原子力協定について

司会者:それでは質疑応答に移ります。ご質問のある方は挙手の上、私のほうから指名をさせていただきますので、お近くのマイクあるいはマイクのない方はお持ちしますのでそれを用いて、社名氏名に続きまして簡潔にご質問をお願いいたします。それでは、どうぞ。

記者1:朝日新聞のマツイと申します。先ほど官邸での記者会見の中で、日米原子力協定についてやり取りがあったと思うんですが。

その中で大臣が「原子力協定が今の我が国の原子力利用の1つの基盤であることを考えると、協定のあり方を含め考えていかなければならない」ということをおっしゃっていましたが、ここで言う協定のあり方というのは、具体的に大臣としてどのように考えてらっしゃるのでしょうか?

河野太郎氏(以下、河野):まぁ、協定のあり方そのものをどうするかということ含め、別に協定のあり方をすぐ変えるぞというわけではありませんが。いろんなことを考えていかなければいけないだろうと思いますので、そこは政府内でもいろいろ連携をさせていただこうと思います。

最終的には日米の問題でございますから、日米で同盟国の中でいろんな連携を取っていかなければいけないのかぁと、そう思っております。

とくにこのプルトニウムというのは核兵器の材料にもなる。使用目的のないプルトニウムは持たないというのは、これはもう世界共通のことだと思いますので。政府内、日米、緊密に連携をして、これからいろんなことを考えていきたいと思っております。

記者2:共同通信のサイトウと言います。よろしくお願いします。ODAについておうかがいしたいのですが。河野さんは議員活動を通じて非常に積極的にODAの削減ということを訴えられてきたというふうに記憶しております。

以前はODAについては、加盟に頼らない外交という基本理念に基づいて、半分以上削減すべきじゃないかと、こういう主張もされたように記憶しております。

現在大臣になられて、そうした基本理念を現在もお持ちなのかと、今後どういうふうにこの問題に取り組んでいくのかという点についておうかがいしたいと思います。

河野:ODAの予算編成、もうじき概算要求もありますので省内でしっかりと議論をしていきたいと思っております。ODAについてはやはり我が国の納税者のみなさんの理解をきちんと得るということが大事だと思います。

日本国民がODAを通じて、世界のさまざまなことに貢献をしているということをしっかりと認識をしていただくことが大事だと思いますので。

ODAの使い方についてはきちんと成果が出て、それが地球規模の問題あるいは貧困の撲滅、世界のさまざまな平和、こういったものを構築することによって最終的にはそれが日本にも還元されている。そういうこと認識をしていただける、そういうODAをやってまいりたいと思っております。

摩擦が続く日中関係への見解

記者3:香港フェニックステレビ特派員のリーと申します。先ほど大臣がお話の中で、「中国と大局的に日中関係を大事にしなければいけない」といった話がありました。

近年、日本と中国は尖閣のことを含めて、あまりうまくいっていない摩擦が続いているのが現状だと思うんですが。

大臣としては日中の間でどのような課題があるというふうに認識されて、そして中国や韓国では河野大臣が過去のことも含めて、どのような見解をお持ちなのかということにも関心があるのですが、可能であれば聞かせてください。

河野:近隣諸国と友好関係を築いていこうというときにどんな問題があるかということを最初に考えるのではなくて、どんな未来を作っていくのかということを最初に考えるのが大事なのであろうと思っております。

日中関係、今懸案になっていることもさまざまありますが、日中関係が開いていく未来というのもあるのだと思いますので、そういうものをきちんとお互い認識をしながら。

日本列島が動いていると言ったって、別に5年10年で日本列島の場所が変わるわけではありませんから。ここしばらくはこの東アジアの地図は変わらないわけで、そこに10億人を超える日本人中国人あるいは韓国人、みんながここに住んでいるわけですから。

この東アジアで平和を築き、繁栄を築くためにどうしたらいいかということを、それぞれ考えていきたいと思います。

記者4:フリーランスのイズミと申します。慰安婦問題についておうかがいしたいんですけれども。

まず先ほど、どんな未来を作っていくのかが大事とおっしゃいましたけれども、日韓関係、この問題について、一旦は最終的かつ不可逆的な合意をしたにもかかわらず、韓国がこれについて破棄しようとしている状態です。

またお父様の河野洋平氏が河野談話というのを作られまして、これはかなり両国の理解についてかなり釘を刺すというか、邪魔になっているような感じがするんですけれども、談話についてはどういうふうにお取り扱いになるご予定でしょうか?

河野:慰安婦問題に関する我が国の立場は、総理が戦後70年の談話でおっしゃられたこと、それと両国政府が確認をした日韓合意にあるわけでございます。

それ以上、私が付け加えることはございません。日韓の合意が着実に実行されるということが望ましいと思っております。

過去のブログでの発言について

記者5:産経新聞です。私も慰安婦合意についておうかがいしたいんですけれども。大臣、戦後70年談話と日韓合意に尽きるというお話でございましたけれども、2つ聞きたいです。

1つは、お父様の河野洋平官房長官の談話の果たした役割、影響の歴史的な評価についておうかがいしたいのと。

河野談話を発表した記者会見の中で河野洋平官房長官が「強制連行があったのか?」というふうに問われて、それについて「そうだ」と「それで結構だ」という発言をしてらっしゃいます。

この発言について菅官房長官が「大きく問題がある」というふうに発言をしておりますが、大臣ご自身の評価をおうかがいしてもよろしいでしょうか?

河野:我が国の政府の立場は戦後さまざまな積み上げの上に出された、安倍内閣での70年談話、そして日韓合意に尽きるというのが政府の立場でございまして。これに付け加えることはございません。

記者6:テレビ朝日のコイケと申します。お願いします。2点あるんですけども、これまでの大臣のご発言と言いますか、(河野氏の)ブログでの発言なんですが。

まず、先ほど官邸との連携とおっしゃいましたけれども、憲法問題について6月のブログの中で「憲法改正がときの課題ではなく、経済の潜在的な成長率を上げていくための解約や社会保障制度の改革のほうが重要な政治課題だ」と述べてらっしゃいますが。

安倍総理が進める憲法改憲の内容や改憲のスケジュールについてどのようにお考えなのかということがまず1つ。

もう1つ同じくブログなんですけれども、過去に、「外務省は人権やプライバシーに鈍感だ」というふうに外務省を批判されていたことも多くありますけれども。

外務省にどのような印象を持っていらっしゃるのかということと、今後どのような付き合い方をしていこうというふうにお考えてになられているのかを聞かせてください。

河野:憲法改正に関しては、これは立法府が発議することでございますので、行政府の一員として、とくにこれに対して申し上げることは差し控えなければならないと思っております。

外務省についてこれまでもいろいろ意見を言ってまいりましたが、いまや外務省の大臣でございますから。外務省がいい、がんばってるという印象を持っていただけれるようにするのが私の責任だと思いますので。

「外務省がんばってるね!」と言われるようにしていきたい。そうならなければ、それは私の責任でございますので、しっかり責任を果たしてまいりたいと思います。

日中関係をどう改善するか

記者7:中国青年報東京支局のチョウと申します。2点質問させていただきます。第1は、7月のG20サミット、中日両国首脳会議に基づいて、今後、一帯一路構想をめぐって具体的にどんな協力をしていきますか?

2点目は、両国関係は今改善途中なんですが、国交回復45周年、来年は日中友好条約締結40周年ですが、どういうきっかけでどのように両国民の理解の増進、感情の改善をしていきますか? 教えてください。

河野:45周年あるいは40年という節目の年が続きますので、両国の間でこの関係をしっかり友好的なものにしていこう、そういう機運が高まるように、私としても努力をしてまいりたいと思っております。

中国が今年は人事の年だというふうに認識をしておりますので、すぐにいろんなことができないのかもしれませんけども、こういう節目節目というものを利用して日中関係をしっかり前に進めてまいりたいと思っております。

もう1つの質問については、国際的なさまざまな取り決めに則ったオープンなかたちでいろんなことが進んでいくというのは良いことではないかと思いますので、中国側にも国際的にしっかり受け入れられるようなかたちで進めていっていただきたいなと思います。

記者8:中国新聞のタナカと申します。大臣はかねてから軍縮格差について議連の活動などを通じて非常に熱心に取り組まれておられたと理解していますが。改めましてどういった姿勢で、今後大臣としてこの命に取り組まれるのか基本的な考え方をうかがいたいのと。

関連しまして、先般、核兵器禁止条約が採択されまして、核抑止政策についても規定するような内容になっておりますけれども、この採択をどう受け止められたか。

河野:核軍縮の問題は軍縮議連あるいはPNNDといった議連の活動を通じて、私もいろいろとコミットをしてきたつもりでございます。

やはりこの核兵器の非人道性と言うのでしょうか、これは世界中多くの方が認識をされている。そうした兵器が使われないのももちろんでございますが、脅しにも使われるべきではないというふうに私は思っております。

そういう中で人類に対する核の脅威を減らしていくためにどういうことをやっていったらいいのかというのを現実的に考えていく必要があるのではないかなと思っております。

核禁止条約について申し上げますと、現実的なところで、核保有国とそうでないくにとの間で少し溝ができてしまったような気がいたします。

かつてエバンス川口(注:核の不拡散・軍縮などをテーマとした国際委員会)といったさまざまな取り組みを日本も応援をしてきたわけですから、一つひとつ、核保有国もそうでない国も巻き込んで着実にこの脅威を減らす方向へ歩んでいくためにどうしたらいいのかということをしっかり考えていかなればならないと思います。

唯一の被爆国であるわけでございますから、日本としてそういう体験の中から言うべきことはきちっと言っていかなければならないと思いますが、一方で現実的に実践的に物事進めていく必要があるだろうと思っておりますので、そこのところは私もずっと関わってまいりましたので、いろんなことをこれから考えていきたいと思っております。

日露関係、中東問題について

記者9:ロシア、イタルタス通信です。安倍政権は日露関係の発展を重視していますが、河野大臣は日露関係についてその方針を続けるのでしょうか? またロシアのラブロフ外務大臣と会談する予定はございますか? 

河野:4島の帰属問題を解決して平和条約を締結しようというのは、日本もロシアも同じ認識だろうと私は思っておりますし、これはやらなければいけないというふうに思っております。チャンスがあればラブロフさんともお目にかかって、いろんな話をしっかりとさせていただきたいと思っております。

日露関係を前へ進めるというのは非常に大事なことだと思っておりますので、4島の帰属問題を解決して平和条約を締結する、そこに向けて努力してまいりたいなと思います。

記者10:共同通信のハギモトと申します。座ったままで失礼します。大臣、冒頭に中東へのコミットメントということをおっしゃいました。

今、中東ではサウジに近い勢力とイランに近い勢力との対立が深まっている中で、日本がコミットメントを掲げるというのはなかなか知恵が必要な状況かと思います。現時点でどのような絵を描いていらっしゃるか。

それと、シリアで国内避難民も含めると大量の難民、避難民が発生しています。世界的な問題になっているわけですが。

大臣は2年前に、移民の受け入れに関して積極的に考えるべきではないかという趣旨の発言をされていたと報道されておりますが、現時点での移民受け入れに関するお考えをお聞かせください。

河野:日本は中東で、アラブ・イスラエルの問題あるいは中東のシーア派・スンニ派の問題さまざまな断層がありますけれども、そのどれにも関わらない。そういう稀な立場にいるのが日本だと思います。

もう1つ、日本はアメリカとの同盟関係を通じて、アメリカともしっかりと話ができる。そういう立場にある日本が中東問題に関わらないということはできないだろうと。

自分の国のエネルギーの問題を脇に置いても、日本という立場にある国がこの複雑な中東問題で一肌脱ぎましょうと言ってコミットするというのは、やるべきことだと思います。

このほつれた糸をときほぐすのに、どう日本が役に立つのかというところをしっかりと知恵を出して、これは外務省だけはなくてですね。

中東の専門家の方もいらっしゃいますし、日本の企業、中東に進出している企業もあります。これはオールジャパンでいろんなことを考えていかなければいけない。国際機関で働いている日本の方、そういう方の力もお借りをしてやっていく必要があると思います。

安倍政権でシリアから留学生をまず受け入れましょうということをスタートいたしました。内戦後を見据えたシリアの復興に役に立つ人材をきちっと受け入れていこうということでやっていおります。

その過程でいろいろ問題があるというふうにも認識しておりますので、シリアの復興に役に立つ人材を日本でしっかりとトレーニングをして輩出をするということはまず大事なことだと思いますので。それをきっちりやり遂げていきたいというふうに思います。

日米関係、TPPへの考え

記者11:毎日新聞のアキヤマと申します。よろしくお願いします。先ほども言及がありました問題の中で、気候変動とTPPに関しては、アメリカがトランプ政権になってからマルチの協定から離脱の方針に転じたという問題だと思います。

今後日米間でこういった問題を話し合うときに、まずは日米間で新たなアプローチを模索していくのか、あるいは従来のマルチの場に引き戻す努力をするのか。そのあたりの方向についてお考えをお聞かせ願えますか?

河野:パリ協定がありますし、各国そこを目指しているわけですし。アメリカの中でも州や自治体がパリ協定に向けてがんばるんだという意思表示をしているところがかなりの数あるわけですから。

ここは国際社会の中でアメリカに気候変動の問題の重要性というのに気づいてもらって、一緒にやろうよということは大事だと思いますので。これは日米関係でもしっかり話をして理解をしてもらう必要があると思います。

記者11:すみません、TPPに関しては?

河野:TPPについては、今TPP11の話もございますが、それはアメリカが戻ってきてくれればTPPに戻るわけですから。今のトランプ政権でどうなるかということは、正直いろんな問題があるんだろうとは思います。ただそこは諦めずにしっかり根気よく続けていきたいと思います。

記者12:TBSのクボと申します。よろしくお願いいたします。大臣、韓国との関係について非常に前向きなメッセージを冒頭にされてますけれども。

一方で、最終的かつ不可逆的な合意を結んだ日韓合意があるにもかかわらず、しかも未来志向といこうということで両首脳が一致しているにもかかわらず、韓国側から出てくるメッセージは現在のところ、過去の歴史をもう1度取り上げるような動きが目立っています。

ASEANでの韓国の外交部長官との会談というのも検討されていると思いますが、その場で大臣としてどのようなメッセージを発していきたいか。

また基本的に履行を求めることは現在変わっていないと思うんですけども、それを言っているだけで状況が変わらないとも考えられますが、どのように韓国側に、具体的に肯定的な動きを引き出せるかとお考えでしょうか?

河野:日韓合意は両国政府で確認をしていますから、これが着実に実行されるというのが望ましいというのはお互いわかっていることでございますので。そこはきちっと着実に進めていただくということに尽きるんだろうと思います。