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少子化が学力格差を深刻化させている–ベンチャー起業家が目の当たりにした、教育現場の問題点

少子化が学力格差を深刻化させている–ベンチャー起業家が目の当たりにした、教育現場の問題点

アマテラス代表・藤岡清高氏が、社会的課題を解決する志高い起業家へインタビューをする「起業家対談」。今回は、株式会社すららネット・湯野川孝彦氏のインタビューを紹介します。※このログはアマテラスの起業家対談を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

シリーズ
アマテラス起業家対談 > 株式会社すららネット・湯野川孝彦氏
2017年2月27日のログ
スピーカー
株式会社すららネット 代表取締役社長 湯野川孝彦 氏
株式会社すららネット 取締役 葉山勝正 氏

具体的な業務は、企画や事業運営の提案

湯野川孝彦氏(以下、湯野川) さて、すららネットが求める人物像ですが、まずは理念に共感できる方。そして、べンチャーなので、道なき道を歩むのを喜びとする人や、考え抜くことができる方です。 ベンチャーの場合、とりあえずやってみることが大切で、なにか決まった道筋があって、それをいかに効率的にオペレーションするかという話とはまったく違います。一つひとつが、小さな新規事業みたいなので、そういうことを自分の頭で考えながらできる方がいいです。 さらに、少人数でたくさんのことをやっているので、大手企業の人からすると、かなり次元が違うマルチタスクさです。そういうことをむしろ楽しめる方がいいです。 ですが、ブラック企業ではなく、深夜労働はほぼないです。22時以降は基本的には人がいません。子どもがいる女性陣も多いので、「子どもが熱出したので、今日はもう帰ります」ということもあります。 ちなみに、当社では、結婚している女性陣が次々と妊娠して、次々と産休・育休に入っていくのですが、今のところ100%復帰して働いています。さらに、奥さんが旦那を引き込んで、夫婦で当社勤務というのも2組います(笑)。 具体的な仕事内容は、国内においては全国の学校、学習塾が抱える課題を解決するために、企画や事業運営を提案するというものです。 低学力に強いeラーニングを提供するだけではなく、きちんと運用をしてもらわないといけない。ですので、運用してくれるように塾や学校に提案したり、オペレーションへの助言などもしています。 すららは、独自のeラーニングを持っている上に、現場に入り込んでコンサルティング的なこともやって、使い方にまで口を出しているという両面があり、低学力の生徒の成績アップを実現しています。 他にもさまざまなことに取り組んでいます。例えば、他の代理店などを使わずに少人数で全国をカバーするには、すごく効率化しなければなりません。 ですので、すららではウェブ会議システムを徹底的に使いこなしています。これはフォローだけでなく、営業にも使っています。こういうことをしていたら、今度はシンガポールや上海にお客さんができるといったような、当初想定していなかったことも実現しました。 また、新卒で4月に入社したら、最初の夏休みに1人で研修講師をすることが目標なので、徹底的に鍛えられます。先輩が本当に面倒を見てくれて、みんなが同じように研修講師ができるようになるということが最初のゴールです。 「研修講師をするには3年は経たないといけない」とかいうのは、当社では一切ありません。すららネットはそうような会社です。 以上です。ありがとうございました。 藤岡清高氏(以下、藤岡) 湯野川さん、ありがとうございました。

子どもの「わかる」に関わる=子どもの人生に関わる

藤岡 先ほど教育界にICTがどんどん入っているとおっしゃっていましたが、今の教育業界でしか得られない経験ややりがいを教えてください。 湯野川 今の日本の教育業界は大きな転換期で、アナログな紙と鉛筆の世界、猛烈な勢いでデジタルが入ってきています。 一種の革命が起きているところで、業界に破壊的イノベーションが入ってきている時に、そこに入り込みながら勝ち上がっていくようなことは、非常におもしろい体験だと思いますね。そういう時代での動き方や、求められるスピードがありますので、そういうことが体験できます。 やりがいは、とてもあります。実は、私も最初は「教育って、辛気臭い」と思っていました(笑)。(前職で)牛角などのお店を運営していると、「美味しかったよ。ありがとう」といったお客様の言葉でやりがいを感じるので、「そちらの方がいいのでは」と思っていました。 しかし、複数の事業を並行して運営している時、すららの塾に成績がオール1の女子中学生がいました。その子が、「生まれて初めて英語の勉強を楽しいと思った!」と言ってくれたのです。「これは美味しい飲食チェーンを作るのとは、レベルが違う価値を与えられるな」と感じました。 そこから教育の方に傾きました。子どもが、わからなかったことがわかるようになるというのは、目の輝きから声の出し方から姿勢から全部が変わってきます。その子の基礎となる人生が変わるのです。こんなにやりがいのある職業はないのではないかと思い始めたのです。 先生は目の前にいる子どもたちを教えることで影響力を与えられます。それがeラーニングだと、何百人、何千人という大きなスケールでできるのです。すららには現在3万5,000人ほどの生徒がいますが、彼らに影響を与えられるのです。 そして、海外では新興国のK-12(幼稚園~高校卒業までの教育期間)で我々のように本当に基礎教育を根本から教える分野には意外と競合がいません。 新興国は、国の成長のために底上げをしたいと思っていますが、欧米系は出てきません。欧米系は、高等教育や英語教材などには参入していますが、下の層には現地語対応が必要になるので、そんな面倒くさいことはしていないのです。 ですので、現在市場は空いています。これを早く押さえることができれば、本当にグーグル、フェイスブック級になれるのではないかと思っていて、今焦っているところです。インドには学校に行っている子どもたちだけで3〜4億いますから、その市場の大きさも魅力です。

少子化が学力格差を顕在化させている

質問者1 国内では人口の減少もあり、どちらかと言えばボトムアップ、つまり中間層がターゲットのようですが。海外では学力がとても低い層がターゲットであると聞き、ターゲットが違うのではと疑問を持ちました。 湯野川 日本において、学力格差は以前よりも問題になっています。なぜそれが起きているかというと、実は少子化だからです。 少子化ということは、需要が減っている。しかし、学校数や塾の数という供給は、あまり減っていません。そこでなにが起こるかというと、学校や塾のそれぞれが定員を維持しようと努力すると、トップ校は別として、従来は採っていなかったようなレベルの生徒を募集せざるをえないのです。 そうすると、学校などで「昔だったらこんなことはみんなわかったのに、今はぜんぜんわからない子がいる」というような状況となり、低学力の問題に日本中が一斉に頭を悩ましています。 海外は海外で、やはり先生の質などの問題があり、低学力の子を生んでいるのです。全く違う理由ですが、当社は両方で通用するというポジションにいます。 質問者2 人数が減っている分、小学校や中学校での教育の供給が1人あたりに対して多くなる、ということには繋がらないのですか。 湯野川 その分、教員も減らしています。文科省と財務省のせめぎ合いもあり、公立学校では教員数が減少する中で需要と供給のアンバランスも生じています。 さらに、少人数学級で子ども一人ひとりをカバーしようとしても、それが今は難しく、子どもの勉強するモチベーションが下がっています。「頑張って追いつこう」という気持ちが子どもからなくなり、ますます学力格差が開いていることを、現場の先生の誰しもが実感しています。

「日本の教育はやはりレベルが高い」

藤岡 対世界を含めて、日本の教育ビジネスの将来性とその課題について教えて下さい。 湯野川 市場としては、日本は少子化ですが、タブレットなどが入ったことで数年前から爆発的に成長しています。 市場規模は、少し前まで100億程度だとあるレポートで言われていたのですが、今は1,000億を超えており、若干基準が変わったこともありますが、数年で10倍になりました。そういう意味では、しばらくICT教育の浸透の後押しで、少子化とは関係なしに市場としては伸びています。 世界で言うと、アジアの途上国・新興国が急成長市場で、大きな可能性があると思っています。私が思うのは、「日本の教育はやはりレベルが高い」ということです。国内ではなにかと批判も多いのですが、日本の教科書はやはりよく組み立てられており、カラフルで見やすい。海外の教科書を見ると、「なにでこんな順番で教えるの?」ということもあったりします。 ですので、日本の教育は世界でも非常にニーズもありますし、価値もあるので、市場性もあるのではないかと思っています。

自ら事業を企画し、推進する力がつく

藤岡 教育企業、教育ベンチャー、もしくはすららネットのことでもいいのですが、その業界で働くとどのような専門性やスキルが身につくのでしょうか。 湯野川 教育企業で働くと勿論教育業についての見地が深まります。また、ベンチャー企業で、まだカタチになっていないことを自分で企画を立てて進めていく推進力も付きます。 私がもともと新規事業を立ち上げるプロであり、それは焼肉屋であっても、女性のフィットネスであっても、教育事業であっても、私から見ると根は同じようなところがあります。ベンチャービジネスを立ち上げるスピード感や、様々な出来事に対処していくことは比較的共通項なので、そういうことを成長しているベンチャーの中で身に付けていくということは、非常に価値があると思っています。 藤岡 教育ベンチャー、もしくはすららネットさんで働くとどのようなキャリアパスになりますか。つまり、キャリア上のメリットはなんですか。 湯野川 営業職で言うと、おそらく一般的な企業だと少なくとも何年かは継続して勤務していることが条件だったりしますが、当社は基本的にないです。ここで突然ですが、葉山さんを紹介します。 葉山勝正氏(以下、葉山) すららネットの葉山といいます。私は、3年前にアマテラスを通じてすららネットに入社しました。前職はエン・ジャパンで営業部長や事業部長、新規事業をしていました。 すららネット入社当時は、一営業スタッフとしてスタートして、新規電話などをかけていました。そうしているうちに色々な偶然も重なったりして、管理職の代理を任されました。それが入社後1年の時でした。 ベンチャー企業では、この1回の代理というチャンスを確実に活かせるかどうかが、とても大事です。そこで営業の組織がうまく回るなどの結果を出すことができて、今年から取締役を務めています。あとはBtoCという形でエンドユーザー向けのサービスの担当役員もしています。 湯野川 もう1人、アマテラスから転職してきた人がいます。彼はもともと「海外でやりたい」という意向を持っていましたが、「日本の営業で一人前にならないと、海外には行けないよ。それでいいですか」と言ったところ、「それでいいです」と答えました。 そして、入社後にすごい力を発揮してくれました。通常はもう少しかかると思っていたのですが、たった1年で一人前になりました。ですので、九州担当でしたが、「もうちょっと南に行こう」ということでインドネシア担当になりました(笑)。 葉山 キャリパスは、一般的なものもありますが、基本的にはその人の能力や、今の戦略において必要なポジションなどに合わせて、必要なキャリアパスを作っていくというのが正しいのだと思います。 先ほどマルチタスクの話もありましたが、仕事の領域が広いです。私の場合、営業の担当役員をする傍ら、今でも営業もしています。 かつ、NTT西日本などの大手企業とのアライアンス関係も私が担当しています。このように様々な業務があるので、どこでもやっていけるスキルが身につくように思います。

女性が働きやすい環境を意図的に作っている

藤岡 葉山さんのように色々な方が活躍していると思いますが、具体的に年齢、経歴、どんな活躍をされているのか、教えていただけますか。 湯野川 年齢的には30代前半、後半、40代半ばぐらいまでが多いです。 男性・女性比率でいうと、人数は半々です。力関係は2:8ぐらいで女性が強いです(笑)。女性は使命感や達成意欲、責任感が高いですね。30歳前後で結婚して、子どもができて産休・育休をとって、また復帰してきてバリバリ働いているような方が多いです。しかも、事務職だけでなく、営業をしている女性もいます。 当社では女性が働きやすい環境を意図的に作っています。優秀な女性たちがいるので、彼女たちの力を発揮できるような職場環境を作ろうと思っていたら、自然とそうなりました。就業時間も割と自由で、子どもの事情などで遅れてきたり、早く帰ったりとかいうのは普通にやっています。 藤岡 今のすららネットで働く魅力を教えてください。 湯野川 社会の問題を正面から見て解決していると実感でき、IPOを目指している、まさにベンチャーらしいスピード感を感じられることですね。 質問者3 ボトムアップに注目していることに「凄い」と思いました。教育分野ではマネタイズが難しいのに、そこでマネタイズに成功していることにも感心します。 ボトムアップにフォーカスした流れや、最初からボトムアップに注目していたのか、それともすでに持っているものを活かそうとした過程でそこに行ったのか、そのあたりについてお聞きしたいです。 湯野川 実は、偶然の要素が大きいです。冒頭でもお話ししたように2004年に個別指導塾チェーンの支援を始めた時に、実際に東京で塾を運営しました。東京においてブランド力のない塾を下町に作るとどうなるか? 初めに集まってきた生徒は極めて低学力の生徒ばかりだったのです。 定期的に私もそこに行って教えたりしていたのですが、すごく印象に残ることがありました。 ある時、視察に行くと、女の子が「先生、ちょっと教えてよ」と言ってきました。私はコンサルタントをしていますから、わかりやすく教えるのはプロだという自覚もあり、数学を図解しながら教えました。「こうなんだよ、わかった?」と言うと、「ぜんぜんわからない」と言われたのです。ものすごくショックでした。 2005年からすららを企画して作る時、頭の中にはその子ども達のイメージがありました。ターゲットが、戦略ではなくて、彼らになったのです。 当時のCEOと言い合いもしました。途中まで作ったものを見せると、「そんなに細かく教えなくてもいいのではないか」と言われて、「いやいや、できない子にはこのくらいはしないとわかりません」とか言い合いをしました。たまたま、私の教育の原体験が低学力の子どもたちだったのです。 そうしてやっていくうちに、「今の日本では、この層の子ども達に、誰もソリューションを提供していない」ということに気がつきました。それからは「やはり、うちが行く道はこれだ」と、どんどん進んでいきました。 藤岡 これをもって今日のセミナーを終わらせていただきます。湯野川さん、本日は貴重なお話しをありがとうございました。

  

※続きは近日公開

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