「場当たり的」という声に対しては?

記者12:すいません。ちょっとまた話が変わるんですけど。岡田元代表や野田前首相、またほかの一部ベテラン議員を中心に、今回、無所属で出馬すると表明された方がいます。そういう方との衆院選での協力。

それと、今回はそういう方々が無所属を選びましたけど、枝野先生のほうは新党ということですけど、その違いというんですか、これについてはどのようにお感じでしょうか?

枝野幸男氏(以下、枝野):これまでも一緒にやってまいりましたし、いろんな点で認識を共有している先輩であったり仲間であると、今お名前の出た方は思っておりますが。

さまざまな状況・事情のなかで、こうした急激な状況の変化のなかでの対応は、それは総理や党首を務められたみなさんですから、それぞれの判断でというのは当然だろうと思いますし、無所属を選択されたということであれば、それは1つの見識、見解だと思いますが。

無所属でというのは、民進党の党籍を持ち、選挙は無所属ということだと思いますので、民進党の理念・政策を前提に、よりブラッシュアップして国民のみなさんに訴えるという私たちと、従来と基本的に違いはないと思っています。

具体的に協力とかということについて、今、そういったことを事前に相談をしたり、すぐに相談をできるという状況ではございません。まずこの呼びかけにできるだけ多くのみなさんにご賛同いただいて、立憲民主党として戦っていくという体制、構造を作ってまいりたいと思っています。

記者13:すいません。J-CASTニュースのアオキと申します。民進党で両院総会で9月28日に決定が満場一致であったという流れのなかで、今こうやって新しい党ができたという流れになっているわけですが。

そのあと、国民のほうからも「ちょっと場当たり的ではないか」とか「追い詰められたから結党したんじゃないか」といったやや厳しい見方もいくつか出ているんですけれども、そういった意見についてはどう思われますか?

枝野:まあ、ここ数日と言っていいんでしょうか、民進党におけるさまざまプロセスというのは、私も所属国会議員、そして代表代行という立場で、責任の一端を担っていると思っております。ただ、そうしたプロセスで残念な、私にとっても残念な、国民のみなさんにはお詫びをしなければならないようなプロセスだったと思っておりますが。

そうしたことを踏まえて、現状で、将来に向けて、未来に向けてできることということで大きな決断をさせていただいたということでご理解を得たいと思っています。

新党立ち上げを決意した前提

記者14:フリーランスのタナカと申します。ちょっと確認させてください。立憲民主党の構成員は今のところ何人でしょうか? それと選挙となれば莫大なお金がいりますが、固有名詞はけっこうです、どの筋からお金を引っ張ってこられるという目処は今お立ちでしょうか?

枝野:今、構成員は1人です。今、呼びかけたんです。1人です。

それからお金については、私も決して得意な分野ではございませんので、なかなか厳しいなかではございますが、なんとかこの選挙を戦い抜くための一定の、ただし非常にミニマムな、というか最低限、お金のかかる分については最低限、でもしっかりと活動はできるという部分はなんとか確保ができたのではないかと思っております。

記者15:BuzzFeed Japanのイシドと申します。先ほど前提が異なっているというようなことをおっしゃいましたが、それというのは具体的に言えば、合流の条件が課されたというようなことを指しているのでしょうか?

枝野:ん? 「前提が」って私のほうから言いましたか?

記者15:おそらく言われているはずなんですが。つまり、前原さんが合流すると言った時の条件が、28日の段階、両院議員総会で示された段階とその後で異なってきているというところで、新党の結成を決意したのだというようなことをおっしゃっていたんですが、それはつまり、合流の条件が課されたという理解でよろしいのでしょうか?

枝野:まあ、あの、私が「前提」という言葉をどこで使ったかちょっと正確に記憶してないんですが、今回、民主党を立ち上げようということを決意したその前提は、1つは、残念ながら、希望の党の中で民進党の理念・政策を実現していくことを考えたときに、希望の党の理念や政策は私たちのものとは違うと判断せざるをえないということが1つ。

そしてもう1つ。この状況のなかでは、ともに戦う前提で準備をし、努力、苦労をしてきた多くの仲間が民進党から立候補できないということですので、無所属という非常に厳しい戦いを余儀なくされるということ。この2つが前提です。

記者15:あと、この前原さんの方針というものと、枝野さんの方針というのが、決定的に違うと思った時というのはいつになるんでしょうか?

枝野:方針の違いということは私は申し上げてきてないと思いますが、今私が申し上げた、今回決断に至った状況ではないかと思いましたのは、徐々にそういう思いが高まっていったわけではありますが、「これではまずい」ということで、昨日、直接連絡をとらせていただいたということです。

今回の選挙の最大の争点は

記者16:NHKのスズキと申します。政策について先ほどご説明いただきましたけれども、それでは今回の選挙で最大の争点としてはなにをお考えなのか教えていただきたいのと、もう1点、冒頭で、一緒に活動するメンバーで内諾をいただいている方々がいらっしゃるとお話がありましたけれども、具体的にはどういった方々から内諾があったんでしょうか。2点お願いします。

枝野:まず後者については、そのことは申し上げません。今日私が1人で呼びかけをして、ここから参加される方は、みな同じ立場で一緒に戦っていこうということで呼びかけをさせていただきましたので、当然のことながらこういう呼びかけをして、選挙を政党として戦うという要件を満たさないということでは、まさにおかしな話になりますので。

そうしたみなさんには内諾をいただいているということでございますが、どなたが内諾をいただいた方で、どなたがその後表明された方かというようなことは、あまりはっきりとさせることはいいことだとは僕は思いませんので、それは控えさせていただきます。

前段の話ですが、実は争点というのは、政党や政治家が決める話だとは僕は思っていません。争点というのは、有権者が決めるものだと思っています。

私は、まさにこの間の安倍政権の暴走。情報を隠蔽し、政治を私物化し、それに対して開き直る。そして、冒頭に申し上げましたが、立憲主義の破壊であったり、格差の拡大による国民生活の分断であったりという、こうした安倍政権の暴走を止めるということが、唯一にして最大の争点ではないかと思っています。

ただし、止めるというのは、止めてどうするかという大きな話があります。私は、やはり上からの民主主義、上からのリーダーシップ、あるいは強いものからの経済政策という、こうしたあり方自体がもう限界に達している、あるいはあまりにも弊害が大きくなっている。草の根からの民主主義でなければいけない。

あるいは、経済や社会というものは下支えをして押し上げていくというものでなければならない。ボトムアップ型の社会にしていかなければならない。

私たちは、私が勝手に思う……みなさんどう評価されるかは別としても、私はまさにこのボトムアップ型のリーダーシップであったり、民主主義であったり、あるいは社会・経済のあり方というものが、立憲民主党の1つの明確な立ち位置であり、この選挙を通じてとくに他の政党との違いとして国民のみなさんに訴え、ご理解をいただきたい点だと思っています。

記者16:すみません、手続きの点で1点教えていただきたいんですが、新党結成に向けた今後のプロセスについて、具体的には政党の届出をいつやるのかですとか、今考えられてらっしゃるスケジュール感について教えていただけますでしょうか。

枝野:政治家ですからいろんなことがあるだろうな、ということを想定をしながらいろんな準備とか、シミュレーションしてこなきゃならないということを思っている一方で、新たな党を立ち上げるということを1ヶ月も2ヶ月も準備していたら、このプロセスがおかしなことなわけでありまして、非常に短期間で、できることからやっていくといったプロセスも、一方であるのも事実であります。

ただ、選挙に向けて、後ろが切れてるという状況のなかでありますので、政党としての届出は、明日にもしたいと思っております。

その後については、これから呼びかけに応じて、賛同されて一緒に加わっていただくみなさんとの一定の相談がいると思っていますが、「じゃあ1週間後です」とかそういうレベルの話ではありませんので、いずれにしろ、日にち単位ですので、そこについては具体的なところは、残念ながらちょっと今日は、申し訳ないけれども申し上げられないということでご理解ください。

立憲民主党の政治的な立ち位置

記者17:日本農業新聞の岡と申します。根幹となる憲法改正ですとか、安保法制については、当然考え方が「希望の党」とは相容れないということだと思うんですけども、例えば、農業政策もそうなんですが、経済政策とか、「希望の党」に行く「民進党」の方々とも、考えが一致するところは、むしろ多いと思います。

そういった細かい枝葉の部分の政策については、衆院選後は当然国会で連携していくという考え方でよろしいでしょうか。

枝野:それはどの党であっても、特に個別のテーマ、個別の政策については、一致をする政党・政治家と、特に国会内においては協力するのは、どの党であっても当たり前だと思っております。

「希望の党」に参加をされて選挙をたたかうみなさんも、できるだけ多く当選をされて、しかもそうしたみなさんが、「民主党・民進党」を通じて積み重ねてきた政策を、推進するようにしていただければ、共同して行動できる部分は大きくなると思います。

記者18:日本経済新聞のカトウと申します。「希望の党」と理念と政策が違うと判断せざるを得ない、となった1つの要因として、「希望の党」側から「安全保障法制に関して容認でなければ、公認できない」といった発言があったことが、要因としてあるのかという点。

「希望の党」も改革保守と掲げられてまして、枝野さんは以前、自身は保守の政治家だとおっしゃられてますけど、「立憲民主党」は保守の政党なのか、どういった政治的な立ち位置なのかを、お伺いできればと思います。

枝野:まず、理念・政策。「希望の党」のみなさんは、私たちとは違うということは、総合判断とか言いようがありません。というのも、ご発言とかも、状況によって変わってきておられるので「この局面のこれ」というようなことよりも、全体として「私たちとは違う」という判断をせざるを得ない、ということであります。

それから、後者の話なんですが、そもそも保守とリベラルは対立概念ではありません。私は、こうしたいわゆるイデオロギーの時代だとは思っていません。

今この国に、そうした対立軸があるとすれば、先ほど申しました通り、上からか下からかと、草の根からの民主主義であり、草の根からの経済や社会の立て直しである。

これに対して、強い上からの経済社会。あるいは、上からのリーダーシップ。こここそが、僕は対立軸であり、私たちはまさに草の根に立つという立場だと思っています。

記者19:朝日新聞のイシマツです。1点確認なんですけれども、枝野さんご自身は、「民進党」自身には、離党届を出したり、離党されたという確認でいいのかと、当然のことながら「立憲民主党」に参加される方に関しては、「民進党」を離党した上で参加し、さらに公認を受けるということなのか、現在の見通しをお願いできますか。

枝野:私は、前原代表に電話をしたときに、口頭でお伝えをした上で、離党届を事務的に届けておりますし、参加をされる方は、そういう手続きになると思っています。

無所属ではなくあえて新党を選んだ理由

記者20:フリーのタケウチと申します。

野党共闘についてお伺いします。先ほど、市民連合とは協力していくということで、他党の名前が出てこなかったんですが、例えば、北海道の「民進党」は、全部選挙協力ができている状況で、今入るところを探している感じなんですが、こちらに入ってきた場合、そういった努力は今後どうなりますか。

枝野:これは私は、従来から、特に幹事長として参議院選挙に対応していたときから、野党共闘という言葉を使ったことはありません。選挙協力という言葉も使ったことがありません。

ただ、選挙を、特に一人区においては、一対一の構造の方が望ましいというなかで、特に安倍政権の暴走を止めてほしいという市民のみなさんと、私どもは幅広く連携する。そして今回の総選挙に向けても、「民進党」の大島幹事長に対して、そうしたみなさんから、候補者を各選挙区できるだけ1人に絞って、安倍政権の暴走、立憲主義の破壊を止めてほしいという申し入れを受けて、「それに基づいてやっていきます」と大島幹事長はお答えしたと承知をしています。

その点については、私もまったく同じ思いですので、それを継承します。

記者20:そうすると共産党等がやはり、擁立をして、もしくはそれと票を食い合ってしまうということも今後出てきかねないと思うのですが。

枝野:従来も、昨年の参議院選挙も、政党と政党の間での話ではなくて、それぞれの党と幅広い市民のみなさんとの間で、それぞれの党が市民のみなさんの声を受けて努力をした結果だと承知をしていますし、私はこれが本来のあり方だと思っています。

それについては市民のみなさんと連携・協力をするなかで、やれることは最大限するということ思っています。

記者21:テレビ朝日のアリマともうします。新党を作るということは、今回明確に民進党が分裂をすることになると思います。それからもう1つは、無所属で出るのであれば対抗馬は立てないけれども、新党を作るのであれば希望の党が対抗馬を立てるという話もあります。そういうなかで、無所属か新党かということであえて新党を選択された理由を教えてください。

枝野:この動きをどういう評価をされるかというのは外のみなさんの評価だと思います。私は、民進党を発展的に前の段階に進めるプロセスだと前向きに受け止めていただけるように努力をしていくのが、私の責任、役割であると思っております。

それから私は、私自身だけのことを考えればいろんな選択肢があったのではないかと思っています。ただ1つには、やはり民進党の理念や政策を期待していただいたり、支持率とかを考えれば期待とまではいかないけれども、本当はこういった方向性の政策・理念のしっかりとした政党が欲しいと潜在的に思ってらっしゃる。私はそういった方はたくさんいらっしゃると思うんですが、そうしたみなさんの声を受け止める場がない。そういったことにしてはいけない。

そのためには、受け止める場になりうる政党が必要であるということ。これが大きな理由です。

もう1つは、私や先ほど名前が上がった先輩や同僚は、無所属という戦い方もあるかも知れないけれども、やはり今の選挙制度は政党政治を前提にしていますので、やはり政党という枠組みをしっかり用意してあげることが、とくに若い仲間であるとか、この間がんばってきた候補予定者に対する責任ではないかと思った。ということが政党として立ち上げるということの2つの理由です。

記者21:もう1点だけ、お答えいただけるかどうかはわかりませんが、前原代表とはかなり長い間政治生命を共にしてこられたと思いますけれども、今回前原代表のおっしゃっていたことと実態が変わってきているということですが、「前原代表が小池さんに騙されたのではないか」とか、「前原代表が確信的に党内を騙したのではないか」ということも言われ始めています。

その点、今、枝野さんはどのように見ていらっしゃいますか?

枝野:私はそれについてはコメントする、あるいはできる立場だとは思っていません。ただ、こういった結果になったことは大変残念だと思っています。