたが、第3四半期からは1桁半ばの伸びにまで回復いたしました。こうした中、主力のエナジードリンクStingの新商品の投入に加え、積極的なマーケティング活動により、売上が回復しております。

第3四半期の売上成長と利益成長により、ベトナムが再びアジア事業を牽引いたしました。第4四半期も引き続き市場の成長を見込んでおり、当社も市場を超える売上成長の継続に取り組んでまいります。

アジア 事業の「選択と集中」

次に、先日発表しました事業売却と、本日発表いたしました事業買収についてご説明いたします。10月19日と本日15時に発表いたしましたとおり、当社の売上・利益成長のドライバーであるアジアのさらなる成長に向け、事業の選択と集中を行っていきます。この場を借りてご説明させていただきます。

1つ目は、加工食品事業の中の、食品およびインスタントコーヒー事業の売却です。ソースやスパイスなどの食品とインスタントコーヒー事業は当社の事業ポートフォリオと親和性が低いことから、売却を決めました。なお、加工食品事業の中で残ったフレッシュコーヒー事業は、オーストラリアとニュージーランドでトップブランドを保有しており、今後さらなる成長を図ります。

2つ目は、ペプシコ社のタイ飲料事業の株式取得です。ペプシコ社との間で、当社が51パーセント保有する合弁会社を設立することで合意いたしました。ベトナムの合弁会社で培ったガバナンスのノウハウを活かし、ペプシコ社の強固な流通基盤と、当社の強みである非炭酸商品による事業拡大により、売上・利益の伸長を図ります。

これにより、既存の健康食品事業とともに、有望成長市場であるタイにおいて、大きな事業基盤を有することになります。ベトナム・インドネシア等の飲料事業と合わせまして、東南アジア全体でさらなる成長を図ってまいります。

オセアニア・米州 第3四半期累計(1-9月)実績

次に、オセアニアと米州です。オセアニアでは、主力のエナジードリンクVや、スポーツ飲料Maximusの販売は堅調でしたが、ニュージーランドで果汁飲料が苦戦し、売上高は前年同期を下回りました。米州では、炭酸や新製品が苦戦する中、水などの非炭酸カテゴリーが堅調に推移し、売上高はほぼ前年並みとなりましたが、引き続き原材料等のコストの高騰が響き減益となりました。

ここまで、第3四半期決算についてご説明いたしました。

2017年度業績予想

次に、2017年12月期通期の業績予想についてご説明いたします。今年2月に発表いたしました、2017年12月期通期の業績予想について、第3四半期までの実績および第4四半期の見通しを考慮し、売上高を前年比2.4パーセント増の1兆4,450億円へと修正いたしました。なお、営業利益につきましては、年初予想の980億円を据え置きます。

私からの説明は以上でございます。