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みかんジュース、1本1,000円 和歌山のみかん農家が世界で認められるワケ

みかんジュース、1本1,000円 和歌山のみかん農家が世界で認められるワケ

2017年6月10日から11日にかけて、世界遺産である和歌山県高野山にて、47都道府県がつながる地方創生イベント「地方創生会議」が開催されました。初開催となる今回は、地方創生に関わるさまざまな分野のキーパーソンを招いて、トークセッションやワークショップを行いました。トークセション「地方創生 × 名産品・6次産業」では、酒造・農園・宮大工など、伝統的な分野で挑戦を続ける企業のトップが登場。いかにして古い慣習を打ち破ったのか? その軌跡を語ります。

シリーズ
地方創生会議 > 地方創生 × 名産品・6次産業
2017年6月10日のログ
スピーカー
平和酒造 代表取締役専務 山本典正 氏
キミノーカ 代表 宇城哲志 氏
株式会社小西美術工藝社 代表取締役社長 デービッド・アトキンソン 氏
株式会社伊藤農園 専務取締役 伊藤彰浩 氏

【モデレーター】
和歌山大学 准教授 岸上光克 氏

先に見えているのは暗い未来ではなく、日本酒の明るい未来

山本典正氏 私がもう1つやっている活動としては、価値のイノベーションという部分で日本酒の社会的な評価を変えてやりたいと思ってるんですね。 その価値のイノベーションを一緒にやってる方々というのが、そういう若き酒蔵で、東京とかそういう全国の発信拠点で2,000人ぐらい集めるイベントをやっています。20代30代の若い蔵元に40蔵ぐらい集まってもらって、リーダーでやってるんですけど。 そういう、日本酒が今変わっていっているよということを、いかに伝えられるかということをやってるんですね。その価値のイノベーションってどういうことかっていうことなんですけど、私自身、いつも不思議に思うんです。 例えば、うちの紀土の日本酒のビンが上野のガード下で飲まれてるとき、置いてるときに見える姿。それから、ニューヨークのちょっとしたパーティーで飲まれている姿。私から見るとぜんぜん違って見えるんですね。 上野のガード下が悪いわけじゃないですよ。そういうのも楽しいんですけど。でもなんか、ニューヨークのパーティーとかで飲まれている姿を見るとかっこよく見える。同じビンなんです、同じ中身なんです。でも、その2つの見え方ってぜんぜん違うんです。 日本人がこれまで、これだけ日本酒を飲まなくなってしまった理由というのは、1つはそういういいものをつくってなかったということもあるし、もう1つは日本人の頭の中で、日本酒に対してのイメージが非常に悪くなっているというか。 上野のガード下みたいな日本酒のイメージがあるわけなんですね。それをいかにニューヨークで飲まれているような、そんなシーンに日本酒を発展させてやるかっていうのが私の仕事なのかなと思ってます。 7割、日本の原料酒です。今も下がってます。今も下がってますけど、私にはすごく明るい未来しかないんですね。 なんでかって言うと、私が狙っているゾーンって完全なブルーオーシャンなんです。そういう減っていくシェアのとこを狙ってない。牌を増やしていくしかない。その増えた分を、その中から少しでもうちのファンになってくれればいい、そんな感覚なんです。 だから我々が平和酒造としてターゲットにしているのは、これから日本酒を飲んでいただける、今日来ていただいてるみなさんみたいな若い方、もしくは海外の方。 掘り起こしていくのは少し大変だけれど、でももし掘り起こしていけたらそれは業界にとってもプラスアルファになるし、日本酒の酒づくりを通して新しい価値観を伝えていくというのが、うちの酒蔵がやっているコンセプトです。

大手の会社と渡り合うために考えた3つのこだわり

岸上 ありがとうございます。じゃあ、伊藤さん。 伊藤彰浩氏 先ほども言いましたけども、うちの代表商品は有田みかんの100パーセントジュースなんですね。これを30年ぐらい前に作り始めたんですけども、その商品のコンセプトについてちょっとお話しさせていただきます。 30年ぐらい前、ジュースってどういうものがあったかっていうと、大量生産大量消費の時代で。今でこそ消費者の方々の安心安全とかこだわりとか、そういう意識の高まりというのがすごく顕著にありますけれども、もうその頃は本当に濃縮還元の、1リットルで200円とか300円とかそういう大手メーカーのジュースしかなかったんですよね。 その頃に、うちみたいな和歌山の有田ですごい田舎で小さな会社が、そういった大手の会社とどう渡り合っていくのか。同じようなやり方をしていたらまず勝てるわけがないというところが、まず1つあったんですけれども。 まず、味にこだわろうということを考えて作りました。今でも3つのこだわりを守り抜いているんですけれども。その3つについてお話しさせていただくと、まず和歌山産の柑橘しか使わないでおこう。原産地を完全に限定したんですね。 産地がしっかりわかってるというのは、ここ最近ではすごく多くなってきてますけれども、そういうトレースがしっかりとれる。安心して飲める。畑が想像できる。そういう商品を作ろうということで、和歌山産の柑橘だけを使用したみかんジュースを作ろうと決めました。 みなさん、全国各都道府県から来られていると思うんですけども、和歌山県はみかんの生産が一番初めに大量に作られるようになった歴史を持つところで、今19パーセントの全国シェアを持ってるんです。 その中でもここ最近、ちょっとブランドが落ちてきたんですけれども、有田みかんというのは本当にすごい有名ブランドでして。全国には三ヶ日とか愛媛みかんとか宇和島とかいろいろあるんですけども、全国シェアではナンバーワンを誇ってます。 和歌山のみかんのおいしさは3つあると言われてまして。3つの太陽というか、それがおいしいみかんを育てる秘訣と言われてます。まず1つ目が、段々畑に育てることによって日当たりがすごくよくなる。お日さまの直接の太陽ですね。 400年以上の歴史を持つみかんの産業ですから、先人たちがみかんの畑を作るのに、1つ1つ段々畑を山に築いていって、みかん畑が有田には広がっているんですけれども。和歌山というのは海があって平地があってすぐに山という、平地がすごく少ない土地柄なんですね。

石垣でみかんを作ることで得られる恩恵

それをしっかり生かして段々畑で作るということをやりました。そうすることで日当たりがすごくよくなった。それと海からの反射光ですね。それによって上からの葉っぱの表だけじゃなくて、みかんの下のほうの葉っぱにもちゃんと太陽が当たる。 それともう1つは、石垣からの反射光ですね。この3つの太陽が、すごくおいしいみかんを育てる理由と言われてます。 石垣でみかんを作ると、まだまだいいことがたくさんあるんですけれども。あとは排水効果です。和歌山は雨がたくさん降る土地柄ですから、雨がたくさん根に吸収されてしまうと、すごく水っぽいみかんができやすいんです。 石垣で作ることで水はけがすごくよくなって、地中に水分が留まらない。すごく味が濃いみかんができます。トマトとかイチゴなんかも水分量を調節していくことで、すごく甘いものができたりとか。フルーツトマトなんかあると思うんですけども。それと同じ原理で、みかんもそういった理由でおいしいものができます。 あと1つが、石垣の保温効果なんですけども。やっぱり和歌山も冬になると氷点下を下回るような、そういう日がときどきあるんですけれども。そういったときでも、石垣が日中温められて土壌を暖かく保ち続ける。そういった効果で、すごく味が濃いみかんができます。 そういった3つの理由でおいしいみかんができるんですけれども。そのみかんだけを使用した、原料にこだわったジュース作りをしたというところが、まず1つ目のポイントになります。 2つ目のポイント、これは無添加でやっていこうということを決めました。添加物等を一切使用しないものづくりをしていこうと。今でこそ、本当に安心安全ということで無添加の商品が多くなりましたけれども、30年ぐらい前だとぜんぜんそういう商品はなかったんですね。 その頃から食べてもおいしい、そして自分の体を支えていく食べ物が健康にもつながっていく。そういうものづくりをしようということが2つ目のポイントで、今でも守り抜いてます。

他がやっていない一番のポイントは、ジュースの搾り方

3番目のポイントが、他ではやっていない一番の差別化になるんですけれども、ジュースの搾り方なんです。一般的なジュースってどうやって搾るかっていうと、インライン方式という搾り方なんですが、トロピカーナとかバヤリースは大量に作る方法なんですが、原理的に言うと皮ごとつぶしてしまう方法なんですね。 柑橘というのは、皮の部分に苦味成分であるとか、アクとか油分が含まれてます。それを皮ごと絞ってしまうとやっぱりちょっと苦かったりとか、あと皮に含まれるペクチン質が出て、ちょっとどろっとした感じのジュースになりやすいんです。 100パーセントのジュースを飲まれる方もたくさんいらっしゃると思うんですけども、けっこうドロっとした感じのものが多いと思う。それは、皮ごと絞ってる製法だからなんですね。 それに対してうちの製法は、本来みかんを食べるときと同じように実だけを絞るジュースにしようっていうことで、みかんを1つ1つ半分に切りまして伏せたお椀の上にのせて、もう1つのお椀で弱い力で上から押すだけの製法なんです。 今日、レセプションパーティーでうちのジュースをちょっと持ってこさせていただいてるので、よかったら飲んでいただけたらと思うんですが。本当に味にだけこだわって、大手のメーカーでは真似のできないことをしようっていうことで、30年前にジュース作りを始めました。 搾汁率の話をしたいんですけれども。一般的なジュースは、だいたい1つのみかんから60パーセントぐらいの果汁を搾り取るんですね。それに対して、うちの製法はだいたい30パーセントぐらいの果汁しか搾り取らない。 それだけやさしく、弱く絞った、本当に生のみかんのおいしいところだけが味わえるジュースになっています。なので、皮が含まれてないのでけっこうさらっとして、それでいて味がすごい濃い。そういうジュース作りをやっています。 それぞれ今、先ほどからも言われてるように、味にだけこだわって作ったので、作り上げた商品を原価計算をしていくとどんどん積み上げていくので、1本1,000円で売らないと儲けがでないような商品になっちゃったんですね。

1,000円のジュースを売るために行ったブランド戦略

じゃあそれを30年前にどうやって売ろうかっていうことで本当に悩んだんですけれど、その頃付き合いがあった自然食業界とか、そういうところから商品を紹介していったんですけど、なかなか売上が伸びずに。 もう15年ほど、冬の時期にちょこっと作ってそれを年間で売りきるような、そういうかたちでしかできてなかったんですが、私がちょうど10年前にこの和歌山の有田に帰ってきたんですけれども。 そのときにどういう状況だったかっていうと、こんなにおいしいジュースなのにぜんぜん欲しい人のところに情報が行き渡ってない、そう感じたんですね。しっかりと商品のPRをして、欲しい人のところに欲しい情報を行き渡せられれば、1本1,000円のジュースであってもちゃんと売ることができると感じて。 その頃一切してなかったネット販売やったりとか、カタログ通販、あと商品展示会。全国で商品展示会が数多く開かれてます。そういうところに積極的に商品の紹介しに行くことで、百貨店さんであったりとか高級スーパーさんであったりとか、そういう方々に商品の紹介をしていきました。 1本1,000円のジュースですから、先ほどの山本さんの話にもあったように、出すべきところに出さなければやっぱりできないですね。スーパーに、1本1,000円のジュースが値札つきで置かれている。そういう状況をつくっては、まず売れるわけがないということで。 私がとった戦略が、ブランド戦略。高くても売れる商品、営業サイドをとろうということで、まずその10年前に情報発信をしていくっていうことはもちろんだったんですけれども、海外に商品を売っていこうと。

伊藤農園の商品は海外でも使われている

先ほどの山本さんの話と被っていきますけれど、うちは主にまずフランスのエリアで商品の紹介をしていったんです。『ミシュラン』っていうグルメ本があるのはみなさんご存じだと思うんですけど、それの発祥がフランスでして。ミシュランタイヤがやり始めたグルメ雑誌ですけれども。 旅行をしながら、おいしいものでタイヤも売れるという、そういうことを考えてやられたんでしょうけども、フランスではミシュランで星がつくともう売り上げがぜんぜん変わるということで、星つきのレストランシェフの権威っていうのは本当にすごいものがあるんです。そこをメインターゲットにして、営業活動を行いました。 国内で食品展示会に出ていくことで海外に輸出を、折衝を行ってヨーロッパへ商品を紹介しに行ったんです。例えばエル・ブリという、スペインにある科学的な料理法をされるレストランなんですけど。 今は休業されてますけれども、「世界一予約が取れない」と言われてるレストラン。そこにも営業活動を行いまして、うちの甘夏のマーマレードが採用されました。また、フランスにサンドランスというレストランがあるんですけれども、そちらはアラン・サンドランスさんが経営されるものなんですが、そちらも三ツ星レストランで。 そういった有名シェフに取り扱っていただくことで、商品のブランド価値を高めて、その実績をまた日本に持ち帰ることで、百貨店とか高級スーパーなんかで高くても売れる。そういう仕事の営業スタイルをとってきたというかたちになります。 これからも和歌山のおいしい有田みかんを日本全国に、また世界各国に広めていくような、そういう活動をずっと続けていけたらなと考えています。

  

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地方創生会議 公式HP

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