野村證券を志望する理由は「日本の風土を変えたいから」

ナレーション:金融、IT関係を志望する動機を「モテるため」と語る轟くん。水谷、井坂の両名は面接におけるさまざまなアドバイスをした。今回そんな彼に、水谷が違う角度から質問を投げかける。

水谷健彦氏(以下、水谷):今のところさ、野村証券さんとか、セールスフォースさんていうのはさ「東京カレンダー」みたいな人がいるからってところから志望してるんだよね。

轟大輔氏(以下、轟):はい。

水谷:彼らの仕事で出している価値とか、働き方でカッコイイと思うところないの?

:野村証券さんのほうで話すと、日本の証券企業の中でトップですよね。日本ってけっこう海外に比べて企業が大きいんですけど、持っている資産を運用できていない。そもそも日本の風土を変えたいと思っていて。

ナレーション:ここで突然、話題は日本の風土について。

:日本って、すごく保守的じゃないですか。「出る杭を打つ」という感じがあって、僕はその風土が嫌いなんです。今までその風土を目指す理由としては、僕は高校からバレーボールをやっているんですけど、小中学校時代は野球部だったんですね。

小中学校の野球部ではけっこう怖い監督がいました。その監督の機嫌をうかがいながら練習したり試合に出たりしている状況があって、それがすごく嫌で。それって僕の中で「出る杭を打つ」のと同じ状況だったと思っていて、そういう状況がすごく嫌いだったんですよ。

高校からバレーボールを始めたんですけど、その時の顧問は、練習には週6回あるうちの3回しか来なかったり、けっこう放任してくれていました。

あなたの「カッコイイと思うもの」はなんなの?

ナレーション:中学では「出る杭は打たれる」ような状況だったが、高校では自主性を重んじる風潮だったというエピソードを語る轟くん。これが彼の憧れる働き方ということなのだろうか。これを聞いた水谷は?

水谷:今期待したエピソードを語ってくれたけど、満足度としては低いね。

:そうなんですね。

水谷:そうだね。こっち側の「モテたいんです」「お金が欲しいんです」ってことのインパクトに負けているね。同じくらいそういう感じなんだね、そういう人間なんだね、って揃うといいね。

ナレーション:ここで、沈黙を守ってきた藤野が。

藤野貴教氏(以下、藤野):1つちょっとおもしろいなと思ったのが「出る杭は打たれる状態はカッコ悪い」と思ったんだよね。むしろ自分たちで考えて動いているほうがカッコイイと思ったって感じが、なんとなく伝わったんですよ。

:はい。

藤野:それがあなたの中のカッコ良さなんだな、っていうのはなんとなく思った。それをもう少し自分の中で膨らませていくことが、たぶん具体的な方法だと思うんだけど。

例えばセールスフォースだったら、その社員の人たちは自分の頭で考えてコレコレこういう仕事をやっている。

なので、言われたことだけをやっている感じがしなかったので、自分のカッコ良さってものとセールスフォースの社員の方が大事にしていることが合っていたから、「ここだったら自分のカッコ良さを体現できるんじゃないか」と思ってここを志望しました。とかやるとどう?

:納得感が。

「モテたい俺」と企業とのつながりを見つけよう

藤野:ということは、考えていないから今出てこないんだよね。まだバラバラって感じ。だからセールスフォースとか、社会人っていうのが自分の中でただ憧れていて、この辺にあるだけで、自分では「モテたい俺」「まだモテていない俺」がいて、バラバラって感じ。これをつなげるのがたぶん面接で話すべきことかな。

でもつながる方法は、別に今からゼロから見つけろって話じゃなくて、今のカッコ良さのストーリーでもいいわけだ。でもその代わり、ちゃんと勉強してくれよ!

:はい。

藤野:「セールスフォースの人たちが『東京カレンダー』っぽいんでカッコイイんです」って言ったら、こっちは「冗談じゃない」「俺たちはモテるためだけに働いているんじゃないんだ」と言うかもしれないじゃん、「俺たちは営業効率を上げることによって、日本の生産性を上げて、もっともっと日本の産業の競争力を上げたいんだ」って思ってるんだとしたら。

「お前ちょっとそれ浅いよ」って言われちゃった時に「ダサい」って言われちゃうよ。そうすると「こいつモテないな(笑)」ってなっちゃう。

:とにかく今日おっしゃっていただいたことをもとに、企業と自分のつながりを見つけて、それをいろんな人に話していくってことを、これからの行動で起こしていきたいなと思います。

「この俺でいいっすか」をたくさんぶつけたほうがいい

水谷:なんか今どきめずしいですよね。今どきめずしいとやっぱりアピールが、言っていることがちょっと青臭くてもまあまあいいかなって思いますよね。両輪してくれると、ぜんぜんいいと思うし。

藤野:なんか僕自分の個人の話で思い出したのは、就活の時に「一番頑張ったことはなんですか?」って言われて、その当時付き合っていた彼女を、どうやって一生懸命口説いたかって話をして、すっごい楽しく話したんですけど落ちたっていう。

(会場笑)

そして社会人になって10年くらい経って、その話をある人事の人と話した時に「いや、藤野さんその話うちだったら絶対受かるんだよ」「その会社だからたぶん落ちただけでさ、そう思うでしょ?」って。「そうですね」って。だからむしろ僕がその時に足りなかったのは、あの話を僕がしたかったとしたならば、それを20社喋るか。

水谷:たくさんの会社にしなかったと。

藤野:そうしたらハッピーになるかも。だから彼に今必要なのは、まだ2社に絞り込むことじゃなくて「この俺でいいっすか」っていうところを、とにかくたくさんぶつかることじゃないかって思うんだけどな。

水谷:そっちのが大事だよね。

藤野:意外とモテたいんだけど、行動力が足りていないのかもしれない。

(会場笑)