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生命の始まりは温かな水たまり? 原始地球を数理モデルを使って研究した結果

生命の始まりは温かな水たまり? 原始地球を数理モデルを使って研究した結果

さまざまな現象を数学的なかたちで表した「数理モデル」。現象の振る舞いを調べることができるため、数理モデルは実験が難しいようなシミュレーションなどに使われています。例えば、生命が生まれる前の地球の環境を構築し、生命誕生の可能性を検証することができます。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、数理モデルを活用した最新の研究について解説します。

スピーカー
Hank Green(ハンク・グリーン)氏
参照動画
A New Mathematical Model of the Origin of Life

原始地球の環境を調べる

ハンク・グリーン氏 数理モデルと聞くと、無味乾燥の専門用語に聞こえますが、複数の分野のさまざまな発見を統合させると、その成果は驚嘆すべきものになります。 たとえば、カナダとドイツの研究チームが今週発表した論文により、ダーウィン以来の推論が裏付けされました。地球の生命は、45億前から37億年前の間に、できたての大陸上の温かな水たまりの中で、地球を揺るがした隕石の衝突が一助となって誕生した可能性があるというものです。これは地球最古の生化学プロセスが、リボ核酸、別名RNAを軸として展開した、という仮説を裏付けるものです。 この論文で同研究チームは、原始地球の環境の詳細な数理モデルを構築し、これに小さな水たまりを組み入れました。水たまりは、季節によっては干上がってしまうほど小さなものでした。 1-040 この数理モデルにより、化学反応の素材となり、DNAやRNAの構成成分となる核酸塩基などが、隕石によってもたらされたことが解明されました。これより以前に行われた研究で、核酸塩基は宇宙空間でも生成されることがわかっており、隕石の中にも見つかっていました。 2-057 しかし、核酸塩基が生命に進化するには、重合体と呼ばれる、有機分子中の連鎖した原子にならなければなりません。 同研究チームの数理モデルでは、このような水たまりが周期的に干上がれば、蒸発と降雨のサイクルにより、安定したRNA重合体が形成されることがわかりました。また、別の研究所の研究によれば、寒暖が交互に来ることにより成分が濃縮し、重合体を生成する反応を促進するというのです。 そこに水が加わると、さらに化学成分がうまく混合されます。 人間の細胞の場合、RNAはDNAとたんぱく質の触媒として働きます。さらに、リボゾームのような、非常に古い細胞の構造の一部となっています。RNAは、古くは遺伝コードや生合成マシナリーの役を担っており、その後、より安定し柔軟性の高いDNAとたんぱく質にとって代わられたという仮説を唱える研究者もいます。 この研究チームは、化学と天体物理学といった、多岐にわたる既存の研究を集約し、原始地球の環境について、前人未到の推論を提起しました。しかしこの考えは、長らく宙に浮いたままでした。 「小さなあたたかい水たまり」という言葉は、実際にダーウィンが作った言葉です。ダーウィンは、 生命の化学的起源として、豊富な栄養分とエネルギー源がある場を想定しました。ダーウィンは生化学者ではありませんでしたが、この説は支持されました。 ここ数十年では、地表の浅い水たまりよりも、深海の熱水噴出孔の方が、生命誕生の場としての可能性が高いという説が唱えられて来ました。 3-220 しかしこの研究は、水分と乾燥が交互に現れるサイクルは、RNAの重合体の形成に不可欠であり、海底では起こりえないとしています。よって、ダーウィンのこのおもしろい造語は、科学的根拠を持ち続けているのです。

腫瘍を研究した結果ある発見が

さて、現代の生化学のニュースでは、糖尿病患者により多くのインスリンを補給する手段が模索されています。ニューヨークのマウントサイナイ病院を拠点とする国際研究チームが今週行った報告によりますと、このチームは、なんとも思いがけない素材を研究していることが明らかになりました。腫瘍です。 4-246 腫瘍と聞くと、私たちは癌と結び付け、あたかも悪いものであるように思いがちです。しかし医学用語では、腫瘍とは、さまざまな原因で過剰に増殖する細胞や体液を意味します。人体には、基本的には無害な瘤ができることがあるのです。 稀にできる腫瘍で、大抵の場合は害のないものに、膵臓のβ細胞が形成するインスリノーマがあります。膵β細胞は、グルコースを貯蓄したり、エネルギーに変換したりといった指令を細胞に出して血糖の管理をする、インスリンを生成します。 インスリノーマができた人には低血糖が現れますが、手術による摘出が可能で、それにより症状は治まります。また、インスリノーマは肥大化しないので、癌とはみなされず、危険度はあまり高くはありません。そのため、通常の癌研究の対象としては、プライオリティは低かったのです。 ところで、生涯インスリンを使う人がいます。1型糖尿病と2型糖尿病の患者です。両者とも、膵臓で十分なインスリンを生成することができません。今までのところ、研究者たちは、成熟した膵β細胞のインスリン分泌の向上や、分裂には成功しませんでした。 さて、マウントサイナイ研究チームは、糖尿病患者と、インスリンを過剰分泌するこの腫瘍との相性が、とても良いことに気づきました。そこで、38件のインスリノーマ症例を集め、この腫瘍が発現した遺伝子情報を調べたのです。さらに、その遺伝子発現のパターンを正常な膵β細胞と比較しました。インスリノーマ内にある両者の違いが、膵β細胞の成長を促している可能性があるからです。 このチームが以前行った研究では、膵β細胞の成長のパスウェイ(遺伝子やタンパク質の相互作用の経路図)が特定され、これが天然の精神活性物質であるharmineという薬品により活性化されることがわかっていました。 この遺伝子パスウェイについては、最近の研究でも取り上げられていますが、その他のものについても同様の研究がなされました。インスリノーマ自体の間にも、さまざまな遺伝子のバリエーションがありますが、この腫瘍の遺伝子の多くには、初期発生に関与するEZH2という有名な遺伝子も含む、他の遺伝子の発現を抑える変化が現れていることがわかったのです。 つまり、糖尿病患者のβ細胞の成長を促す手段が存在する可能性があり、研究者たちは、これを薬品を用いて活性化できる、新たな遺伝子を見つけたのです。 不気味で珍しい腫瘍から、こんな発見があるなんて、すばらしいですね。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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