logmi・ログミー

世界をログする書き起こしメディア

「重要なことよりも、結果が出ることをやれ」 日本交通・三代目社長が、1900億円返済の過程で得た経営哲学とは?

「重要なことよりも、結果が出ることをやれ」 日本交通・三代目社長が、1900億円返済の過程で得た経営哲学とは?

川鍋一朗氏は祖父、父が社長を歴任してきたタクシー・ハイヤー会社、日本交通に入社した際、自社に1900億円もの赤字があることを知り、会社の建て直しを図るべく立ち上がります。しかし、会社を救うために立ち上げた子会社でも毎月1000万の赤字を出し続けるという更なる危機が訪れてしまいます。生のビジネスの現場では、川鍋氏がアメリカのケロッグ経営大学院で取得したMBAや、3年間務めたマッキンゼーのコンサルティングスキルが何の役にも立たなかったのです。「今からできることをやるしかない」と決心した川鍋氏は、ハイヤー事業の改善や交通安全プロジェクトなど、比較的に結果が出やすい取り組みを実施。小さいことから積み重ねていった結果、次第に売上は回復していきます。川鍋氏はスピーチの中で、借金返済の経験から学んだ、結果が出すことの重要性や結果を出す方法について語りました。(TEDxKeioより)

スピーカー
日本交通株式会社 代表取締役社長 川鍋一朗 氏
参照動画
結果だけが、あなたを守る: 川鍋一朗 at TEDxKeio

社長になることを1ミリも疑わずに生きてきた

川鍋一朗氏(以下、川鍋) 今日は「結果だけがあなたを守ってくれる」という話をしたいと思います。私がそもそもここに立っているのは全部この人のおかげなんですね。私の祖父、川鍋秋蔵。1代で、日本最大のタクシー会社を作ってくれました。 私の父、2代目。この2人に私はやっぱりすごく影響を受けたんですね。小さい頃から、祖父も父も、タクシー協会の会長とかやっていたんで、しょっちゅう家に来たんです、タクシー業界の人が。そして来るたびに「これが三代目です」と紹介されるわけです。 そうすると必然的に洗脳されてきますね。自分は三代目だ、社長になるんだと。それを1ミリも疑わずに今日まで来ています。おかげさまで慶応幼稚舎に入れてもらって、普通部、そして大学では体育会系のスキー部に入りました。 大学の時に、私のすごい尊敬する先輩がいて、その先輩は私と同じように跡取りだったんですね。その先輩が「一朗君、僕はね卒業したらMBAに行くんだ」……。MBAか……、かっこいいなって、それでMBAに行きたいと思って、行きました。 シカゴにあるケロッグビジネススクール。その後、やっぱり社長になるには多分コンサルティングの経験が役に立つんじゃないかと思って、マッキンゼーというアメリカのコンサルティング会社に3年ほど働きました。

1900億円の借金が発覚

これで、自分の人生のトレーニング期間が終了。考えられる限りの、自分としては日本交通の社長となる1番良いトレーニングを積んで、いざ本番開始って感じでした。2000年に、29歳の時に、日本交通に入りました。 ちょっと思い違いだったのは、入ったとたんにですね、借金がたくさんあるってことに気づいたんですね。1900億円(笑)。まぁ、100億円超えるとあんまりわかんないですからね。 (会場笑) 何か実感がないんですね。でも、借金を返す方法って、2つしかないんです。ひとつは、とにかく持ってるものを売る。売りまくりました。本社とかね。家とか。ホテルとか。ゴルフ場とかね。私もそこでやっていたスキー場とかね。ピザ屋とかも全部。 まぁ、売るのはいいんです、そんな実は難しくない。難しいのはもうひとつの借金を返す方法、その2。やっぱり会社をうまく回して、利益で返す。会社をうまく回すには、取締役会ってのが大事なんですね。その会社の中の最高意思決定機関ですから。 私も日本交通の取締役会に出るんです。取締役会って、ビジネススクールでは戦略的に激論をかわすところだと……、どんな議論をしてるのかと楽しみに行ったら、経理部長が「今月の売上げはこうでございますので」シーン……。社長である、私の父が「今月は売上げが悪いな、何でだ」「はい、雨でございました」 (会場笑)

会社を救うために子会社を設立

これちょっと、キツいなって思ったんですよね。この会社を変えるのは難しい。だから自分は新しいノアの箱船を作って、そっちを大きくして、そしてこの、沈み行く泥舟を救ってやろうと。そう思って、子会社を作りました。 ミニバンを50台買ってね、英語をしゃべれるドライバーさんを雇って、斬新じゃないですか。こうやって取り上げられたんです、日経ビジネスってご存知ですか。マッキンゼーの時に載りたいって思ってね、3行くらいしか載らなかったのに、いきなり見開きですよ。さすがだよ、俺って。そして結果がこれです。 0510 あんまり読まないでください。最初の月の売上げが11万3000円だった。196万円、231万円、660万円ってどんどん右肩上がりで売り上げが伸びた。スゲーなと。ところが、50人で50台ですからね。コストが数千万円かかるんですよ。毎月。結局毎月2000万円ずつ赤字。1年間で2億100万円の赤字。 さすがにね、最初の3ヵ月や半年は私も、もうすぐこれ良くなりますよと言ってたんですけど。私の周りの人も、この今の良くない会社の状況を救ってくれる人がいるとすれば、この人かもしれない。 まだ若いけど、慶応だし、ビジネススクールだし、マッキンゼーだしと。みんなのほのかな期待が薄れてくるわけです。この人もダメだったって。 (会場笑)

若手を集めての緊急ミーティング

さすがに1年間毎月1000万の赤字を出すとね、人間は素直になります。最後には。どうしよう。でも、逃げるわけにはいかないですよね。しょうがない、今から出来ることをやるしかないなと。 今から出来ることって、いったい何だろう。やっぱり、自分はコンサルティングしかやったことがない、コンサルティングだと。そして、若手に集まってくれって言って、何したらいいか、教えてくれって、ホワイトボードにバーッと書いたんですね。 100個ぐらいあったのを、どれがいいかを自分で考えて、その若者たちと一緒にやろうと言って10個くらいをやったんです。起死回生ってのはこのことですよ。これが私の人生を救ってくれたチャートです。 これは何かっていうと、ハイヤーの売上げなんですね。ハイヤーはタクシーと違って、売上げがバラバラなんですよ。それで、横軸が売上げの大きさ、縦軸が利益率なんで、普通、ボリュームディスカウントなんで、大きいお客さんほど利益率が下がる。こういう赤いラインみたいになるはずなんです。 gazou1 ところが、見ていただくと点がバラバラ。そして、特にこの人たちですよ。 gazou2 右下、すごい売上げ大きいんだけれども、毎月赤字垂れ流しのお客様。これ、まずいじゃない。そして、その若手たちと一緒に行ったんです。このお客さんを「すみません。申し訳ないんですけれども、弊社赤字でございまして。値上げさせてください」8割方値上げさせてもらえました。 やっぱりね、大企業の総務とかわかってるんですよね、だいたい情報持ってますから。チケット安いな。わずか3ヵ月で5000万円くらいの利益がドーンと出たんですよ。ラッキー。 (会場笑)

量をこなすことで有効策が見えてくる

うまくいかないものもあったんです。たとえば、すごい大事だからっていって、交通安全プロジェクトをやったんです。すごい大事なんです。確かに事故減ったんです、去年に比べて。だけど、どうも誰も納得してないんですよね。 「何で?」って聞いたら、「一朗さんに恥かかせちゃいけないから、一生懸命頑張ったんですよ」。つまり、私じゃなくて、我々が頑張ったと。あ、そうか。気づいたのは、どんな大事なネタをやるよりも、結果が出やすいネタをやるってのが大事だと。 0857 そして、その結果ってのは短期間の、しかも全部俺がやったと言える。もうひとつ気づいたのは、いっぺんに10やって良かったっていうことなんです。最初どれが当たるかわからないんです、正直。でも、10くらいやれば、2か3は当たる。 0921 1個を正確にやるより、いい加減っていうか、適当でいいから、とにかくいっぱいやるほうが、大事なんだ。結果が出たら、言いまくらないといけないんです。人生みんな忙しいですから、誰もあなたが何をやってるかなんて、興味がないんです。だから言わなきゃいけない。

タクシー運転手に聞いた、日本交通で働く本当の理由

私がこれをやりました、上手くいった。だけど、すると何が起こるか。必ず批判が出ます。 gazou1 一朗社長はどこまで乗務員を泣かせれば気が済むのかと。 gazou2 たくさん手紙とか、FAXとか来るんです。こういうのをどうするか。 無視します。最初の頃は私も真面目に、2chとかもちゃんと読んでね、これは経営者の勤めだと思ってたんですよ。だけど、オーバーリアクションしちゃうとね、よくない。そのうち、こういうことを言ってる人がいますけど、そうじゃなくてこういう意味なんです。だとか、社長誰もそんなこと思ってないですよって言われて。あ、そうかと。 めげずにコミュニケーションをしまくります。最近はメールとかで。地球温暖化を防ごう、クールビズね。そうすると、こういうのが書いてあります。「イチローちゃん。貴方が一番暑苦しい」「日本交通あなたがいなければクールビズ」 (会場笑) おっしゃる通り。すごく思ったんです。何でこの人たちこんなに斜に構えてるんだろうって。東京駅に行って、300人の並んでるタクシーの運転手さんに聞いたんです。何で皆さんはタクシーをやってるんですか? やっぱり、時間がある程度自由になる、運転が好きだ、そういうのがくるかと思ったんです。 ダントツ1位は、他にやることがなかったから。なるほど。続いて聞いたんです。何で今の会社に勤めてるんですか? 大手だから、社長がいいから……何てことはない。ダントツ1位は、家に近かったから。 gazou21 2番目は知り合いがいたから。やっぱり、こういう人たちがね、ハートをグッと掴むにはどうしたらいいかわかったと。俺も運転しようと。実際、1ヵ月ですけどハンドルを握って街に出て、色々わかりました。

結果だけがあなたを守ってくれる

でも、そこで私が1番得たのは、社員からの共感だったんじゃないかと思います。是非みなさん、慶応、素晴らしい。でも関係ないです。ビジネススクール、マッキンゼー、何代目とか、関係ないです。 今あなたがいる場で、これから皆さんが入る場で、どれだけの結果がちゃんと出せるか、人はそこしか見てないですね。結果だけしか、あなたを守ってくれない。だから何とか結果を出しましょうと。 そのためにいきなり大事なことってね、やると真面目過ぎてダメなんです。大事かよりも、結果が出やすいかどうかってことをやってく。しかも、たくさんやってください。どれか当たります。当たったものを、キチンと言うんです。アピール。当たらなかったらね、黙ってればいいんですよ。 (会場笑) たまに蒸し返す人がいるんです。あれ、ダメだったじゃんって。そういう時は嘘ついちゃうんです。あ、おっしゃる通り、上手くいかなかった。それ以上、人は突っ込んで来ません。
皆さんも是非とも結果を出してください。エンジョイですね、人生を楽しく生きたいと思います。
私も最近こうやって楽しんでます。 (AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』を踊りだす) 1340 ということでね、続きはYouTubeで。今日はどうもありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
この話をシェアしよう!
シェア ツイート はてブ
「重要なことよりも、結果が出ることをやれ」 日本交通・三代目社長が、1900億円返済の過程で得た経営哲学とは?

編集部のオススメ

おすすめログ

おすすめログ

人気ログランキング

TOPへ戻る