決算、ならびに社長交代について

佐藤雅之氏:どうも、皆様こんにちは。佐藤です。平素より投資家・アナリストの皆様には当社の事業活動に多大なるご支援をいただきまして、この場を借りて改めて御礼申し上げます。ありがとうございます。

2017年3月期決算ならびに2018年3月期業績見通しを説明する前に、まず私から5月2日に発表いたしました、通期業績予想の修正、ならびに社長交代についてご説明させていただきます。

この度の業績予想の修正は、中東での石油精製プロジェクトならびに国内の新規分野プロジェクトにおける損失を計上したことにより、昨年11月に発表いたしました、修正発表値から営業利益で125億円の減、当期純利益で60億円の減という内容であり、投資家・アナリストの皆様には大変なご迷惑をおかけいたしまして、この場を借りて深くお詫び申し上げます。

中東の石油精製におきましては、建設工事労働者の入国ビザ発給の遅れ、現地建設工事会社の財務状況の悪化によります建設工事体制の変更、既設営依頼に関する顧客からの情報不足などから当初予定しておりました納期の遅延が予測されるため、建設工事費用の増加を見込むもとのしたものであります。

また、国内の新規分野プロジェクトに関しましては、建設費用の増加および運転要員の人員増による建設工事費用の増加を見込んだものです。

両プロジェクト共に現状建設工事現場におきまして混乱はございません。また、納期の遅延をキャッチアップすべく全力を傾けております。

プロジェクトの損益につきましては、改善できる可能性も現在客先等と調整中で(改善できる)可能性もありますが、当社といたしましては現状想定されるリスクは先送りすることなく早めに消費すべきという方針から、2017年3月期にて損失を計上したものであります。

加えて中東のプロジェクトの損失の原因には、我々ジョイントベンチャーの責任範囲を超えるものも含まれており、先ほど申し上げましたとおり、今後雇用等交渉、ビザも続いておりますが、これらをしていく予定です。それによって、いくらか損益の回復に向けて邁進していくつもりです。

次に、2018年3月期の業績見通しおよび受注目標です。具体的数値につきましては、本日発表いしたとおりですが、私といたしましては、業績については2017年3月期をボトムとしまして、今期2018年3月期から再び上昇基調に持っていきたいと考えております。

ご案内のとおりプラントマーケットは昨年後半からNOCから回復の兆しが出始めております。

厳しいマーケット環境ではございますが、大型LG抜きで5,000億円の受注を確保することができました。

また今期の受注目標はNOCの設備投資が回復起動に入ってくることを想定いたしまして、大型LNG抜きで7,500億円といたしました。

何としてもこの受注目標を達成し、昨年発表いたしました中期経営計画の目標数値を達成すべく全力挙げてまいりたいと思っております。

さて本日役員人事の発表を行い、川名社長を取締役副会長に石塚上席副社長を代表取締役社長COOに昇格させる人事を決定いたしました。

ご案内のとおり、2014年秋からの原油価格の下落の影響を受けまして、この2年間はプラントマーケットが低迷し、当社の受注も伸び悩み、さらに2016年度は固有の需要によりますけれど各々のプロジェクトが結果といたしましては、19年ぶりの最終赤字という決算になりました。

私は現在の日揮グループにとっての喫緊の課題は、何をもってもコアビジネスですEPCビジネスから確実に利益を出し、それをさらに大きく伸ばしていくことである。

川名社長が社長在任6年目を満了しつつということもあり、経営体制を新たにしてこの難局に望んでいかなければならない。

そのための次のリーダーは、EPCビジネス、とくにプロジェクトの遂行の点で豊富な実績を有し、海外・国内の客先と太いパイプを持ち、さらに過去に厳しい場面を幾度となく経験した胆力のある人物を据えるべくとの思いを強く持っておりました。

石塚新社長は今お話しした条件のいずれも満たす人物であり、川名社長の後引き継ぐリーダーとして最もふさわしいという結論に至った次第です。

今後さらに新社長としてコアビジネスであるEPCビジネスの強化拡大を主軸に事業開発を含めまして先頭に立って日揮グループを牽引していってもらいたいと考えております。

今後とも日揮グループにご支援を賜りたくよろしくお願いいたします。それでは石塚新社長から皆様にご挨拶をさせていただきます。

社長就任のご挨拶

石塚忠氏:みなさんこんにちは。ただいまご紹介にあずかりました石塚忠です。会長の佐藤同様に投資家・アナリストの皆様には当社の事業活動に多大なる支援をいただきまして、私からも改めて御礼申し上げます。

私は1972年、昭和47年に日揮に入社して国内プロジェクトの建設部門に配属されました。その後、一貫して海外プロジェクトに携わり、役員になってからは海外プロジェクトのEPC全体を統括する立場でした。

投資家・アナリストの皆様はご存知かどうかわかりませんが、私どものEPCは3年4年、長いもので5年の月日を要します。

ですが、我々はプロジェクト開始の1日目から、最終段階の建設工事をどう納めるか、どう統治するかを考えております。

なぜなら何か問題があれば建設工事の段階ですべてを解決しなければいけないからです。そんなこともあり、建設まで携わることでプラントの完成を直に見届けることができますので非常に大きな達成感がございます。

手前みそですが、これまで常にEPCプロジェクトのど真ん中におり、リスクの中心に身を置いておりました。

もしかしたら当社日揮の中でEPCの持つ厳しさ、苦しさもちろんのことEPCの醍醐味、ダイナミズムを一番深く多く味わっている人間は私ではないかと思います。

コアビジネスのEPCの足元をしっかりと固めて、そして中期経営計画の目標の達成に向かって先頭に立って日揮グループを引っ張っていくことが、社長の私の使命と心得ております。

日揮グループの更なる成長を達成し、投資家・アナリストの皆様のご期待にぜひともお答えしていきたいと考えております。今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

2017年3月期 決算概要

広瀬岳彦氏:いつもお世話になっております。財務部長の広瀬です。それではこれから2017年3月期の決算の実績および18年3月期の決算の予想についてご説明させていただきます。

1. 連結損益計算書及び連結包括利益計算書

お手元にございますパワーポイントに即してご説明させていただきます。連結損益計算書と連結包括利益計算書です。

すでに先ほど会長の佐藤の方からご説明いたしましたとおり、5月2日に下方修正で発表させていただきました。

その実績に関しましては、売上高が6,931億円、売上総利益が14億円、営業利益がマイナス214億円、経常利益がマイナス152億円、親会社株主に帰属する当期純利益がマイナス220億円ということで、数値的には5月2日に発表させていただいた数字とほぼニアリーな数字という着地となっております。

ただ、この数字そのものは、1998年3月期以来19年ぶりの赤字決算で我々にとっても非常に大きな数字だと理解をしております。なお、配当につきましては年初に予定した30円を今回維持させていただく予定です。

2. セグメント情報

セグメント情報です。総合エンジ事業につきましては、先ほどのアメリカ、それから中東の案件等の影響により、前年度に比べて減収減益、セグメント利益は残念ながらマイナスということです。

一方、触媒・ファイン事業ですが、触媒・ファインに関しましては原油安による燃料費の下落ですとか機能性塗料が好調だったことによりまして、増収増益という結果になっております。

それからその他ですが、これは昨年3月にシステム関係の子会社を売却した関係から前年度に比べて減収減益となっております。

3. 連結貸借対照表

連結貸借対照表です。まず流動資産ですが、前年度末と比べて418億円減の4,808億円です。その内訳ですが、現金預金/有価証券、いわゆる現金同等物が623億円減です。

金額は1,856億円です。なお、毎回申し上げておりますが、当社ジョイントベンチャーにある当社の持ち分の現預金をバランスシートに含めておりません。ジョイントベンチャー口座にある当社持ち分でこの1,856億円の外に1,306億円3月時点では残高がございます。

それから完成工事未収入金が203億円増加しております。これはロシアのヤマルプロジェクト等のジョイントベンチャー案件の進捗が進んだ関係で増加しております。

ジョイントベンチャーの案件は進捗が進んで配当がないと完成工事未収入金が増えてくるかたちになりますので、進捗が進んだこと、それから国内案件でEPC終了後に分割で入金する案件があったことから今回、昨年3月に比べて203億円の増加となっております。

固定資産ですが16億円減の1,654億円です。資産合計は6,462億円で434億円の減です。

負債サイドです。流動負債は12億円増の2,264億円です。終盤のプロジェクトが相当数あったということで工事未払金が前年度よりも107億円減少しております。

一方で未成工事受入金が今年度は増加に転じました。これは後で受注のところでもご説明いたしますが、国内の対応案件が複数受注できておりますので、それの入金先行で国内に増えてきたということです。

一方、残念ながら複数の負債者案件の影響で工事損失引当金は前年度比105億円増加になっております。

固定負債ですが、83億円減です。365億円ですが、これは横に書いてありますが、長期借入金の減少では、米国に資源関係の子会社があります。この子会社が外部から借入をしておりました。その返済が今期行われたことで、負債の減少になっております。負債合計は2,630億円で70億円の減です。

純資産は3,832億円で364億円の減ですが、これは今回の損失ならびに昨年6月の配当金の支払いがほとんどの理由です。

4.連結キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローです。

営業キャッシュ・フローは288億円のマイナスです。今期が赤字決算であったこと、ならびに先ほどバランスシートのところで申し上げた完成工事未収金の増加、工事未払金の減少、これが主要因です。

投資キャッシュ・フローは129億円の減少です。触媒関係の子会社への設備投資、それから事業投資の会社への短期的な貸付等によるものです。

財務キャッシュ・フローは、196億円の減です。配当金の支払で107億円、それから先ほど申し上げた米国の子会社が長期借入金を返済したことにより80億円の減となっております。

これに為替換算差額を加えまして、NETキャッシュとしては昨年の末に比べて623億円の減です。

5. 受注の状況 ⅰ) 当期受注高の状況

受注の状況です。2016年度の最終的な受注は海外が3,115億円、国内が1,946億円の合計で5,062億円となりました。

海外ではアルジェリアの昇圧設備、それからフィリピンでの火力発電案件等、それからリンバースがやってる案件のチェンジオーダー等が入ってきております。

一方、国内では、バイオマス発電やメガソーラー発電、化学プラント等の受注により1,946億円という受注になっております。

今、弊社インフラ分野への強化拡大を図っているなかで、今回発電分野の案件を複数取れたことで2,000億円近い国内受注ができたことで一定の評価ができるのではないかと考えています。

残念ながら、受注目標は6,000億円と申し上げておりましたので、若干未達になっておりますが、ご案内だと思いますが、客先の最終投資意思決定を待っている案件が複数あります。

そのなかで5,000億円を超えられたことは、それなりの数字ではなかったかと考えております。受注残高です。

ⅱ) 受注残高

受注残高です。

受注残につきましては昨年3月におきまして1兆2,503億円でしたが、この3月は1兆456億円で2,000億弱減少となっております。分野と地域に関してはこのグラフをご参照いただければと思います。

6. 2017年度の業績見通し

それでは最後、今年度の業績見通しです。

まず想定の為替レートですが、今回110円で想定為替レートを置かせていただいております。その前提での各項目での数字です。

売上高は6,800億円、売上総利益は480億円、営業利益が260億円、経常利益が300億円、親会社株主に帰属する当期純利益は210億円と予想しております。

売上高に関しては、2016年度に比べて若干減収となっておりますが、2016年度の期末、3月のレートが112円19銭でした。今回想定レートが110円ですから、ほぼ売上は為替の影響度を除けば、2016年度と同じような数字だったと考えております。

なお、ご質問があるかと思います。先にお応えしておきますが、いわゆる為替の1円インパクト、為替の感応度ですが、1円の売上では40億円程度、それから粗利益・営業利益で7億円程度、それから営業外の為替で4億円程度の円安だとプラスと予想しております。

配当金に関しましては、昨年度からスタートした中期経営計画におきまして、配当性向を30パーセントにさせていただいておりますので、今回の親会社株主に帰属する当期純利益が210億円ということで、その30パーセントで1株あたり25円にさせていただきたいと考えております。

最後に受注高です。受注高の目標は7,500億円とおかせていただきました。先ほど佐藤からも話あったと思いますが、メガLNG案件はこの数字には含んでおりません。メガLNG案件のFIDがいつ起きるか非常に不確定要素が大きいのですが、やはり17年度の不確実性を考えて、この予想の中には含めないとしております。

一方で、原油価格もなかなか完全に上がりきっているという感じではないんですが、回復基調にあるのは確かだと思います。やはり我々見てるとマーケットの先行きが徐々に明るくなってきていると感じております。

従いまして、石油精製、石油化学、ガス処理、それからLEGの受け入れ基地、この辺りの案件が分野、それから地域、まんべんなく案件として出てきておりますので、この7,500億円は十分達成できる水準だと考えています。

説明は以上です。ありがとうございました。