判断力を鍛える方法

司会者:この判断力なんですけれども、鍛える方法があるのかというところをちょっと落とし込んでいきたいと思うんですが。一般的にこういうことがよく言われるらしいです。まさに先ほど出たものですね。

「思考のトレーニングを行うこと」「他人の意見を積極的に取り入れる」「なにごともやってみる」「日頃からいろんなことに関心を持つ」「広い視点で物事を捉える」「自分の判断に責任を持つ」。

どうですか、福西さん、このへんはあてはまるところ。

福西:このとおりじゃないですか。思考という、秋田さんがいう、いろんな状況があって、いろんなことを考えて、「じゃあボールがこう動いたから、自分はこういう選択をしなきゃな」ということなので。

まず、他人の意見を積極的に取り入れるのもそうじゃないですか。いろんな情報を得て。自分が周りを見て、「じゃあこういう状況だな」。

逆に「後ろから秋田さんが声かけてくれるから、後ろに誰か来てるぞ」。だからこそ自分が見て判断する材料にするってことですよね。情報を得る。

そのなかで、やってみて失敗することいっぱいあるんです。サッカーは。もういろいろ変わるから。「ああ、選択して遅れた」。

判断が遅れたのもそうだし、今言う0.何コンマという状況なので、ボール持って、はい、1秒って、「みんなどこいるんだろう?」って。

この考えてる時間にもう取られちゃうし、逆にもうマークもつかれちゃうし、整えられちゃうしっていうことなので、やっぱりやってみないとわからないというのは確かに多いことではあると思います。

でも、こういうことを経験していくと、「なにが正しいのかな」っていうのが自分で選択でき始める。「これはこういう状況だったら、この前失敗したな。

だからこうじゃなくて違うやつを選択しようか」ということなので、判断を、どの選択にするかというのは、こういう経験を経てからだと思いますね。

メンタルはどの場面でも重要

司会者:さまざまなことに関心を持つ。例えばサッカー選手が野球を見たりとか、いろんなほかのスポーツとか、サッカー以外のことに関心を持った。

まあ当然ありますよね。そういうところもアンテナを高くしたりとかっていうのは? そうでもないですか?

福西:いや、これは……。僕はゴルフもしてたんですけど、やっぱり多少……もちろんぜんぜん違う競技ではありますけど、じゃあクラブにボールが当たる瞬間に「どうだからボールが飛ぶ、右に曲がる、左に曲がる」。

じゃあキックだって、足に当たる瞬間に「どっち行く?」ということなんですね。だけど、ゴルフはうまくいかなくてねえ。これねえ。

(会場笑)

秋田:難しいよね。ゴルフね。

福西:でも、それはものがあるから、僕ら、難しいんですよ。

司会者:あ、普通に蹴るんだったら。

福西:そう。蹴るんだったら、ゴルフもけっこう……パターも蹴ると入るんじゃねえかなって、イメージはすごいあるわけですよ。

(会場笑)

福西:だけど、ものを使ったら、なんかちょっとずれたりして違うところいくとかっていうのは苦労、僕は今でもしてるんですけど。

でも、やっぱり関心を持っていくと、やっぱりそれが好きになったり、好きに変わったりとか。

司会者:ちなみに腕前のほうはどうなんですか?

福西:腕前はそこそこ。やっとみんなと回れるぐらいですかね。90〜100の間で。

司会者:秋田さん、ゴルフやるんですか?

秋田:まあまあ、僕もそんなもんですね。

司会者:すぐうまくなりそうですよね。

秋田:だからみんなに言われますよ。「頭でやれよ」つって。まあ頭というかでこですね(笑)。

福西:そう、「でこでやれよ」って。

秋田:「ヘディングしたほうが正確だろう? お前」みたいに言われるんですよねえ。

司会者:コメントしづらいですね。それね。

秋田 :そうですね。はい(笑)。

福西:だから楽しいです。逆にそういうのを見ながらやるし、逆にメンタルというのは、サッカーでももちろんメンタルというのは重要で。昨日も錦織(圭)くんが「メンタルが……」って言われてますけど、(松岡)修造さんにね。

でも、やっぱりそういうのと一緒で、対相手とかだとやっぱりそういうメンタルも重要だし、ゴルフだって「入れなきゃいけない。

入れなきゃいけない」って思えば思うほど体が固くなるし。そしたらいいプレーできなくなるんでね。いろんなところ関心持ちながら。

秋田:吹っ切るというかね。

福西:そう、自分の得意なところとか。職業もそうですし、関心、好きな、やってることとかもそうですし、そこにどううまくいくかなというのを考えてもらえれば楽しいんじゃないですかね。

成功と失敗、2つに価値がある

司会者:これを総括してくると、「適切な判断をするためには」というので、こういったかたちになると。「経験値が増やすことが大切だ」、これは間違いないですか?

福西:はい。

司会者:これは、成功体験も失敗体験も、2つとも価値があるという?

福西:そうですね。失敗体験がないと成功がわからないので。毎回成功していれば「やってることがすべて正しい」ってなっちゃうし。

ただ、そこで大きな失敗ってしないほうがいいですけど、失敗を最小限に抑える判断とか思考とかを含めてしていって、やっぱり失敗してこそ。やっぱりサッカー選手はとくにそうですけども、失敗のほうが多いので。

司会者:ウェイトは同じなんですか? そういう意味では。

秋田:いや、僕はね、例えば成功体験・失敗というのは、試合の、鹿島の時の決勝戦で、勝つ・負けるっていう話あるじゃないですか。今は10何個かな、いっぱいタイトル取ってますけど。鹿島。でも、それと同じだけ負けてるんですよ。決勝戦で。

だから、やっぱりそれは失敗なんですよね。失敗。でも、それを両方あるからこそ、そこまでいく力もあるからこそ、両方経験できる。

その失敗も成功も、やっぱり同じ経験があるからこそ、このかたちになったらもう取れるというのが、やっぱり鹿島のクラブが持つようになってくるので。

そうするとああやってタイトルが。3位でリーグ戦終わったとしても、最終的には優勝してるとか。そういうここっていうところの……なんていうんですかね。

福西:ひもを?

秋田:そう。つかめるか

福西:これ足したから経験値というより……それもそうですよ。もちろん。だけど、失敗した経験があるから成功に導くということでもあるので。

秋田:逆もあるよね。逆のね。

福西:そうですね。成功したから、その成功のために。優勝したから、また優勝したくなるんですよ。これ。でもね、優勝してないチーム……川崎がなかなか優勝できません。

秋田:そう。

福西:川崎ファンいますか? ……よかった(笑)。

(会場挙手)

福西:あ、いた。

秋田:(笑)。

福西:なかなか優勝できないと。じゃあ本当に優勝したときの気持ちっていうのはわからないから、慌ててしまったりとか、本当に判断を誤ったりとか。

さっき「時間稼ぎすれば勝てる」という経験。失敗してきたからこそわかるわけですし、優勝した経験があるからこそ、それをしてでも勝ちたいって思うし。

司会者:これ仕事も同じですよね。みなさんも会社、お勤めとかで、例えば契約とかいろいろありますもんね。

福西:あると思いますよ。いや、「これ言ったから、ちょっと契約できなかった」ということもあると思いますし。営業でもそうですよね。

秋田:だから、次、言わないからね。

司会者:ということですよね。

福西:やっぱりそういう経験を積んでくれば……。

マザー・テレサの言葉に学ぶべし

司会者:判断力が自ずと上がるというかたちになるんですね。なるほど。そしてここです。ここは、秋田さんが大切にしている言葉。

秋田:これ似合わないですけど、マザー・テレサの話なんですけど。

「思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい。

それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから」。

この話はまさに今日僕が話したことで。まずみなさんが最初に考えることが、最終的に全部自分の身にかかってくるんですよって話ですよね。

自分でしっかりとプランを持ちながらやったら、そのプランが最終的に自分の運命として返ってくると。責任感がなかったら、みんなに信用されないから、仕事をもらえないし、うまくいかないってことがあるとか。

そういうことだと思うので、これは僕いつも……。この言葉すごく好きなんですけどね。みなさん、この言葉をちょっと、肝に銘じてやったら、すごくいいことが起こるかなって思います。

司会者:秋田さんとマザー・テレサ。なんかこう、いいですね。

秋田:合うでしょ? ……合わないですね。

司会者:(笑)。

福西:まあ、失笑ですね(笑)。

秋田:(笑)。

司会者:難しい。これは(笑)。

秋田:だって、俺、失笑狙ったんだから。

福西:そういうことでしょ。

秋田:俺は今のホームランだったね。

福西:そうだね。

秋田:ホームランだった。

福西:そういう思考を持ってください(笑)。

秋田:そういうことです。

司会者:そして、最終的にここに戻ってくるんですね。「夢や目標は持っていますか?」。

秋田:すべては、あなた次第です。