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脳がないのに賢い「粘菌」の不思議

脳がないのに賢い「粘菌」の不思議

ベトベトしていてアメーバのような粘菌。名前に菌とついていますが実際には菌ではなく、原生生物の塊です。もちろん脳など持っているはずもありませんが、さまざまな実験の結果、不思議な能力を持っていることが明らかになっています。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、粘菌の賢さについて解説します。

スピーカー
Michael Aranda(マイケル・アランダ)氏
参照動画
Slime Mold: A Brainless Blob that Seems Smart

不思議な粘菌

マイケル・アランダ氏  粘菌、まるでサイエンスフィクション映画のような響きです。シャワーの後、きちんと掃除をしないと成長してしまう恐れのある菌です。 しかし、ぞっとする名前のままにしてそれを遠ざけないでくださいね。 s_Screen Shot 2017-10-20 at 01.44.43 その組織は、滲み出たベトベトした血液のように見えます。しかし科学者がその菌に脳がなくとも優れた能力があることを学べば学ぶほど、この粘菌の魅力が増していきます。 粘菌に分類される種は、実際900種あり全ての大陸で発見されています。そして菌という文字で表されていますが菌ではありません。実際には原生生物の塊なのです。 粘菌は約6億年前に誕生しました。そしてそれらはアメーバのような真核生物の多様なグループに属し、薄い膜に囲まれている細胞がありDNAは核の中に詰まっています。 粘菌にはさまざまな色や形があります。明るい黄色の吐瀉物に見えることから、「犬が吐いた粘菌」(dog vomit slime mold)と呼ばれる粘菌もあります。 s_Screen Shot 2017-10-20 at 01.44.53 全ての粘菌ははじめは1つの細胞組織です。しかし食料が乏しくなると互いを見つけるための化学信号を使用し、大きな塊を形成します。プラスモジウム粘菌は巨大な細胞を作るために周りに浮いている核たちと融合し、それは成長し同期し続けていきます。そして細胞性粘菌は分裂した細胞に残り、伝染し大きな群れとして機能していきます。 それらの塊は細菌のように、食料を求め巡回します。そして環境が十分に安全になると、胞子嚢のように粘菌は小さくなってしまうのです。胞子嚢は胞子をまき、次世代の単細胞へと成長していきます。 s_Screen Shot 2017-10-20 at 01.45.10

粘菌の不可解な賢さ

しかし粘菌について奇妙なことは、彼らが非常に賢いことです。動物と同じ意味ではありません。細胞たちがくっつくときに、彼らは脳を成長させたり何か道具を使うわけではありません。しかし科学者たちは粘菌は食べ物の塊のあいだの効果的な道筋を見つけることができ、しかも新しい環境の変化を学ベることを発見しました。 s_Screen Shot 2017-10-20 at 01.45.21 このようなことは、神経細胞がない生物にとっては非常に画期的なことです。さまざまな国の地図とモジホコリと呼ばれる特別なプラスモジウム粘菌を使用し、経路探索能力の実験の1つが行われました。 s_Screen Shot 2017-10-20 at 01.45.30 例えば2010年の論文によると、研究者はペトリ皿に日本の東京をまねた形と少量の食べ物を置きました。はじめ大きな粘菌は地図の全部を覆うため分裂し、どこにおいしい物があるかを特定しました。 食料発見の方法は非常に普通な感じで、おそらく多くのエネルギーを使うことが考えられます。しかし少し経つと、粘菌は栄養を細胞を通して行ききさせるために、食べ物の塊の間にベトっとした枝を残します。 ペトリ皿と東京の地図を比べると、エンジニアが作る地下鉄のラインに類似していることがわかりました。同じことが他の街の地図で試した場合にも起こりました。モジホコリの塊は、複雑なコンピューターアルゴリズムや問題解決をする脳がなくても、化学信号のおかげで信じられないほど効果的に方向性を見出します。 2008年の研究では、同じ種類の粘菌が立て続けに起こる環境変化を予期することを学ぶことができると発表しました。30分ごとなど定期的に、科学者たちは粘菌が成長するペトリ皿の周りを低温にして湿度を与えました。そうすると粘菌はエネルギーを節約するために、動きが鈍りました。結果的に、粘菌はその温度や湿度の変化が起こる前に動きが鈍り出したのです。 これはどうにかして、粘菌が変化を予測できることを示し、時間の経過も感じる方法も持ち合わせているということになります。ある研究者は 細胞膜や液体などの普通のパルス運動と関連しているかもしれないと言っていますが、脳がないこの塊がどうやって記憶することができるのかということに関して、いまだに多くの謎が残っています。 2016年の他の実験では、モジホコリがカフェインのような、長年嫌っていた化学物質にも慣れるということを証明しました。これは習慣化といい、学習の1つだと考えられています。そして習慣化がある粘菌が仲間と融合すると、彼らが学んだことを共有するのです。したがってより大きな塊は習慣化された細胞のように動くのです。 たくさんの実験が行われたのですが、未だにもどうのようにしてこのことが起こるかは未知のままです。神経の助けなしに、何か生化学的なものが情報をストックしているのかもしれません。この生物を理解するための実験が行われることで、地球上の全ての生物に対して多くのことを私たちに教えてくれるでしょう。 30億年も前から地球上には生物が存在していますが、脳が誕生したのはそのわずか6分の1(5億年)ほど前からなのです。地球上の生物のほとんどが脳を持っていません。そして粘菌はどうやって単細胞生物が複雑な環境でも方向性を掴み、私たちの知性に関する考えをくつがえすことができるのです。 さらに、生物ははじめ単細胞でしたので、粘菌はどうやって最初の多細胞生物が形成されたのかを教えることができるかもしれません。ですから、次に腐った丸太に黄色い塊を見かけたときは、ただの塊ではなく、多くの化学的な秘密を秘めた粘菌なんだということを思い出してくださいね。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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