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CA藤田社長、AbemaTVへの200億円の投資について「いかなる批判があっても耐えきるしかない」

CA藤田社長、AbemaTVへの200億円の投資について「いかなる批判があっても耐えきるしかない」

楽天社長・三木谷浩史氏が代表理事を務める新経済連盟主催「新経済サミット2017」。セッション「動画配信メディアの未来」では、動画メディアを牽引するAbemaTVとC CHANNELからサイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏、C CHANNEL代表取締役の森川亮氏が登壇し、動画市場の収益モデルや、先行投資の際の心構えなどについて語りました。

シリーズ
新経済サミット2017 > 動画配信メディアの未来
2017年4月6日のログ
スピーカー
株式会社サイバーエージェント 代表取締役/新経済連盟 副代表理事 藤田晋 氏
C CHANNEL株式会社 代表取締役 森川亮 氏

【モデレーター】
株式会社クラウドワークス 代表取締役社長CEO/新経済連盟 理事 吉田浩一郎 氏

AbemaTVが200億円もの投資を行う理由

吉田浩一郎氏(以下、吉田) では、3つ目のテーマにいきます。動画の未来、そしてコンテンツをどう作っているか? お金をかけてコンテンツを作ったときに、やはり気になるのは収益モデルと思っています。3つ目のテーマとして収益モデルに踏み込んでいきたいです。 藤田社長は、テレビがすでに確立したビジネスモデルがあるなかで、そういう番組を作られている。今回、先行投資で今期200億円という膨大なお金を投資されて、コンテンツを拡充されると思いますが、そこの出口戦略はどれぐらい意識されていますか? 藤田晋氏(以下、藤田) いわばタダでコンテンツを見てもらい、広告で収益をあげるビジネスモデルは、ほとんど世界的にも見たことがないし、成立していないと思うんです。ということは、本当に我々自身が自分たちとの勝負みたいなもので手がけ始めた事業です。 僕が長年、ネットビジネスをやってきた感覚で、ある程度の規模にメディアが成長すると、広告がものすごく簡単に売れていく。けれど、逆にいうと、小さい規模はものすごく苦しい。だから、例えば月に10億円広告を売り上げられたら、もう20億、30億は簡単だけど、数億円を売り上げて回すというのは本当に難しいという感覚です。とにかく規模を拡大しないといけない。 今、だいたいMAU(注:1ヶ月間の利用者)が800万人で、だいたいWAU(注:1週間の利用者)でいうと半分です。400万ぐらい。WAUでだいたい1,000万ぐらいまでいくと、その領域に乗っていく。あと2倍ちょっとだという感じがあるので、もう1年ぐらいは同じペースで投資をし続けて、会社が赤字を許容するという考え方です。 ちなみにこの無料で広告という手応えですが、AbemaTVの7割ぐらい10代、20代という非常に若い世代が見ているんです。あとは30代前半。これはテレビ離れをしているといわれている世代です。そもそも、そういったユーザーに対してCMを流す手段は、今までなかったということです。 インターネットサービスのなかでも、ちゃんとクオリティを保証できるような広告のスペースは非常に限られている。最近ちょっと話題になっている、YouTubeの広告が違法なものにも出てしまうということがありましたけど、やっぱりCGM的なものはそういう難しさがある。 そういう意味で、広告の引き合いはかなり強いですよ。だから、けっこう順調に入ってきています。 AbemaTVはもう開局直後からタイムシフト、いわゆる録画は有料という考え方でやっています。Abemaビデオは、全体の5分の1は無料で見られる。けど、基本的にはプレミア会員、月960円の会員になってくれたら見放題ですという考え方。 これも、もともと僕がテレビ朝日で番組審議委員をやりながら非常に課題に感じていたことです。テレビの視聴率が下がってきたけど、タイムシフト視聴を足すとけっこう(視聴率は)大きいと言われている。ただ、タイムシフト視聴やビデオ視聴だとCMが早送りされてしまう。 つまり、ビジネスモデルが成立していないまま、タダで見られてしまうという難しさ。どんどんドラマをタイムシフトやビデオで録画で見るようになっていくことに危機感というか、問題意識を感じていたんです。 最初からリニア、生放送で見るときは、広告が入っているからタダでいいです。録画を見る場合は、これはもうDVD販売してるのと一緒だから、本当は課金しないといけないと僕はずっと思っていた。だから基本的にAbemaTVは、オンタイムで見るものは全部タダだけど、オンデマンドで見るには課金をしてくださいねという考え方でやっている。 吉田 じゃあむしろ、あるべきまっとうなコンテンツに対する課金の姿になっている。 藤田 本来、そうあるべきだと。それを我々だけで成立させられるかは、まさにチャレンジしているし、フロンティアとして成立させようという最中ではあります。

広告収入は常に変化している

吉田 ありがとうございます。森川さんのほうは、収益モデルはいかがでしょうか? 森川亮氏(以下、森川) 僕たちの場合は、まず女性に特化したメディアということで、ファッション雑誌に広告を出しているような会社さんからの出稿がけっこう増えています。 今のところだと動画のネイティブアドという、例えば化粧品だったら、化粧品を使って商品を紹介しながらメイク動画を提供するもの。あとは料理系で、食材を使ってレシピ動画を作るような、ネイティブ動画の売上。あとはいわゆるインストリーム型といわれる、YouTubeさんのような動画のなかに挿入するようなもの。この2つでけっこう売上が伸びてきている。 プラス、今、動画のeコマース(注:コンピューター上の商取引き)も開始しました。いわゆるテレビショッピングの若い人向け版。今、テレビショッピングは、どちらかというと年齢が高い方が見て、かつ、テレビショッピングを見ながら結局検索して買うらしいです。 テレビショッピングと今までのショッピングの違いは、もう最初から買うものが決まって買うのではなく、動画を見て欲しくなって買うという新しいスタイル。なので、コンテンツとして魅力的で、かつ、そこから簡単に買えるようになれば売れるだろうと始めた。それで、けっこう売上が伸びています。 今は広告とコマースというところで、さらにインフルエンサーがプロデュースしたオリジナル商品を安く提供する。ちょうどこの前、オンワードさんと共通のオンライン専用ブランドを立ち上げたんです。 今、化粧品とかそういうものも動いていて、そこでだけで買えて、かつ、安いものをどんどん立ち上げる、それをまた日本だけじゃなく、アジア全域で売っていく。そのあたりを今強化しています。 吉田 そうですよね。中国のほうでもストリーミング型のeコマースが急速に伸びているようですね。 森川 そうですね。 吉田 ちなみに、そういう意味では、今、グローバルの広告のお話でいくと、「正確な広告の指標って何なんだ?」と。 要は、1つはテレビから来るGRP型(注:延べ視聴率)の、バルクでまとめて見ていく指標と、あとネット広告型の、クリックだとかpay-per-viewみたいな価値観があると思います。そこはお二方におうかがいしたんですけど、森川さんどうお考えですか? 森川 そうですね。単純にリーチだけだと通常のバナーとかテキスト広告と同じような土俵になってしまうので、そこでどれだけ動画を長く見ているか、さらにそこにエンゲージメントというか、ロイヤリティが入っているかどうか、そのあたりが非常に重要だと思っています。こういったものもちゃんと指標として数値化できてKPIになるといいかなと。 あとは、そうはいってもインターネット広告は獲得系が多いので、僕たちの動画のeコマースみたいなかたちで、コンバージョンにもつながるような動画のあり方も研究しながら、この2つを組み合わせていくイメージは持っています。 吉田 藤田さん、ご本業でもあると思うので、いかがでしょうか? 藤田 本業ではあるんですけど、すごい久しぶりに聞いた質問です(笑)。 吉田 すいません(笑)。 藤田 「あれ、そういえば……」って。 吉田 いや、ちょっとみなさんが気になるかなと思って。 藤田 1つ言えることは、インターネットの世界は、かつての我々がやっていたブログや仮想空間とか、広告でいうとバナー広告やテキスト広告のような、そういうインターネットだけで完結する、わりとマイナーな世界というか、インディーズな世界から、完全にメジャー、ハイクオリティな世界に変わっている。 例えば、インターネットで映画を見るようになった。ドラマにしても、ニュースにしても、アニメにしても、そこでクリックしてどうこうという話じゃないですよね。 逆いうと、クライアントはバナー広告のスペースのなかでブランディングしたいわけじゃなく、自社のホームページに連れてきたい。テキスト広告がそこのリンク先みたいなものだよと。 そういう時代から、この5年ぐらいです。スマートフォンが普及し、PC端末もオシャレになり、Wi-Fiが普及しているこういう状況、あとテレビデバイス、スマート……ChromecastとかFire TV、Apple TVみたいなものがある。 なので、そういうなかで広告の位置付けが、バナー広告から今までのテレビCMのようなものに変わっていく。かつてできなかったブランディングのようなもの、告知効果のようなものが広告という表現のなかでできるようになる。今は明らかな変化のちょうどその過程にあるんだなという感じです。

結果を残した者だけに人はついてくる

吉田 ありがとうございます。いかがでしたか? 今、お話をうかがって、くっきりと違っている。テレビのクオリティのなかで、それの新しい視聴のかたち、あるいはその方法を提供するAbema。そして、グローバル前提として、そういったクリッパー主体でコンテンツを作って、女性という切り口で世界に発信する、日本発世界へというC CHANNELというかたちだと思います。 そういうなかで最後の質問ですが、今日ご参加いただいている方、ビジネスマンの方が非常に多い。本当にベンチャーだけじゃなく、大企業の方、新規事業のやり方というか、大きく投資をするところが、みなさんご興味あるところです。あと、実は私自身も創業以来ずっと赤字で投資をしているなかで上場させていただいた。 そういうなかで大きく投資をされる、大きく事業にチャレンジされるときの心構え、あるいはみなさんの挑戦へのエール、そういった言葉をそれぞれいただいて、最後締めたいと思います。 藤田社長はもう何度もアメーバブログ、その前にネット広告という、もう3回ぐらい大きな投資をされてきています。そういうなかで大きくチャレンジするときの心構え、秘訣みたいなものをいただければ。 藤田 非常に難しいですけど、このAbemaTVをやると言いだして、今の僕じゃないと、みんな言うことを聞かなかったと思うんです。 なぜ今の僕だったらいいかというと、かつて黒字化できないだろうといわれたアメーバブログを黒字化させたり、サイバーエージェント社も上場以来4期赤字だったので、もう黒字化できないといわれたのを今のかたちに育てた。 要は、その過程はみんなすごく不安なので、「この社長大丈夫かよ?」とリーダーをみんな疑い始めるし、ダメな理由をその間にいろいろあげつらう。ですけど、それってすごく説得力があるんですよ。 吉田 (笑)。 藤田 だけど、これだけやってきたから、今回のAbemaTVもなにか勝算があるだろうと、みんな思っているんです。うちの社内でも、提携しているテレビ朝日も投資家も。はっきり言って、正直、僕もわからないですけど、気合でやるしかない(笑)。 吉田 今、これ中継されていますが(笑)。 藤田 もちろんいけると思ってやっていますよ。いけると思っているけど、でも、やっぱりそれにみんなが巻き込まれて、「俺もいける」「俺もいける」と、みんなの熱意で結局はかたちになっているものが多いです。新規事業は、誰かが不可能を可能にしたから存在しているものが多いので、誰がやってもうまくいくものじゃない。 そうすると、みんなを黙らせるような地位にいたり、過去の実績がないと、その間耐えきるのは本当にすごく難しいです。 だから、大きなチャレンジをする時に途中でくじけそうになる気持ちもすごくわかるし、「やれるものならやってみろよ」というぐらい大変だと思うんです。 ですから、将来こうなるんだというビジョンをその期間に描いても、誰も聞いてくれない。誰も先が見えない新しい事業、例えばAbemaTVのようにそもそも他にやっている人がいないものは成功するかどうかもわからない。 それでも、いかなる批判があっても耐えきるしかない。 吉田 なるほど。 藤田 クラウドワークス社を赤字で踏ん張っている吉田社長もぜひ歯を食いしばってがんばってください。 吉田 ちょっと最後(笑)。がんばります。ありがとうございます(笑)。 続きまして、森川社長もLINEで大きな勝負をされ、また起業直後から圧倒的に投資をされていらっしゃるイメージがあります。そういうときの心構え、考え方を教えていただければ。 森川 でも、僕も藤田さんに近い。最初、昔「ハンゲーム」というアイテム課金のゲームをやっている時も、ネイバーはいろいろと苦戦しました。検索をやっている時も、またLINEもそうですが、もともと誰もやっていない領域をやるのは、とくに日本の場合はアメリカで成功してるものや、中国で成功してるものは比較的みなさん納得しやすい。 けど、そうじゃない場合は、比較的ネガティブに反応する場合が多いので、いかに説得するのか、もう無視して突っ走るみたいなところがすごく重要かなと思います。 そのなかで大事だと思うのは、必ず目先の目標を1個ずつ達成していくということが重要と思っています。リーダーがなにか言ったものをちゃんと1個ずつ達成していかないと、みんな不安に思います。 方向性がブレたり、人が辞めたり、そういうこともあるので、なるべく1個ずつの目標を達成しながら、並行して大きいビジョンを掲げる、この両方が重要になると思います。 ただ、やっぱりアメリカや中国で成功してるからやる、という会社ばかりだと、ちょっと日本もつまらないなと思う。むしろアメリカや中国をリードするぐらいの新しいサービスがどんどん生まれたらもっと元気な国になると思います。 吉田 ありがとうございます。今日は新経済サミット、新しい経済を生み出すなかで、動画の未来というセッションでした。改めて、日本を代表するチャレンジをしている動画の起業家お2人に、大きな拍手とともに終わりたいと思います。今日はありがとうございました。 (会場拍手)

  
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