人間の感情を入れない、システムトレードの強み

大橋ひろこ氏(以下、大橋):では、後半は中原さんに、システムトレードについて伺っていきたいと思います。シストレを知らない方も多いと思いますので、どのようなことをやっているのか教えてください。

中原良太氏(以下、中原):システムトレードは、個人の感情や判断を一切入れない取引手法のことを言います。

大橋:注文も自動で行うんですか?

中原:自分で発注して、約定(※売買が成立すること)したか約定してないかを全部確認しています。

カグラ氏(以下、カグラ):僕も自動だと思っていました(笑)。

中原:FX(外国為替証拠金取引)などは自動売買が流行っていますので、自動売買をされている方はたくさんいると思いますけど、株では基本的に自分で発注してやっていく感じですね。

大橋:「個人の感情や判断を一切入れない」ということですが、例えばどのような感情が邪魔になるんですか?

中原:実際にどうやってシステムを作るのかというと、たくさんの株価データを集めてくるんです。

天気予報を想像していただくとわかりやすいと思うんですけど、あれは過去の天気図を大量に集めてきて、「この天気図では雨が降った」「この天気図では晴れになった」というデータを大量に集計して、確率論で出しています。

僕は株でまったく同じことができたらおもしろいなと思って、似たような形のチャートを大量に集めて、「このようなチャートは100枚のうち60枚の株価が上がった、40枚の株価が下がった」という確率を調べて、勝ちやすいときに買う、勝ちづらいときには買わないと判断しています。これがシステムトレードの基本ですね。

約3,500銘柄のデータ20年分を分析

大橋:株価のデータが重要ということですね?

中原:そうですね。なので今は、全市場の3,500銘柄ぐらいと上場廃止になった銘柄も含めて20年分のデータを集めて、パソコンに計算させて、僕はのうのうとテレビを見ています(笑)。

大橋:テレビを見ている間に、パソコンが銘柄を選んでくれる!?

中原:計算してもらって、「今、買い時の銘柄どれ?」と探してもらっています。

あとはシステムトレードの一番わかりやすい例は月ごとの成績なんですけど、例えば、相場は12月の初めから翌年の4月末までがものすごく上がりやすい傾向があります。逆に、5月1日から11月末まではものすごく下がりやすい傾向があります。

大橋:ウォール街には「5月に売れ」という格言がありますよね。

中原:データ上でも本当にそうなっていて、これは一種の傾向なんです。こういう傾向を細かく調べていって、より正確なタイミングを決めて、「何月に株を買って何月に売る」「何パーセント株価が下がったら買い時」ということを調べていきます。

Yahoo!ファイナンスの株価予想

大橋:中原さんはYahoo!ファイナンスの株価予想で去年2016年、1位を取られています。推奨銘柄を書かれているところに、「値動きが似た株を買った場合、約54パーセントの確率で値上がりし、1取引当たり約0.2パーセントの利益につながりました」というすごく難しいコメントが書いてあるんですけど、これがシステムトレードで出た検証結果ということなんですか?

中原:そうですね。僕は毎日Yahoo!ファイナンスで予想記事を書いているんですけど、10年とか20年のデータを集計して、毎日一番おすすめの6銘柄を出すように設定してあります。条件式については詳しく言えないんですけど……。

大橋:やはり、どのような条件でパソコンにプログラムを検証させるかが肝なんですね。そういう検証のためのアイデアはどこから見つけてくるんですか?

中原:僕は3通りやっていて、まずは本を買います。例えば「このチャートは買いだ!」とか「このチャートは売りだ!」と偉そうに書いてある本がたくさんあるじゃないですか?(笑)。

大橋:……いろいろありますよね(笑)。

中原:そのチャートを本当にそのまま使って「はたして利益が出るのか」ということをまず調べています。

ほかには自分が実際に取引して痛い目を見て、「こういう銘柄は取引しないほうがいいのかな。ちょっと調べてみよう」と思います。例えば、アベノミクス以降では、派手に上がって派手に落ちていくという動きをする銘柄がたくさんあったり。そういう銘柄は、過去のデータにはなかったんです。

大橋:派手に上がって派手に散るって桜みたい(笑)。

中原:システムトレードは僕が指示したとおりに銘柄を探してくるので、指示が間違っていたらぜんぜん買いたくない銘柄を探してきてしまいます。なので、「どうしたらそういう銘柄を買わずに済むかな?」と日々考えています。

大橋:相場を見ていて、「新しい発見があった、疑問が生じた、では過去はどうだったのか検証してみよう」とスクリーニングしていくということですね。

中原:あと最後は、とりあえず当たりも何もつけずに、がむしゃらに調べてみる。例えば「この株は何月に上がりやすかったのかな?」と全部のデータを調べて、「2月だったのか」とわかったら、「この検証結果は本当に使えるのかな?」と後から考えます。

大橋:その株のクセを検証することもあるんですね。では銘柄をセレクトしてもらうだけではなくて、「この株はどういう戦略がいいか」と検証するプログラムもあると。

中原:そうですね。

相場が下がってきた時に狙いたい銘柄

大橋:今はどういう株がおもしろいでしょうか? 大型株がしばらく動かなくて、中小型株が動いていたりしますよね。

中原:今は相場落ちてきているので、僕はディフェンシブ株の逆張りを狙いにいく時期ですね。ただ、相場が落ちたときの逆張りはものすごく危ないんです。

「こんなに下がるか……」というぐらい下がって、逆張りは「ナイフを掴むような取引手法」と呼ばれています。そこで下げ止まりやすい銘柄というのは、やっぱりディフェンシブ株なんです。

例えば、鉄道とか。電力は震災時にいろいろあったのでデータ的に難しいんですけど。あとは化学系。プラントを持っているようなところは大きな資産を持っているので、なかなか株価が下がりづらかったり。そういうところを狙いにいっています。

大橋:一定の企業価値があるということですね。

中原:そうですね。もう下がりようがないという。

カグラ:優待株はあまり見ないんですか?

中原:優待株も見ます。優待株にも傾向があって、優待がある3ヶ月前ぐらいから株価が上がるんです。

カグラ:確かに。

中原:優待株の中でも、できればチャートが右肩上がりのものですね。最近までずっと上がってきた銘柄がさらに続伸することが多いので、3ヶ月前から注目し始めたり。まあ万が一下がってしまったら優待をもらえばいいじゃないですか(笑)。

大橋:そうですね(笑)。

カグラ:決算書や業績を分析する、ファンダメンタル分析はまったく関係ないんですか?

中原:ほぼ関係ないですね。チャートだけでやっています。決算書を分析するときは、決算の内容よりかは、決算が発表されたあと、その結果がチャートにどう織り込まれていくのかを研究することがあります。

大橋:プログラムの中には、普遍性の高いものとか、逆に使えなくなったものもあると思います。システムはけっこう入れ替えるものなんですか?

中原:ぜんぜん入れ替えないものもあります。例えば、リーマンショックの時のように、相場が暴落したときに株を買い付ける戦略があって、勝率がだいたい8割~9割ぐらいです。

大橋:勝率高いですね。

中原:高いんですよ。そういう戦略はリーマンショックを超えるものが来ないかぎりは大丈夫です。

大橋:あれは100年に一度と言われていますからね。

シストレの基本は「買いたくない銘柄をさっさと売る」

大橋:中原さんは、ご自身でもトレードされているんですよね?

中原:最近はYahoo!ファイナンスで毎日記事を書いているので、株価操縦になってしまうかもしれないと思って、止めています。

大橋:推奨銘柄の「何パーセントで上がる」という確率は出ていると思うんですけど、その後の利食いと損切りについては、基本的にどのように考えていったらいいんでしょうか?

中原:システムトレードでいろいろ調べて、複雑に考えてきたんですけど、結局今はシンプルな答えに行き着いていて、「買いたくない銘柄をさっさと売る」というのが基本だと思っています。

例えば、下がっている株を買うのが逆張りの手法なんですけど、逆張りでは下がっている株を買うから、上がったら売らなければいけないんですね。逆に、順張りは上がっている株を買うので、下がったら売らなければいけない。

そういう「買いたくないときに売る」ということをすると、システムトレードでは成績がよくなる傾向がありますね。

大橋:システム的に「何パーセント利益が出たら確定する」ということは考えないんですか?

中原:(利益確定のタイミングを)パーセントで決めることはほとんどありません。その代わりに「チャートがこういう形になったら売る」と明確に決めています。

例えば、トレンドが崩れたとか、逆張りが落ち着いてしまったとか、終値が移動平均より上になったら売る、下になったから売るということが多いです。結局、利益確定や損切りのパーセントというのは、自分の都合で決める数字じゃないですか。

大橋:確かにそうですね。

中原:なんとなく「10パーセントいったら満足かな?」と決めるものなので、そこのデータをとってもあまり有効ではないんです。

大橋:よく「株の教科書」みたいな本に「何割まで損失が出たら切りなさい」とか書いてありますよね。

中原:相場は僕らの都合に合わせて動いてくれるわけではないので、相場に合わせて取引するほうが現実的かなと思います。

システムトレードに自分の裁量を入れてしまうと、僕はものすごい弱虫なので、少し値動きがあっただけで心が折れてしまうと思います。「システムが間違ったんだったらしょうがない」と思えばそこは割り切れるので。

得意な銘柄を見つけて“クセ”を探してみる

大橋:お二人のトレード手法についてうかがってきましたが、会場のみなさまが明日から「ちょっとやってみよう」と思えるようなアイデアをいただけますか? 

カグラ:僕の場合は、1日のうちに1つの銘柄がどういう動きをするのかということをすごく考えています。

例えば、僕は今、KLabというゲーム会社の株を見ているんですけど、欲しい人がいるから、下がって始まったときには戻す力がかなり強いんですね。上がり始めてしまうと、そのクセが通用しないので見送るんですけど。なので、得意な銘柄を1個見つけて、1日の動きのクセを記録につけていくのが大事かなと思います。

大橋:やはり値動きが大きいのは、今だったらゲームセクターがいいんですか?

カグラ:今は正直「ゲームセクターがいい」とは言いにくいです。実際の決算が悪かったものがあまり株価を戻していないので。ただ、そういった特徴的な銘柄は常に出てくるので、何かしら見つけるといいかなと思います。

例えばビットコイン系だったり、Twitterを遡ると盛り上がっている銘柄は見つけることはできるので、まず小ロットから始めてクセを研究するのが大事かなと思います。

中原:最初は試験期間になることが多いんですか? この銘柄のクセをつかめるまでは経過観察するというか。本腰を入れて取引を始めるまでは、やるとしても小さくとどめるみたいな。

カグラ:僕の場合は順張り型で、まず日足のいい銘柄を見つけるんです。日足が5日線に沿ってきれいに上がるような。あまり急すぎるとダメなんですけど。日足がきれいな動きをする銘柄は、分足を見ていても「このぐらい下がったらこのぐらい上がる」というパターンができやすいんです。

中原:システムトレードを使わないで活かせそうなヒントを考えるとすると、カグラさんは基本的に上がっている株しか買わないですよね。

カグラ:そうですね。

中原:取引手法としては順張りか、上がっているときに少し下がったタイミングで買う「押し目買い」がほとんどだと思います。実はこの取引法はけっこう安全なんです。過去の統計データを取ると、ずっと下がっている株を安く買うと……。

大橋:もっと下がるかもしれないですね。

中原:(逆張り投資のような)そういう買い方をすると、失敗したときに大負けするというデータが出ています。なので、より安全にいきたい人はそういう銘柄ではなくて、基本的に1年とか2年ぐらいの期間で見て、着々と上がっている銘柄から選んだほうが安心してトレードできると思います。

決算発表が株価に与える影響

大橋:ありがとうございます。今日は事前に質問も集めていますので、いくつかご紹介してお答えいただきたいと思います。

「決算発表の結果がよくても翌日株が下がったり、逆に結果が悪くても株価が上がったりするのはなぜか教えてください」という質問です。

大橋:なぜでしょうか?

カグラ:なるほど(笑)。これは僕の永遠のテーマなんですけど……。例えば最近でいうと、サイバーステップというゲーム株が、1月に600円ぐらいの株価だったのが、決算手前で8,000円になったんですね。

大橋:夢のテンバガー銘柄(株価が10倍に膨れ上がる銘柄)ですね。

カグラ:そうですね。それで決算でもいい数字が出たんですけど、来期の業績予想が悪いという理由でストップ安になって、今はもっと安くなっています。

この場合は、ひと言で「出尽くし」という言い方になってしまうんですけど、「決算の期待以上に買われていたかどうか」ということがまず1つあると思います。

大橋:期待値に対して、株価がどこまでいってしまったのかと。

カグラ:決算内容自体は悪くなかったけれども、上がりすぎてしまった。

大橋:これはやはり投資家の永遠のテーマということで、決算前後にポジションを持ち越すのはリスクが高いかもしれないですね。

カグラ:自信があればいいんですけどね。

大橋:カグラさんは、決算またぎで持つことはあるんですか?

カグラ:僕は稀にありますね。例えば、サイバーステップという銘柄が下がって、ドリコムという銘柄が下がって、ゲームセクターの期待値が一気に下がってかなり叩き売られたときでも、自分が自信のある銘柄だけは持ち越せるので、その時はKLabの株を持ち越していて多少利益が取れました。

大橋:周りの期待値が下がってしまっているから、逆にいいこともあるという考え方ですね。

カグラ:そうですね。

感情のコントロールはどうしてる?

大橋:続いて、私がちょっとおもしろいなと思った質問です。「感情のコントロールを行う方法を教えてください」という質問をいただいています。

中原:コントロールできてますか?

カグラ:僕は正直できてませんね(笑)。

大橋:お酒に逃げたりします?(笑)

カグラ:お酒に逃げることはないんですけど、とりあえず寝て忘れようとしています。

中原:寝られるんですね。

カグラ:怒っても泣いても負けた額は変わらないので、寝るしかないと諦めています。

大橋:中原さんはどうしてますか? でも、シストレだから……。

中原:そうですね。僕は感情に左右されたくないからシステムに頼っています。

大橋:そうですよね。

中原:ただ、裏目裏目に出て5連敗とか10連敗してしまうと、やっぱりモチベーションは下がります。

大橋:そういう時はどうするんですか?

中原:そういうときは、とことん勉強するようにしていますね。負けたのは自分が悪いからだと思うので。

大橋:普通は逃げるんですけど、逆に燃えるタイプ?

中原:そうですね。負けたらけっこう燃えるんですよ。もちろん感情的にはなっているんですけど、そういうときは夜通しずっと勉強しているとか、相場の分析に時間を使っていますね。

大橋:二度と同じ失敗はしたくないと思うタイプですね。

カグラ:投資をやっている人って負けず嫌いな人が多いですよね。周りが稼いでいるときに、自分も頑張らなきゃという思いは常にあります。

Yahoo!ファイナンスの買い予想と売り予想の出し方

大橋:せっかくなので、会場のみなさんからもご質問を受けたいなと思います。何か聞きたいことがある方はいらっしゃいますか?

質問者1:中原さんに質問があるんですけど、Yahoo!ファイナンスで「今日はこんな銘柄がおすすめ」とか「この銘柄と似た銘柄を買ったら54パーセントの確率で値上がりした」という予測を出していますよね。この予測は具体的にどういう手法でやっているんですか?

中原:ものすごくシンプルで、そんなに凝ったことはやっていません。僕は基本的に、曜日によって使い分けています。

相場は火・水・木・金曜日には逆張りの傾向がものすごく強いんですね。月曜日に下がったら火曜日に上がる。火曜日に上がったら水曜日は下がる。水曜日に下がったら木曜日は上がる。木曜日に上がったら金曜日は下がると。

逆に週明けの月曜日は、順張り傾向がものすごく強いです。上がった株がもっと上がる、下がった株がもっと下がるという傾向がものすごく強いので、まずはその曜日によって使い分けています。

買い予想では基本的に大型株の予想しか出していないです。けっこうYahoo!ファイナンスの記事を見て株を買う方が多くて、実際に株価が動いてしまったりすることもあるので、そういうことが起きても大丈夫なように、本当に大型株だけを予想して、できるだけ直近の値下がりが激しい銘柄を狙っていくという感じです。

売り予想は、空売りできない銘柄の売り予想が多いので、「ちょっと上がり過ぎじゃない?」という株がそろそろ下がるかもしれないという意味で、危険性が高い銘柄を売り予想で出しています。説明になりましたかね?

質問者1:勉強になりました。ありがとうございました。

システムトレードと株式投資の相性

大橋:ご質問ありがとうございました。ほかに質問したい方はいらっしゃいますか?

質問者2:個別株の情報を集めてシステムトレードをしていらっしゃると聞いたんですけど、FXや先物でも同じようなことができると思います。

例えば、先物だったら出来高も多いので、統計が取りやすいかと思うんですけど、個別株にする理由があったら教えてください。

中原:そもそもシステムトレードというのは、FXや先物が皮切りだったんですね。そちらが先で株が後なんですよ。株のシステムトレードって、今でもものすごく遅れているんです。

中原:ただ、先物は商品数が少ないので、統計のデータを取るのがすごく大変なんです。株の場合は銘柄数がものすごく多いので、そこまで複雑なことをやらないシンプルな取引手法でもけっこう利幅が取れたりします。

なによりもとの選択肢が多いので、シグナルが出やすい。そういう意味ではFXや先物と比べても強いところがあるのではないかなと思っています。

質問者2:ありがとうございます。

大橋:ご質問ありがとうございました。ほかにいらっしゃいますか?

高値更新時の損切り・利確のタイミング

質問者3:ゲーム株などで高値更新になっていると、高値づかみで最終的に切ってしまうことがあります。どこで買ったらいいのか、損切りしたらいいのかという目安があったら教えてください。

カグラ:まずエントリーのときにどういう理由で入ったのかということが1つあります。例えば、高値更新で入って、その日の終値が高値更新の値で終われなかったら切るとか。イグジットがすでに決まっている状態で入るべきかなと思います。

僕の場合は15分後とか1日後のイメージを作っていって、「自分のイメージと違うということは自分が間違っていた。だから切る」という考えがあって入っています。

中原:お尻を決めてから入るという感じですね。

中原:僕がマザーズで狙うときは、押し目とかちょっと下がったタイミングを狙うか、順張りで高値更新のタイミングを狙うかなんですけど、入り方によって出方も変わってきます。

押し目とかちょっと下がったタイミングで入った場合は、少し上がっただけですぐに利確してしまいます。逆に、上がっているときに入った場合は、下がったときに出ます。高値更新の場合は、5日線を割り込んだとか、そういうタイミングで出ることが多いですね。

著名投資家のトレード環境

大橋:ご質問ありがとうございました。そろそろお時間も近づいてきたんですが、最後に!先ほど休憩の時に、トレード環境について、「モニターを何枚使っていますか?」というご質問がありました。こちらはいかがでしょうか?

カグラ:今、モニターは全部で4枚です。デスクトップで3枚使っていて、ノートパソコンで1枚使っています。

何を見ているのかというと、ふだん自分がメインで売買している30銘柄の情報。あとは全体把握という意味で、日経平均が上がっているのかとか、為替が下がっているのかという分足が別の画面に出ています。あとはランキングやTwitterが別の画面に出ていますけど、実際はそんなにいらないと思います。

大橋:見ているのは、全体がわかるインデックスとウォッチしている銘柄リストとランキングぐらいなんですね。

カグラ:そうですね。結局、興味があるのは、自分が持っている銘柄が上がるか下がるだけだと思うんですよ。本当はそこしか重要じゃないんだけど、「日経平均が下がりそうだからこれをやろう」とか「上がりそうだからこれをやろう」という付加価値をつけようとして、逆に意味のないことをしてしまうこともあります。

大橋:なるほど。中原さんのトレード環境はいかがですか?

中原:かっこいいことを言いたいんですけど、普通の家なのでノートパソコンにディスプレイをつないで、2つの画面でやっています。分析結果をExcelでまとめて、もう1台で計算してもらうという感じです。ディスプレイが1枚増えると、作業効率が3割上がるという話もあるんですけど。

大橋:今後はもっと増やす予定ですか?

中原:1個でいいかな(笑)。4枚あっても僕は見きれないので。

大橋:システムトレードは、張り付いて情報を見るというやり方ではないですからね。

中原:そうですね。腰を据えて淡々と分析することが多いので、どちらかというと、目が疲れないようにディスプレイの色の具合を調整することが多いですね(笑)。

大橋:ありがとうございます。そろそろお時間が近づいてきました。今日はまったく取引のスタイルが違うお二人にトレード手法を教えていただきました。カグラさん、中原良太さんに大きな拍手をお送りいただければと思います。

(会場拍手)

マネックス証券「トレードステーション」の最大の売り

山田真一郎氏(以下、山田):みなさま、こんばんは。マネックス証券トレードステーション推進室の山田でございます。

本日はお忙しいところ、また暑い中、イベントにご参加いただきまして、誠にありがとうございました。最後にマネックス証券の日本株取引ツール「トレードステーション」のご案内をさせていただきます。

すでにご存じの方も多いかもしれませんが、「トレードステーション」はかなりレベルの高いトレードツールだと考えております。

簡単なイメージでいうと、いわゆる機関投資家など、プロの方が使うツールと我々マネックス証券を含めた一般の証券会社が提供してきたツールの間にあるような、高度なこともできる、比較的使いやすいツールだと考えております。

まず代表的な特徴は、銘柄がたくさん見られることです。トレードにおいて重要なのは、おもしろい銘柄・投資機会がある銘柄を発見することです。トレードステーションでは、最大2,000銘柄を一斉にご確認いただくことができます。 通常のツールの場合、多くても300銘柄程度ですので、これだけ見られるということは、それだけチャンスに出会える。「この銘柄がすごく売られてる」といった場面に遭遇できるということでございます。

例えば、画面の右下を見ていただくと、業種の中で上がっている銘柄と下がっている銘柄がわかります。

こちらはたまたま小売業というわかりやすいものを出しておりますが、その場その場のテーマで「この銘柄はけっこう値上がりしているのに、この銘柄はちょっと売られているな。これはチャンスかもしれない」というものをすごく簡単に発見できます。

また、最大で2,000銘柄が登録できますので、ちょっとでも気になった銘柄を登録しておけば、おもしろいチャンスに遭遇できる可能性があります。

「トレードステーション」の機能の特徴

しかし、ただ銘柄を見つけるだけでは意味がありません。例えば、過去に取引した銘柄、「この銘柄はこういう場面でよく上がったけど、ここからの上値は意外と重かったな」とか、「よくわからない売りが出て、なかなか上がらなかった」とか、そういう記憶があるかと思います。

我々の「トレードステーション」では、気になる銘柄の株価データを日中の値動きも含めて分析していただけます。

日足にいたっては、バブル崩壊後からの約26年分見られますので、「この銘柄にこんな高値があったのか」ということを見ると、おもしろいなと思っていただけるかなと思います。

また、ただデータがあるだけではなくて、さまざまな分析手法を使えます。移動平均線やボリンジャーバンド、パラボリック、あるいはボリュームレシオ、さまざまテクニカルチャートが表示できますので、「この銘柄はこういうクセがありそうだな」というのをテクニカルを使って見ていただくことも可能でございます。

多くの会社のツールの場合、移動平均線は5日線と20日線だけなど、決まっていることがあります。「トレードステーション」では、そのような制約はまったくなく、好きな設定で何本でも作れます。また、色やチャートの太さをすべてカスタマイズできるので、自分にとって本当に見やすいチャートができます。

また、過去のチャートが見られるということは、例えば、2016年のアメリカ大統領選挙の時にどのような株の動きがあったかということを、実際に日中の値動きを見て確認できるということです。

取引チャンスを見つけて、しっかり分析していただけたとしても、実際の注文に活かせないとやはり意味はありません。このトレードステーションというツールは、注文にもかなり力を入れております。

今「板注文」というものを見ていただいています。これは板を見ながら「この板がチャンスだ!」と思ってすぐに注文が出せる非常に優れた注文機能です。

しかも、ほかの会社のツールとは違って、シングルクリックでもダブルクリックでも注文を出せます。間違えて注文することが多い人はダブルクリックにしたほうがいいですし、とにかくスピード重視の方はシングルクリックにするといいと思います。

また、リアルタイムに動く板を実際に分析して、今いくらぐらい注文が出ているかを見ていただくことも可能でございます。

しかも「トレードステーション」は注文を処理するサーバを極めて高速にしております。

ほかの会社さんと比べても約4倍近いスピードで取引所に発注するので、実際に注文を出していただいた方は、板乗りのスピードがぜんぜん違うことをご体感いただけるかと思います。

Twitterを活用した新機能をリリース

もともと非常に優れたツールだと思うのですが、取引環境は日々変わってまいります。我々の「トレードステーション」のツールも、それに合わせて新しい使い方や機能を提供していかなくてはならないと考えております。

こちらは明日(2017年8月24日)からリリースするのですが、「SNSビューア」という、Twitterに出てきた銘柄をすぐに注文に移行できるようなツールを開発いたしました。

今はTwitterがなくては株の情報収集ができないという状況になってきていると思います。そのTwitterの情報を、実際に取引につなげていただけるツールです。

また、「トレードステーションは少し難しい」という方もいらっしゃいますので、「簡単発注アプリ」というものを作りました。

ほかにも、さまざま研究者さんとも協力して、これまでにないようなチャートや投資判断のための指標を準備しております。

これからもトレードステーションは、みなさまのトレードを大きく変えられるようなツールになってくるだろうと考えておりますので、いろいろな場面で使っていただいて、ぜひトレードステーションでのお取引をご検討いただければと思います。

ご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。

(会場拍手)