トレーリングストップを使う時の6つのチェック項目

中原良太氏:こんにちは。株式予報の中原良太です。今回は、「トレーリングストップを使う時の6つのチェック項目」というテーマで、ビデオ講座を撮らせていただきます。

トレーリングストップとは何かというと、「逆指値注文」という注文方法を使った損切りの手法のことを指します。逆指値注文では何ができるかというと、指値と逆の注文ができます。

「よくわからん」と思う方がいらっしゃると思いますが、例えば、指値注文だと、株価が安くなったら買いますよね。また、株価が高くなったら売りますよね。指値注文だと、株価が有利に動いた時だけ、株を買ったり売ったりすることができるわけなんです。

トレーリングストップや逆指値注文では何ができるかというと、それとはまったく逆のことをします。例えば、株価が下がったら売ります。株価が上がったら買います。

あまりに理不尽な注文方法のようにも取れるかと思うのですが、この注文方法、順張り投資をしている方には、ぜひ覚えておいていただきたい、すごく重要な注文方法なんです。

ぜひ覚えていただきたいのですが、それに伴っていくつか弱点もあるので、使い間違えないように、今回は6つのチェック項目についてお話していきたいと思います。

私がよくトレーリングストップを使う時にも、この6つのポイントを意識するようにしていますので、ぜひこのポイントをあなたと共有したいと思っています。

トレーリングストップとは

まず復習として、「トレーリングストップってそもそも何なんだ?」というのをもう一度お話ししたいと思います。トレーリングストップとは、損切りするためによく使われる注文テクニックの1つです。

例えば、株価が下がったら売る、あまりに下がりすぎたら、「これ以上下がったら、さすがに困る」という時に、売り注文を自動で発注してもらうという注文方法です。

逆に、空売りしてる場合は、「これ以上上がっちゃ困るな」という時に逆指値注文をして損を制限する注文方法です。

株価が非常に不利に動いた時に注文するので、約定価格はもちろん不利になります。ですが、あまりに想定以上の動きをされた時などにすぐに対応できる、非常に効果の高い注文方法ですので、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。

このトレーリングストップ、先ほども申し上げましたが、一般的に順張りのトレーダーに好まれて使われる傾向があります。

例えば、トレーリングストップ、株価が上がってる最中は、損切りのラインを徐々に引き上げていって、株価が上がって上がって……というのにしたがって、損切りのラインを徐々に高めていって、少し下がったところで損切りの一種の利食いをする、という投資をされてる方が非常に多いんです。ですので、順張り系の投資をしている方は、ぜひ覚えておきましょう。

非常に使いやすいトレードテクニックですし、どんな証券会社でも使えると思います。トレーリングストップっていう名前で使える証券会社さんは、数えるほどしかないんですが、逆指値注文っていうトレーリングストップまがいの注文方法は、ほとんどどこの証券会社でも使えます。

ですので、この投資法はトレードテクニック1つ覚えておけば、どんな方でも、順張りをしている方以外でも損切りを習得したい、会得したいと思っている方には使えるテクニックですので、ぜひ覚えておきましょう。

さっそく、このトレーリングストップ、実際に使うにあたって私がよく確認している項目というのは6つあります。それを今からご紹介していきます。

トレーリングストップを使う時の確認事項は6つ

実際にトレーリングストップを使う時の確認事項は6つです。直近の出来高、買い板と売り板のギャップ、各注文価格での板の厚さ、トレーリングストップの必要性、利用中の証券会社、そして、他の投資家による逆指値注文。この6つのポイントを必ず確認するようにしています。

この6つのポイント確認することで、トレーリングストップを弱点をカバーしながら、有利な方法で発注できるようになると期待できます。効果的な損切りができるようになって、せっかく出た利益を失わずに済ませることできるようになるんじゃないかと私は考えています。

それぞれの6つのポイントを今から1つずつご紹介していきます。まず1つ目が、「直近の出来高」です。

①直近の出来高

トレーリングストップで一番怖いのは、約定価格が滑ってしまうスリッページです。ですので、出来高が小さい時、TSというのはトレーリングストップの略です。トレーリングストップは浅いほうが安全ですし、出来高が大きい時は、トレーリングストップが深くてもOKということになる、という注意点があります。

トレーリングストップの弱点なんですが、株価が上がった時に初めて発注を出します。逆に、株価が下がった時にも初めて発注を出します。なので、株価が動いてから発注を出すので、発注が少しでも、0.01秒遅れると、もっと株価が上がってしまったり、下がってしまったり、もっと不利な価格で約定する可能性があるんです。

これをスリッページといいます。スリップって滑るっていうことです。価格が滑るのでスリッページと呼ばれています。100円で買いたかったのに、105円になっちゃったとか、90円で売りたかったのに、85円になっちゃったとか、より不利な価格に株価が変わってしまうというおそれがあります。

そういうことが起きないように、できるだけ出来高の大きな銘柄に、このトレーリングストップを使うようにしましょう、というお話です。

出来高が多ければ、板が厚いということになりますので、多少株価が変わったとしても、買いたい人がたくさんいるなかで株を売るとか、売りたい人がたくさんいる中で株を買うということをすれば、スリッページも小さく抑えられる傾向があります。

ですので、出来高が小さい場合は、トレーリングストップを浅い位置にするとか、あるいは、トレーリングストップを使わないほうが安全ですし。

出来高が大きい、つまり、スリッページが出づらい時には、トレーリングストップ、けっこう深めな位置に置いたりしてもOKですし、あるいは、トレーリングストップ頻繁に使っても、効果的な損切りができるようになると期待できます。

というのが、まず1つ目のポイントでした。次、2つ目です。

②買い板と売り板のギャップ

2つ目が「買い板と売り板のギャップ」。こちらも確認することを強くおすすめいたします。買い板と売り板の価格差が大きいほど、スリッページのリスクは高くなりやすいと、そんな特徴があります。

例えば、買い板が100円、売り板が105円です、と。5円の差があります。5パーセントの差があります。ここで、例えば、「101円以上に株価がなったら株を買います」っていう注文を出した時に、「101円以上になったら株を買います」って発注しても、たぶん約定するのは105円とか106円とか、もっと高い価格になっちゃうんです。

思っていた以上に不利な価格で約定しちゃう可能性があります。このギャップが大きいほど、不利な価格で約定しやすいんです。

ですので、1ティック差の割合が大きな低位株であるとか、あるいは、商いがそもそも薄い株などこの差が開きやすい株ほど、スリッページのリスクが非常に大きくなります。

ですので、低位株、薄商い株でトレーリングストップを使うのは控えたほうがいいかと考えられます。

ですので、ギャップの大きな株に損切りをしたい時は、トレーニングストップ以外の方法、損切りの方法を考えるか、それか、この外にちゃんと板に注文がちゃんと入ってるこの価格帯にトレーリングストップを設置するのが、下手に高く株を買ったり、安く株を売ったりするリスクも減ってきますので、そういう注文方法をされるのが無難だなと思っています。

はい、2つ目のポイントは以上です。

③各注文価格での板の厚さ

3つ目。「各注文価格での板の厚さ」。出来高の大きさとか、買い板と売り板のギャップ以外にも各注文価格での板の厚さ、「100円で何株分の買い注文があります」、「101円で何株分の買い注文があります」のように注文価格別の板の厚さは、ぜひ確認しておきましょう。

売買代金別に「売買代金これぐらい、10億円ぐらいある銘柄は、板はこれぐらい厚いんだ」とか、あるいは、「売買代金1億切っちゃうようなこういう銘柄だと、板の厚さってこれぐらいなんだ、これぐらいだったら、だいたいこれぐらい滑るだろうな」とに考えておくことで不利なスリッページ受けづらくなります。

たとえ、薄商い株で逆指値注文を出したとしても、「これぐらいだったら滑る想定の範囲内だな」と思えるようになるので、ぜひ注文価格別の板の厚さ、確認してみてください。

そうすると、トレーニングストップの怖さとか、あるいは、「こういう約定方法できるんだな」というのが、だいたい想像がつくようになると思います。

万が一、トレーリングストップ、どうしても使いたい時は、できるだけ板が厚いところの近くに逆指値注文を仕掛けたほうがいいです。例えば、100円に買い板が厚いのであれば、101円あたりに逆指値の売り注文入れるとかにすれば、どんなにすべっても100円までで済むだろうと考えられます。

ですので、不用意にトレーリングストップ使って、変に約定しちゃうと困るので、できるだけ不利な価格で約定しないように、厚めの板のところで逆指値注文使っていただくのが有利かとに思います。

ということで、3つ目の「各注文価格での板の厚さ」というお話でした。次、4つ目のポイントについてお話します。

④トレーリングストップの必要性

次のポイントが、「トレーリングストップの必要性」というポイントです。トレーリングストップは特有のリスクがあります。先ほどもお伝えしましたとおり、逆指値注文を使った注文方法ですので、スリッページのリスクが非常に大きいんです。

ですので、100円で買うつもりが105円になっちゃった、105円で買うつもりが110円になっちゃったというように、想定の範囲を上回るようなものすごい価格で約定しちゃったりします。「こんな価格で買うつもりなかったのに!」みたいな、そういう注文になっちゃったりするんです。

ですので、あまりむやみに使うものではないです。もう、勝算あって使うものなんです。もし、代わりの注文法があったり、効果が薄かったりするのであれば、できるだけ利用は控えたほうがいいと思っています。

もしトレーリングストップを使う場合は、最低でも0.5パーセントのスリッページがあるというのを覚悟しておきましょう。0.5パーセント、非常に大きいです。

1万円の利益で1パーセントだったら、5000円分ぐらいの手数料分がかかります。スリッページで5000円損しちゃうとか、そういうこともありますので、ぜひトレーリングストップを使う時には、それぐらいのリスクを取ってるんだというのを肝に銘じておいてください。

もしかすると、この動画講座を聞いているあなたも、逆指値注文を使った発注をしたことがあるかもしれません。逆指値注文で「そんなにスリッページないよ」ってに感じている方いらっしゃると思うんですが、ご注意ください。

スリッページは毎回発生するものではないんです。例えば、100回逆指値注文を使って、100回ともスリッページが発生するということは、ほぼないと思います。

むしろ、半数とか、5分の3、60パーセント、70パーセントぐらいはスリッページ出ないんじゃないかなと思います。ですが、スリッページが出た時は、非常に大きなスリッページが出ます。

つまり、0パーセント、 0パーセント、 0パーセント、 0パーセント、 0パーセント、9回の 0パーセントがあって、その後、5パーセントのスリッページがあるみたいな。そんな具合で不利な価格が約定するということがあります。

たとえ10回が0パーセントだったとしても、残りの1回で5パーセントのスリッページ出たら、だいたい0.5パーセントのスリッページじゃないですか、均すと。

普段が平気だからといって、あんまり軽く見積もらないほうがいいと思います。スリッページ出る時は、ものすごく大きく出ます。最低でも0.5パーセント、逆指値注文を1回使うごとに0.5パーセントのスリッページが出るって見積もられるのが無難だと考えています。

トレーリングストップ、必要でないなら、できるだけ使わないでおいたほうがいいんじゃないかなというお話でした。次が、5つ目のポイントです。

⑤証券会社の種類

トレーリングストップを使う時には、証券会社の種類に気を配りましょう。決済速度の遅い証券会社を利用すると、スリッページのコストが高くつきやすいという傾向があります。

スリッページのコストを抑えるためには決済速度の向上に積極的なインフラ投資をしている証券会社を選ぶのが理想的です。例えば、宣伝文句の中に「決済速度がNo.1です」とか、決済速度を推してるような証券会社さんは、おそらくスリッページ出づらいんじゃないかと考えられます。

逆に、手数料が安かったりとか、あまりに安いような会社さんだと、あまり決済速度とか、インフラ投資に回していない可能性があります。インフラ投資よりもコストを削減するところに重きを置いている証券会社さんが多いかと思いますので、スリッページが出やすい可能性があります。

「売買手数料が安いのに、スリッページのせいで大きくやられちゃった」という方が非常に多いので、スリッページを出しかねない売買ルールを使う、あるいは、これからそういうトレードをしようって考えてる方は、売買手数料だけでなく、スリッページの大きさも意識しておくと、結果的にはコストの低いトレードができるようになるんじゃないかと思います。

証券会社は非常に大事なポイントなので、ぜひ押さえるようにしておきましょう。次、最後の6つ目のポイントです。

⑥他の投資家による逆指値注文

「他の投資家による逆指値注文」です。逆指値注文は、私たちだけしか使えない特権というわけではありません。ネット口座を持っている方だったら、どなたでも逆指値注文、トレーリングストップという注文方法が使えます。

ですので、他の投資家の人たちと同じタイミングでトレーリングストップを使ってしまうとよりスリッページが起こりやすいという危険があるんです。

ですので、できるだけ周りの投資家が使いづらいような場所で、トレーリングストップ、逆指値注文を使うっていうのが無難です。

例えば、キリのいい価格、100円、200円ピッタリとか、そういう価格で損切りを設定してる方は非常に多いです。ですので、こういう価格での逆指値注文は危険な可能性があります。

次、天井抜け。つまり、今まで100円までしか上がったことがなかった株に対して、101円という逆指値注文を入れるとか、今までの一番高かった価格より少し上の価格とか、底値割れでは、一番安かった価格の少し下の価格。

天井をち少し抜けた時の価格と、底値を少し割れた時の価格です。こういった位置には、逆指値注文が集中しやすいという特徴があります。こういう価格で発注を出してしまうと、逆指値注文によってスリッページが起こりやすいリスクもあります。

ですので、もしこれからトレーリングストップ、あるいは、逆指値注文を使って損切りしようとお考えの場合は、こういった3つのパターン、「キリのいい価格、天井抜け、底値割れ」、このような3つのポイントではスリッページが起こりやすい可能性がありますので、ぜひ避けてトレーリングストップをご活用いただければと思います。

そうすればおそらくスリッページは出づらくなるんじゃないかと期待できます。

ということで、トレーリングストップを使う時の6つの注意点ということで、今回お話してきました。最後に、それぞれのポイントをもう一度振り返っていきたいと思います。

まとめ

今回のまとめです。トレーリングストップを使う時の注意点は、すべてで6つありました。

1つ目が、直近の出来高を気にしましょうというお話をしました。出来高が大きいほど有利、出来高が小さいほど危ないです。できるだけ出来高の大きな銘柄で使うようにしましょう。

2つ目が、買い板と売り板のギャップです。低位株とか、あるいは、薄商い株のように、買い板と売り板のギャップが広い銘柄は、スリッページ大きくなりやすい、コストがかかりやすいっていう弱点があります。

そういう銘柄はできるだけトレーリングストップ使わずに済ませるか、あるいはできるだけ板の厚いところに注文を置いておくようにして、損切りを確実にできるようにしておきましょう。

3つ目、各注文価格での板の厚さ。板が厚くなければ、どんどん株価は滑ってしまいます。ですので、スリッページおそれる場合は、板が厚い場所にトレーリングストップを設置していくのが便利で安上がりになるんじゃないかと思います。

4つ目、トレーリングストップの必要性。トレーリングストップには、固有のリスクが伴います。ですので、必要じゃない時は、使う必要はないです。だいたい1回のトレーリングストップの発注あたりで、0.5パーセントの損があると考えておきましょう。

それを上回るようなリターンがあるんでしたら、トレーリングストップ使う価値があるんじゃないかと思いますので、ぜひご検討いただければと思います。

5つ目、利用中の証券会社の種類。これもトレーリングストップ、スリッページに大きな影響を与えます。できるだけ、決済速度が早い会社をお使いいただくのが、スリッページ起きづらいかと思いますので、このようにされるのがおすすめです。

最後、6つ目、他の投資家による逆指値注文です。他の投資家も逆指値注文、トレーリングストップを使っていますので、他の投資家と同じような価格に設置してしまうと、よりスリッページの勢いが増す可能性があります。

できるだけ他の投資家が発注しないような価格に、注文しておくことで、コストが安くなると期待できます。避けるべきなのは、キリのいい価格と、天井抜けと、底値割れ。

この3ヶ所はとくにスリッページ起きやすいような価格帯ですので、ご注意いただければと思います。

ということで、この6つのポイントを押さえていただくことで、トレーリングストップを使いこなせるようになるかと思いますので、ぜひ確認してみてください。ということで、今回の講座は以上で終わりにいたします。

このトレーリングストップ、使いこなしていただくことで、あなたの順張り投資とか、あとは損切りが、他のトレーダーと比べてすごい上手くできるようになるかと思います。ぜひ1回使ってみてください。

この6つのポイントは私も確認しているポイントですし、実際に一流のトレーダーの方々も確認しているポイントです。ぜひ、あなたも一番最初は見よう見まねでいいので、「このように確認してみよう」とか実践を積んでいくのが非常に大事だと思いますので、ぜひやってみてください。