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“人工子宮”で羊の赤ちゃんを育てることに成功 

“人工子宮”で羊の赤ちゃんを育てることに成功 

今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」は、科学ニュースの二本立て。将来、人工的に人間の未熟児を育成することができるかもしれない人工子宮「バイオバッグ」と、運動中に身体の限界が訪れたときに起こる現象について、最近の研究でわかった結果を紹介します。

シリーズ
SciShow
2017年5月5日のログ
スピーカー
Hank Green(ハンク・グリーン) 氏
参照動画
Growing Lambs in High-Tech Plastic Bags

人工の子宮「バイオバッグ」

ハンク・グリーン氏 科学のニュースに注目している方なら、プラスチック袋に入れられた、しわしわでピンク色の未熟な子羊を見たことがあるでしょう。 image1 こちらの写真は「バイオバッグ」と呼ばれるもので、先日『ネイチャーコミュニケーションズ』でこの研究について発表されました。 この技術の準備が整えば、将来人工的に人間の未熟児を育成することができるかもしれません。言い換えれば、それは人工の子宮です。 フィラデルフィアの小児専門病院の研究者らは、28週それよりも早い段階の22週または23週など、早い時期に生まれた赤ちゃんの生命を維持するためにバイオバッグを開発しました。 未熟児は多くの合併症に直面しますが、特に未発達で小さな肺はリスクが高くなります。 子宮の中では胎児は羊水に浮かんでおり、発達を助ける複雑な分子で満たされています。また循環系と母親を接続するへその緒を介して、必要な酸素をすべて得ています。 image2 約24週間で、肺胞と呼ばれる酸素と二酸化炭素のガス交換をする肺構造が発達し始めます。しかし、正常に呼吸するためには、まだ不十分な構造となっています。 したがって未熟児が過酷で乾燥した空気を吸うと、未熟な肺胞は酷使されて傷がついてしまい、慢性肺疾患に至る恐れがあります。 そこでバイオバッグが発明されたのです。この使い捨てのビニールバッグシステムは胎児の肺が外気に触れないように、生まれたての胎児を瞬時に人口の羊水に入れられるような設計となっています。 image3 同様に、脂肪、糖、アミノ酸、およびミネラルなどの人工的に作られた混合物を酸素に結合し、それを自らの心拍動によって胎児のへその緒から取り入れることができます。この自然な子宮環境の模倣は、成長段階のすべてのニーズに対応します。 研究者らは、23週の胎児と同じ発達段階である、8匹の子羊にその技術を試験しました。動物実験プロトコルにより実験の期間は4週間のみ与えられたため、子羊は4週間をバイオバッグの中で過ごしました。 しかし、子羊はおそらくもっと成長した可能性があります。バッグシステムを使用すれば、未熟の子羊は成熟し、より大きくなりウールが生える段階にまで成長すると考えられます。 実験終了後に研究者らが子羊を解剖した結果、脳、肺、および他の器官も正常に動作しているのが確認されました。 image4 バイオバッグの動物実験はまだ進行中であり、今後も解決すべきことが多く残っています。 例えば、本研究で使用した人工羊水は、塩類やリン酸塩などを溶解した荷電物質の単純な電解液ですが、実際には成長を支えるもっと複雑な分子が存在します。つまり、バイオバッグを使って胎児を保てるのは数週間で、成長の最初から最後までを補う子宮の代用にはなりません。 バッグシステムは明らかにちょっと気味が悪いように見えますが、研究者らはそれをさらに子宮に近づけ、最終的には人間の未熟児の成長をテストしたいと考えています。

運動の限界がきたとき、身体に起こる変化

これは赤ちゃんの命を救うことよりもわくわくはしませんが、私たちは成人の体について多くの知識を持っています。例えば、運動の最中に限界がきたとき、何が起こるのか。 長距離選手やサイクリストのような持久力が問われるアスリートは、その時の感触を知っています。順調に走っていると思いきや、突然、煉瓦の壁にぶつかったような感覚に陥るのです。 image5 この時、脳は筋肉に動くように命令を出しているのですが、筋肉がそれに反応しません。 専門誌の『Cell Metabolism』が出した新しい研究では、この反応が起こる原因となる分子と、おそらく止める方法までをも解明しました。それは、人々の利用できるエネルギーの量に関係しています。 体は、エネルギーを2つの主要な形で利用しています。1つは糖分やデンプンの化学結合から成る炭水化物で、もう一方は脂肪になります。エネルギーを引き出すためにそれらの結合を壊すことを「燃焼」と呼びます。脂肪にはエネルギーが蓄えられていますが、糖分は燃焼しやすくなっています。 筋肉がエネルギーを引き出すために脂肪を燃やすときに糖分を利用しますが、その中でもグルコースをたくさん使います。特に脳は、働き続けるために一定レベルのグルコースを必要とします。利用できるグルコースを過剰に使ったときに、体の限界がきた感覚に陥るのです。 その時、脳は「ちょっと待って。もう体力切れだから、今すぐ体の動きを止めないと」という状況になります。 研究者らはこれが起こる原因を究明するために、体の中のエネルギー管理に役立つPPARδと呼ばれるタンパク質を実験しています。PPARδは多くの組織で見られますが、筋肉の場合は持久力を構築するのに役立ちます。 例えば、マウスが筋肉にPPARδを持たないように遺伝子操作をしたとき、いくらトレーニングをしてもマウスは持久力を構築することができませんでした。その後、マウスにGWという薬物を投与し、筋肉のPPARδの遺伝子を起動させました。 するとマウスは、トレーニングなしでマウス用トレッドミルで走れるようになり、薬物を投与しなかったマウスよりも2時間以上も長く走りました。 研究者らは、PPARδは代謝に関与する遺伝子に影響を与えると述べています。基本的には、PPARδはグルコースを温存しながら筋肉の脂肪燃焼を増加させます。そうすれば、脳はグルコースの減少をおさえ「壁に当たった」ような感覚に陥ることはありません。 研究者らは、アスリートが多くの時間をトレーニングに充てる代わりに、薬物でPPARδを使用する誘惑にかられるのではないかという可能性を認めています。 一方で、彼らはGWのような薬物は、加齢や慢性疾患のために運動に苦しむ人々への治療薬になる可能性があることも示唆しています。 ただ、これを実現するためにはさらに多くの研究が必要とされます。

  

SciShow

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