地球の平均気温が2度上がると…

ハンク・グリーン氏:気候変動についての大きなニュースを言わないわけにはいきませんね! 新しく特別に深刻な気候変動の予測が今週、ネイチャークライメイトという学術誌に掲載されます。

そこには、今世紀中に地球の平均温度が2度以上上昇する可能性が95パーセントあると言っているのです。そしてこれはいい知らせではありませんが、私たちはそれを阻止するだけの時間がないかもしれません。

科学者たちが気候変動を食い止めることを話しているのをみなさんが聞くと、普通は地球の温度を2度以上上げるべきではないのだ、と思うかもしれません。しかしこれが意味するのは、今世紀に、地球の平均気温が産業革命以前、または1800年代後半以前の地球の平均気温の14度よりも、2度以上上がるべきではないということを理解すべきなのです。

とくに天候が常に変化するようになって以来、少々気温が上がることはそこまで深刻ではないと思うかもしれません。しかし地球温度の平均は、一般的に非常に安定しており、1度またはそれ以上変わることはないのです。2度は一般的に言って重要な基準と考慮されます。なぜなら、これの温度変化は長期にわたって人類の生活に深刻な影響を与えるのに十分な変化だからです。

洪水、極端な熱波、そして干ばつなどが起こり、必要な食物が十分育たずそれだけでも大変なのに他の問題が生じる可能性もあるのです。

しかし、地球の温度上昇を2度以下に抑え続けることは十分ではありません。なぜなら、海面の上昇は多くの小さな島々に大きな問題を与えることになるからです。したがって、目標を1.5度に伸ばすべきです。残念ながら、産業革命以前よりも1度温度が上がっていますので、あまり余地がありません。さらに、最新の研究ではそこまで楽観視していません。

多くの統計を分析した後、研究者たちは2100年までに2度以上温度が上がらない可能性はたったの5パーセントで、1.5度の気温上昇に抑えることができる可能性はたったの1パーセントだろうと示しました。さらに、2度から5度の気温上昇が見込め、つまり、干ばつ、嵐、そして海面上昇の問題はさらに深刻になることを意味します。

私たちの空気の質から食べ物の値段まですべてに影響するでしょう。そして、こういった変化は、温度が高くなると改善することが難しくなるのです。

この研究の結果は驚くことではありません。多かれ少なかれ、過去の分析でもわかっていたことです。しかし今回の研究は、私たちが崖っぷち間際に立たされていることを示しました。

人口増加は気温に影響するか?

新しい研究の統計では、世界の人口、1人あたりのGDP、つまり1人当たりの経済産出量、そして炭素強度、つまり一国が作り出す1ドルあたりの二酸化炭素の排出量の3つの要因に基づいています。

データは過去50年の傾向に基づいており、世界人口に関する新たな国連の予測も含めています。

国連は、2100年までに世界の人口は110億人まで増加すると予測し、その多くはサハラ砂漠以南のアフリカだろうということです。しかしそれらの国々は他の国々よりも石油燃料を使用しませんし、たとえ2100年まででも、世界の二酸化炭素排出量のたった6パーセントしか影響を及ぼさないと予測されています。

したがって、人口の増加は温室効果ガスにあまり影響しないと言えるでしょう。そして、国がGDPを削減することは本当にいい考えと言えるでしょうか?

もし私たちが温室効果ガスの排出量を減らしたいなら、炭素強度に集中する必要があります。

世界の新たな排出基準のおかげで、炭素強度は1年ごとにおよそ1.9パーセント減らすべきとあります。これはいいスタートです。しかし、まだ地球の温度を2度以上上げることを止めるのには十分ではないでしょう。そしてそれぞれの国が炭素強度を下げることが、どれだけ私たちの将来に関わっているのでしょうか。

現段階で、次の世紀を超えて広範囲に渡る炭素強度の可能性がありますが、何が実際に起こるのかは、テクノロジーの発展と環境規制にかかっているでしょう。現時点での予測ではいいものとは言えないかもしれませんが、この研究が絶対的に、2100年までに、地球の気温が2度以上上がると示しているのではないと覚えておくことが大事です。

研究者は2度の目標はまだ可能かもしれないと言っていますが、彼らのコメントによれば、これは持続的な努力によってのみ可能かもしれないということです。したがって後の80年、私たちには多くの課題があるということになりますね。