植物が開花するときなにが起こっているか

ハンク・グリーン氏:北半球に春がやって来たということは、色とりどりの花があちこちで咲き乱れる季節がやって来たということです。チューリップ、ラッパズイセン、クロッカス、とにかくいろいろな花が咲きます。

あー今年も咲いたんだね!

長年に渡って植物学者たちは、開花の時期に植物の中で何が起こっているのかを解明しようしてきました。植物はカレンダーを持っているわけではありませんし、花を咲かせる時期をどのようにして知るのでしょうか?

答えは4月の雨だけでなはなさそうです。だいぶ以前から、植物は日光と温度に反応するようだとわかっていて、科学者たちは、それがどうにかして花を刺激するのだと思っていましたが、その過程が実際にはどのようなものかはわかっていませんでした。

しかし、科学者は葉や茎を通うなんらかのホルモンが関係しているのではないかと考えました。その仮定されたホルモンは「フローリジン」と呼ばれています。

最近になって、研究者は開花に関する遺伝子の活性化と不活性化の関係を解明し、開花とその時期には何千もの遺伝子が関わっていることがわかりました。

植物の葉は、小さな化学工場のようなもので、気温や日の長さによって変化し、それがどの分子が活性化遺伝子を送り出すのかに影響します。この分子の中の1つは特殊なRNAで細胞の中に存在し、遺伝子からタンパク質を作り出すのを助けます。

この伝達役のRNAはフローリジンの謎の裏の立役者であることがわかりました。フローリジンは、葉から植物の新芽が出る茎の先端にある分裂組織へと流れます。

そこから、「リーフィー」や「アペタラ1」などのマスター遺伝子へ「春が来た!」という重要なメッセージを伝えます。

これらの遺伝子が分裂組織に葉を作るのを止めて、代わりに花を作るようにと命令し、植物が繁殖するための準備を整えます。

これらの進展にも関わらず、気候の変化が、植物が開花のタイミングを見極める感覚を狂わせています。年の初めに気温が暖かくなることで、植物の開花がより早まっている地域があります。これでは植物が繁殖するのに必要な花粉を運ぶ虫や、植物を食べ物にしている動物たちと同じ時期に存在することができません。

ですから、今度あなたがバラの香りを嗅ぐとき、花には美しさだけではないことを覚えておいてください。花は、何千ともいう遺伝子のスイッチが入ったり切れたりして、植物のある場所から別の場所へとメッセージを送り、協力して生殖器官を育てているのです。