2017年3月期実績

松本啓二氏(以下、松本):松本でございます。どうぞよろしくお願いします。わたくしのほうから2017年3月期の決算の結果についてお話をさせていただきまして、18年3月期の予想等につきましては、改めて秋沢のほうからお話をさせていただきたいと思います。

まず17年3月期の売上高につきましては、577億6,000万円ということで前期比6.7パーセントの増収になっております。営業利益は、30億5,800万円ということで、これも前期比3.1パーセントの増益。

経常利益は、30億6,100万円でプラス2.8パーセント。最終の当期純利益につきましては21億4,100万円ということで、プラス1.4パーセントの増益となっております。

期初計画と比べましても、すべての項目で上回った着地となっております。

主な取り組み

次に当期におきましては保険償還改定の年に当たりましたので、とくに上期におきましては、価格交渉に重点を置いた取り組みをいたしました。

結果といたしましては償還価格の改定による販売価格の下落は、おおむね仕入価格にほぼ転嫁することができました。

また、新規顧客の開拓に注力をいたしました結果、上期よりCRS、これは心臓律動管理でございますが新規顧客の開拓、数施設と取引を開始いたしました。

また、CRS分野は市場が大きく伸びておりますので人員を増やし社内の体制も強化をいたしました。

決算のポイント

売上高につきましては償還価格改定のマイナス影響5パーセント程度ございましたけれども、新規顧客の寄与によりまして販売数量が拡大をいたしましたので、その結果前期比からは売上高6.7パーセントとなっております。

とくにCRS分野、また大型機器の売上が好調でございましたので、売上高は期初予想に対しましても若干上回って着地をしております。

分類別売上高の状況

次に分類別売上高の状況でございます。分類別の状況では、CRS分野が19パーセントの増収、大型機器関連が約58パーセントと大幅な伸びを示しました。

売上高は全体では増収となりました。残念ながらPCI分野は減収となっております。

分類売上高ハイライト(対前期)

分類別の詳細についてご説明をいたします。PCI分野につきましては今申し上げました通り、償還価格下落の影響が8.7パーセントございました。

これを終了の増でカバーしようとしておりましたけれども、残念ながらカバーできずに減収となっております。

CRS分野におきましては同じく償還価格の下落が3.4パーセントございました。けれども、ICD、CRT-Dなどの数量増で吸収をしております。

とくに冷凍アブレーション等のEP・アブレーション関連が大幅に伸長いたしました。その結果CRS分野は増収となっております。

CVS分野におきましても、償還価格については2パーセント下落をいたしました。ステントグラフト、また開心術関連の数量減をTAVI関連でカバーをいたしました。

PPI分野におきましては、同じく償還価格が3.7パーセント下落をいたしましたが末梢ステントの数量減をPTAバルーン等の数量増で吸収をしております。

大型医療機器関連におきましては、これは消費税増税影響がほぼ一巡をいたしましたので、大型案件が増加をした結果、増収となっております。

CRSハイライト

次にCRSの中でもとくに大きな伸びを示したのがアブレーション関連でございます。不整脈治療の中でも、もっとも大きく伸長しておりますのがこの心房細動の分野でございます。

心房細動になると脳梗塞のリスクが高まると言われております。約40パーセント程度が脳梗塞に移ると言われております。

治療には投薬等のいろいろな治療方法がございますけどもカテーテル、心房細動の原因となっている部分を根本から治療することができるこのアブレーションの普及が進んでおります。

ご覧いただけますように、3次元画像システムや冷凍アブレーションなどの新製品が次々と登場しております。検査や治療の精度が向上しております。その結果、心房細動の症例数も急増しております。

とくに冷凍アブレーションですが、これは手技時間の短縮も図れ、手術数の増加にもつながっております。

当社におきましてもアブレーションチームを結成いたしまして、アブレーション治療のサポートに力を入れた結果、関連製品の売上は30パーセント増と非常に大きな伸長を示しております。

分類別売上高ハイライト(対計画)

次に分類別売上高ハイライト、これは対計画でございます。左からPPI分野1億5,900万円のマイナス、これは既存施設の症例数が未達に終わった結果でございます。

あとCRS分野は1億2,000万円の未達にはなっております。これは上期が非常に好調でございましたので、中間期に上方修正の計画をいたしました。少し強気の計画になってしまった結果、計画からは1億2,000万円の未達ということになりました。

DMS、これは糖尿病関連のポンプの製品でございます。7,600万円の未達。これは新製品が出る予定でしたが、新製品が少しリリースが遅れた結果、このようになっております。

PCIにつきましては、ほぼ計画通り。脳外領域からCVSまではここに記載の通り大幅に計画を上回って推移をしております。

決算のポイント

次に営業利益でございます。営業利益は前期比で3.1パーセント増加をいたしました。ただし粗利益率が0.3ポイント悪化をいたしました。

この要因は販売価格の下落については冒頭に述べました通り、仕入れ価格のほぼ転嫁ができました。PCIの減収による売上ミックスの悪化等によった影響でございます。

決算のポイント

次に当期純利益は、前期比で1.4パーセントとなりました。これは営業利益等に比べると少し伸び率が低くなっております。けれども、前年は投資有価証券売却益を計上したことから今期は低い伸び率となっております。

連結損益計算書

次に連結の計算書でございます。粗利益率が低下したことによりまして、前年の営業利益は5.5パーセントでございました。けれども、当期におきましては5.3パーセントと0.2ポイント悪化をいたしました。

連結貸借対照表

次に貸借対照表でございます。商品が3億8,600万円増加をいたしました。これは一括買取による商品の増加によるものです。

また、仕入債務が22億8,800万円増加をしておりますが、これは大型機器の販売が好調に推移した結果、仕入債務が増加をした結果によるものです。

連結キャッシュ・フロー計算書

次にキャッシュ・フローでございますが、営業キャッシュ・フローにつきましては税前利益が30億6,700万円。仕入債務の増加が22億円ということになっております。営業利益は33億8,600万円となっております。

5億8,800万円の配当金の支払いをした結果、3月末の現金及び現金同等物は119億5,400万円という結果になっております。

以上、2017年3月期結果についてのご報告をさせていただきました。引き続いて社長、お願いいたします。

医療供給体制の課題

秋沢英海氏(以下、秋沢):ではわたしのほうから、今後の見通しということでお話をさせていただきます。

わたしたち今後の見通しを考えるにあたって、まず医療供給体制の課題というところで大きく2つ論点があろうかというふうに考えています。

1つは医療費の抑制、もう1つは医師の偏在というところであります。

医療費の抑制についてはここに書いてあります通り。長期の抑制と短期の抑制と、この2つの政策があろうかと思います。長期的な政策は病院機能の明確化、要件の厳格化によるベッド数の削減コントロールなどそういうものが考えられます。

短期の政策につきましては、診療報酬の改定による医療費の削減ということがあります。この4月は改定はありません。来期以降とくに薬については毎年改定というところの話が上がってきてます。

医師の健在

医師の偏在については地域偏在と科目の偏在というものがあろうかと思います。わたしたちは、この科目の偏在のところ、ここの解消がひとつのビジネスになるだろうということを考えております。

ちょっとお医者さんの数のお話をします。2、3年前の数字なんですけど、今現在日本の国内で実稼働している先生、ドクターライセンスを持ってる方っていうのは約29万人います。

これは診療所の先生から大病院の専門医に至るまでそれだけいるということです。その中でカテーテル治療の専門医っていうのは約4,200人ぐらいなんですね。不整脈の専門医、ここに書いてますが約865人ということです。

ちなみに心臓血管外科医は2,070人ほどという数字が出ています。これ専門医です。心臓血管外科医も専門医とは言いながら、心臓を触れるお医者さんって非常に少ないんです。

実例を挙げますと、例えば大学の医局に10人心臓血管外科の教室に入ったとして、一人前の心臓血管外科医としてバイパスの手術ができたりするのは10人のうち1人です。残りの9人は足の血管とかそういうことをやる人になっていきます。

ここ数年で、先ほども話ありましたけども、不整脈の新しい治療法が出てきたり、新しい医療機器が開発されております。とくに需要が伸びている不整脈のところで専門医が不足している状況。

前にもお話ししましたが、だいたいカテーテルができる施設の3分の1程度にしか不整脈の先生がいないということが当社の統計でも出てましたので、そういう意味では専門医のご紹介、それから患者さんのご紹介ということ。要するに国学の病院様が不整脈だけじゃないです。

まず今一番弱い不整脈のところを、きちっとできるような支援を行っていくということが、ひとつの偏在の解消による我々のビジネスの次のステージになるのかなということは考えてます。

それと、お客さんの状況なのですが、不整脈だけでは医療を行うことは、当然のことながらできないです。

顧客の状況

PCI・CRS・CVSのバランスのとれた顧客病院が成長ということを書いております。

例えばバランスがとれてるってどういうことか。CIで年間500例やってる病院があるとします。そうするとだいたい心臓外科は150~200例ぐらい、CRSは200前後っていうのは一般的な平均的な数字なんですね。

じゃあPCI500例やってるっということは血管造影。心臓が悪いと言って造影する人は、だいたい今はこの倍です。

昔は4倍ありました。なぜかというと今CTが増えてきてます。ですので、そういう意味では血管造影をする数が減ってます。その代わりCTの心臓撮影が増えてます。だから500人だとすると、2,000~3,000人ぐらいがCTの対象患者になる。そんな感じです。

当社上位の15施設で、このバランスがとれてるだろうと思われる施設の5年前と、前期の数字を比べますと、平均で150パーセントバランスのとれてるお客さま成長してます。

ですので、このバランスがとれてる施設でないと、やはりきちっとした成長ができないだろうというふうに我々は考えております。

あとは患者さんとしては、カテーテルだとか外科手術だとかといってなかなか調べていくのが難しいものなので、「心臓ならここ」と患者さんとしても心臓全般をカバーできるマルチなものを作っていくと。

そういった意味では信頼のできる循環器内科の医者が、うちの心臓外科はこうですよっていうことでお話をし、その中できちっと処理ができる施設というものに行かれます。そういう傾向が強まってます。

病院からすると、そういう部分を機能強化がグッとしていくところ、それから機能転換をするところも。

カテーテル治療年間50例やってるところって実質的に赤字です。その部分だけ切り取って見ると。そういうところは先生やめませんか。次のステージに早めに行き療養型の施設に転換されたほうがいいですよと。

地域包括ケアの中のこの位置を占めるんだということで、「早くやったほうがいいんじゃないですか」ということを提案させていってもらってると。お客さんとしても、だんだん状況が変わってきてるということが言えるかと思います。

このような状況を踏まえまして、当社のグループの重点政策としては、患者数及び症例数の増加を目指して支援。具体的にはマルチ・スペシャリティ病院になるためのバランスのとれたバリューアップの支援をやるということにしております。

今期の重点施策

ここに書いてますように、アプローチとしてはお客さんのところにバランスをとるために他科への進出、循環器内科から心臓外科、循環器内科が多ければ先ほど言いましたバランスの数字で言うと心臓外科の対象患者が多いです。

だいたい500例くらいPCIを行っているところは、先ほど言いました需要があります。

心臓外科で年間200例やれたらドクター2人だと黒字です。ですので、そのくらいのことをやりましょうよというお話をさせてもらいます。

地域規模の構想が全国出てきましたので、そういう意味では地域での急性期医療センターのポジションを獲得していただいくために、いろいろな提案をさせていただこうということを考えています。

それと先ほどの科目の偏在の中で当社の国内外のネットワークで医師の研修をやっていただこうということを考えています。

テストケース、世界で一番心臓手術をやってる病院に研修に行けるようにお話をして今研修されてます。

だいたいそこが心臓の手術をやるんですけど、先ほど言いましたように心臓外科は10人に1人というお話しました。この1人の人はたまたま運が良くおそらく心臓外科になります。

スポーツと一緒で、心臓外科の手術も早めにやったほうが体に入るのですが、やはり今はトップの先生のところに手術が集中してしまうので、なかなか下の人に手術がいかないです。

結果的に35~40歳になって初めて手術をするということになると、なかなか上達しないです。

今行ってる先生は30歳から年間200例を2年間続けてやってきますので、ぴかぴかになって帰ってきます。そういうことをいろんな地域でご提案させていただきながら、医師の偏在についても解決していきたいというふうに考えております。

営業体制の強化

お客さんにマルチになってくださいということを言って当社が今までと同じ営業体制、考え方というわけにはいきません。当社の営業体制もマルチ・スペシャリティということに再編いたしました。

今まではPCI・CVSとかある程度専門的な部隊がいて、お互いが多少補完をし合うというセクション別のことになってましたが、お客さん別の組織にするということをやっています。

ですので、今PCIの人間がペースメーカーのことを勉強したり、もう現場に入ってやったり、CVSのことをやりながらということになってきております。

また、営業統括本部の人員を増やしました。顧客に対してバリューアップの提案をするには、各営業マンの力に頼ってるというわけにはいかないものです。

そのような意味で、この営業統括の部分で戦略をきちっと考えて営業支援をするという体制を強化しました。

それで少し人も増えてきまして、旧の御徒町の本社が手狭になったものですから、管理部門・本社を京橋に移し、旧の御徒町は関東地区の営業拠点、それから業務センターということにしております。

今までは各営業所に業務の女性を置いて業務処理してましたが、センターがすることによって、スリム化することできるだろうという目途がつきました。業務センター化ということで会社全体的にマルチ・スペシャリティへの転換ということを考えております。

どうやって教育するのってことなのですが、これ当社の独自の教育のプログラムです。お客さんの課題とかニーズを発掘してソリューションを提供できる営業員を育成したいということで、この仕組みを考えております。

成⻑を⽀える営業員育成プログラム

まずは一番下の入社1年目で当然のことながら現場のOJTを行いながら基礎的な知識を身に付け、2年目より医療機器の適正使用支援を行っていきます。

適正使用支援は医療現場で安全に医療機器が使用されるよう、在庫管理から製品提案まで業務がたくさんのことが行われるようになります。

このプログラム1年目にちょっと小さくMDRTとあります。これはMedical Device Representative Trainingの略で、自社のプログラムであります。

よくわからないのですが、みなさんの証券外務員みたいなものなのかもしれません。

適正使用支援がある程度できるようになると、次は病院の競争力や価格低減を向上させる、仕入力を向上させるためのバリューアップ支援ということにステップアップしていきます。

そのステップアップの中では、最初はドクターの紹介・設備投資の提案、単独の提案から始まりまして、徐々に経験を積みながら病院機能やマーケティングなどの総合的な経営の提案ができるというところを目指している教育です。

2018年3月期通期予想

2018年3月の予想をお話しさせていただきます。売上高が前期比6.6パーセント増の616億円、営業利益、経常利益は32億5,000万円を見込んでおります。

業績予想のポイント

業績予想のポイントで売上高が6.6パーセント増。これは先ほどお話ししましたように、顧客病院への機能強化支援の提供と新規顧客の獲得というところに注力していきます。

とくに大学病院、それから地域の中核病院、それと糖尿病の患者さん関連施設と。ここをターゲットとしてやっていきたいというふうに考えています。

分類別売上高見通し

それから分類別の売上高でございます。当グループもPCI・CRS・CVSのバランスのとれた成長を目指してまいります。

CRSのほうも数字が相当大きくなってまいりましたので、ここにより一層「ヒト・モノ・カネ」を行ってきていこうというふうに考えております。大型機器につきましては減収を見込んでます。

これは子会社のテスコのほうで大きかった東北の復興のものがひと段落したというところでございます。

業績予想のポイント①

営業利益は前期比6.3パーセント増の32億5,000万円を見込んでおります。売上総利益率は13.2パーセントの見込みであります。一方販売管理費は人員増、それから本社移転費用による8.4パーセント増という見込みであります。

業績予想のポイント①

続いて当期の純利益は前期比4.2パーセント増の22億3,000万円と見込んでおります。今期はとくに大きな特別損益は見込んでおりません。また大きな設備投資の予定もないということになっております。

配当方針

それから配当です。今期末の配当は27円を予定しております。配当性向として34.8パーセントほどでございます。

株式推移

また流動性の向上と投資活動の拡大を目的ということで、昨年12月31日を基準日として1対2の株式分割をいたしました。

わたくしのほうからは以上でございます。ご清聴ありがとうございました。