私たちを惹きつけるえくぼの科学

ハンク・グリーン氏:えくぼ。私たちはそれをかわいくて魅力的なものとして考える傾向があります。ジョゼフ・ゴードン・レヴィットをえくぼなしで描写することができるでしょうか?

しかしその顔の特徴がどれだけ切望されるか考えると、私たちは驚くべきほどそれについて知っていることが少ないのです。

ほっぺたのえくぼは多くの研究者たちにとって優先リストの上位にあるわけではないし、それが正しいと私も思います。しかしそれが何なのか、私たちは確信を持っていないのです。

もしそれが遺伝されるものとあなたが考えているとしたら、その通りです。でも必ずしもあなたが思っている方法とは限りません。

私たちはえくぼがかなり一般的であることはよく知っています。異なる人種の人々を対象に行った研究では、どこでも10~40パーセントの人々にえくぼがありました。

なぜあなたや友人や、そうAdam Levineがかわいらしい特徴を持っているかについて、解剖学の研究では大頬骨筋と呼ばれる顔の筋肉の変化と関連していることが提唱されています。

このおもしろい響きの筋肉が、まさに私たちが笑うのを支えているのです。それは口角と、ちょうど目の下の頬骨を繋いでいます。私たちが幸せを感じたり、そのふりをするだけでも、その筋肉は収縮し口の端を引っ張り大きな笑みとなるのです。

しかし時々、頬骨から連なる1つの筋肉として留まる代わりに、大頬骨筋が2つに分かれ、2つの部分にくっつくことがあります。その2つの部分とは、1つは口角のちょうど真上の通常の部分と、もう1つはそのやや下にくっついています。この多様性は二裂(bifid)と呼ばれています。

これが起こると、下の方の部分は頬の皮膚にくっつくこともあります。ですので、二裂の大頬骨筋が収縮すると、下の部分がその皮膚を引っ張り、ねじれが生じ、えくぼを作り出すと考えられています。

しかしながら、二裂の筋肉がえくぼの理由と言い切ることは難しいのです。なぜならば、その問題を調査する解剖学の研究では死体を用いており、それらはその段階では大いに笑うことはないからです。

またえくぼがどのように遺伝されたのかという話になると、それはまた紛らわしい話になります。えくぼはしばしば優性の遺伝子的特徴の例としてうたわれています。もしどちらか一方の親がえくぼを持っていたら、子供は50~100パーセントの確率でえくぼができます。

えくぼは遺伝についての授業でさえ用いられることがありますが、実際のところ、えくぼの遺伝性についての研究はほとんどありません。1990年代にロシアで行われた1つの研究では、頬のえくぼの存在を含む様々な身体的特徴を持った75家族を調査しました。

結果は、えくぼは1つの遺伝子により操作される支配的特徴だったものの、研究者たちは遺伝性はその人が男性か女性かによって変化することにも気づきました。

より最近では、23andMEという遺伝子プロファイル会社がえくぼの遺伝学について独自の研究を行い、そこでえくぼは9つの異なる遺伝子と関連性があることがわかりました。

さらに複雑な問題としては、えくぼは時が経つにつれて現れたりなくなったりしうるという事実です。えくぼが大人になって現れた人もいれば、子供のときにだけそのかわいいへこみができる人もいます。つまり、えくぼはやはりおおかた遺伝性のものですが、これらのパターンは多種の遺伝子が関わっており、環境的な要因も問題となることを示唆しています。

例えば、えくぼが現れるかどうかは顔の脂肪の量や皮膚の弾力に関連し、そしてそのどちらも年齢や性別に結びついている可能性があります。

そしてもちろん、今日あなたがえくぼを持っていると思う人が、みな自然にえくぼを持っているわけではありません。その見た目を得るために穴を開けたり、美容整形手術に頼ったりする人もいます。私たちが自然なえくぼとは何なのかわかっていないにも関わらず、整形外科医は手術室でそれをどのように創り出すかわかっています。

1つの手順は、下にある筋肉に皮膚をくっつけます。しかし大頬骨筋を使う代わりに、外科医は皮膚を頬筋につなげます。その頬筋はものを噛むときに重要な役割を果たすものの1つです。

残念ながらこの技術は必ずしも永遠のものではなく、えくぼは薄らいでいきます。しかしあなたがもし本当にえくぼを望むなら、選択肢はあるということです。