2017年3月期 決算説明会

山本達夫氏:DMPの山本でございます。本日はDMPの決算説明会にお越しいただきましてありがとうございます。

2017年3月期の決算につきまして説明をさせていただきます。本日お話しします内容は、2017年3月期の決算内容。2018年3月期の業績の予想。それから今後の成長のイメージについてお話ししたいと思います。

まず2017年3月期の決算のお話をいたしますが、その前に当社のおかれている事業環境につきまして少しお話をさせていただきたいと思います。

当社を取り巻く事業環境

まず半導体業界ですが、業界全体としましては、規模として、大体340ビリオン、約40兆円弱で1パーセント強の成長というなだらかな成長を続けておりますが、その中身をみますと、最近のIoTやAIの市場の拡大に伴いまして、サーバーやインフラの分野におけるチップの需要が急激に拡大しております。

また、メモリーや車載機器に関しましては、やはり今後の成長の分野と考えております。

技術的な面では、ムーアの法則はほぼ終焉いたしまして、今後はAIの急激な発達によりまして異次元の進展があるのではないかという予兆を感じております。

また、気になりますのは自動車/AI等の分野を中心に数年前から大きなM&Aが起こっておりまして、昨年も同じ傾向がありました。

例えば、IntelがMobileye(モービルアイ)というイスラエルの会社を150ミリオンドルぐらいで買いまして、自動車の自動運転に関するところでかなり独占的なシェアを持っているチップメーカーだったのですが。

自動車メーカーさんも、必ずしもIntelさんからチップを買いたいと思われてないOEMさんもたくさんいらっしゃいますので、こういったことでまた市場に新しい地殻変動が起きる可能性があるのではないかと感じます。

また、ソフトバンクさんがARM社を3.3兆円で買収したのが記憶に新しいですが、最近10兆円のソフトバンクビジョンファンドができまして、今日の朝の日経新聞にも書いてありましたが、NVDIA社の株式を4,000億円分取得するという話も出ております。

また、Qualcomm(クアルコム)がモバイルでは独占的な位置付けにあったのですが、NXPという自動車向けマイコン世界一の半導体会社を買収するという動きを見せておりまして、これも日本円にして4兆円以上のディーなのですが、非常に大きな動きが起きてるという現状です。

当社がビジネスをやっておりますAI/ビジュアル・コンピューティングの分野ですが、GPUという我々が専業としている技術なのですが、これの用途がクラウドから人工知能向けに急激に拡大してると。

そういったことも関連しているのですが、人工知能関連の新しい製品。例えば、AmazonのEchoという音声認識と人工知能を組み合わせた製品サービスが最近非常に売れてるんですけども、こういった分野が新たに注目を浴びております。

台数的にはこの数年で1億台を超えていくのではないかと言われてまして、Amazon以外にもGoogleさんとかそういったところも参入しております。

あとは、IoT/AIの発展によりクラウドがどんどん大きくなってるのですが、エッジ側、すなわちデバイス側で大量のデータ処理をするという要求が大きくなってきております。

それに伴いましてエッジ側の低消費電力、ローコストのAIプロセッサの開発競争が激化しておりまして、私も今月シリコンバレーに行ったのですが、この分野の少なくとも10社以上の会社がエッジ向けのAIのプロセッサを開発しております。

大手さんベンチャーさん含めてなのですが。当社もこの分野にDV700というAIのプロセッサを開発しまして、先月から投入してる状況です。

決算ハイライト

それでは2017年3月期の決算につきましてお話しをさせていただきます。

まず売上ですが、既存のお客さま、GPUのIP中心なのですが、ライセンスの収入に加えまして、AI「Deep Learning」による動画の認識エンジン、「Zia」Classifierと呼んでおりますが、こちらのライセンス売上が計上されております。

一方、当社の画像処理用のチップ「VF2」に関しましては、販売が当初の予定を下回っております。

利益に関しましては、前期に続きまして次世代の画像処理プロセッサ「RS1」の開発費が、外注も含めてなのですけども発生しております。

また、前期に株式を売却いたしましたカナダのCogniVue社の株式売却に伴う特別利益1,300万円を計上しております。

また、「VF2」にかかりました固定資産の減損処理を行っておりまして、損失が計上されております。

決算概要(P/L)

その結果、2017年3月期の売上は6億9,400万円、営業損失に関しましては2億6,300万円、経常損失は2億6,200万円、当期純損失が3億6,500万円という結果になっております。

売上に関しましては、ほぼ前年並みではあるのですが、営業損失・経常損失に関しましてはRS1の開発費、また当期純損失に関しましては「VF2」にかかる固定資産の減損処理が大きく影響しております。

決算概要(B/S)

B/Sは損失の発生に伴いまして減少しております。ただし自己資本比率に関しましては93.6パーセントの高水準を維持しております。

(当期の取組み)IPコアライセンス分野

それでは当期の決算に関しまして、我々の重点を置いております3つの分野、すなわちIPコアライセンス、SOC製品ビジネス、そしてプロフェッショナルサービスビジネスそれぞれにつきまして、当期の取り組みについてお話をさせていただきます。

まず当期IPコアライセンスに関しましては、3Dグラフィックスコアの新製品「M3000」シリーズを発売しております。

M3000シリーズは当社の前の世代の「SMAPH-F」という3DのグラフィックスIPコアの後継になりますが、性能で約6倍、それからOpenGL ESの新しい規格に準拠しておりまして、大変競争力のある製品になっております。

また同業他社、例えばARM社の3Dグラフィックスコアの同等製品と比較しましても、シリコンサイズ・性能におきまして約3倍の優位性を保っております。

また、豊通エレクトロニクスさまと、こちらは純粋なソフトウェア製品なのですが、「IPSL」という画像処理のミドルウェアライブラリをライセンスをしておりまして、こちらが大手自動車メーカーさまの量販車に今年から搭載されておりまして、それに伴う売上を計上しております。

こちらのIPSLは従来の画像処理用の専用のハードウェアを使っていた部分を汎用マイコンのGPUで高速ソフトウェア処理することによりまして、コストを大幅に低減することを可能にしております。

(当期の取組み)SoC/モジュールビジネス分野

SoC/モジュールビジネス分野におきましては、アミューズメント向けのグラフィックスLSI「VF2」の販売を継続してまいりましたが、こちらはアミューズメント業界における非常に厳しい規制強化の動きに伴う需要の減少。

また、それに関連しまして、お客さまの新機種選定の遅延等の影響を受けました。また、この選定の遅延等に「VF2」を検討していただいたお客さまの関心が新しい「RS1」というチップに移ってまいりまして、それによって「VF2」の販売に影響を及ぼしたということになります。

一方で、同じアミューズメント分野におきまして、バンダイナムコエンターテインメントさまと「RS1」という新しいチップの開発をしてることを発表させていただいております。

こちらはバンダイナムコの「HAYABUSA」という新しい次世代エンターテインメント向けのプラットフォームの中核の製品になるものなのですが、バンダイナムコさんはコンテンツも含めて非常にこの業界において強いポジションをお持ちで、そのバンダイナムコさんと仕様策定のときから密にお仕事をさせていただきまして、業界向けの非常に競争力のあるチップになっております。

(当期の取組み)プロフェッショナルサービス分野

最後にプロフェッショナルサービス分野ですが、こちらは以前、発表させていただいておりますとおり、NEDOの「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」を受託しておりまして、こちらを推進しております。

中身につきましてはのちほど詳しく説明させていただきます。

また、当社のAI関係の研究開発の成果として発表いたしました「ZIA」Classifierというソフトウェアですが、こちらもお客さまから受注をいただいております。これものちほど少し詳しく説明いたします。

2018年3月期 業績予想①

では、次に2018年3月期の業績予想についてお話しさせていただきたいと思います。2018年3月期は、次世代画像処理チップ「RS1」の量産・出荷および、とくにAIに関連したプロフェッショナルサービス拡大により、売上高は前期比で58.4パーセント増を見込んでおります。

2018年3月期 業績予想②

そちらの内訳ですが、売上が次世代の「RS1」の売上を見込んでるということと、ZIAプラットフォームを含めたIPライセンスの増加を見込んでいることで、売上は11億円を予定しております。

利益に関しましては、引き続き「RS1」の開発費が発生しております。

これは前期に比べては縮小しておりますが、今期までこの開発費の負担が続くことと、「RS1」の今後の量産に向けての原価を見込んだ結果となっております。

その結果、今期9,000万円の赤字を今のところ見込んでおりますが、「RS1」に関しましては、非常に順調に開発が進んでいるということで、今期「RS1」に伴う追加費用の発生が今のところ発生する見込みはないということと、量産にスムーズに進みそうなかたちになっております。