心を入れかえた結婚後、仕事に追われる日々に

坪井博一氏(以下、坪井):(営業マンとして)そんなことを3年ぐらいやってて、これは体がもたないなと思ってやめて、しばらくフリーターをやりました。フリーターをやって楽しかったんですけど、今度は時間はあるんだけど、お金がない。遊べないと。

お金も大事だけど、時間も大事なんだと学んで、その当時に結婚したんです。結婚して福島に、婿で入ったんですけど、なんか向こうの親にけっこう嫌われちゃって。それで離婚してこっちに戻ってきて、しばらくニートをやってましたね。

安藤哲也氏(以下、安藤):それ、何歳ぐらいの時?

坪井:それが30歳ぐらいの時。はい。ニートをやってて、そろそろ働かなきゃなと思って。でも、人生終わったなぐらいの感じがあったので、ある意味ちょっと投げやりになっていた部分もあって。

適当に仕事をやって、でもぜんぜんつまんなくて、っていうのがしばらく続いているときに……5年ぐらい続いたのかな。そんな感じで遊びまくっていたときに、今の妻と出会って、結婚したと。今回2回目なので、絶対に成功させたいなと思ったので、心を入れかえてがんばろうと。

それで、長女が2008年に産まれました。その頃派遣社員として働いていて、産まれた頃は残業はほとんどなくて、定時で帰って、土日祝日が休みだったんですよ。なので、育児や家事を手伝っている感じでした。

始めから主夫になろうと思って結婚したわけでもなんでもなくて、がんばろうと、仕事をちゃんとやって稼ごうと思って結婚した。その後、契約社員のまま本社に転属になって、契約更新のたびに、この条件を飲まないと更新しないっていう感じで。毎日のように終電まで残業して、今度、休日出勤も出てくれって言われて。休みもどんどんなくなって、これはまずいなと思って。

安藤:ブラックだね。

坪井:もうブラックですよ。日本の一流企業ですよ。まあ、派遣はすごい使われ方をしましたね。ということで、それまでちょっと思っていることがあったんですよ。

やっぱり派遣社員なので、なんて言うんだろう、「このままだと自分の家族も、私自身の家族も、今以上の幸せはないな」と。妻のほうは安定はしていましたけど、そこから収入は増えるとかそういうことはまずない、という感じなので。これをずっとふつふつと考えてて、状況が状況になって、この考えを持っているときに、東日本大震災が起こったんですよ。

兼業主夫という選択

東日本大震災が起こって、家族をこれ以上幸せにできない。その当時、娘を保育園に預けて都心に勤めていたので、私も妻もすぐに戻って。でも、どうこうすることはできない。ということは、家族を幸せにできない。子どもを守ることもできない。

これじゃあどうしようもないなという考えのもとで、兼業主夫っていうのを選択したというのが、今現在の状況です。私の場合、兼業主夫なんですけど、妻も兼業主婦です。要するに、共働きなので。

なので今目指しているところというか、どちらかが体調が悪いときや病気のとき、子どもたちがふだんと変わらない毎日、日常生活を送って、家のことを気にすることなく、ゆっくり休めるだけの家事育児のスキルと収入がお互いにあれば、それだけでまず安心して休んで早く復活できて、子どもたちも安定するんじゃないかなと思って。

ここを目指して、今、けっこうこれができています。お互いの時間を大切にしながら、夫婦共に。今、子どもたちを最優先の生活をしようということで、妻も次女が小4まで時短勤務がとれるので、今は時短で、17時過ぎには帰ってくる感じでやっています。

私も仕事で家をちょっと出ることはあるんですけど、自分中心でできるので、子ども中心に予定を組んで、空いた時間に仕事をしている感じです。今は、PTAとか親父の会とかやっています。

あと、地域活動やパパの遊び講座とかのお話をいただいたり、あと、秘密結社「主夫の友」。ファザーリング・ジャパンの1プロジェクトなんですけど、そこの一員としてイベントや講座なんかに積極的に関わっています。それで今以上の家族の幸せをどう自分でデザインしていくか。家族全体のその時のライフスタイルに合わせて、柔軟に考えて行動している感じです。

なので、今やっている兼業主夫というのが答えじゃなくて、家族それぞれがどうしたら幸せなるのかっていうのを常に考えていて。今、たまたまこの兼業主夫っていうのが選択肢の1つで、私はそれを選んでいるという状況です。

ということで、兼業主夫であるんですけど、この先ずっと兼業主夫でやっていくかどうかは、わからないです。子どもが育てば、仕事をもっとやるかもしれないし。なので、選択肢が今いっぱいある中で、その中の1つを選んでいるだけという主夫です。ということで、よろしくお願いします。

(会場拍手)

得意な方が得意な方をやればいい

安藤:主夫っていうと、奥さんに養われているとか、少しネガティブなイメージで。それは専業主夫なんだけど。今日、「男の」ってことなんだけど、選択肢として、主夫という選択肢も、ポジティブに彼みたいに働く人が出てこないかという感じです。

坪井:会社を辞めてからすごい楽しいです。会社に行っているときは、月1くらい風邪をひいていたんですけど。

(会場笑)

安藤:それ、俺のダチも言ってた。

坪井:本当、健康になったんですよね。

(会場笑)

安藤:ぜんぜん、10年以上風邪ひいていない。

坪井:もうほとんど。4年ぐらい。

安藤:どうですか、川島君。こういう生き方。

川島高之氏(以下、川島):どっちがなにをやらなきゃいけないっていう役割を固定化しちゃうこと自体が、もうずっと前の昭和の時代だね。もう得意な方が得意なことをやりゃいいし、それは時代によってどんどん変わるし、場合によっては日によっても変わるしね。

だから、よく「野球型からサッカー型」っていうのは、時間内で仕事を終えようというのは、同時にディフェンスがオフェンスにいったり、オフェンスがディフェンスにいったりすりゃいいっていう、まさにそれをやっている。

安藤:そんな生き方だよね。

川島:彼、いつも笑顔は本当にいいですよ。

安藤:わかる。

坪井:ありがとうございます。6年前まで、こんな笑顔じゃなかったんです。

(会場笑)

安藤:だいぶ前ね。

坪井:死にそうな顔をしてね。

安藤:FJにも出会ってない。

川島:この体で死にそうな顔だったら、みんな会いたくない。

(会場笑)

安藤:まあ、あの写真を見ると家族が笑顔じゃん。僕らね、「笑っている父親」になろうって言っているんだけど、まさに笑っている父親の傍らに、笑っている家族がいる。そこは別に、企業、大企業に勤めているかどうかじゃないよなというのは感じますよね。

ね、秋鹿さん。

秋鹿良典氏(以下、秋鹿):はい。

(会場笑)

ポジティブなストレスならプラスに働くこともある

見ていて思ったのは、みんなストレスのない方にシフトしていくなって感じはしますよ。それがやっぱり笑顔の根源だなと思うし。

安藤:それはかつて、逃げとか情けないとか、おまえはそれで良いのかとか、昭和のメンタリティがあったと思うんだけども。なんでこれが薄まってきたのかね。さっき、震災っていう1つのエポックがあったと思うんだけども。

川島:あれじゃないかな。ストレスも、ポジティブなストレスっていいじゃないですか。例えば、試合前の最後の投球練習とかね。あるいは、9回裏2死満塁のマウンドとかさ。

あのストレスっていいんだけど、今の職場のストレスって本当にポジティブなストレスじゃないよね、そこはもう辞めた方がいいよねって。たぶん、そういう選択肢。いいストレスだったらOKでしょ。

秋鹿:ほどよい緊張感っていうのは、いいストレスだと思うんですよね。試合前の緊張感。あるいは、かみさんと対峙している時とかさ。

(会場笑)

安藤:毎日、対峙している。1泊4日の出張から……。

(会場笑)

秋鹿:これ今、動画配信しちゃってるんだよね。

(会場笑)

川島:でも、まあ悪いストレスは悪性のガンじゃないけどさ。

坪井:自分でかけるストレスはいくらでも良いんですよ。外から勝手にくるストレスはやっぱり……。

安藤:しかも理不尽なやつ。

坪井:そう。あれはやっぱり、すべてにおいて良くないって思います。今、自分でストレスをかけて自分を動かしている感じなので、ストレスがないわけではなくて。外から変なストレスはこない、だから自分でしっかりストレスをかけて、しっかりプレッシャーをかけてやっている感じですよね。

ライフシフトする人の特性

安藤:ライフシフトする人の特性としては、そのストレスフリーを目指す。

川島:悪性のストレスフリーをね。

安藤:悪性のストレスから逃れるというか。

秋鹿:やらされている感はずるく排除していかないと、きついですよね。

坪井:主夫にはやらされている感はないですよ。やりたいことしかやっていないからね。

秋鹿:組織にいると、そうはいかないですよね。

坪井:いかない。

安藤:では、続いて。じゃあ、一番転職して間もない、尾形君。

尾形和昭氏(以下、尾形):はい。

(スライドを準備中)

川島:でも、サラリーマン時代ってさ、勤めているせいで、服装も変わったでしょ。

(会場笑)

坪井:あ、もうぜんぜん違います。

(会場笑)

安藤:丸の内の……。

坪井:今、スーツ着る機会がほとんどない。

川島:ないでしょ。

坪井:たまーにPTAとかである。

川島:あー、ある。着なきゃいけないのね。

坪井:でも、いいんじゃないのって。

川島:理事とかがくるやつね、副会長とか。

安藤:それ、悪性のストレス。

川島:悪性のストレス。

坪井:そりゃ、まあ。そこも快適みたいなのも、ちょっとあるんで。

川島:200年ぐらいかかる。

(会場笑)