国政進出して責任を果たされては

福田峰之氏(以下、福田):それではですね、みなさまからのご質問、お答えをさせていただきたいというふうに思います。質問される方は、社名とお名前を言ってからご質問ということにさせていただきたいと思います。

(会場挙手)

それでは、一番こちらの一番前のお座りになってる方どうぞ。

記者1:『ゴゴスマ』のオクダイラと申します。よろしくお願いいたします。小池代表にご質問させていただきます。来たる党首討論に関しましては、こうした政策の話、議論というのは、ご自身が出席するということでよろしいんでしょうか?

小池百合子氏(以下、小池):はい、私、希望の党の代表でございますので、これからこの週末にかけまして、さまざまなお呼びが、党首討論としてお声かけをいただいております。私から物理的に許すかぎり、出席をしようと、していこうと考えております。

記者1:マスコミから度重なる質問を重ねられて大変お疲れだとは思うんですけれども、公示までまだ少しだけ時間があります。ご自身の国政進出、ここまで政策をきちんと説明したからには、そこまで進出されてまで責任を果たされるのがよいのではないか、という声もありますがどうでしょうか?

小池:さまざまな声をいただいておりますが、私は最初から申し上げております。都政、これにしっかりと務めると同時に、都政を進めるにおいて国政にさまざまな課題がございます。 例えば、オリンピック・パラリンピック1つとりましても、さらに国の関与であるとか、この連携をですね、しっかりとすすめていくというのも1つございます。特区につきましても、さまざまな課題が国との連携で必要になってくる。そして、首都東京は日本経済のけん引役でございますので、ここが国との連携によってしっかりと進むことが、日本のさまざまな地域へのプラスになっていくという観点でございます。

よって、私自身は都政に身を置いておりますが、それはすなわち、都にとって、そしてまた日本全体にとって、プラスの効果があると、このように考えているところでございます。

福田:はい、ありがとうございました。

(会場挙手)

福田:それでは、じゃあ、この1列目の奥の方どうぞ。

民進党のALL for ALLは反映されるのか

記者2:共同通信のイイカワと申します。小池代表におうかがいします。

今回の政策集にはですね、民進党が掲げていたALL for ALL、みんながみんなのためにという要素、具体的には税のベストミックス、それから再分配重視というですね、社会像が盛り込まれてないように感じます。これを反映しなかった理由をお聞かせ願いたいのと、もし具体的に「こういった部分にALL for ALLを反映しているんだ」という部分があればお示しください。

小池:先ほど理念のところでお示しをさせていただきました、ALL for ALLの考え方は民進党の方々の国民生活に向けての一番肝の部分だと思います。私どもは、希望の党といたしましては、その部分は非常に重要であると考えまして、今、冒頭にご紹介をいたしました「国民のため、つまり国民が納める税の恩恵を、すべての国民に届ける仕組みを強化することにある」と、このように2行加えさせていただいている。

それはまさしく、前原代表もこれまで力強くすすめてこられましたALL for ALLの考え方を反映したものでございます。やはり国民のみなさまからお預かりする税金でございます。それをどのようにワイズスペンディングをし。

そしてまた、冒頭に申し上げました個人消費がまだ冷え込んでいる、そしてまた、デフレ経済が改善しているとは言えない、このような状況の中において、この税の使い道、ワイズスペンディング、そしてまた、これからどうやって納得した税の扱い方、これらについては、旧民進党の方々とも、しっかりと希望の党を通じて反映をさせ、そして、実践をしていきたいと考えております。

(会場挙手)

福田:それでは、この列の、どうぞ。

原発ゼロへの工程表は

記者2:NHKのコジマと申します。お願いします。ちょっと何点か政策についてうかがいたいんですけれども、原発ゼロの工程表については、これはどういう段取りというか目処でまとめられるおつもりなのかということと。あと再生可能エネルギーの比率ですけれども、これは2030年の段階ということでよろしいのかということと。

あと消費税率の引き上げについて、政策集に景気条項がないというふうに記載されていますが、これは要するに景気条項を設けるという、税法に明記するという理解でいいのかということと。 あとベーシックインカムについては、これは年金とかそういうものを置き換えるということであるならば、これ全国民を対象とするという理解でいいのかという、この4点お願いします。

あと、政策集とこの公約というものは一体として党の公約と理解すればいいのかという立て付けについてもお願いします。

小池:冒頭、原発でよろしいでしょうか。脱原発の工程表でございますが、3本柱を考えております。1つには脱原発。2つ目は省エネルギー。そして3番目が再生可能エネルギー。この3本柱からなります。

この原発からの段階的な撤退であるとか計画的な廃炉。これはそれぞれ原発と申しましても、最も古い原発から新しい原発、いろいろと年齢が違っております。またそれぞれの地域のいわゆる土壌と申しましょうか、地層的な問題等々がございますが、これらのことを総合的に考えつつ、脱原発のこれからのこの、まあ「何年になにをする」といったような工程表づくりということを考えております。

また省エネにつきましては、2030年に電力消費量の30パーセント削減で、需要量約5,700億kWhと考えております。省エネにつきましては、さまざまなエネルギー消費のあり方などに関して規制がございますが、2030年には30パーセントの削減を目指すと今申し上げました。

これについて、省エネの対象事業者への義務付けなどをもう一度見直していく。さらには新規建物などにエネルギーの効率化を図っていくなどなどの方法があろうかと思います。

ちなみに大消費地の東京におきましても、この2030年の電力消費量の削減。それからもう1つ、3本目の柱、再生可能エネルギーの拡大ということで、2030年30パーセント削減ということも目指しているわけでございまして。これらの工程表につきましては鋭意作成をしているところでございます。

やはりここは脱原発という意思を持つというのがまず必要であって。そして対して工程表をしっかりと書いていくということを進めてまいりたいと考えております。

今、世界を見回しても、この脱原発ということにつきましてはさまざまな動きがございます。国によっては「いや、自分のところは脱原発だけれども隣から買ってくる」とかいろいろございますけれども、やはりこの脱原発ということについてはしっかりと対応すべきではないかと、3.11以降考えているところでございます。

ベーシック・インカム導入はどうなる

それから2つ目が、消費税の弾力条項のほうは後藤のほうからお答えさせていただきます。

後藤:「消費税引き上げに際しての景気条項を設けるということか?」というご質問でございますが、一時期あった景気条項そのものを復活させるということも考え方としてあるかもしれませんが。

今やはり地方ですとか中小企業ですとか、あるいは産業ごとに見ますとたいへん厳しいところもある。この経済実態がどうなっているかということをきちっと見なきゃいけないという要素と。

あとは議員定数・報酬の削減という身を切る改革をしっかりとやるということが前提であるということと、やはりワイズスペンディング。歳出削減。ここについてもきちっとやるということが前提になるのではないか。

こういった総合的な判断のうえで、今後の引き上げについては慎重に考えないといけないということだと思っております。

小池:ベーシックインカムに関してでございますけれども、このベーシックインカムは今フィンランドやオランダなどである意味実験的に行われているような段階でございます。このベーシックインカムについて盛り込ませていただきましたのは、今、AI、人工知能の研究がかなり急速に行われて、加速度的に行われて、それがいろんな分野に取り入れられつつございます。

そういったなかで、AIが人に代わるといったような産業もこれから多々出てくるということを想定いたしますと、これまで働いておられた方々の働き場所における仕事そのものが変わっていくということを想定したなかで、このベーシックインカムというのを考えている。

よって今日、明日すぐに導入するというものではありませんけれども、しかしこのAIの加速度的な、社会における存在が高まっていくにつれて、すでにこのベーシックインカムという考え方、これについて真正面から考え検討を進める必要があるのではないだろうかということでございます。

ある意味予防的な考え方で、AIからBI、人工知能からBI。ベーシックインカムというのは、これは今後も世界的な流れにもなっていくであろうということを踏まえた考え方でございます。詳しくはまた後藤のほうからお答えさせていただきたく存じます。

それから公約の部分とそのあとの政策集でございますけれど。公約については、これは有権者のみなさま方にお約束をさせていただいて、しっかり希望の党としてこれを実現すべく今回の選挙に臨んでいく。

それからそのあとにインデックスがついておりますけれども、こちらは今後の政策を進めるにあたって考え方ということをお示しをしたものでございます。もちろん可及的速やかに実現できるものもあれば、さらには今後検討を深めていくというような部分もございます。

公約ということにつきましては、先ほどお示しをいたしました9本を柱にして考えていくということでございます。

後藤:「ベーシックインカム、全国民対象か?」ということですが、今、世界各国では、まず実験的にある地域を絞って、あるいは何千人何万人かに絞ってというかたちで社会実験が各国で行われています。

まずそういうかたちで進めるというやり方もあるでしょうし、あるいは所得の高い人は対象から外すというやり方をしているところもあるようでございますので、これは先進的な事例なんかもよく見ながら、どういうかたちが日本においていいかよく考えていきたいと思いますが。

基本的には広く、これは一番困っている方に対しても公平な給付を行うというのが基本的な考え方でございますので、できるだけ広い方を対象にしていくべきだとは思います。

福田:それでは4列目の前から4番目の方、どうぞ。

憲法改正問題について言及

記者3:産経新聞のオオハシと申します。小池代表におうかがいします。公約8で、憲法改正で自衛隊の存在を含め時代に合った憲法の在り方というふうにあるんですけれども。

安倍総理が5月に憲法改正で9条の1項と2項を残した上で自衛隊の存在を明記するというお考えを示されていますけれども、この点について希望の党としては賛成なのかどうなのか、そこをお尋ねしたいです。

小池:この件につきましては以前もお答えさせていただいておりますけれども、これまで合憲とされてきた自衛隊でございます。そういった中でさらに3項を加えることについての問題点。そしてまた自然権として国を守るという部分がございますので、ある意味3つめを加えるというのは屋上屋にならないかということでございます。

しかし私は今憲法改正について、この9条ということだけに集中するのではなく、先ほどから申し上げておりますように地方の自治の在り方などは憲法におきましても私は不十分であると。それから環境についても加憲をすべきだというような政党もございます。

まったく不磨の大典というのではなく、むしろ9条以外の部分にも光を当てて憲法論議ということを広げていかねばならないのではないだろうか。

そういう中において国会で憲法の委員会がございますが、そこにしっかりと憲法そのものを真正面から捉えて議論をしていこうという希望の党の存在というのがこれから憲法改正に向けた大きなうねりを作る、そのような役目を果たしていくのではないかとこのように思っております。

私は憲法改正そのものが目的化してはいけないと思います。一方で護憲そのものが目的化していくということもいかがなものかと考えます。来週ネパールの女子学生が私のもとを訪ねることになっているわけでございますが、ネパールで最近憲法改正が行われまして、大統領か副大統領かどちらかは女性にすべきだという憲法改正を、ネパールではやっておられると。

各国、憲法改正もしくは基本法の改正というのはこのように必要に応じて行われているものであって、これまで憲法改正そのものを口に出すだけで問題であるというような捉え方というのはというのは、日本が置かれているこの状況にあって、むしろ憲法改正の議論を真正面から行うことが国にとって必要なことではないかと、このような判断をいたしております。

福田:1番端の女性の方、どうぞ。

「納得した税の扱い方」をどう担保するのか

記者4:朝日新聞のイトウと申します。小池代表に2点おうかがいしたいんですけれども。

先ほど「納得した税の扱い方」ということをおっしゃいましたけれども、これをどう担保するのかという点をお聞きしたいと思います。納得した税の税の扱い方をどう担保するのか、という点です。

消費税引き上げの条件として、景気とか、無駄の削減とか、ワイズスペンディングというのをおっしゃいましたけれども、むしろ若い世代の方々はですね、きちんとした負担に対しての受益があるのかどうかというところをかなり考えているように、私の取材では思うんですけれども。

その点、無駄の削減等は他の政党も今までずっと言ってきたことで、希望の党としてどこが他の政党と違って、こういうことを示すことによって消費税上げるのか、っていう道筋をどう描いているのかという点です。

2点目は、「内部留保課税は代替財源だ」とおっしゃってますけれども、そうしますと2019年の10月までにこちらの内部留保課税は実施するという解釈でよいか、この2点をお願いいたします。

小池:はい、ありがとうございます。先ほどもございましたように、国民のため、つまり、国民が納める税の恩恵をすべての国民に届ける仕組みの強化ということを、理念の中に盛り込ませていただいております。

タックスペイヤーの方々が理解をし、そしてまた義務であり、またそれを、この社会保障等々で受けるということ。……まあ、これは税ではありませんね。これらの給付と負担の関係、これについてはやはり納得感というのが必要だと思っております。そのためには、先ほどもありましたように、無駄の削減と、それから情報公開だと、このように思います。

私も今、東京都、都政におきまして、例えば、公金についての支出、これは都だけでもですね、70万件にのぼるものでございますが、これをですね、すべてホームページ上に掲示をするということをいたしております。

これによって納税者のみなさま方が、この情報公開されたこれらの支出についていつでもチェックができるという、このような体制を取っているわけでございます。大変な作業ではございましたけれども、やはり都税、都民のみなさまの納得を得る、そのためには情報公開が必要だと、このように思っております。

それから、やはりツケ回しをしないというのが、次の世代にツケを回さないというのは、極めて重要なことかと存じます。で、今回は安部総理が解散の理由に、最初は1パーセントの……、8パーセントから10パーセントに上げるにおいてですね、「その使い道について国民に問う」とおっしゃっておられました。

解散総選挙を行うこと自体が理解できない

これはそもそも、国民に問わずも政府の中でお決めになれば、また、国会で議論すればいいことであって、国民に問うというそれでもってこの解散総選挙を行うこと自体が、私は未だによく理解ができない部分でございます。

よって、若い方々にはですね、今回、この使い道の部分でもございましたけれども、やはり経済格差がですね、教育を受けられる、受けられないといったような、そういったかたちにならないための工夫、これは私どももしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

内部留保についてでございますけれども、内部留保課税というのはですね、これまでもよく俎上にのぼってまいりました。ただ、いつもそこで課題になるのは、「二重課税ではないか?」という議論でございます。私はこれをあらためて内部留保課税、まあ、300兆円とも400兆円とも言われておりますけれども、アメリカや韓国、台湾などでもすでに行われているものでございます。

「内部留保課税を日本がやると、また企業が外に逃げてしまうのではないか?」という議論がございますけれども、このようにですね、海外でも行っているということと、日本でもすでに同族会社に対しては、通常の法人税に加えて内部留保課税が行われているということで、問題にはなっておりません。

また、「受取配当に関します所得税との二重課税」とのご批判ということであるならば、法人税と所得税との間にあるそもそもの問題ではないか。それからよくご指摘があるのは、「安定財源になりえないのではないか?」という議論であります、内部留保課税というのは。

これはですね、調べてみますと、資本金1億円以上の企業の利益剰余金というのは、過去40年ほどさかのぼりましても、まあ、若干リーマンショック……、いや、大震災の時に下げている例がございますけれども、内部留保自体は景気によって上がったり下がったりするものではないということが、これらのチェックでわかるわけでございます。

内部留保課税が実施された後に、課税を避けるためにそれを取り崩す、と。そして、それを設備投資に回すであるとか、それから企業内保育園をつくるであるとか、そういったことに、より有効に活用されるというのは、まさしく内部留保課税の効果というものであって。

これらがですね、実際に設備投資に回る、株の配当に回るということは、これまで貯めに貯められてきたお金が流動的に動くという、そのきっかけになると、私どもは考えているところでございます。それをキャピタルゲイン課税と呼ぶのか、それとも税制によってインセンティブをつけるのかというのは、工夫のしどころではないかと考えております。補足は後藤のほうからさせていただきます。 後藤:「2019年の消費税10パーセント引き上げをしないのであれば、そのタイミングで?」というご質問かと思いますが、この内部留保課税をどのタイミングでするのかというのは、今の段階で決めているわけではございませんが、やはり財政との関係というのは当然考えながら、検討を急いでやらなきゃいけないと思いますし。

今、代表から申し上げたように、これ、経済効果が非常に大きく出るものではないかというふうに思いますので、景気の状況も見ながらですね、景気対策の意味合いもあるだろうということからも、早い検討が必要ではないかと思っております。

(会場挙手)

福田峰之氏(以下、福田):はい。じゃあ、最後の質問とさせていただきたいと思います。そうしましたら、この……女性の方どうぞ。あの、1問だけでお願いします。すいません。

「日米地位協定の見直し」の真意

記者5:沖縄タイムスのウエチといいます。政策集の中に「地位協定の見直し」という項目がありますが、これを入れられた理由と、代表は防衛相時代に辺野古の推進というのをされてらっしゃいましたが、それが基地負担軽減になるというのは、引き続き堅持されるのかっていうのを教えてください。

小池:後のご質問、辺野古につきましては、これは着実に進めるという立場でございます。また、地位協定の見直しというのは、これはなかなか難しい問題でございますけれども。

しかし、我が国としてやはりこのことについては、例えば、沖縄に集中している基地問題、そしてまた、例えば、国際大学にヘリが落ちるなどといった時の見分などで、検証などでですね、我が国がタッチできないなどなどございます。逆に我が国の、例えば、ジブチなどにも展開を自衛隊もしているわけでございますけれど、逆に同じことが言えるわけでございます。

広い観点に立って、この見直しということもすすめなければなりませんが、やはり沖縄の声のみなさま方の声は大切にし、そして、そのことをしっかりと告げるべきは告げ、そして、それが実現できるような工夫、努力を、希望の党としてしていきたいと考えております。

福田:はい。みなさん、ありがとうございました。これをもちまして、公約の発表の記者会見を終了させていただきたいと思います。みなさん、ご協力いただきまして誠にありがとうございました。