本日の要旨

牛田一雄氏:本日は、株式会社ニコンの2017年3月期決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。社長の牛田です。

まず業績の概要と今後の経営方針についてご説明し、そのあと、副社長CEOの岡より2017年3月期の実績、構造改革の進捗状況および今期の見通し数値の詳細についてご説明します。

まずは、本日の要旨を簡潔にご説明します。2017年3月期通期営業利益は509億円でした。これは対前年、対計画ともに増益です。一方、当期利益はマイナス71億円と大幅減でした。これは構造改革に関する一時費用を計画どおり計上したため、想定どおりです。

これを受け、今期2018年3月期の業績見通しですが、営業利益は450億と前期から減益を見込んでいます。一方、当期利益については構造改革一時費用の減少より大幅に改善し、340億円となることを見込んでいます。

この業績見通しは、次のような各事業の環境認識に基づいています。まず映像事業については保守的な市場認識をしています。

これまでと同水準の縮小継続をメインシナリオと考えています。一方、精機事業は引き続き堅調な推移を見込んでいます。FPD装置事業では、大型パネル10.5世代を含む新規ライン向けの投資、中小型パネルは既存ライン増強の投資が続くと見ています。

インストルメンツ事業、メディカル事業は堅調な需要推移を見せており、おおむね良好な事業環境を想定しています。

このような現状に鑑み、ニコンは今期、構造改革を第2フェーズへと移行します。ここまでの6ヶ月は改革の立ち上げ期であったと考えていますが、その果実をしっかりとかり取り、変革をさらに加速させていかなければならないと考えています。

具体的には半導体装置事業の黒字化実現、映像事業の収益モデル強化、そして経営体質改善への本格着手の3つを経営方針とし、構造改革を引き続き推し進めていきたいと考えています。

2017年3月期実績

まず2017年3月期実績ですが、売上高が7,488億円と前年比8.6パーセント減となったものの、営業利益は509億円と過去3年では最高益でした。これは市場縮小による映像事業からの減益、FPD事業の大幅な伸長による増益が上回ったためです。

一方、当期利益は構造改革一時費用を533億円計上したため、マイナス71億円と大幅な減益でした。構造改革一時費用は、半導体装置事業における在庫の廃棄、評価損および希望退職プログラムに関わる一時費用がおもな内容です。

この一時費用計上は構造改革発表時より計画されていたもので、想定どおりの内容です。

2018年3月期見通し

次に2018年3月期の見通しですが、営業利益は前期比12パーセント減の450億円を見込んでいます。これは半導体装置事業は計画どおり黒字化を見込むものの、映像事業の継続的市場規模縮小、そしてFPD事業の製品ミックスの変化による販売台数、売上減が見込まれていることによります。

一方で、当期利益は構造改革一時費用の減少により340億円と大幅な回復を見込んでいます。この見通しの背後には、弊社の収益上のコアである映像事業とFPD事業の今期の事業環境に対する厳しい認識があります。

2018年3月期の事業環境認識

まず映像事業は、本年度も過去と同等の水準の市場減速が継続すると見ています。

一部製品カテゴリーでは販売台数下落幅の縮小傾向が見られますが、まだまだ予断を許す状況ではなく、少なくとも今期は過去並みの市場縮小スピードを前提とした事業運営が求められると認識しています。

精機事業通しは、FPD露光装置10.5世代を含む大型パネル向け新規ラインへの投資が本格化すると見込まれます。また、中小型パネル向けもOLED向けの投資が拡大すると見ています。

OLED向けの投資は、今期は主に既存OLEDラインの拡張を中心としたものと見ており、弊社としは収益性の観点からも慎重に対応していますが、中小型OLEDパネルもこれから高精細化が進み、新規ライン投資が始まると考えられますので、中期的には高精細化と大型化のいずれにも強みを持つニコンの競争優位性が発揮される環境が到来すると考えています。

インストルメンツ事業通しは生物顕微鏡の需要が安定的に推移しており、産業機器事業通しも、自動車関連や電子部品関連を中心に堅調な需要を見込んでいます。

メディカル事業通しは世界的な高齢化、食生活の変化による糖尿病の増加による眼疾患に対する眼科診断へのニーズの高まりを後押しするトレンドが存在しており、着実な需要増を見込んでいます。

構造改革発表から半年間は「想定通りの進捗」 今後、構造改革を「第2フェーズ」へと移行

このような事業環境認識を念頭に、今期は構造改革を第2フェーズへと移行します。昨年11月に構造改革の概要を発表してから約半年が経過しました。

この半年間は構造改革の立ち上げ期であったと捉えており、固定費構造の抜本的な見直しや収益性指標などの新しい経営概念を現場へ浸透させるべく取り組んできました。

さまざまな課題に直面し、その度に経営陣一同頭を悩ませながら進めてきましたが、この半年間における構造改革の進捗はおおむね順調、想定どおりの地点までたどり着くことができたと考えています。

この4月から移行する第2フェーズでは、さらなる収益性改善に向けた追加施策の検討、実行、そして11月の発表でも約束した企業体質の改善への取り組みを本格的に指導していきます。

その後は体質改善施策の実施と実現を中心とする第3フェーズ、さらに構造改革後のニコンの姿を定義し戦略事業計画に落とし込む第4フェーズと構造改革を進めます。

構造改革期間が終了する2019年3月期末には、中期的にROE8パーセント以上を持続的に達成できる体質、体制を構築していきたいと考えています。

2018年3月期 構造改革第2フェーズの経営方針

それでは今期構造改革の第2フェーズとして具体的に何をしていくかと申しますと、次の3つを経営方針の柱として事業を展開していきたいと考えています。

第1に半導体装置事業の黒字化を実現します。半導体装置事業は、過去10年間トップラインの拡大に重きをおいて事業展開を行った結果、慢性的に赤字体質が定着してしまいました。

この6ヶ月でプランニングおよび黒字化実現のための施策、方針変更は実行済みとなっており、今期通期で黒字化を計画しています。この12ヶ月間はこの計画を確実に実施し黒字化を実現すること、そしてまずは継続的に黒字を維持できる体質の定着を図っていきます。

第2に、映像事業の収益モデルを強化していきます。今後市場縮小が継続したとしても、適正な利益水準を確保できるような収益構造を構築することを目指し、中長期的な取り組みを含んだロードマップを明確化するとともに、徹底的なコスト見直しを実施していきます。

第3に、経営体質の改善に本格的に着手していきます。一部についてはすでに4月から運用を開始しましたが、資本市場とリンクしたROEやROIC等の指標の導入。

そしてそれらの指標とリンクしたKPIの設計、さらにKPIを活用した経営による事業レビュープロセスの再構築を加速させていきます。また、ガバナンス体制の強化等のその他の体質改善、取り組みについても本格化していく予定です。

先ほどの事業環境認識のご説明の部分でも触れさせていただきましたが、今期の事業環境は必ずしも理想的なものとは言えず、また構造改革期間の中でも収益上はもっとも苦しい年になると考えています。

苦しいながらも来期以降の収益性向上に向けた種まきを続け、来期以降の大きな果実を得るための準備の1年と位置付けて、経営陣一同構造改革を推進していきます。

自身の責任として、構造改革は必ずやり遂げます。副社長CFOの岡には、これまでも構造改革を強力にリードしてきてもらいましたが、今後も引き続き二人三脚で進めてまいりたいと思います。

ここまででわたくしからの説明は終わらせていただいて、岡にバトンタッチします。

2017年3月期:連結売上高・損益

岡昌志氏:副社長CFOの岡です。は2017年3月期の実績、構造改革の進捗状況および2018年3月期の見通しについてより詳細にご説明します。

まずは全社の連結売上高、損益についてご説明します。黄色い線で囲った箇所が2017年3月期通期の実績です。売上高は7,488億円と前年比705億円、9パーセントの減収。営業利益は509億円と193億円、61パーセントの増益でした。

前回予想に対しは売上高はほぼ計画どおりでしたが、営業利益は69億円の上振れでした。2月の第3四半期決算公表時に、営業利益の見込みを50億円下方修正しましたが、その後全社的に経費抑制を徹底した効果もあり、営業利益は大幅な上振れでした。

当期利益は、構造改革プランに則って半導体装置事業の棚卸資産の廃棄、評価損や、希望退職者への割増退職金など、構造改革関連費用533億円を計上したことなどにより、71億円の赤字でした。

構造改革関連費用はほぼ前回予想どおりでした。一方、構造改革関連費用以外で、固定資産や投資有価証券に関わる損失の計上があり、特別損益は計画より悪化しましたが、営業利益の上振れにより当期利益は90億円の赤字予想から19億円改善しました。

為替通し一番下の行をご覧ください。対前年比でドルが12円の円高、ユーロは14円の円高となり、対前年比で売上高は614億円、営業利益は182億円のマイナス影響でした。

前回予想比ではドルとユーロがそれぞれ1円の円安となり、売上高は27億円、営業利益は2億円のプラス影響でした。

2017年3月期:セグメント別業績

続きセグメント別の業績です。各事業別の詳細は次ページ以降でご説明します。

2017年3月期:精機事業

まず精機事業です。売上高は前年比38パーセント増収の2,476億円、営業利益は414億円増益の510億円でした。FPD露光装置の販売が中小型高精細パネルに対する設備投資が好調に推移した結果、92台と前年比倍増したことによります。

前回予想比では、半導体装置事業においてサービス収益の改善に加え、経費削減や原価低減が想定以上に進み、30億円の利益上振れでした。

2017年3月期:映像事業

次に映像事業です。売上高は前年比26パーセント減収の3,830億円、営業利益は180億円減益の277億円でした。市場縮小や地震による調達部品の供給不足の影響により、デジタルカメラの販売台数が各カテゴリーで減少したことに加え、為替の円高影響もあり大幅な減収でした。

一方で営業利益は約40パーセントの減益ではありますが、商品ミックスの改善や広告宣伝費など経費抑制を進めたことにより、為替影響を除けばほぼ前年どおりの利益を確保しています。

前回予想比では、売上高は為替影響に加えコンパクトカメラや交換レンズの販売台数の増加や、一眼レフのミックス変更もあり、利益が増加したことに加え、販売促進費などの経費抑制を徹底させたこともあり、営業利益は27億円の上振れでした。

2017年3月期:インストルメンツ事業

次にインストルメンツ事業です。売上高は前年比5パーセント減収の734億円、営業利益は25億円減益の3億円でした。

マイクロスコープソリューション事業は、生物顕微鏡のシェア拡大や原価改善は順調に進んでおり、為替影響を除くと実質増収でしたが、再生医療関連への投資を増やしたことにより減益でした。

産業機器事業は為替影響に加え、日本では半導体検査装置などの販売が減少したこともあり、減収減益でした。売上拡大に向けた販売経費の増加も減益の要因でした。

前回予想比では、マイクロスコープソリューション事業はおもに米国での政府予算執行遅延の影響により、産業機器事業は市場減速が継続し、両事業とも売上は予想に届かず、経費抑制に努めましたが販売減による減益をカバーするには至りませんでした。

2017年3月期:メディカル事業

最後にメディカル事業です。売上高は前年比10パーセント増収の202億円、営業利益は1億円改善し45億円の赤字でした。Optos社の眼底カメラ事業は堅調に推移しており、Optos社単体での営業利益率は20パーセントに達しました。

前回予想比では、米国で収益性の高い製品の販売が増えたことで売上高は12億円上振れました。営業利益は経費抑制を進めたことに加え、眼科診断領域でのビジネス拡大に向け、想定していた先行投資費用が一部今期に繰り延べになったこともあり、15億円改善しました。

このように、2017年3月期の実績は事業ごとの好不調はあったものの、為替影響と構造改革関連費用の計上を除けば全社ベースで減収とはなるものの、前年比、前回予想比ともに大幅増益でした。

構造改革の進捗状況

それでは次に、昨年11月に発表しました構造改革プランの進捗状況についてご報告します。半導体装置事業、映像事業、光学集約、本社、経営体質の改善等の施策の進捗状況です。

半導体装置事業は、液浸事業の戦略見直しによる事業体質の変革に向けて、配置転換も含め計画どおり約1,000名の従業員を削減しました。また開発費の削減、採算重視を徹底した生産、販売体制への転換を進め、棚卸資産も廃棄評価減の実施などにより適正な水準となっています。

映像事業は、配置転換も含めた人員の適正化を進め、計画どおり約350名の国内従業員を削減しました。市場縮小下でも適正な利益率を確保できる収益構造を目指し、中長期的なロードマップに基づき、徹底的なコスト見直しに着手しています。

光学集約については、生産機能は光学部品の生産技術強化のため、栃木ニコンに集約しました。これに加えて設計機能についても、これまで事業部ごとに保有していた光学設計に関する優れた技術や知識を、4月1日付で新たに設立した光学本部に集約しました。

これにより光学設計および光学部品の生産技術の更なる強化を図り、当社の一番の強みである光学技術をさらに向上させ、当社製品の競争力を最大限に高めていきます。

次に本社部門は、配置転換を含めた人員の適正化を進め、計画していた約200名の人員削減をほぼ完了しました。更なる組織の効率化通し、引き続き検討していきます。

経営体質の改善通しは、経営指標として新たにROE、ROICを導入し、事業パフォーマンス管理の向上に向けた取り組みを開始しています。KPI等の設計にとどまらず、意思決定プロセスの抜本的な変革を検討しています。

また、ガバナンス体制の強化については、今後取り組みを本格化していきます。これら施策の本格的な実施により、200億円の固定費削減は計画どおり達成する見込みです。

2018年3月期 通期見通し:連結売上収益・損益

次に2018年3月期の業績見通しについてご説明します。なお当社は2017年3月期の有価証券報告書より、国際会計基準を任意適用します。このため2018年3月期の業績見通しはIFRSの数値です。

まず表の見方ですが、2017年3月期は日本基準、2018年3月期はIFRSに則った数値です。2017年3月期のIFRSベースの置き換えた数値は現在監査中で確定してませんので、前年比較については日本基準との比較とさせていただいています。

以上を踏まえ、全社の通期見通しからご説明します。黄色い線で囲った箇所をご覧ください。売上高は7,000億円と前年比488億円、7パーセントの減収。営業利益は450億円と59億円、12パーセントの減益の見込みです。

当期利益は構造改革関連費用がなくなるため、前年比411億円改善し340億円を見込んでいます。なおIFRSの任意適用に伴う損益影響は売上高については僅少、営業利益ではおもにのれんの償却がなくなる等の影響により、約50億円のプラス効果があると見込んでいます。

次に為替の前提はドル110円、ユーロ120円としました。前年と比べドルは2円の円安、ユーロは1円の円安です。前年比較の為替影響の予想は売上高が+60億円、営業利益が+10億円の見込みです。

ちなみに為替が1円動いたときの感応度はスライド36の参考データに記載してますが、売上高でドル27億円ユーロ9億円、営業利益でドル2億円ユーロ5億円です。

利益配分方針通しは、従来は総還元性向30パーセント以上を方針としていましたが、安定的かつ直接的な株主還元を重視する経営姿勢を反映し、今期より配当性向40パーセント以上を基本方針とします。

なお今期の年間配当金通しは、今後のキャッシュフローの状況や事業環境の動向等を勘案した上で最終的に決定させていただくため、現時点では未定とします。ご理解いただけますようお願いします。

2018年3月期 通期見通し:セグメント別業績

次にセグメント別の業績です。各事業別の業績見通しの前提通しは、次ページ以降でご説明します。営業利益の前年比増減をセグメント別に表しています。精機事業の60億円減益が全社59億円減益のおもな要因となっています。

2018年3月期 通期見通し:精機事業

それでは事業別にご説明します。まず精機事業です。精機事業の売上高は前年比226億円減収の2,250億円の見込みです。

これは半導体露光装置7台減少に加え、FPD露光装置が24台減少することによるものです。販売台数の減少に対し減収幅が小さいのは、半導体、FPD露光装置とも単価アップが寄与するからです。

FPD露光装置の市場は、中国においてテレビ向け大型パネルの投資が拡大するため、今年も堅調に推移する見込みです。ミックス通しはこの影響により、スライド35のどおり大型パネル用装置は13台から34台と大幅に増加します。

一方、中小型パネル用装置は79台から34台に大幅に減少する見込みです。大型テレビ向け10.5世代パネル用装置は、今期の売上計上は3台と見込んでいます。来期以降の収益には大きく貢献する見込みです。

営業利益は、FPD装置事業は減収に伴い減益ですが、半導体装置事業は構造改革による固定費削減効果に加え、棚卸資産の廃棄、評価損も大幅に減少しますので、計画どおり黒字化を達成できる見込みです。

精機事業全体としては、FPD装置事業の減益を半導体装置事業の増益でカバーしきれず60億円の減益ですが、FPD装置事業の中期的な競争力は盤石であると考えています。

2018年3月期 通期見通し:映像事業

次に映像事業ですが、市場縮小により各カテゴリーで販売台数が減少し、売上高、営業利益とも減収減益の見込みです。売上高は前年比380億円減収の3,450億円を見込んでます。

デジタルカメラ市場の縮小は継続しており、レンズ交換式カメラの市場は9パーセント減、交換レンズの市場は6パーセント減、コンパクトカメラの市場は17パーセント減と予想しています。

当社のデジタルカメラの各カテゴリーの販売台数も市場縮小の影響を受け、レンズ交換式カメラと交換レンズの販売台数は20パーセント減、コンパクトカメラの販売台数は28パーセント減となる見込みです。

当社の販売台数が市場以上に縮小するのは、構造改革の収益性重視の方針に基づき、高付加価値製品により注力するからです。これにより各カテゴリー製品の平均単価は向上する見込みですが、販売台数減少により減収の計画です。

営業利益は7億円減益の270億円と見てますが、構造改革による固定費削減効果や高付加価値製品シフトによる原価改善に加え、販売促進費などの経費抑制を引き続き進め、販売台数減による減益をほぼカバーする計画です。

2018年3月期 通期見通し:インストルメンツ事業

インストルメンツ事業は増収増益の見込みです。売上高は前年比66億円増収の800億円の見込みです。マイクロスコープソリューション事業は、米国での政府予算削減の影響は懸念されるものの、生物顕微鏡のシェア拡大により増収を見込んでいます。

一方、産業機器事業は市況の不透明感はあるものの、自動車関連や半導体検査装置などの販売拡大により、増収を見込んでいます。

これを受け、営業利益も27億円増益の30億円の見込みです。将来の成長ビジネスとして期待している再生医療関連ですが、先行投資負担もあり、収益に貢献するには少し時間がかかりますが、当期には売上が計上できる見込みです。

2018年3月期 通期見通し:メディカル事業

最後にメディカル事業ですが、Optos社の眼底カメラ事業は先ほど話しましたように堅調に推移しており、売上高は前年比8億円増収の210億円の見込みです。

当社の事業通しは、前年は営業利益率が20パーセントに達しましたが、今期は今後の拡販のための先行投資を実施する計画で、10パーセント台後半を見込んでおり、若干の減益となる見込みです。

また昨年12月27日に、機械学習を活用した網膜画像診断領域におけるVerily Life Sciences社との戦略的提携を発表しましたが、このための研究開発費用を含め、眼科診断領域でのビジネス拡大に向けた投資を増やします。

この結果営業損失は、前年度から繰り延べになった費用および先行投資の影響もあり一時的に拡大し、前年より15億円悪化の60億円の赤字になる見通しです。

なお眼科診断領域のビジネスは、構造改革期間後の成長戦略を盛り込んだ次期中期経営計画の期間中に収益貢献することを見込んでいます。

最後に、4月24日に当社が提起した特許侵害訴訟について簡単に触れます。

当社は4月24日に、オランダASML社およびその関連会社、またASML社に光学部品を供給するドイツのCarl Zeiss社による当社の特許侵害行為の停止を求め、オランダ、ドイツ、日本において訴訟手続きを開始しました。

当社はこの訴訟においてASML社およびZeiss社が、当社の特許を無断で使用、侵害していることを明らかにしていきます。4月28日にはASML社およびZeiss社が当社に対して反訴を行いましたが、根拠のない訴訟戦術的な対抗措置であり、当社が想定していたアクションです。

当社は彼らの提訴内容を慎重に検討し、訴訟の進行に即して対応していきます。以上です。