飛行機は年に一度雷に打たれている

オリビア・ゴードン氏:ある統計をご紹介しましょう。平均的な飛行機は年に1回ほど雷に打たれています。

飛行機に乗るのを怖がってしまう理由がほしい人もいますよね。けれど、少なくとも今は、雷はけっして飛行機を墜落させることはありません。なぜ飛行機は雷雨の中でも安全でいられるのでしょうか? それは飛行機がなにでできているのかと深い関連があるのです。

飛行機は一般的にアルミニウムのような金属でできており、パーツがアルミニウムでない飛行機は骨組みの中に金属フレームや繊維を持っています。そして、金属は電気が通りやすいのです。飛行機の外側のように、大きな隙間がない伝導体が稲妻のような電荷の爆発に直撃されると、伝導体の中の原子は、内側で電荷を泳がせているのではなく、中に入ってくる電荷を伝導体の外側に放出するのです。

言い換えると、稲妻は乗客や乗務員、燃料が乗っている飛行機の内側には絶対に入れないのです。これは表皮効果として知られ、車の中にいれば稲妻から身を守れるのと同じです。多くの人はタイヤのおかげだと思っていますが、タイヤとは関係がありません。

これは車の金属の骨組みのおかげなのです。人が乗っている内側へ雷を入らせるのではなく、外へ押し出してくれる役割を果たしています。表皮効果はとても絶大で、たった数ミリの薄さのアルミニウムの内側にいれば、外側を雷に打たれた場合でも完全に安全なのです。

金属の枠組みがあれば飛行機は安全ですが、雷が飛行機を墜落させる原因になったこともあります。例えば1963年には、雷が飛行機の燃料タンクに到達し爆発を引き起こし、乗客81名が犠牲になりました。表皮効果があったとしても、こういった悪い事態も起こってしまうのです。

雷のパワーは、飛行機の比翼や先端などの薄いパーツを突き抜ける穴を開けてしまうほどに強力です。しかし小さな穴は雷を前にしても、大した問題ではありません。

飛行機の内部には多くのワイヤーや電子機器があり、ご想像の通り、精密な電子機器は雷が当たるとめちゃくちゃになってしまうことがあります。

けれどエンジニアたちは経験から学んできました。現在の燃料タンクは厳密にテストされ、稲妻にも耐えられると証明されています。そして燃料自体も過去数十年間で改良され、タンクの中で可燃性のガスが多く発生しないようになりました。

飛行機内のすべての機器は飛行機の金属表面のどこかに接するように取り付けられており、雷から電流が流れてくるのを防いでいるのです。また、レーダーのように特に精密な機器の近くには、避雷針の役割を果たす小さな金属片や導電性の棒があり、レーダーが直接打たれることがないようになっています。

それでも嵐は風や雨から乱気流まで、さまざまな理由で飛行するには危ない場所です。しかし、少なくとも雷はその理由には入りません。