日本の若者はセックスレス?

乙君氏(以下、乙君):(前の話題は)おしまいにしておいて、次いきます。「BBCが日本の若者のセックスレスを特集!」。海外視聴者からは「社畜にとっては愛は価値がない」「アニメの見過ぎ」という声。

山田玲司(以下、山田):うん。

乙君:外人、ひどいな(笑)。

しみちゃん氏(以下、しみちゃん):(笑)。

乙君:BBCが7月に、日本の若者のセックス離れをテーマにした『Sexless in Japan』という動画を公開したと。アニメの影響で異性に興味がない若者が増えている内容で、Facebook上などで300万回以上も再生。海外ネットユーザーから多数の反響が寄せられています、と。

動画では、18から34歳のうち、43パーセントの人が性経験がなく、64パーセントは交際相手がいないという調査結果を紹介し、「なぜ日本人はセックスすることをやめたのか?」と問いかけた、ということで。

これ男女ともになんですよね。24歳女性は「セックスは自分にとって必要なものだとは思わない」と。まあ、そういう意見もありまして。「いずれ世界のほかの地域もこの問題に直面するだろうな」という声もある。

山田:(コメントにて「だってさ、その時間もったいないじゃん?」)その時間もったいないんだ? セックスの時間もったいないんだ。そっかー……そうだなぁ。

乙君:ちなみにアーティスト・ろくでなし子さんは、「人間関係というのは一から築いていかないといけないので、女の子をデートに誘うとか気を遣うじゃないですか。そういうのがめんどくさい」とコメントした、ということなんですけれども。

「性欲より食欲・睡眠欲のほうが大きい。自分にとってセックスは必要なものと思わない」という24歳の女性の方とか。

まあまあま。結局だからイメージとして、日本の若者はアニメとか、そういう萌えというか、そういう文化に……。

山田:(コメントに)「気持ちいいの?」って来ちゃった……(笑)。

しみちゃん:(笑)。

山田:綾波来ちゃった。「それって気持ちいいの?」。

乙君:あふれすぎてるので、セックスレスが進んでいるんじゃないかって言われていますと。動画を見た人からは「セックスレスだから、ほかのことに費やす時間があるから、日本人は賢くなったんだ」みたいな意見とか。

山田:ああ、なるほど。

ガンダムにおけるセックスとは

乙君:まあ進化してるんじゃないかと。「セックスと生殖は原始的な動物の本能によるものだから。そのレスになっていくというのは、新しい人類に、ニュータイプになっていく途上なんじゃないか?」みたいな意見もありますね。

山田:アムロは小説版ではセックスするんですよね。

乙君:するんですよ!

山田:うん。セイラさんとするんだよねえ。

乙君:セイラさん……?

山田:セイラさんとやるらしいよ。

乙君:そうなの? 俺読んだやつはベルトーチカとやってましたよ。

山田:まじで? そうなんだ。またガンダム話?

(一同笑)

乙君:いや、大人だなと思って。

山田:いや本当だよね。今『ウテナ』のやつやるからさ、『ウテナ』めっちゃ見てたんだけどさ、BSで『哀・戦士』やってたんだよ。

乙君:マジ!?

山田:まじで。『ガンダムⅡ』っすよ。

乙君:ふるえる♪

山田:そうそう。歌いたくなっちゃうじゃん。俺さ、ウテナ酔いしてたからさ、ちょっと1回ガンダムでも見っかと思ってさ、「めっちゃいい話だな。これ」と。

(一同笑)

乙君:古典作品の(笑)。

山田:大人ばっか出てくっからさ。

乙君:確かに。いや、大人ばっかって言いますけど、19歳とかですよ。

山田:だけどさ、「ミハルはやっぱり家族のためじゃない?」みたいなさ。

乙君:でたー、ミハルー!

山田:ミハルー! 止まんねえ(笑)。

乙君:カイ!

山田:止まんねえよ(笑)。やっぱすげえなと思っちゃって。富野さんのインタビューが一番おもしろかった。そのあと、終わったあとに富野さん……。

乙君:インタビューあったの?

山田:うん、そう。「 35年の地獄があったからね 」とか言って、ガンダムのことをさ。

乙君:へえ。

山田:この話も。ヤンサンでやりますね。

乙君:いずれね。ヤンサンでやりましょう。

山田:限定でやらないので。すいません。

乙君:富野作品はやりますので。

山田:そうそう。

アニメ・漫画がセックスに悪影響?

ともかくですが、この話みんなするじゃないですか。その時に必ずおかみのほうから言われるじゃないですか。「アニメとか漫画とか見てるから……」なんつーとさ。

「漫画もアニメもちゃんと見てねえやつがなに言ってんだよ。クソババア!」みたいなさ、「ふざけんな!」みたいな議論になるじゃないですか。

でも、そこで話が終わっちゃったらもうつまらないからさ、「OK、OK。おばさんわかったよ。俺たちアニメと漫画のせいでセックスできなくなったんだよね」つって、「わかりました。じゃああえて言うならばどの漫画が犯人か探そうぜ!」というのをやろうと思って、今回ちょっと考えてきたんだよね。

乙君:おお!

山田:そしたらめっちゃ来るんだよね。それ聞いたら。

乙君:すごかったですね。リプがね。

山田:「誰が犯人か?」って話でがぜん盛り上がる。でも、中にはガチなやつがいて、「そういうこと言い出すお前が嫌い」とか言うやつもいるわけ。

乙君・しみちゃん:(笑)。

山田:いや、本当にごめんね。そういうのは。だからさ、本当洒落にならないさ。

乙君:出来心聞いただけなのにね。なんでマジで(笑)。

山田:そう。だからさ出来心で聞いてたの。「人のそういうことを遊びにするの? お前は」みたいな人もいるわけ。でも、ちょっとここは笑い飛ばしたほうがいいんじゃないかなと思って。「あえて誰が悪いのか?」みたいな。どの漫画……。

逆にいうとね、それぐらい、生身のセックスよりも魅力のある漫画を描いたっていったら、これけっこうすげえことなんじゃないの? アニメとか。

乙君:そうなんですよ。

山田:みたいな話をしようかなと思って。詳しい話は、まあコアな話はアニメ探偵からも来てますしね。

乙君:そうなんですよ。うちのアニメ探偵から。

山田:それはちょっとうちのヤンサン限定のほうで徹底的にやるとして。俺ね、ざっくりまずね。なぜ日本の……。

乙君:玲司さんの意見をね。

日本の男は敗残兵である

山田:うん。アニメ以外にもいっぱいありまして。日本の男たちがセックスレスになる理由がいくつかあります。まず第1に、もうね、日本の男はすでに捕虜です。

乙君:捕虜? ほうほう。

山田:あのね、敗残兵。

乙君:敗残兵?

山田:戦争のかたちが武力ではなく経済で戦争をするかたちになって久しいので。だからバブル期の男はブイブイいってましたから。それでバブル期にエロい漫画がなかったつったらそんなことなくて、めちゃめちゃですから。70年代、80年代、90年代のエロマンガはすごかったから。

だからあれのせいで、あんだけ発達したエロ漫画・アニメがあったせいで、当時の男たちはセックスしなかったかつったら大嘘ですからね。まったくないですから。「24時間働けるか」ってつってたんだよ。あいつら。

乙君:出た。リゲイン。

しみちゃん:(笑)。

山田:その時代の男たち、今の団塊、今の70ぐらいのおじいちゃんたちは、当時もうバリバリにやってたわけ。でも、その時もめちゃめちゃエロいものをいっぱい山ほどあったんだよ。

乙君:あったけど、リアル……。

山田:つまり、そこでもうすでに議論がこんがらがってる。ただ問題は、92年のバブル崩壊以降、本格的に日本が拠り所になってた「俺たちってすげえよ」というのは、「経済的にすげえよ」だったの。

乙君:はいはい。エンパイア・ステート・ビル買うぐらいですから。

山田:それがバキッとなくなった瞬間に、「俺たちってなにがすげえんだっけ?」ってなるわけ。

乙君:なるほど。

00年代は日本のアイデンティティ欠如の時代

山田:00年代になるとそれ探しなんだよ。だから『プロジェクトX』なわけ。

乙君:「風の中の〜♪」になるわけね。

山田:そうそう。だから、地上の星を探さなきゃいけなかった。それで「ゼロ戦作ってた人が新幹線作ったんだよね」みたいのでうーなんてやるわけ。「俺たちがんばった。俺たちすごい」。

乙君:ああ、なるほどね。過去と現在をつなげて。

山田:そのあと来たのがサムライブームなんだよ。『バガボンド』なわけ。で、それが……。

乙君:『バガボンド』だけじゃん(笑)。

しみちゃん:(笑)。

山田:いやもうね、サッカー選手までサムライだからね。サムライジャパンだから。それぐらいルーツに戻る。それで「俺たち剣1本で戦ってきた。そういう末裔なんだ。俺たちの誇りは武士なんだ」みたいなところでなんとか踏みとどまろうとするんだけど、景気はまだ下がるわけだよ。

乙君:はいはい。失われたね。

山田:もうどうにもなくなって、最終的にはこじらせたネトウヨになっていくわけだよ。でさ、そのメンタリティで、掴まるところなくなっちゃってるんだけど。

実際これどうなってるかっちゅうと、やっぱり冷静に考えてみんなわかってるかもしれないけど、この国はアメリカの植民地なんだって。本当に。結局のところ捕虜なんだって。俺たちは。

これが「政治でなにも動かない理由は、日米基本合意があったから……」とか、そうなっちゃうわけだよ。あっちの話から始まるって……。

乙君:この話からそこ行く。さすが(笑)。

山田:ニコ論壇だからね。

乙君:うん、たまにはやりましょう。

山田:もう伝統的に外圧でしか変わらない国なんだよ。この国って。要するに空っぽなんだよ。現在どうなっているかというと捕虜状態だよ。この捕虜状態にセックスしろっていったって無理でしょってこと。要はメンタリティの話なの。これまず。

乙君:なるほど。戦士ではないんだ。

山田:そう。でも、俺たちは誇り高い武士であるとかサムライと思いたいみたいな。そこの相克の中で苦しんでいて、女たちは姫のまんまだから。

乙君:ああ。

山田:「ナイトよ、来い」って言うんだけど、ナイト捕虜になってるんだよ。ここはもう大きいなっつう。

スクールカーストも要因の1つ

あとは、これでかいのがスクールカースト後遺症だよね。これ何回も言ってからざっくり言うけどさ、クラスの中のイケメンで、運動神経がよくって、(『君に届け』の)風早くんみたいなやつだけしか彼女たちは男として見てなくって。その他大勢。

そこで「お前らキモいんだけど。きしょいんだけど」って普通の男ですら言われる。別にきしょい行動・キモい行動してないのに言われるというのがスクールカースト。

この先にさ、どう自信持って対応できるのって話だよね。いやこれ、ここで1回バキッと高校・中学ぐらいで折られた男たちが大半だから。

残った連中もしくはスクールカーストのトップにいった奴はどういう奴かといったら、基本的に地方のヤンキーだからあいつら。どうなるかというと、ブルーバレンタイン(注:あるカップルの出会いから結婚、破局までを描いた映画)が待ってるわけじゃん。

乙君:おおー、なるほど!

山田:そんな政権は続かないんだよ。そうすると、昔の話しかして、「あの頃さ、高校の頃超笑ったよね。クラスのやつでさ、クラスに1人ぐらいこういうやついなかったっけ」って話だけをする40代になってくるわけじゃん。こんなやつモテるわけないじゃん。そのトップのやつがさ。だから結局、これのせいで無茶苦茶になってるんだよ。自信がなくなってる。

そしてあともう1つでかいのは消費者マインドなんだよ。生産者になったらブラック企業に変化を遂げて奴隷になるんだけど、それまでは基本的にこの国は消費者なんだよ。お客さんなんだよ。

だからネット見てるとさ、「通報まだー?」とか「写真まだー?」とか「くれー」とか言うじゃん。これ基本的にお客様なの。心が。俺たちはお客様です。だから、恋愛も待ってるだけ。男女とも待ってるだけというのは、これもうどうにもならないよなっていう話。

乙君:いつか誰かがね。