Ⅰ.2017年3月期決算概要 全社実績

澤井克行氏:おはようございます。コーポレートコミュニケーション担当澤井です。本当に本日お忙しい中、この説明会にお越しいただいて、誠にありがとうございます。

早速ですが、2017年3月期の決算概要および2018年3月期の業績見通しについて、説明します。

2017年3月期の決算概要はご覧のとおりです。円高のマイナス影響を受ける中にあり、当社はそれを克服する経営体質の抜本強化を推進しました。

そして、販売力、営業力の強化。高付加価値商品の投入。グローバル調達を中心としたトータルコストダウンに努めていきました。

円ベースの全社業績は為替換算の影響が大きく、売上高は前年並に留まりましたが、為替影響を除く実質ベースで対前年9パーセントの増収となっています。

また営業利益は円ベースで対前年6パーセントの増益。為替影響を除く実質ベースで、対前年23パーセントの大幅増益でした。

空調事業は、主要各地域で販売を拡大したことで、過去最高業績を4期連続で更新をしています。なお、為替レートの実績ですが、ドル108円。ユーロ119円。人民元16.1円。

対前年での業績への為替影響額は売上高でマイナス1,936億円。営業利益マイナス370億円でした。率の経営指標はROA6.8パーセント。ROE14.5パーセント。

フリーキャッシュフロープラス523億円でした。

事業セグメント別実績

セグメント別の業績です。空調事業は日本、米州、中国、アジア、欧州。これらの主要各地域で販売が拡大しています。

対前年での為替影響額は、売上高でマイナス1,801億円。営業利益でマイナス377億円でした。

為替影響を除く実質ベースでは売上高において、対前年10パーセントの増収。営業利益は25パーセントの大幅な増益でした。

化学事業です。半導体向けフッ素樹脂やガス。表面防汚コーティング剤の販売は好調に推移をしましたが、為替影響に加え、競合他社の価額構成もあり、減収減益でした。

対前年での為替影響額は売上高でマイナス128億円。営業利益でマイナス32億円でした。為替を除く実質ベースでは、売上高、営業利益ともに対前年4パーセント増でした。

その他事業では、国内産機の需要停滞を受けたこと、特機事業の防衛省向けの受注が減少したことなどから、減収でした。

損益計算書

損益計算書の概要です。原価率は前年を下回り、64.2パーセントでした。

営業外損益では、為替は対前年で円高基調となりましたが、期間中の変動は少なく、為替差益は減少しました。

税負担率については30.7パーセントです。

営業利益増減分析(対前年比較)

2016年度実績、営業利益の対前年の増減分析です。2015年からプラス129億円増加した内訳ですが、為替によるマイナス370億円。

固定費等の増加によるマイナス280億円に対し、拡販効果プラスの399億円。売価効果プラス60億円。コストダウン、プラス320億円でした。

このコストダウンの数値には、原材料市況による効果をプラス70億円含んでいます。

貸借対照表

貸借対照表の概要です。棚卸資産は北米新工場への移管に向けた在庫の構え。また、需要旺盛なアジアや欧州での4月以降のシーズン出荷に向けた在庫積み増しなどで、前年から247億円増加し、固有日数も4日増加しています。

引き続き全社をあげた在庫削減により体質改革に取り組んでいます。固定資産はアジアと北米を中心とした能力増強投資。また買収に伴う無形固定資産等の増加により、対前年575億円増加しています。

有利子負債利率は25.9パーセントに低下しました。有利子負債の内容については、別表の記載のとおりです。

地域別売上高の推移-空調事業

空調事業の地域別売上高の推移です。2016年度の実績は為替換算のマイナス影響もあり、全体でも前年並みに留まりました。

為替の影響を除く、実質の売上高伸び率。ヨーロッパにおいては111パーセント。中国111パーセント。米州115パーセントと大きく伸ばしています。

2017年度計画も記載のとおりです。16年度は各地域での拡販に加え、買収企業の連結効果。

天候の追い風もあって実質ベースで大きく伸ばしましたが、17年度も引き続き各地域で収益の拡大を目指していきます。

地域別売上高の推移-化学事業

化学事業の地域別売上高です。2016年度の実績。日本、中近東を除き前年を下回りましたが、為替影響を除く実質の売上高伸び率はヨーロッパ104パーセント。

中国108パーセント。米州105パーセントです。2017年度の計画は記載のとおりです。

部門別実績の概況-空調事業(日本)

続いて、部門別の概況です。国内事業は、国内の空調です。業界需要、住宅用においては省エネ機器への買い替えニーズの高まりや西日本の猛暑による追い風がありました。

業務用においては設備投資の緩やかな回復。政府の補助金制度による省エネ機器への更新需要の押し上げもあり、いずれも前年を上回っています。

当社はR32を採用した「うるさら7」、「FIVE STAR ZEAS」など高付加価値商品の拡販に注力をしたことで、売上高は前年を上回りました。

また売価維持の徹底。コストダウンの取り組みにより、国内空調事業として、過去最高の売上高、営業利益を達成しました。

部門別実績の概況-空調事業(米州)

米州の空調事業です。住宅用ユニタリーの販売は、自前の棚卸拠点の新設。また販売網拠点を推進したこと。ボリュームゾーンの機種に加え、インバーター搭載機など、高効率機器も拡販をしたことで、シェアアップを達成しました。

またダクトレス、アプライドも販売拡大をしています。グッドマン社の売上は現地通貨ベースで前年比110パーセントと、引き続き拡大することができました。

部門別実績の概況-空調事業(中国)

中国の空調事業です。

中国は経済成長は減速傾向に合って、大型不動産投資の低迷が続く厳しい事業環境の中におき、当社が得意としている小売・街売をさらに強化することで堅調な一般消費を取り込んで、全地域・全市場で販売を拡大しました。

部品の内作化や生産性工場を軸としてコストダウンにも取り組み、高収益を維持しています。

特に住宅用市場は独自専売店。プロショップの強みの提案力・工事力を活かし、お客さまに様々な生活スタイルを提案する住宅用マルチエアコン「ニューライフマルチシーズン」を中心に中高級住宅市場で販売拡大をしています。

住宅マルチエアコンの現地通貨ベースの売上高は対前年比20パーセントを超える伸びと好調しています。

部門別実績の概況-空調事業(欧州)

ヨーロッパの空調事業です。

住宅用は一昨年の猛暑をきっかけに、需要が拡大する中、現地生産の強みを生かしたタイムリーな商品供給により、南欧・中欧市場を中心に販売を拡大しました。

特にイタリアでは、環境対応商品として、他社に先駆けて市場投入をした冷媒R32を採用したルームエアコンの販売が好調に推移をしました。

業務用では地域ニーズに応じたVRVの新製品の投入に加え、各国での販売店フォローによる営業強化に取り組み、販売を伸ばしています。

部門別実績の概況-空調事業(アジア・オセアニア)

アジア・オセアニアの空調事業です。インド・ベトナム・インドネシアをはじめとする各国で販売店開発を加速し、営業人員の増強。

また地域ニーズをとらえた省エネ差別化商品を投入したことにより、拡大する中間所得数の需要を取り込み、地域全体の売上高は現地通貨ベースで前年を大きく上回りました。

特に住宅用では省エネ性能に優れている冷房専用インバーター機能販売が好調に推移したことに加え、業務用ではVRVなど高付加価値商品の販売が拡大しました。

部門別実績の概況-化学事業

化学事業です。為替の影響に加え、中国・米国での競合他社の価額構成などもあり、厳しい事業環境にあります。

そのような中、当社は需要が好調な半導体向けフッ素樹脂、自動車向けフッ素ゴム、表面防汚コーティング剤などで販売を拡大したことなどに加え、トータルコストダウンの推進により、為替影響を除く実質ベースでは売上高、営業利益とも対前年4パーセント増です。

部門別実績の概況-フィルタ事業、その他事業

フィルタ事業です。米国を中心に製薬・医療向けクリーン機器などの成長分野で販売を拡大したことに加え、フランダース社、ディンエア社の買収を踏まえ、生産性改善、集中購買、内作比率の向上化などの合理化を推進し、事業基盤の強化に努めてきました。

また油機事業は米国の建機・車両向けの販売を伸ばしましたが、国内および中国産機の需要停滞の影響で、売上高は前年を下回りました。

特機事業は日本での在宅酸素医療用機器の販売は伸ばしましたが、防衛省向けの予算削減により、売上高は前年を下回っております。

電子システム事業は研究開発支援システムでの、市場拡大に加え、設備CADでも販売を拡大しました。

Ⅱ.2018年3月期業績見通し 全社業績見通し

今期2018年3月期の業績見通しです。売上高は2兆1,900億円。営業利益は2,430億円と、増収増益を見込んでおります。

為替レートはドル108円。ユーロ118円。中国元16円を前提としています。業績見通しへの対前年の為替影響ですが、売上高マイナス190億円。営業利益マイナス60億円を見込んでいます。

為替影響を除く実質ベースでは、売上高、営業利益とも対前年8パーセント増を見込んでいます。

また戦略経営計画「FUSION20」の2018年度定量目標の達成に向け、今年度と来年度は引き続き、思い切った先行投資を実行し、短期利益を確保するとともに、中長期のさらなる成長発展を目指していきます。

また今期は原材料市況高騰による影響を大きく受けますが、空調事業においてグローバル各地域での拡販。トータルコストダウンの推進、売価政策などによりカバーし、増収増益基調を維持したいと考えていきます。

全社業績見通し(上期・下期別)

2017年度の申した計画を上期・下期に分けた業績見通しです。

営業利益増減分析(年間計画の対前年比較)

2017年度計画の営業利益の対前年増減分析です。原材料市況のマイナス影響を大きく受けることになりますが、空調事業を中心とした拡販。

さらなるコストダウンを推進することで、将来に向けた先行投資を実施しながらも、着実に短期利益を確保していく計画です。

事業セグメント別業績見通し

部門別の業績見通しはこちらのとおりです。空調事業は売上高1兆9,720億円。営業利益2,190億円。化学事業は売上高1,650億円。

営業利益200億円。その他事業は売上高530億円。営業利益40億円です。部門別の対前年の為替影響は、空調は売上高マイナス185 億円。営業利益マイナス60億円。

化学事業は売上高マイナス5億円。営業利益については影響なしと見ています。

部門別経営計画-空調事業(日本)

国内空調事業ですが住宅用はフラグシップ機の「うるさら7」、またデザイン性に優れたマルチエアコンの投入により、シェアアップを目指しています。

業務用アプライドではオリンピック需要の本格化を背景に、需要の拡大が見込まれる中、「FIVE STAR ZEAR」、更新用VRV。狭い設置場所向けの室外機コンパクトVRVなど、高付加価値商品の販売に努めていきます。

部門別経営計画-空調事業(欧州)

米州の空調事業です。安定した市場成長が見込まれる中にあり、住宅用ユニタリー、RA、SKY、VRVのダクトレス商品。

アプライドのすべてにおいて販売網の強化。商品拡充を進め、販売拡大を目指します。

アメリカでは現在グッドマン社の新工場をテキサス州に建設しており、一部昨年10月からラインを稼働させていますが、5月下旬にすべてのラインが整い、正式にオープニングを迎えます。

新工場の本格的な生産開始に伴う、コスト競争力の強化。研究開発機能の強化を軸に、地域独自の商品開発など、競争力強化の取り組みを加速させ、事業拡大につなげていきます。

部門別経営計画-空調事業(中国)

中国空調事業です。大都市方から地方都市まで中国全土に展開する独自の販売網を強化するとともに、差別化商品を切れ目なく投入していきます。

引き続き、開発・生産・販売・サービスが一体となり、収益拡大を図ります。主力の住宅用マルチについて、プロショップを拡大し、地域に密着した販売活動を加速。

また体験型ショールームの設置。こういうことで新たな施策を展開し、さらなる拡販を図っていきます。

業務用市場もVRVの新商品の空気質ニーズの高まりに対応した高付加価値商品を投入するとともに、スペックイン活動の強化により、小売・街売を中心に販売拡大をしていきます。

部門別経営計画-空調事業(欧州)

欧州の空調事業です。欧州は緩やかな需要拡大が見込まれる中にあり、差別化商品の投入・販売網の強化により拡販を図ります。生産体制の強化。固定費削減。コストダウンに取り組むことで、前年を上回る収益の確保を目指しています。

特に冷媒R32を採用した差別化商品については、住宅用だけではなく業務用の小型機種SKYにおいて、R32を採用した商品を他社に先駆けて投入することで、環境意識の高い欧州市場での販売拡大を進めていきます。

暖房事業や冷蔵冷房事業などの新規事業でも営業力強化により販売拡大を推進します。

部門別経営計画-空調事業(アジア・オセアニア)

アジア・オセアニアの空調事業です。中間層の拡大を背景に、需要が大きく拡大が見込まれる中にあり、引き続き各国での販売網の強化。営業人員の拡充を進め、販売拡大に努めていきます。

住宅では好調な冷房専用インバーター機に加え、ベトナムやタイで住宅用マルチエアコンの新商品を投入し、普及を加速させるとともに、業務用ではスペックイン活動の強化。

設計・販売・施工まで一貫して対応できる販売店の育成に注力することで、VRVの拡販を目指しています。

アジアでは旺盛な需要に対応するため、タイ・インドでの工場の増設。ベトナム・マレーシアでの新工場での建設も進めており、供給力の拡大とコストダウンによる収益力の工場に努めています。

部門別経営計画-化学事業

化学事業についてです。今期はオプツールの主要顧客向けの受注が減少する見込みですが、好調な半導体市場での拡販。

撥水撥油剤の新商品投入によるシェア挽回によりカバーし、販売を拡大します。引き続き、用途開発の推進、固定費削減、コストダウンに取り組むことで、収益確保を目指していきます。

部門別経営計画-フィルタ事業、その他事業

フィルタ事業は買収をしたフランダース社・ディンエア社と統合シナジー創出。これを加速させ、エアフィルターの住宅用市場。また業務用ハイエンド市場での拡販を図っていきます。

P&I事業も、中小物件の需要の取り込みや、アフターサービス事業の拡大により、安定した事業基盤の確率を進めていきます。

Ⅲ.株主還元

株主還元は業績が好調に推移していることから、期末配当金を現公表から10円増額し、年間130円とします。また次期配の当金は現時点で年間130円を予定しています。

さらなる成長発展に向け、戦略的投資を実行しながら、事業拡大し、業績向上と体質改革による強靭な企業体質の構築を加速させていきます。

企業価値を向上させて、時価総額を高めることと合わせて、株主のみなさまへの利益還元についても一層の充実を図っていきます。

≪補足データ≫ 為替前提

為替の16年度実績。17年度の前提レートはこちらのとおりです。為替感応度は対ドル1円の変動で15億円。対ユーロ1円の変動で5億円と試算をしています。

なお、タイバーツ、中国元、豪ドルを、ドルと連動することを前提として試算をしています。

設備投資・減価償却費、研究開発費の推移

2016年度の設備投資の実績は903億円。減価償却費は593億円。研究開発費は539億円となりました。2017年度の計画は設備投資1,000億円。減価償却費630億円。研究開発費570億円を計画しています。

設備投資の案件としては、アジアでの生産投資。ベトナム工場。マレーシアのプライド工場等も含みます。これと化学の能力増強投資を予定しています。

私からの説明は以上です。ありがとうございました。