VRコンテンツ、マネタイズの舞台裏

三上昌史氏(以下、三上):みなさんこんにちは。三上と申します。今回は、「VRビジネスのマネタイズの本音を語る」というところでお話させていただこうと思います。

当社はもともと映画やアニメのプロモーションをやってる会社です。その中で、VR向けのアプリケーションを事業化してやっていこうということで、今年の1月からGugenkaというブランド名にて事業化してスタートいたしました。

Gugenkaのメンバーは現在8名で、かなり小規模でやっております。

VR事業なんですが、本体のシーエスレポーターズでは受託開発をしておりまして、Gugenkaでは自社発信のアニメ系の3DCGVRアプリの販売を中心にやっております。

動画系のVR、実写系VR、CG系のVRなど満遍なくやっていますので、ある意味開発者目線だったりコンテンツを配信するデベロッパー目線。このどちらも持った上でお話できるので、受託の上での話、それからデベロッパー向けの話をできればと思っております。

コンテンツを握手会方式で運用

当社はVRを始めて数年経っているんですけど、本格的に事業としてやり始めたのが2016年です。いくつかわかってきたことがありますので、みなさまのご参考になればと思っています。

まず、B to C向けのVRの販売のところで気づいたやり方がいくつかあります。1つが、「イベント利用」です。当社はアニメのVRをいくつかやっているんですが、今までのお話にもあったように、VRって回転率がすごく悪いんですよ。1時間とか2時間待ちになったとしても、蓋を開けてみると、1日やっていただいている数が120人とか130人みたいなことが多々あります。

そこでちょっと思いついたのが、アイドルの握手会みたいな感じで抽選にしてしまおう、ということです。アイドルが歌って踊るアニメ作品で「彼らと握手会ができますよ」というものをイベントで提供しています。

こちらどういうビジネスモデルかと言いますと、例えば、商業施設で3,000円以上のお買い物をしていただくと、このイベントの参加抽選券がもらえます。その抽選券で応募をいただいた方の中から、抽選で数百名だけが体験できる。そういう内容になっています。

抽選形式になるので、非常にマネタイズがしやすい。我々からは、利用料というかたちでB to Bで収益を上げているビジネスモデルになっています。

ネットカフェやアプリでの展開も

これはファンのみなさまにかなり喜んでいただけまして。催事で利用していただいた場合、体験できる人がかなり人数が少ないので、プレミア感が増すんですよね。体験できた人というのは、すごく嬉しいと感じていただけました。

「ウギャー!!」みたいな感じで女の子たちが喜んでくれてまして(笑)。大成功といえるかなって思っています。そして、次の展開としてアミューズメント施設さんだったりネットカフェさんで、「500円払えば必ず会えますよ」という展開もやっております。

イベント利用とアミューズメント施設さん、ネットカフェさんを組み合わせてれば、今まででイベントに行けなかった地方の方でもネットカフェがあれば見れますよと。2段構えでやってるような感じになってます。

また、スマートフォンアプリも発売しております。みなさんがお持ちのAndroid、iOSのスマートフォンでアプリもできますよ、というようなものをやっております。

操作性がけっこう難しいので、本来であれば、ぜひ購入していただいて、長い時間を使って楽しんでいただければと思っています。

かなりレビューの評価も良くて、みなさんに星5を付けていただいています。4も3も2も1もなくて、5しかない。それだけファンの方たちに喜んでもらえているので、アニメコンテンツに特化してやったのは、非常に正解だったかな、と思っています。

今の話のまとめです。1番最初はイベントで抽選式にしちゃいます。そして、首都圏の数カ所でしかできませんと。そのあとに、全国のネットカフェさんとかアミューズメント施設さんでできますよと。最後はスマホアプリで発売して、誰でもどこでもできますよ、という4段構えで展開しております。

やはりVRはなかなかマネタイズが難しいので、こんな形でマネタイズできるポイントを増やしていくのが1つ、私たちがやっている中では良いかたちだったかなと思っています。

『Re:ゼロから始める異世界生活』VRの裏話

当社が得意にしているところですね。こういったアニメ表現の3DCGを自社でやっています。これは、『Re:ゼロから始める異世界生活』、通称『リゼロ』と呼ばれるアニメです。こちら、ライセンスアウトしていただいて、VRを我々が開発させていただきました。

一見イラストに見えると思うんですけど、これもCGで、当社で作っております。これはスマートフォンVRで今発売しているんですけども、アプリの総合有料ランキングで最大で9位までいきまして、なかなか好調です。

どういうコンテンツかと言うと、レムという女の子に膝枕してもらうという、ただそれだけのVRになります(笑)。

膝枕編、添寝編と2つにわけて960円というスマホアプリとしてはなかなか高い金額で販売しているのですが、それにも関わらず2つ買っていただけて、なおかつレビューも4とか5をつけていただいています。

「なるほど」と。やっぱりキャラクターに会えるというのは、それだけ価値があるんだな、というところを気づかせていただきました。

“あえて”寝る時専用に

もう1個、我々気づいたことがあります。僕もユーザーさんの視点を学ぶために、日頃からプレイヤーとしてVRをやるようにしています。そこで気づいたことがあるんですが、VRってとにかく面倒くさいんですよ。付けるのもすごく嫌なので、ちょっと見ようと思ったときにフッと付けることができないんですね。なので、電車に乗ってて時間があるからVR付けるとかってありえないですもんね。

そういうことを考えたときに、この『リゼロ』のVRがすごくうまくいったなと思っているんですけど。「プレイする瞬間」を限定したんですね。「寝るときに見てくれ」というコンテンツにさせていただきました。彼女たちが言ってくれる言葉も、最後に「おやすみ」って言ってくれるんですよ。そうすることによって、「これは寝るときに見るんだよ」と。

そういうコンテンツにさせていただいたので、ユーザーさんに対しても、いつやればいいゲームなのかを、あえて限定しました。寝る前に付けて、なんなら付けたまま寝てください、という感じにさせていただきました。

「そんな人いるのかな?」って思ったんですけど、意外といまして。これもぜひみなさん検索いただきたいんですが、Twitterとかで、「レムの膝枕の添い寝のVRしてたら、そのまま寝ちゃって、朝起きたらVRゴーグル付けてました」みたいな人がけっこういらっしゃって(笑)。あ、いるんだ! みたいな感じになったんですけど。

こういうかたちで、VRが現状持っているマイナス要因は、アイデア次第で乗り越えられるのかなと思います。國光社長がおっしゃっていたように、1、2年してしまえば、この面倒くささも解消されていくとは思うんですけども。

今すぐどうにかしたい、いろいろチャレンジしたいと思った結果、アイデアを考えて、わりと成功した事例かな、なんて思っております。

これが結果のスクリーンショットです。先ほど9位と言いましたが、10位でしたね。すみません。ただ、総合ランキングで10、11位とか。こんな感じでなかなか上位に食い込んで。レビューも星5がけっこう並んでおります。

非ゲームでも高評価。すごいですね(笑)。ありがたいお話なんですけど。これも我々がどうのこうのというよりは、アニメのコンテンツ自体にすごく人気があったというところが大きいと思います。とはいえユーザーさんにマッチした、望んでいるものをうまく表現できたかなと思っております。

開発機材も簡単にご紹介したいと思います。当社では、アニメ的な表現はなるべくうまくやりたいなと思ってまして、光学式とまでは言わないんですけれど、MVNというモーションキャプチャの機材だったり、Dynamixyzっていうフェイシャルキャプチャの機材を入れて、収録製作しております。

さらにいろんなアニメのコンテンツも中心にやっていこうと思っております。

工夫次第で十分なマネタイズは可能

これからはSteamで販売したり、プレイステーションVRもやってたりもするので、販売チャネルをどんどん増やしていって。1回作ったものをそれで終わらせるのではなくて、いろんなところでマネタイズできるようなチャレンジをしていければいいと思っています。

今スライド見たら「以上」って書いちゃってて、終わっちゃったと思ってしまったので(笑)。ちょっとスライドにないところで補足したいと思ういます。

せっかく作ったデータのやり方としては、今までのお話にもあったみたいに、これからはARとかMRとか、ホログラムみたいなものもかなり来ると思ってます。当社でもARキットを試しにやってみたりとか、HoloLensをやったりとか、Tangoやったりしています。

バーチャル空間だけじゃなくて実空間にキャラクターがいたら、僕はすごく嬉しいなと思うので、部屋の中にキャラクターがいるような展開というのもできると思います。

さっきほどお話した123の4段構えの次は、「部屋にも来るよ」みたいな。5段構えみたいな感じでマネタイズポイントをしっかり作っていければ、こういったビジネスも2年3年後の技術革新の前に、今の段階からでも収益は上げられるんじゃないかなと思っております! 以上です。

司会者:ありがとうございます。

三上:ありがとうございます。

(会場拍手)