連結業績の概要

若林秀樹氏:本日はお忙しい中弊社の決算説明会にご参加いただき、ありがとうあります。

経営管理を担当しています若林です。よろしくお願いします。

2016年度の通期決算の概要、業容、業績の説明、および現在当社が抱える問題、課題について説明します。

まずはじめに、連結業績です。連結の経常収益は3,751億円、前期比104パーセント、公表差は49億円の未達でした。

これは主に海外収益の円高による影響が161億円あったことによります。

経常利益は616億円、前期比104パーセント、公表差はマイナスの14億でした。

未達要因は、海外事業の課題である人件費の抑制、貸倒関連費用の削減が計画に対して15億円程度下回ったためです。

国内では利息返還費用の計上が39億円ありましたが、これに対してはショッピング売り場の流動化の売却益27億円で計画比での影響は打ち消しています。

流動化による利益の影響額は、スライドの経常利益の内訳①です。既存のスキームで実施した収益108億円に対し、年間での流動化益の償却額がマイナス60億、ネット48億円の利益です。

さらにこの第4四半期よりリスクアセットを圧縮するため、既存の流動化スキームの組み換えを行い、56億円の利益でした。

その他、前期と異なる要因として、外形標準課税の販管費での計上額25億円、為替の円高による影響が33億円でした。

親会社株主に帰属する当期純利益は394億円、前期比110パーセント、公表差はプラスの24億円です。

これはイオン銀行およびプロダクトファイナンスの繰延税金資産の計上による、税金費用の圧縮等が要因です。

連結業容

次に、連結の業容です。連結の有効会員数は3,894万人、前期の172万人増加です。うち、国内が2,692万人、前期比で104万人増加しています。

国内では首都圏を中心にダイエー、イオン銀行の新店3店舗などで会員募集の強化を図った結果、首都圏の会員数は569万人となり、世帯シェアは33.5パーセント、前期より1.6ポイント上昇です。

また、国内の稼働会員数においては1,661万人で、前期比68万人増加です。

イオングループでのご利用時、ときめきポイント2倍の効果により、利用が促進されたことに加え、月間の稼働率が56パーセントとイオンカード全体より17パーセント程度高いWeb明細の会員数が増加しました。

Web明細については月間の請求書発行数の約2割に当たる200万件以上稼働しており、年間で約20億円の郵送料の削減効果が出ています。

これらの取り組みにより、カードショッピング取扱高は4兆5,157億円、前期比110パーセントと2ポイント計画を上回る結果でした。

イオン銀行の口座数はイオンカードセレクトの普通預金金利上乗せ0.1パーセントをフックに口座数が555万口座、前期で62万増加です。

結果、普通預金残高は約1.4兆円、前期比で7,278億円の増加です。

連結およびエリア別業績

次に、エリア別の業績です。国内の経常収益はクレジットカードの加盟店収益が673億円、前期比で53億円増加しました。

また、キャッシング収益は632億円、前期比で48億円の増加です。キャッシングでは稼働口座数が123万口座、1人当たり残高は31万5,000円とそれぞれ前期よりも拡大しています。

海外の経常収益は前期の為替レート比で161億円のマイナスインパクトがありました。ただ、現地通貨ベースでは前期比105パーセント程度です。

次に国内の経常利益ですが、費用の内訳として資金調達費用、こちら預金へのシフトにより52億円、前期比10億円の減少です。

また、営業経費では人件費が458億、前期比35億円増、経常収益対比では17パーセントです。この比率は2018年度で15パーセントまで下げる計画です。

また、広告宣伝費は404億円、前期比24億円増加です。内訳は、ポイント費用が倍付施策の開始により225億円、前期比で62億増加です。

しかしながら、その他の広告宣伝費では販促施策のポイントへの集中シフト、ペーパーレス化の取り組みなどにより170億円、前期比で38億の減少です。

先に国内経常収益で申し上げた加盟店収益が前期比で53億円増でしたので、施策の効果が上がったものと考えています。

税金費用の増加は、これは外形標準課税によるものです。また、利息返還損失引当金の繰入額は39億円、前期比5億円増加です。

開示請求件数は前期比で約10パーセントの増加、足元では月間1,100件程度です。今期は2016年度比で開示請求が下期には減少すると考えています。

債権流動化の利益165億円の内訳ですが、住宅ローン66億円、ショッピングリボ27億円、オートローン38億円、ワンルームマンションローン33億円でした。

結果、国内の経常利益は432億円、前期比で114パーセントでした。

また、海外の経常利益は人件費が171億円、前期比で11億の減少、経常収益対比で15パーセントです。貸倒費用は292億円、前期比19億円、収益対比で26パーセントでした。

いずれも前期を下回っていますが、為替の影響によるところが大きく、今後も改善を続けていく必要があると認識しています。

また、為替によるマイナスの影響33億円もあり、海外の経常利益は225億円、前期比で94パーセントでした。

なお、前期と同水準の為替であった場合には前期比で107パーセント程度です。

セグメント別業績

次に、セグメント業績です。クレジット事業ではポイント2倍の効果により、ショッピング取扱高は第3四半期より10パーセントを超える伸び率でした。

また、個品割賦の取り扱いではオート・ソーラー・リフォームを中心に拡大し、2,346億円、前期比で17パーセント増加です。

キャッシング残高は稼働口座数および1人当たり残高の増加により4,316億円、前期比260億円の増加です。

クレジットカードの貸倒費用ですが、156億円、前期比29億円増加でした。

しかしながら、貸出金の債権残高に対する償却率は0.9パーセントと安定して推移しています。

結果、クレジット事業の経常収益は1,758億円、前期比109パーセント、経常利益は403億円、前期比109パーセントでした。

次に銀行事業ですが、住宅ローン実行額3,514億円、前期比で97パーセントでした。

これは日銀の前貸し金利導入後、第1四半期に前期比26パーセント増加と、取り扱いが大幅に拡大しましたが、それ以降、第2四半期以降は前期を下回って推移しました。

一方、小口ローン残高はカードローンが拡大し758億円、前期比で139億円の増加でした。なお、当社のカードローンでは残高の約70パーセントが100万円以下となっており、リスクは抑えている認識です。

フラット35の事業を銀行に移管したので、今期は銀行事業での人件費負担が先行して増加しています。これらの結果、銀行事業の経常収益は513億円、前期比113パーセント、経常利益は5億円、前期比51パーセントでした。

次に海外事業ですが、現地通貨ベースの業績では香港はコストコントロールを徹底したことで増収増益。タイでは増収減益でしたが、第3四半期をボトムとして連帯債権など貸倒関連で第4四半期改善傾向です。

マレーシアではファンダメンタルが厳しい中、車のハイヤーパーチェスを中心に取扱高が拡大し、増収増益を達成しています。

しかしながら、為替の影響で経常収益は1,132億円、前期比92パーセント、経常利益は225億円、前期比で94パーセントです。

次にフィービジネスですが、電子マネーの取扱高は2兆1,388億円、前期比で0.4パーセント増でした。

また、フラット35のビジネスを銀行セグメントに移管したマイナスの影響がありましたが、前年度第4四半期に連結したACSリース、新たに受託を開始した現金ポイントカードのWAONポイントの収益で補うことができました。

これらにより、フィービジネスの経常収益は540億円、経常利益は43億円です。

連結貸借対照表

次に連結のバランスシートです。

貸出金残高は国内で住宅ローンおよび無担保ローン残高が増加したことで、1兆8,649億円、期首からは1,909億円の増加でした。

割賦売掛金ですが、国内のカードショッピングおよび個品割賦の拡大により、1兆1,821億円、期首日1,598億円の増加です。

これらの結果、資産合計は4兆1,872億円、期首からは4,417億円の増加でした。次に負債の部ですが、銀行預金は先ほど申し上げた通り、普通預金の増加により2兆5,420億円、期首からは3,891億円の増加です。

預金全体のコストは0.16パーセントと前期より5ベースポイント程度低下しています。

また、有利子負債については国内の長期借入金が236億円と前期からは463億減少し、預金へのシフトが進んでいます。

これらにより、負債合計は3兆7,860億円、期首日3,814億円の増加です。

また、純資産については構造シフトにより4,011億円、期首から602億円の増加です。

また、債権流動化等リスクアセット圧縮の取り組みにより、国内基準での自己資本比率は8.59パーセントと、期首からは1.17パーセント改善しています。

資産収益性の改善~債権流動化による資本効率化~

次に資産収益性の改善についてご説明させていただきます。当社は債権流動化を通じ、資本の効率化を図っています。

この流動化の目的・効果としては、長期の債権である住宅ローンを個品割賦やクレジットカード債権など、期間の短い利回りのよい商品へシフトしていくことです。

これに加え、リスクアセットを仕組み上効率化する取り組みとして、セラー部分にも格付けを取得しています。

債券残高とリスクアセットおよび所要資本を示しています。左側が流動化実施前の残高です。

住宅ローン・個品割賦・クレジットカードの合計で約3兆2,800億です。これら債権のリスクウェイトを平均すると、おおよそ70パーセント程度です。

リスクアセットの残高は約2兆3,000億です。そのため、当社がターゲットとする自己資本比率8パーセントを掛け合わせた所要資本1,800億です。

これらを流動化および格付けの取得などの施策を行うことで、債券残高を減少させ、リスクアセットおよび所要資本を圧縮することにより、国内基準の自己資本比率を8.59まで引き上げることができました。

次に、左下の表が商品別の利回りと債権残高から得られる収益をそれぞれに求められル所要資本で割ったものです。

住宅ローンは所要資本に対し、収益が0.18回転に対して、個品割賦では0.37回転、クレジットカードでは1.9回転、それぞれ住宅ローンを上回っていますので、考え方をご理解いただけるものかと思います。

そのため、低利で長期間の住宅ローンを流動化し、調達した資金を利回りの高く回転が速い債権で運用するということに取り組んでいる次第です。

資産収益性の改善~回転率の向上及び利回りの改善~

次に、流動化における回転率の向上および利回りの改善についてご説明します。

住宅ローンの流動化は調達リスクの低減、再投資資金の確保を目的として、結果として収益を一括認識しているものです。

今回、住宅ローンの利回り1パーセント、期間10年に仮定し、その債権を1,000億程度流動化した場合に、劣後としては運用残高200億です。

一方、資金調達額800億円が得られます。同時に、売却益が20億円程度発生します。この売却益はこちら数字の②の通り、平均期間で年平均2億円程度償却していきます。

このため、①から②を引くとほぼ0で、償却負担は消えます。住宅ローンの流動化により、以降損失が出るわけではありません。

また、調達した800億は当社グループの会社をオリジネートした個品割賦債権の購入資金として使用します。

そうすることで、1パーセントの利回りで10年間の平均残存の住宅ローンからより高利回りで短期間の個品割賦債権での運用が可能です。

次に、この下の表ですが、こちら個品割賦の流動化です。先ほどの流動化で調達した資金で、外部から資金調達をしなくてもよくなります。

個品割賦の場合は利回りが高いので、一部の収益の認識を一括でします。その収益は3割程度です。

期間利益は7割程度確保した上でそれができます。個品割賦の債権は利回りが3パーセント、期間が5年程度です。

この債権を900億円流動化した場合、資金調達で800億、利回りで0.3パーセント相当、大文字のBの運用として100億円、利回りが2.7パーセント相当に分けることができます。

流動化としての資金調達ではこの場合60億円程度の売却益が出ます。③の通り年平均12億円を5年で償却していきます。また、大文字のBの運用残高では、④の通り年平均24億円の配当益が発生します。

このことから、個品割賦の流動化では配当益が償却を上回り、期間利益の確保ができます。

住宅ローンの流動化後の受益権残高200億と個品割賦の運用残高100億合わせた300億の投下資金で見ても、個品割賦の年平均利益12億円での換算の利回りは4パーセント程度です。

振り返り・課題

次に、振り返りおよび全体の今後の課題についてお伝えします。

これまでクレジットカードによる割引特典や普通預金の優遇金利、小売りと連携した住宅ローン特典等により、お客様の使う、貯める、借りるニーズについてはお応えできています。

まだ十分に対応できていない分野は増やす、備える、管理する、こちらはまだ取り組みが十分ではありません。

そうした中において、外部環境は大きく変化しており、競争の激化、人口動態の変化等があります。

お客様のあらゆるニーズおよび外部環境の変化にも対応していくために、当社グループでは金融情報と小売りのPOSデータのデータベース化、Fin-Tech技術やAIを連携させ、お客様の生活に密着し、ライフステージごとに発生するニーズに対して金融サービスを提案していきます。

それにより、対処すべき課題である利便性、生産性の向上により、通貫した商品やチャネルの提供、また、資産収益性の改善では債権のポートフォリオの見直し、債権回収システムの構築が課題です。

また、海外の再成長では貸倒費用の改善、人件費の効率化に取り組んでいきます。

以上で私からの説明を終了させていただきます。ありがとうございました。