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傷がついても勝手に治る“自己修復”素材がすごい

傷がついても勝手に治る“自己修復”素材がすごい

例えばスマホを落として画面がバキバキに壊れてしまったら、どうしますか? 大体の場合は修理に出すか、我慢して使うことになるはずです。少なくとも、放っておいたら元に戻る、なんてことはありえません。大体のものは、一度壊れてしまったら、人間が手を加えない限り元に戻ることはないのです。しかしもし、壊れた素材が勝手に自分で自分を修理するとしたら、これほど便利なことはありませんよね。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、自己修復する未来の素材について解説します。

シリーズ
SciShow
2017年5月29日のログ
スピーカー
Stefan Chin(ステファン・チン)氏
参照動画
Making Materials That Heal Themselves

壊れると勝手に修復する材料

ステファン・チン氏 物が壊れると、あなたはそれらを捨てるでしょう。あなたの格安プラスチックタッパーであろうと高価な度付き眼鏡であろうと、それ自体が自己修復することはないでしょう。そうですよね? しかし、もし自己修復できたらどうしますか? 科学者は、タイヤや道具、歩道などのあらゆる種類のものをいつまでも無期限に使うことができるように、材料自体を修復する物質材料や「自己回復する」材料を発明しています。 開発されている材料の1つの種類は、縫い合わさるようにして元に戻るゴムの一種です。そのゴムを切り裂き、2つの部分を一緒に保っていると、それは再びくっつくのです! 最終的に。 ドイツのライプニッツポリマー研究所の科学者たちが、物質自らが修理することができる車とトラックのタイヤの発明を目指しながら、2015年にこの技術を開発しました。そして彼らは、現在使用しているタイヤの化学的性質をきわめて簡単に切り替えることで、それを実現しました。 タイヤは純粋なゴムだけからなっているのではありません。純粋なゴムではなく、通常、その分子結合をより強くするためにゴムに硫黄が添加されています。これによって、ゴムが車を支えるほどに十分に強くなります。 欠点は、傷や、スクラッチによって、一度この結合が壊れると、永久に壊れてしまうことです。それらの分子を一緒に結合することはできません。しかし研究者たちは、ゴム中の硫黄を、ブチルイミダゾリウムおよび臭化物と呼ばれる一対の荷電分子またはイオンで置換することによって、ゴムを自己修復させることができました。 卓上塩の中に見られるナトリウムや塩化物のイオンと同じように、ブチルイミダゾリウムには正電荷があり、常に負に帯電した臭化物がペアになっています。塩の場合と同様に、これらのイオンのペアは、大きなグループを形成するために、他のペアに結合する傾向があります。これは、1つのゴム分子に結合したイオン対が別のゴム分子上の対に付着する可能性があることを意味します。 そして、強いイオン結合によって結合します。これらのイオン結合は、ゴム分子を集団にとどめ、硫黄結合と同様に材料を強化します。 ここまではわかりますよね。 しかし、イオン結合の難点は、ジャケットのスナップの付け外しのように、簡単に壊れて再結合することです。研究者たちが新しいゴムを細片に切ると、イオン結合が壊れます。 Fig1 しかし、2つの部分を一緒に押すと、ペアが再びお互いを見つけ、新しいイオン結合を形成することができます。 Fig2 素早く切断を修復するために、科学者たちは熱を加えて、分子の周りを揺り動かし、孤立したペアがお互いにぶつかるのを助けました。そして再び形成された結合は、2つのゴムを一緒に保持するのに十分なほど強かったのです。 今度は、科学者たちは熱無しで修復するイオン性のゴムを作ろうとしており、このゴムによってタイヤはパンクする前に自己修復することが可能になります。

傷ついても1日でなおるプラスチック

そしてまたこの間に、他の研究者は自己修復プラスチックを作るために全く異なるアプローチをとっています。 ここでのアイデアは、治癒剤と呼ばれる特殊な接着剤の小さなパケットをプラスチックとペイントに混ぜることです。プラスチックが割れたとき、パケットが開き、隙間を密封するために接着剤がこぼれます。ポイントとなるのは、多くの接着剤は硬化するにあたり、乾燥のための空気、あるいは空気から水分を必要とすることです。 しかし、科学者たちは空気や水が小さな亀裂の周りにいつもあるとは思えないのです。ですから彼らは治癒薬が修復を完了させるのを助ける第2の化学物質を加えました。 イリノイ大学のチームは、HOPDMSという治癒剤を使ってこれを試みました。その分子はポリマーと呼ばれる長い鎖を持ち、両端には水酸基と呼ばれる水素と酸素の対があります。そして、研究者は、DMDNTと呼ばれる硬化剤として働く第2の化学物質で満たされた、砂の粒のサイズほどの小さなパケットを追加しました。 プラスチックが壊れると、薬品がパケットから漏れて、それらが混ざり合います。硬化剤が作用するのはそのときです。 それはHOPDMSと反応して、各鎖の一端からヒ水酸基を切断し、2つの鎖が一緒に結合することができるようにします! 1分子のDMDNTは止まることなく何千ものポリマーとつながっていき、加えられた接着剤は主に治癒剤でできている状態になります。 これらの小さな鎖を長くすることは、小さな変化のように聞こえるかもしれませんが、その効果は巨大です。これらの長いポリマーは結び目のように巻き付き、分子が自由に動くことを妨ぎます。これによって治癒剤をしっかりと固めます。 プラスチックは修復に必要なものすべてを持っているので、どこでも、迅速かつ確実に治癒することができます。 科学者たちはすでにこの技術を使って、基本的に自己修復塗料のような働きをするプラスチックコーティングを作りました。ある試験では、研究者はこれらの小さなパケットをプラスチックの混合物に加えて鋼に塗り、錆を防止するかどうかを調べました。そして、彼らは剃刀の刃でコーティングを剥ぎ取って、コーティングが修復されるか1日放置しました。 その後、彼らは腐食性の塩水に金属を沈め、数日間そこに入れたままにしました……結果は、鋼には錆がついていなかったのです! 現在、科学者はこの技術を他の材料でも使用できるようにしています。これらのパワフルなパケットをコンクリートや金属に埋め込むことで、生活に関連するものが長持ちし、安全に使用できるようになるでしょう。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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