2018年2月期第1四半期決算説明会

梅田義晴氏:専務取締役管理本部長の梅田です。どうぞよろしくお願いします。本日はご多用のところ、弊社決算説明会にご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

昨日、2018年2月期第1四半期決算短信を開示いたしました。すでにご覧いただいているとは存じますが、当期より、前期までの決算短信の内容を大きく見直しています。本年4月に発表しました、2017年度を初年度とする中期経営計画の重点施策の進捗と、セグメント情報に関する経理用情報。

これら、みなさまに有用な情報に絞り、開示しています。今後も、開示内容の拡充に取り組んでまいりますので、忌憚のないご意見をいただければと存じます。

それでは決算内容について、ご説明をさせていただきます。

連結業績概要

第1四半期決算について、ご説明させていただきます。決算業績につきましては、営業収益が前期比106.1パーセントの710億円。営業利益が前期比107.0パーセントの121億円。経常利益が前期比101.8パーセントの120億円。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前期比122.9パーセントの69億円となっております。

いずれも社内予算を上回り、第1四半期としては、過去最高実績を確保しています。ご覧のとおり、成長を牽引するのは海外事業です。中国は営業利益が2億2,000万円の赤字ですが、前年に対しプラス7億5,000万円の改善をしています。

アセアンは、営業利益がプラス1億6,300万円に改善し、5,900万円と黒字化を果たしています。海外事業は2017年度の黒字化に向けて、順調に進捗をしています。

【アジアにおける成⻑機会の獲得】海外 既存モール専⾨店売上前期⽐

次は、海外事業の既存モール専⾨店売上前期⽐について、ご説明いたします。ご覧の資料は、海外事業における既存店ベースの営業数値の状況です。海外事業全体の専門店売上は、引き続き年率2桁以上の高い伸びで推移しています。

売上が大幅に伸長している要因は、1つ目が所得や消費水準の向上。2つ目が当社モールの立地が、街づくりが進展しているエリアですので、商圏人口が拡大していることにあります。

とくに中国における2017年1月から3月までの3ヶ月間の前期比は、専門店売上が122.2パーセント。来店客数が114.0パーセントと、前年に比べ伸び率が伸長しています。

アセアンでは、カンボジアが引き続き高い売上伸長を続けております。カンボジアはまだ1モールの出店ですが、すでにカンボジア事業として黒字化を達成しています。ベトナムの売上は、前期比107.1パーセントと前年に比べ鈍化しておりますけれども。

ベトナムの既存店は、全部で3モールあります。2015年10月にオープンしたハノイのロンビエンは、前年オープン景気の反動減がありました。他の2モールは、前期比120パーセント前後で推移しています。

【アジアにおける成⻑機会の獲得】海外 ⿊字化モール

続いて、海外の黒字化モールについてご説明します。売上の伸長に伴い収益が拡大し、黒字化するモールが増えております。スライドのとおり、当第1四半期より黒字化したモールが、中国で2モールあります。天津中北と河北燕郊が増加した結果、中国全体の13モール中9モールで黒字化を達成しました。

アセアンでも2モール、ロンビエンとビンタンが黒字化しました。それにより、アセアン全体の6モール中5モールが黒字転換しています。

【アジアにおける成⻑機会の獲得】海外 四半期別業績推移

次に、海外事業における利益改善の進捗のご説明です。海外事業の営業利益改善額につきましては、2016年度が、通期で前期比プラス16億円でしたが、当第1四半期は3ヶ月で9億円の改善となっております。2017年度は37億円の改善による黒字化を計画しており、そのとおり進捗しています。単純に4倍すれば、ほぼ37億円という数字です。

【アジアにおける成⻑機会の獲得】海外 ベトナム

続いて、海外事業におけるベトナムとインドネシアに関するトピックスを紹介いたします。本年6月5日にイオンとベトナムハノイ市人民委員会との間で、「ハノイ市における投資及び事業推進に関する包括的覚書」を締結しました。

本覚書に基づき、イオン各社はハノイ市における投資事業活動を推し進め、ハノイ市はこれらの取り組みが円滑に進むよう、支援していくものです。

当社においても、2019年度にオープンを予定している「イオンモール ハドン」を含め、ハノイ市におけるショッピングモール開発を、積極的に推し進めてまいります。

【アジアにおける成⻑機会の獲得】海外 インドネシア

続いて、インドネシアに関するトピックスです。2017年度にオープンを予定している、イオンモール ジャカルタ ガーデンシティに対して、政府と民間共同のインフラファンドである株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)より、約50億円の出資を受けることが、5月30日に決定いたしました。

JOINは海外において、交通事業及び都市開発等のインフラ事業を行う業者に対し、資金の供給や専門家の派遣等の支援を行っております。商業施設としては当社が初めて、JOINによる出資を受けることとなりました。これは当社のモールが、現地において重要な生活インフラとして認められた、ということです。

また、2018年度にオープンを予定しているイオンモール セントゥールシティ(仮称)は、地元不動産ディベロッパーとのマスターリース契約で、出店することが決まっております。

中国では、出店を加速することを目的として、現地ディベロッパーとのマスターリース契約による出店が基本です。しかしながらアセアンでは、中国のようなパートナーとなりうる現地ディベロッパーがなかなか見つかっておりません。土地建物も自社所有で出店してきましたが、今後は外部資金手当や、出店スキームの多様化により、投資負担の軽減を図ってまいります。

⽇本 既存72モール専⾨店売上前期⽐

続いて、国内事業についてご説明いたします。まずは、主力のモール事業についてです。当第1四半期3ヶ月間の、既存72モールの専門店売上前期比は、曜日調整前で前期比103.4パーセントとなりました。2016年下期より、ショッピングセンター業界全体の前期比伸び率を上回って推移しています。

売上伸長の要因は、客単価は前年を下回っておりますが、来店客数が前期比101.9パーセントと伸長し、結果としてレジ客数が増加したためです。

⽇本 既存72モール専⾨店売上 業種別前期⽐

続いて、専門店売上の業種別前期比です。衣料品と服装品を除く全業種で、前年を上回って推移しています。また、衣料品・服装品もマイナス幅が縮小しています。

これはシネマが、『ラ・ラ・ランド』や『モアナと伝説の海』、『ドラえもん』等のヒット作品に恵まれ、前期比124.2パーセントと好調に推移したためです。シネマヒットの相乗効果として、ご来店されたお客さまが他のテナントでもモールをご利用くださるという、好循環が生まれたこと。

また、前期より積極的に実施した、リニューアル効果等によるものです。今後もリニューアルにおいて、食品や飲食といった、食のカテゴリーの拡充。そして、ヘルス&ウェルネスを切り口としたアミューズメント・サービスを拡充し、リアルモールの強みを打ち出してまいります。

⽇本 ⽇本と⽶国におけるSC業界の現況

続いて、⽇本と⽶国におけるSC業界の現況についてご説明します。昨今、米国においてショッピングモールの淘汰が進んでいると言われています。報道ベースでは、J.C.ペニー・メイシーズ・シアーズなど、アメリカを代表とする小売企業において、閉店の発表が相次いでおります。

ショッピングモールにおける各店舗が撤退することで、来店客数の減少・テナント稼働率の低下が進み、「デッドモール」と呼ばれる閑散としたモールが増えております。

しかし、すべてのモールが淘汰されるのではありません。いわゆる、Aランクと位置付けられる競争力のあるモールは、好調を維持しています。一方、競争力の低いCランク・Dランクのモールが、淘汰の対象となる。つまり、優勝劣敗が進んでいくということです。

日本においても、モールの淘汰が進むのではないかと危惧するご意見もございますが、スライドをご覧いただくと、米国の大型モール数は日本の6.6倍。1モール当たりの人口は日本の0.4倍。

つまり、米国は過剰供給となっております。日本においては、人口あたりの大型モール数はまだ少なく、ショッピングモール需要が大きくなっていると、ご理解いただけると存じます。

一方で、日本においても人口の減少・少子高齢化などのデモグラフィック変化、また、eコマースの進展などの消費行動の変化を背景として、商業施設の淘汰が進んでいることも、確かです。

その対象となるのは、エリアにおける支持率が低下し、競争力が弱まっている施設であり、環境変化に伴い、多様化するマーケットニーズを取り込んでいくことが必要となります。

【新たな国内需要の発掘】⽇本 ①商業施設淘汰に伴う消費マーケットの取り込み

商業施設淘汰の対策として、新たな国内需要の発掘に向けた取り組みがございます。施策の1つ目は、商業施設の淘汰が進展したことで大型商業施設閉店等の進む地域における、消費マーケットの取り組みです。

スライドをご覧ください。イオンモール旭川駅前店では、旭川駅前の大手百貨店の閉店に伴い、同店に出店していた有力テナントを新規に誘致しました。また、既存テナントにおいても取り扱いブランドを拡充した結果、売上は引き続き前期比2桁を大きく上回り、推移しています。

【新たな国内需要の発掘】⽇本 ②新たなカテゴリー創出

2つ目は、新たなカテゴリー創出です。カテゴリー特化型の編集ゾーン「モール in モール」の展開等、新たなカテゴリー創出に向けた取り組みとして、イオンモール京都桂川店では、大人の女性をターゲットとした「KYOTO KATSURAGAWA BLOOMING」を、4月22日にオープンしました。

スライドにありますように、旅行・ファッション・カフェをテーマに、お客様にゆったりした時間をお過ごしいただけるおもてなしゾーンとして展開し、好調に推移しています。

【新たな国内需要の発掘】⽇本 ③ローカルテナントの誘致

続いて3つ目は、積極的なローカルテナントの誘致です。3月24日にオープンしたイオンモール新小松店では、石川県・福井県・富山県の北陸3県に本社が所在する企業のテナントが、49店舗出店しました。ローカライズ視点でのテナント開拓・育成を進めました。

イオンモール新小松では、石川県の伝統工芸品である九谷焼の魅力を発信するプロジェクトを実施する等、ローカライズの取り組みを強化しており、地域の魅力発信強化に努めております。

【新たな国内需要の発掘】⽇本 ④ヘルス&ウエルネスの取り組み

続いて4つ目は、ヘルス&ウェルネスの取り組みです。イオングループでは、お客様の心身ともに、健康で豊かな生活づくりへの貢献を目的とする、ヘルス&ウェルネスの取り組みを強化しています。

当社では、天候に左右されず、安全なモール館内でのモールウォーキングを推進しており、当第1四半期において、国内40モールで展開しています。また、イオンモール幕張新都心店において、藤原歌劇団の「ノルマ」東京公演を記念して、「オペラの楽しみ」を6月17日に開催いたしました。

公益財団法人日本オペラ振興会の、「オペラをより身近に感じてもらいたい」という思いと、当社の「気軽に芸術やカルチャーに触れられる、感動体験の空間を作りたい」という思いが一致したことで、実現したイベントです。当日は、100名を超えるお客様にご来店いただき、立ち見の方が出るほどの盛況となりました。

オペラだけではなく、寄席・写真展等、文化・芸術分野における本格的なイベントを実施することで、従来のメインターゲットであるファミリー層に加え、シニアを含めたターゲットエイジの拡大による集客効果を図ってまいります。

【圧倒的な地域No.1モールへの進化】日本モール事業 2017年度既存モールリニューアル/2017年度新規モール

続いて、圧倒的な地域No.1モールへの進化に向けた取り組みです。既存モールが好調な要因の1つは、積極的なリニューアルの推進です。

当第1四半期は、8モールにおいてテナント入れ替えによるリニューアルを実施し、2016年度に活性化した28モールの売上伸び率は、前期比プラス5.7パーセントとなっております。スライド下段に、当第1四半期にオープンした3モールの概要を記載しています。

【都市部における成⻑機会の獲得】日本都市型ファションビル事業 2017年度既存店リニューアル/2017年度新規店舗

続いて、都市型ファッションビル事業についてご説明します。都市型ファッションビルを展開する株式会社OPAでは、今年3月に4年ぶりの新店となる、水戸オーパをオープンしました。

既存店では、5店舗にてテナント入れ替え・ゾーニング変更等による買い回り向上のためのリニューアルを実施、既存店の収益改善に向けた取り組みを推し進めました。

損益増減明細

資料の上段に国内・中国・アセアンの損益増減を記載し、下段に国内モール事業・都市型ファッションビル事業の損益増減を記載しています。

国内事業は、営業収益が前期比105.0パーセント、30億円増の635億円、店舗ベースでの利益である営業総利益が前期比102.0パーセント、3億円増の180億円、営業利益が前期比99.0パーセント、1億円減の122億円となりました。

国内事業減益の要因は、下段に記載のとおり、モール事業は増益を達成しておりますが、都市型ファッションビル事業を展開する株式会社OPAのリニューアル実施による営業機会ロスや、コスト増加等の影響もあり、営業利益が3億円減となったことによるものです。

OPAについては、通期ではリニューアル効果と下半期に新生OPAの1号店となる「高崎オーパ」の利益貢献により増益を計画しています。

海外事業は、中国の営業収益が前期比111.6パーセント、5億円増の55億円、店舗ベースでの利益である営業総利益が前期比8億円改善の3億円の黒字、営業利益が前期比7億円改善の2億円の赤字となりました。

アセアンは、営業収益が前期比135.5パーセント、5億円増の19億円、営業総利益が前期比1億円改善の2億円の黒字、営業利益が前期比1億円改善の5,900万円の黒字となりました。

損益計算書(要約)

PL(損益計算書)についてはこれまでの説明のとおり、海外事業の営業利益改善が営業利益の増益をけん引いたしました。

経常利益は前期比101.8パーセントの120億円となりました。経常利益の伸びが営業利益の前期比伸び率を下回っているのは、当第1四半期に7億9,600万円の補助金収入を営業外収益に計上したことから、当第1四半期における営業外収支が5億8,000万円減少したことによるものです。

四半期純利益につきましては、法人実効税率の引き下げ効果があり、前期比122.9パーセントと伸長し、69億円となっております。

なお特別損失にリース契約解約損9億4,800万円を計上していますが、これはキリンホールディングス株式会社より賃借していたイオンモール広島府中の土地建物を2017年6月1日付で取得したことによるものです。

当モールは2016年11月に増床リニューアルを実施したことで、中国四国エリアの基幹店として圧倒的なNo.1モールへと進化しており、当社が資産取得し、管理運用を行うことにより、さらなる利益成長を見込んでいます。

貸借対照表(要約)

バランスシートは、総資産が1兆195億円、負債が6,658億円、純資産が3,536億円となっています。増減要因は、決算短信資料に記載のとおりですので、ご参照をお願いしたいと思います。

キャッシュ・フロー計算書(要約)

続いて、キャッシュ・フロー計算書です。

営業活動の結果増加した資金につきましては206億円、投資活動の結果減少した資金につきましては280億円、財務活動の結果減少した資金は27億円となっています。増減要因は決算短信資料に記載のとおりです。

以上、2017年度第1四半期についてご説明を申し上げました。ご清聴ありがとうございました。