記者からの質問

司会者:それではご質問をお受けしたいと思いますけれども、恐れ入りますが所属とお名前をおっしゃっていただいてから大きな声でご質問いただきますようによろしくご協力ください。

記者1:テレビ朝日です。今回、このタイミングで戸籍情報を公開するに至った理由について改めて詳しく聞かせていただけますでしょうか。

蓮舫氏(以下、蓮舫):はい。一貫して慎重だったことは子どもが未成年であったということ。とくに選択宣言の日付が記載されたページが子どもに関する記述であったということがとても大きいです。

春に日本で言う成人年齢に達し、そしてこの件について話し合ってきました。そして実際に7月に息子が留学先から帰国したことを踏まえて、家族で顔を合わせて話し合って。

これはむしろ、一部であれしっかりと公表してもいいんではないかという理解が得られたこと。これは私の心の中でとても大きいものがあります。

そしてもう1つは公的な立場でありますが、いち政治家よりも公党の代表として、民進党、野党第一党の党首として、国会においては時の政権、とくに今の総理には強い強い、自らがお話しになられた説明責任を果たしていただきたいと求める先頭に立つ立場でありますので。

こうしたことも勘案をしまして、しっかりとみなさま方に、私が不安定な説明によって疑いをもたれていると思われることについて、一部を資料を公開したところでございます。

記者2:関連なんですが、今日ブロック会議を終えましたけれども、そのブロック会議でも戸籍情報の開示を迫る声もあったり、このタイミングで開示したのは二重国籍の問題が、都議選の敗因の1つになったのではないかというお考えもあったのではないかと思うんですが、いかがでしょうか?

蓮舫:実際にブロック会議では、さまざまな声もありました。「積極的に公開すべきだ」という声もありましたし、一方で「慎重にされるべきだ」という声もありました。

ただやはり、ブロック会議全体の声を聞くことも重要だと思ったので、終わったというのは1つの区切りの時期だとは思っています。

ただ、都議選において敗因の主力な要因として、私の国籍の問題がそう大きかった、ボリュームを占めているとは思いませんが。

いずれにせよ公党の代表である私の発言の信頼に「本当なんだろうか?」という思いを持っている方がおられるとするのであれば、それを裏付ける資料は差別を助長しないかたちで、私が前例とならないかたちで極めてレアなケースということをお願いして、今回公表させていただくことにしました。

戸籍開示の問題について

記者3:時事通信です。今まさにタイミングの話なんですが、今おっしゃった理由であれば来週でもよかったのかなと思うんですが。

この日曜日には仙台市長選挙がありますし、来週には総理が国会に出られるという話もある。まさに今日であるという日は、そうした政治日程との兼ね合いがあったのか、なかったのか。そのあたりはどのように考えていらっしゃいますでしょうか?

蓮舫:それはまったくありません。来週でもよかった。でも来週だったら再来週でもよかったのではないか。いろいろな政治日程がありますので、さまざまいつ会見をしても、「なぜ今?」とはきっと聞かれると思いますが、やはり家族の理解が得られたこと。

そして国会においてしっかりと私たちが説明責任を時の政権に求めていく。その先頭に立つ立場である私が判断をしたら、1日も早い公表が、私のこの問題に向き合う姿勢だとご理解をいただければと思います。

記者4:朝日新聞です。先ほどの冒頭のご発言の中でも、戸籍について原則としては公開すべきものではないと繰り返された上で、最後に「前例とすべきでない」とおっしゃいました。

戸籍は極めてプライオリティの高いもので、これまでいろいろ歴史的な経緯があった上で、いろいろなことは代表の耳にも入っていると思いますが、代表の問題意識として、戸籍を公開すべきでないというのはどういう問題意識に基づくものかということと。

加えて「前例にすべきではない」ということを重ねておっしゃったので、前例にしないためにどのような手立てを講じていくのか、そのあたりをお答えください。

蓮舫:戸籍に記載されている極めて秘匿性の高い個人情報をもとに、例えば結婚であるとか、例えば就職であるとか。

いろいろな部分で差別が助長されてきた歴史というものも、大きな問題として我が国は抱えています。そしてその差別をなくすために、大変な努力をされてきた。

まさに当事者であり支援者であり、そして基本的人権をしっかり守るんだという認識をもった方たちの結果として、戸籍というのは極めてプライベートというか、秘匿性の高い情報だと思っています。

それだからこそ、 安易に公開を迫られるものではないし、他者によって強制的にそれを示せと言われるものでもない。というのが私の最も根源的な認識であります。

他方で、今回一部とはいえ公表したことは前例にしてほしくはないんです。これまで差別を助長することがないように、と秘匿性を高めてきたものですから、さらにここは個人で戸籍を守ることができる社会を作る。

それこそが今の日本の多様性の社会において、民進党がまさに政治の世界で守っていく役割を、共生社会を綱領に掲げる私たちだからこそ、とくに私は代表としてやらせていただきたいと思っています。

「ダブル」のアイデンティティ

記者5:ニコニコのナナオです。よろしくお願いいたします。

今と関連なんですけれども、おっしゃることはよくわかるんですが、そうは言ってもやはり前例になる懸念というのは残されると思います。

例えば今後民進党として、政策というとあれかもしれませんが、こうしたことが悪しき前例にならないように、民進党、蓮舫代表自らが建設的な政策なりルール作りなりを主張していくというお考えについて。

蓮舫:考えられる政策であればすべて対象にしていきたいと思っています。

直接的な戸籍の開示を強要されない政策にはあたらないかもしれませんが、過去、民主党が、2009年ですね。

政策インデックスで総選挙でお約束をさせていただいたのは、国籍選択制度を見直すという内容でした。

まさにその私が届出によって経過措置で日本国籍を取得した1985年、改正国籍法が施行されてから、ちょうどこの2009年というのは、国籍の選択制度が入れられてから、生まれた子どもたちが選択を迫られる年齢になっていました。

そのときに多様なヒアリングをしたときに、自由国籍を容認してほしい、就労、生活、父母の介護など両国間を往来することも多いし、例えばダブルのアイデンティティ。アイデンティティは私も父にもありますし、母にもありますから。

その気持ちはよくわかるんですが、こうしたアイデンティティを認めてほしいということ。あるいはその国際的な基準に合わせていただきたいという要望が強くあったことを踏まえて当時の民主党が約束したものでありました。

例えば2015年、厚労省の人口動態調査を見ると、生まれた新生児の約1.9パーセントが、お父さんかお母さんのどちらかが外国籍、数にすると今生まれている赤ちゃんの53人に1人が、いわゆる私たちの時代ではハーフと言っていました。今はダブルと言うのかもしれません。どちらかのご両親が外国籍。

そうしたことを踏まえると、多様性を歩み出している日本において、やはりこの二重国籍のあり方というのをもう少し踏み込んで見直してもいいのではないか。

これはぜひ私が代表でいるうちに議論を、民進党でまだ始めたことがありませんので、させていただければと思います。

発言の一貫性を欠いていた

記者6:フリーランスです。

戸籍が極めて個人情報に関係することだということはわかります。戸籍の開示については当初からのテーマではなく、これは代表の国籍の問題についてがどうだったのか、二重国籍であるのかどうなのかというのが最初の議論でした。

それをきちんと説明されないままここまできて、それで世論が高まって「それだったら戸籍の開示」という話になったわけです。これを私人までに拡大するっていうことは問題のすり替えだと思うんですけども、これについてどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

そもそもやっぱり最初に、初動ですね。きちんと説明していらっしゃったら、例えば民進党がここまで支持率が全然上がることがなかった。

しかも安倍政権がこのような状況で、その受け皿になりえていない。それから都議選でも5議席という結果になった。その都議選で戦っている最中でもやはり二重国籍についての疑問も出ていた。こういうことについてどういうふうな責任をお感じになっているのか。

蓮舫:冒頭のご指摘の部分、その通りだと思います。事実の確認であるとか、法的評価を混同して発言をしてしまったことが、私の発言として一貫性を欠いていたこと。それがあやふやな説明として浸透してしまったこと。

それによって「本当なんだろうか」と思う人たちが存在してしまったことは私の発言によるものだと思っています。そこはすべての今回の問題の原点です。

その部分において、私は戸籍の開示というのは慎重ではありましたけれども、やはりずっと私の発言が本当なんだろうかと、思っておられる方たちがいるということを、仲間からもそうじゃない政界以外の方からも言われていたことは事実でありましたし。

先ほどから何度も言っていますけど、いくつかの条件をクリアして今回資料を公表するということになりました。

司会者:開示に関する件で、関連して。

記者7:読売新聞です。今日公表された資料はおっしゃるように十分秘匿性の高いものだと理解するんですけれども。

昨年の秋の時点で、一番秘匿性が高いとされる戸籍謄本の一部を除いて、少し公開をして説明責任を果たされるという考え方はおありだったのかどうかというのをお聞かせ願えますか。

蓮舫:昨年の秋の時点ではありませんでした。何度も申し上げさせていただいて恐縮なんですが、子どもが成人年齢に達していないということが最大の理由です。

政治責任はとるのか

記者8:朝日新聞です。今日開示された戸籍のところで、さっきおっしゃったように選択宣言の日付というのが新しく出たと思うんですけれども、一方で、代表は秋の時点で、日本国籍を選択宣言したということ自体は公表されていたと思うんですね。

それだけではどうして説明責任が果たせていない、不十分だというふうに思われたんでしょうか。つまり、今日新しく出てきたのはこの日付ですよね。そこはどういう違いがあると思っていますか?

蓮舫:ありがとうございます。去年の秋の私の発言は、まさにその選択宣言をしたということもありましたけれども、その前から踏まえると、一貫してない説明がいくつもあったように思えるんですね。

例えば、やっぱり高校生のときだったので、17だったか18だったか、誕生日の前だったか後だったか、こんな基本的なことすらも、私の記憶があやふやだったことで説明に一貫性がなかったのが、いくつか積み重なっていました。

だから、それも含めて選択宣言だけを発表すればいいというものでもなかったように思えています。

記者9:最初にこの問題を指摘させていただきました、アゴラの編集長です。ようやくお会いできました。

まず蓮舫さんに、去年から我々のほうからも再三公開をお願いしていましたが、非常に難しい決断のなか、率直に公開されたことに対しては敬意を表したいと思います。

ただ、反面、今日これまでご説明していただいた通りのものをきちんと裏付けで出していただいたんですが、国籍選択日が10月7日であるということ、これも確認できましたし。

台湾の籍もちゃんと離脱されていたということがきちんと公的な証明でそれぞれ裏付けられましたが、ただ、10月7日に国籍選択宣言をされたということは結局、正式なかたちとしては二重国籍の状態でその時期までずっといらっしゃったということでもあるわけなので。

今、私の手元に2004年の選挙公報があります。こちらにはプロフィールに1985年、台湾籍から帰化ということで、つまり、台湾の国籍から日本の国籍に変わったという意味合いに普通だったら考えられる内容で表示されています。

私もこの当時、東京都民の1人として、蓮舫さんに投票するかどうか非常に考えていた1人の有権者でもあるわけなんですが、結果としてその事実と異なる経歴の表示をされていらっしゃったんです。

そのことに対する政治責任といいますか。例えば、ちょうどこのタイミングでつい先ほどなんですけど、オーストラリアでは二重国籍が発覚した議員さんが、過失犯とはいえ、先週に続き、先ほど2人目の方が辞職を表明されました。

そういうこともありますので、やはり、公開はされました。ただ、やはり国籍法に残念ながら違反していたということは確定してしまいましたので、やはりなんらかのかたちの政治責任。

オーストラリアのほうでは議員報酬返上も、どうやらターンブル首相が言っているようですけど、そのへんも含めて政治責任を、なんらかのかたちでとられるのか、そのへんご見解をお聞かせ願えればと思います。

蓮舫:ありがとうございました。国籍法に反して手続きを怠っていたことは事実ではありますが、故意に怠っていたわけではなくて、17歳のときに日本国籍を取得してから、私はずっと台湾籍は放棄したものだと思っていました。思ったままでした。

そのなかで2004年から、政治家にさせていただいたときの公報に書かせていただいた部分では、まさにその台湾から日本人になったという部分で、日本国籍取得を帰化、というかたちで使わせていただいた認識でありまして。

それ以上深いものでもなかったと思っていますので、そこに故意性はないとご理解をいただければと思います。

オーストラリアの件に関しては、確か憲法違反の話だったと思いますので、その法的評価はちょっと私はわかりません。

現行の戸籍法に対して意見は?

司会者:ほかにありましたらどうぞ。

記者10:フリーランスのミヤザキと申します。よろしくお願いいたします。今回公表されて納得がいったんですが、要はここ総理大臣になっていく可能性もあるなかで、外交に関しておうかがいしたいと思うんですが。

危機管理の話ですから「家庭の質問には答えられません」とお答えできない話ですが、例えば南シナ海で、我が国の海上自衛隊の護衛艦と台湾の船がぶつかって事故が起きたと。

中国がそこは領海だから国内法でやるというふうなことになったときに、日本の総理大臣というかたちで国益のためにやるでしょうけれども、ちょっと疑念が生じることとかあると思うんです。そういったときはどうされますか。

蓮舫:あの、あえてお立場上聞かなければいけない質問だとは思うんですが、愚問だと思います。日本人のために次の世代、日本の子どもたちのためにいい日本を残したいと思って政治家になっているわけですから、そこは迷うことなく我が国の国益を考えます。

記者11:関連で。1年前の外国特派員協会ですか、17歳の時、お父さんは台湾語で台北駐日経済文化代表処で会話をされたとおっしゃっていた件、それは北京語でなくて台湾語ということなのか。

また、日華断交後、どちらかといえば商売をされていましたから、共産党よりも国民党のほうにシンパシーが強いというようなことが、ご家族ではあったんじゃないかな。あっても、そのほうが普通だと思いますよ。当時。

そのへん北京語でなく台湾語だったのか。また、共産党と国民党、日華断交後で、どういった会話とかを家庭とかでされたことありますでしょうか。それを教えてください。お願いいたします。

蓮舫:17歳の時の私は、北京語、台湾語、いわゆるビン南語の区別がそうつくものではありませんでした。

ただ、自分自身で拙く勉強していたものもあった時の、いわゆるマンダリン(公用語)とは違うイントネーションのやりとりが要所要所であるのかなと思っていた程度の認識です。それと、17歳の時点で……父と政治的なものを話した記憶はあまり正直ありません。

ただ、今お話しになられた、国民党であり共産党でありというのは、それ以降の話で恐縮ですが、私はそれ以降、例えば天安門事件があったり、いろんなことがあって。

自分で勉強していった時に、改めて台湾の歴史を学んで、必ずしも台湾で生まれて台湾で育ったいわゆる本省人と呼ばれている方たちが、国民党を歓迎していたわけではないという歴史も学んでいますので、今となっては父に確認する術はありませんが、共産党にも国民党にもそう強い支持を持っていた人ではないように思います。

その部分ではずいぶんさまざまな生き方を、祖母の代からしています。それはちょっと確認できないので、ごめんなさい。恐縮ですが。ただ、17歳の時点でそうした政治的なことを議論したことは記憶にありません。

記者12:FACTAのミヤジマです。父と母から生まれた子どもが2つの祖国を持つということはよくあることで、それをプライドに持つことは私は人間の尊厳だと思っておりまして。蓮舫さんの父上は戦前は日本人であったわけですね。

蓮舫:はい。

記者12:すると、この戸籍法の記述というのは、はっきり言ってわかりにくいというのか、かかる複雑な状況について決して親切ではない。

そういう意味で、やはりこの戸籍法というものについて、18歳の時にそういうことを、「2つの祖国の1つを選べ」みたいなことを言ってる法律というのもよくわからんですから、私は。

まあそれは制度としてあるんですけれども、戸籍法に対してものを言いたいことがあるのかないのか。

それから改めてこの一連の流れを、この一連の報道を含めた日本社会について、やっぱり非寛容っていうんですかね、少し日本が嫌いになったというのはないでしょうか?

蓮舫:ハハ(笑)。大好きですよ、日本は。

今おっしゃった、戸籍法に対して物を言うというか、まあ立法府にいるものですから、いろんな法律見てて、やっぱり法律はわかりづらいというのは一般的にあると思っています。

やはりただ私の場合は、そうした改正前の国籍法、改正後の国籍法、あるいは経過措置、それと合わせた戸籍法、もっともっとやっぱり関心を持って学んで確認をする行動を取ってこなかったことは、何度も言いますけれども、深く反省しなければいけないことで、法律が悪いわけでもないと思っています。