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「風評被害を恐れることが新たな風評の芽を育てる」 覆面の漫画家・竜田一人が福島の現状を語り、歌う

「風評被害を恐れることが新たな風評の芽を育てる」 覆面の漫画家・竜田一人が福島の現状を語り、歌う

漫画「いちえふ-福島第一原子力発電所労働記」の作者・竜田一人氏が、毎日メディアカフェに登壇し、当時の体験を語りました。原発作業員としての日常を丁寧に描いた「いちえふ」。同会では、竜田氏が漫画を描いた背景や、福島の現在などを参加者らに解説。本パートでは、風評被害の影響を受ける福島県の現況を詳らかにしました。

シリーズ
漫画「いちえふ」作者 竜田一人が語る「福島の今を知る3」
2017年7月10日のログ
スピーカー
漫画家 竜田一人 氏

【モデレーター】
毎日メディアカフェ 運営事務局 冨永 氏

「中で働いている人はみんな、元気に笑ってやってるよ」

竜田一人氏(以下、竜田) 漫画でも描きましたけど、最初に(原発へ)行く日、会社の車で行ったんですけど、会社の先輩たちっていうのが、言ってみればただのおっさんなんです(笑)。 あそこで働いてるのはほとんどただのおっさんで、中にはすごい技術者とかエンジニアがいるんですけど。基本的には、よくある工事現場みたいなものなんで、現場で働いてるおっちゃんっていうような人がいっぱいいて、行く車中から冗談言って爆笑しながら行くような、そんな感じで。 働いてる最中も、和気あいあいというのも変ですけど、そんな雰囲気で。私個人としては、楽しく仕事をしてきた。行ってみて一番驚いたのが、その行く前とのイメージの違い。意外に線量管理とかちゃんとしてるというか、それこそ毎日線量計を付けて、記録を録って、ルール違反をするとお咎めがあったりとか。 このくらいやっとけば、そんなに世間で言うほど、作業員が何人死んでるとか何千人死亡とか、作業員が足りないから外国人連れてきてみたいな、そういうことは、実際に見てみるとないという感じでしたね。 線量管理がしっかりしてると言っても、前々から原発で働いてる人に言わせると、「ひどいもんだ」って言うんですよね。それはこれまでの、通常のなにも事故を起こしていない原子力施設とか、研究施設とかは、ものすごく厳重に管理してるので。 それから見たらお話にならないような様子なんですけど。まあそれでも、実際に行ってやってみれば、そのくらいの管理で、別に健康に影響が出るようなことは一切起こらないというのは、だいたい実感としてわかりました。私も元気ですし。それに関しては、あまり心配はしなくていいんじゃないかなと思います。 なので、「中の様子はどうだったの」と心配されてる方に対しては、「中で働いている人はみんな、元気に笑ってやってるよ」って。それだけで十分じゃないかと思ってます。

海の魚から放射線物質はでない

だけどいまだに、そういう風評とか、不安に思ってる人が「福島のものは食べない」って人が、いっぱいいて。でも、この辺は検査をしてるから、そういう危険なものは万が一あったとしても絶対お店に出ない。ていうか万が一もクソも、もともと危険なものなんか全然ないんですけど。 まだまだ伝わりきってないですけど、米とか、農産物に関してはわりと、まだまだではありますけど、風評は改善されてきたかなと思うんですけども、まだ残ってるのありますよね。 海産物に関しては、まだ本格的な漁も再開されていないので、それに関しても心配に思ってる人がいっぱいいて。だけど、あの辺の魚を釣って実際に放射線をはかるっていう、「海ラボ」っていう活動があって。 それに私はたまに参加して、一緒に船に乗って釣りにいったりするんです。そこで最近釣りを、最近といっても私が行ったのは1年ぐらい前なんですけど、馬鹿みたいに釣れるんですよ。すごいでっかいのが釣れるんですよ。 アイナメとかヒラメとか、ヒラメなんてこんなもの(両手を広げ)ですよ、本当に。それを持って帰ってきて、「アクアマリンふくしま」っていう水族館ではかるんです。 そうすると、ほぼ放射性物質、セシウムは出ないですね。なので、もういい加減漁を全部、全面的に解禁してやってもいいじゃないかと。データ的にはそうなんですけども、まだちょっと風評が怖いっていうのがあって、再開できなかったり。 本当にそっちの漁師とか漁業の方も、データを見ればわかると思うけども、危険だと思ってるわけではなくて。これで本格的にやっても、まだ風評が怖いからといって、いろいろ踏み出せないところがあります。 だけど、世間一般からすると、「結局まだ本格的に漁をやってないことは危ないんじゃないの」っていうイメージだけで捉えられちゃってます。 だから、漁師の方とかが風評を恐れているのか、実際に健康被害があるんじゃないかと恐れてるのかというところまで、なかなか伝わってこない。そういうことが伝わらない。 どうせ伝わらないのに、いつまでも気にしていても、消費者が恐れてもしょうがないんじゃないかっていう気が、最近し始めました。

風評が再燃してしまうことへの恐れ

例えば、瓦礫の広域処理があります。あれを開くときに、健康被害が出るっていう反対運動がものすごいありました。 もう1つ、その処理場の近く、例えば農家の人とかは、「風評被害が起こるからやめてくれ」っていう意見がけっこうあったんですね。それは実際に被害があって、健康被害が起こるのを恐れたわけではなくて、風評被害を恐れた。 だけど、よく思い出してください。瓦礫の広域処理をやったことによって、風評被害が起こりましたか? 瓦礫の広域処理っていうのは、もともと福島以外の瓦礫だったので、放射線量が上がるとかあるわけがなかったんです。 実際にやってみて、そのデータを出しながらやって。やってみたら、やっぱり放射線量に変化はなくて。なので、あれによって風評被害が広がったことは、私の見た限りではぜんぜんなかったと。 漁業に関していうと、第一原発、汚染水っていうのがあって。汚染水って、でも、処理っていうのはだいたい終わってるんですね。ほぼすべての放射性物資は除去し終わって、あとちょっと、トリチウムだけが残ってるだけで。 でも今、それがいっぱいあるのが問題なので、これどうすべえっていう話になっているんです。それは薄めて海に流してしまえば、健康被害とかは出るわけがないんです。 だけど、それをやってしまうと、また風評が再燃するのではないかという恐れで、地元の漁業の方とかはいまだに反対してる。ただ、恐れているのは風評なんです。これはデータを出しながら、計画通りやっていけば、もしかしたら風評って、やっても起きないんじゃなかって、私は思っているんです。 今までの風評のパターンを見ると、予定外のことが起きると、風評が再燃するんです。例えば、タンクから水が漏れたとか。あるいは建屋の上の瓦礫の撤去で、ちょっとダストの放射線量が上がったとか。ということで、風評が再燃する。

福島の漁船の気持ちを歌にした『第三双洋丸』

そういう予定外のことが起きて、風評っていうのはあり得るけれども、計画通りに、例えば地下水バイパスっていうのがあって。あまり専門的な話をしてもしょうがないですけども、建屋の周りに地下水、建屋に流れ込む前の地下水、そういったものを海に流しているわけですね、今もやってます。 それに関しては、風評が起きるからやめてくれっていうので反対はあったんですけど、やってみたら、別にそのことによって風評が再燃したということはないんですね。 なので、これからも汚染水処理、汚染水処理っていうか、もう汚染は処理済みなんで、処理済み水処理とかね。そういうものに関しては計画通りにやれば、そんなに恐れることはないんじゃないか。私はそう思っています。 そんな、次の一歩が踏み出せない。漁師たち、漁業のみなさんっていうのに向けて、もしかしたら怒られるかもしれませんけども、そこに停まっている漁船の気持ちを歌にしてみました。『第三双洋丸』という歌です。「双」は「双」葉、「洋」は太平「洋」、第三双洋丸という歌を歌います。 (竜田氏、『第三双洋丸』を歌う) (会場拍手)
 
ありがとうございます、『第三双洋丸』という歌でございました。いつまでも風評を恐れて、次に踏み出せないっていうのは、例えば、タンクから大規模な漏水が起きた場合、それはまた確実に風評が起きるんです。
なので、風評を恐れて次を踏み出せないことによって、もしかしたら新たな風評の芽を育てているんじゃないかと、私は思います。もうちょっと計画的にデータを出しながら、冷静に次に進めていく時期にきてるんじゃないかなと、僭越ながらそんなご提案をさせていただいて(笑)。 『ROUTE6』は10分くらいあるので、長いんですよね(笑)。話もちょっとまとめられなくて。とりあえず、ミニライブっていうのはこんな感じで終わりにしようかなと思います。また、質疑応答がありますので、よろしかったらいろいろご意見をお寄せくださいませ。どうもありがとうございました。 (会場拍手)

毎日メディアカフェでは初の、覆面の登壇者

冨永氏(以下、冨永) はい、どうもありがとうございました。ここからは、ちょっと趣向を変えまして、写真とかで現場の様子を、みなさんと一緒に見ていければなあと思います。これは冒頭にもお話がありましたけども、毎日メディアカフェでは福島のかたちを定期的にやらせていただいてます。 2015年に第1回目。社会学者の開沼博さんと、南相馬市立病院の坪倉先生、それと、フリーアナウンサーの堀潤さん、これが第2回目でした。 去年、2回目ですね。東京電力の当時、福島復興本社の代表であった石崎さんと、「ベテランママの会」という、南相馬のママさんたちの集団。集団というか、代表を務めていらっしゃる番場さち子さんで、ここで「福島の今を知る2」という。
IMG_7260
今回が第3弾。毎日メディアカフェは過去に350回ぐらいイベントやってるんですけど、初めてです。覆面の方は(笑)。
竜田 いろんなところで言われるんですけれど。日本記者クラブだったかな、なんか外国人特派員協会とか、そういうところでも「覆面の人が喋るのは初めてです」とか(笑)。 本業のプロレスラーの方を差しおいて。プロレスファンの1人として、本当にこういうことやってて申しわけないと思ってます。すみません(笑)。 冨永 というわけで、現場の写真なども交えながら、今こんな感じだよっていうのをちょっとみんなでできればなあと。

漫画タイトルの『いちえふ』の意味とは

その前に、漫画のタイトルにもなってます『いちえふ』というのはなにかって言うと、これはよく「ふくいち」って言う方がいらっしゃる。地元の方であるとか、個人の仕事に従事されてる方っていうのは『いちえふ』ということですね。「えふ」っていうのは何のFなんですか? 竜田 えふは「福島」です。 冨永 福島のF。 竜田 はい。で、いちは「第一」の一。 冨永 ウィキペディアから引用すると、東京電力の福島第一原発の名前だよと。作業員であるとか、周辺住民の中では「1F」と呼んでます。 竜田 水面下でどう呼ぼうが自由なので、間違えたということでもないので。だけど、どう呼ぶかで、割と地元の人かどうかっていうのがわかったりしますね。 冨永 実際に1号機から6号機まで建っていて、今回事故が起きてしまった。残念ながら、1号機から4号機で事故が起きてしまいましたよと。5号機と6号機は、ちょうどお休みだったんですかね。こんなのが全体です。

  
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