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かかりつけ医はなぜ必要? 日本医師会が提言する、がんの早期発見・早期治療の重要性

かかりつけ医はなぜ必要? 日本医師会が提言する、がんの早期発見・早期治療の重要性

2016年11月3日〜6日の3日間にわたって、「サイエンスアゴラ2016」が開催されました。キーノートセッション「がん予防が切り開く新しい社会」に登壇した横倉義武氏は、「地域医療の実践過程でかかりつけ医が果たすべき役割」をテーマに講演を行いました。

シリーズ
サイエンスアゴラ2016 > がん予防が切り開く新しい社会
2016年11月3日のログ
スピーカー
公益社団法人 日本医師会 会長 横倉義武 氏

地域医療の実践過程でかかりつけ医がはたすべき役割

横倉義武氏 日本医師会の会長の横倉です。本日はこのような会にお招きいただきまして、ありがとうございます。 ご承知のとおり、国は現在、取り組むべき重要なテーマの1つとして、健康寿命の延伸を挙げ、官民問わずさまざまな取り組みが行われています。 日本医師会では、年を重ねても健康を維持し、また病気になっても重症化を防ぐことにより、住み慣れた地域で長く暮らすことのできる社会を実現するために、従来から、「かかりつけ医」を中心とした地域密着型医療の必要性を訴えて、普及に努めてまいりました。 本日のテーマであるがんの予防におきましても、患者さんが最初にアクセスする地域のかかりつけ医がどのような役割を果たしているのかをお話しさせていただき、みなさまにかかりつけ医の重要性について少しでもご理解をいただければと思います。

がん罹患数(全国推計値、全部位)の年次推移

(スライドを指して)これは毎年どのくらいの方ががんにかかっているのかを示したスライドです。右肩上がりに増加していることがご理解いただけると思います。2012年で約86万人です。 また国立がん研究センターが公表した予測では、2016年に新たにがんに罹患(りかん)する方が100万例を超えるとされています。

高齢化の推移と将来推計

がんの罹患率・死亡率の増加の主な要因として、高齢化が言われています。これは国の人口構成の将来推計ですが、世界トップクラスの平均寿命をほこる我が国では、少子化と相まって、2020年以降も高齢化率が進むと推計されておりますので、このまま何もしなければがんの罹患数は今後も増加していくと考えられます。

国民一人ひとりが取り組めるがんへの備え

では、我々国民一人ひとりに何ができるかですが、まずは予防です。国民一人ひとりが自分の健康を意識した生活を送っていただくことによって、将来的にがんになるリスクを減少させることができます。 次に早期発見です。定期的にがん検診を受診していただいて、がんの早期発見・早期治療につなげることでがんを克服することができます。 では、明日から予防・早期発見という行動を実践したいと考えたときに、まず誰に相談すれば適切なアドバイスを受けることができるのでしょうか。 冒頭にも申しましたが、私ども日本医師会は国民のみなさまに、そのようなときに何でも相談できるようなかかりつけ医を持っていただきたいと考えています。

「かかりつけ医」とは

かかりつけ医とは、具体的にどのような医師かと申しますと、平成25年(2013年)に医療提供のあり方ということで、医師会と病院団体で合同提言をいたしました。 その中で、かかりつけ医とは、ここ(スライド)に掲げているように、患者さんのさまざまな相談に乗って、他の医療機関や関係機関への紹介も含めて、地域で総合的に医療、保健、福祉に対応できる医師であり、それが私どもが考えているかかりつけ医の定義です。

生活習慣と関連するがんの主な要因と対策

例えば、生活習慣と関連するがんの主な要因としては、喫煙、飲酒、食生活、肥満、運動(不足)の5つを挙げさせていただきました。 こうした生活習慣にはリスクがあることを理解していただいた上で、自らができる取り組みとして、まず自分の健康を意識した生活を送っていただくことが重要です。 みなさんもお聞きになったことがあると思いますが、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬」というフレーズは国の健康増進普及月間の標語にもなっています。 次に健診を受けていただき、ご自身の健康状態を定期的に把握していただくことも重要です。そしてもし健康課題が見つかれば、適切な保健指導や医療を受けていただくという、こうした行動習慣を持つことががんの予防の第一歩だと思います。 このようなみなさまの健康管理を支援する役割を担っているのが、地域のかかりつけ医であるということを理解していただきたいと思います。

(例)かかりつけ医を持つには

あまり病気をしたことがなく、「どうすればかかりつけ医を持てるのかな?」という疑問を持つ方もいらっしゃると思います。 これは1例ですが、健診のために身近な医療機関で受診して、それがかかりつけ医を持つ良い機会にもなります。 医師と患者さんの関係は、やはり人間関係でありますから、合う医師・合わない医師ということもあるかもしれません。まずは、自分に合った医師を見つけていただくことが重要だと思います。 働いている方は、職場が指定する医療機関で健診を受けている方が多いと思いますが、健康課題が見つかってしまった人は、産業医などの先生に相談をしていただくことで、かかりつけ医を持つきっかけになると思います。

がん検診とは

がん検診には、早期発見のための検診があります。地域のがん検診の案内をご覧になったことがあると思いますが、現在国の指針に基づいて胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診が行われています。 職場でも従業員の方に対して、独自にがん検診を実施している場合もありますので、早期発見のための体制は一定程度できていると思いますが、先ほどもお話がありましたように、その受診率がまだ十分ではありません。

がん検診受診率の推移

内閣府の調査では、がん検診を受けない理由として、「時間がない」「費用がかかり経済的にも負担になる」「がんであるとわかるのが怖い」「健康状態に自信があり、必要性を感じない」といった理由が挙げられています。

かかりつけ医の効果

これは日本医師総合政策研究機構が行った国民調査です。ご覧のとおり、かかりつけ医を持っていらっしゃる方は、持っていらっしゃらない方に比べると、がん検診の受診率が高いという結果が示されています。 単に文書でお知らせをするだけでなく、かかりつけ医が患者さんにがん検診を勧めていくことが重要だと思います。

かかりつけ医機能の強化に向けた取り組み

「かかりつけ医機能の強化に向けた取り組み」として、日本医師会は今年(2016年)の4月からかかりつけ医機能を地域の先生方にしっかりと認識し、勉強してもらうために、「日医かかりつけ医機能研修制度」を開始したところであります。

まとめ

まとめになりますが、超高齢社会を迎えるにあたって、健康寿命の延伸を実現するためには、国民全体に「がんにならない」、「がんを早期発見・早期治療する」という意識を持ってもらう必要があります。 そのためには、国民一人ひとりが、かかりつけ医を持ってもらうことが重要であり、
私ども日本医師会としても、それを普及定着させるために、地域のかかりつけ医機能のさらなる充実・強化を図っているところです。
国民みんなががんにならないような体をつくり、なっても早期に発見して治療することによって、健康寿命の延伸に結びつくように願っているところでありますので、みなさんどうぞよろしくお願いいたします。

  
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