怪我をしたところを冷やす理由
私たちが膝をぶつけたり、足首をひねってしまったりした時によく、アイスパックを当てて怪我を冷やすのではないでしょうか。
とくに、怪我をした最初の数日間はそうすることで腫れや痛みを抑えることができるというのはご存知かもしれません。しかし、体が自然に傷を癒そうとしているのを、なぜそのようにして妨害するのでしょうか。
あなたが筋肉を引っ張ったり、筋を伸ばしてしまったり、血管を破いてしまったりすると、体の炎症反応が引き起こされます。そうするとダメージを修復するためにたくさんの血液細胞と体液が送り出されるように、信号が発せられます。それは自然治癒の中で非常に重要なプロセスです。しかし問題は、体の中で起こる炎症反応が過剰になる傾向があるということです。
もしあなたが花粉症を患われているとすればおわかりかと思いますが、春になると自分の目や鼻が自分の顔を溶かしてしまうのではないかと思ったことがあるのではないでしょうか。
腫れが過剰になると、流れ込む体液が渋滞を起こし、周辺にある細胞が機能し続けるのに必要な酸素を得られなくなってしまうのです。そのような状態の時に、傷を冷やす、低温治療が有効となります。
炎症部分に氷を当てると、そこに接した組織や血管がどれくらいの血液や体液がその部位に流れ込むことができるかを制限し、それによって腫れが治ります。また、冷やすことで細胞の新陳代謝の速度を落とすことができ、すでに持っている酸素をゆっくり用いることとなり、死滅することはありません。
もしそれが関節部位、例えば足首を捻挫してしまったとしたなら、それだけでは十分ではないかもしれませんし、リハビリのエクセサイズも必要になるでしょう。
しかし、アイスパックを長時間当てすぎると、状況が良くなるどころか、ますます悪くなってしまうかもしれません。怪我の部位が冷やされすぎると、体はその体温を元に戻そうとして、アイスパックを当てたままの状態であったとしても、さらに多くの血液細胞や体液を送り込むようになります。この血液の流れは「うっ血」と呼ばれ、それゆえによく医師は、低温治療を行うなら10から20分でやめたほうが良いと助言するのです。
その後、患部を10分ほどかけて温め、それから再びアイスパックを当てることが望ましい治療法です。
氷はまた、痛みを緩和させることができます。患部は冷やされると、神経細胞の間でメッセージを運ぶイオンが動き回ることが難しくなり、脳に到達する痛みの信号を少なくしてくれます。それに、他の信号も多く減らしてくれるので、結果的に麻痺した感じになるのです。
もし怪我をしたなら、体が自然に自己治癒できるようにしなければなりません。氷はただ、体が過剰反応するのを抑えてくれ、治癒過程で少し痛みを和らげてくれるに過ぎないのです。
