映像に孤独感がなかった

久世孝臣氏(以下、久世):でも、映像もきれいだったんですけど、やっぱり独特の叙情というか余韻みたいなのがないから、「なんでそこで絵を止めたのか」というのもちょっとよくわからなかったし。

やっぱり押井さんの哲学的なあのゆったりとした、大きな川の流れのなかにあるゆったりとしたカメラワークみたいなのとか、そういうものがなかったのがちょっと残念だった。

山田玲司氏(以下、山田):あと孤独感ね。

久世:そうそう、孤独感。孤独感がなかった。

山田:攻殻はみんな、寂しいんだよね。だから雨が似合うんだけど。そんな寂しくないんだよ、今回のやつって。

久世:(笑)。

山田:それにしてもトグサ、かわいそうだよね。あれね。

乙君氏(以下、乙君):トグサ、かわいそう。

山田:「あ、トグサいたんだ」みたいな。いやお前、あいつ大事だったのに……いるのかいないのか(わからない)。

乙君:いや、そんなことよりサイトーだよな。サイトー、結局は最後……。

山田:言いません!

(一同笑)

久世:言いませんけれども。

山田:っていう感じだったしねえ。でも、まあ一部の人にはOKラインなんだろうな。

乙君:いやだから、もう本当に知らない……。こ攻殻なんてなにも知らない人はぜひ観てほしい。

久世:悪い映画じゃない。

カメラワーク、たけしに聞いたほうがよかったんじゃ……?

乙君:そしてその後、押井(守)の作品を観て、どっちがエキセントリックかというその差が。

山田:意外とだから俺、『LUCY/ルーシー』と比べてほしい。同じスカヨハ縛りで。だって、『LUCY/ルーシー』もテーマはけっこう近いところあるよね。集合的無意識みたいな話で。

久世:無意識っていうところで。

山田:だから、むしろ『LUCY/ルーシー』のほうが(押井)守っぽいんだよ。

久世:うんうん。

山田:ぽかったなという。スカヨハで言えば。

久世:深いところいってますもんね。『LUCY/ルーシー』のほうが。

山田:いったなという気がして。

あと残念なのがね、やっぱりカメラワーク。

久世:それは本当にそう。

山田:カメラワークに工夫がなさすぎるな。CGはあれだけがんばっているのに、なんで銃撃戦でカメラがあんなにしょうもない横1シーンみたいな。一番ダサいカット割りでやる。「あれ、たけしだったらもう2メートル下がるだろう」とかさ、なんかもう。あとちょっと斜めにするとかさ。

久世:たけしがいるのになあ。

山田:あの人……そう、たけしがいるのに!

久世:アドバイスをもらってやったほうがええよ。

山田:撮影監督、たけし組の人にあれ任せたほうが、もうちょっとクールでいい映画だったかもしれないよなって思ってちゃう。

久世:そうそう確かに。

山田:だからしょうがないかなとは思うけどね。怒ってるのもなあというのも(笑)。

久世:まあ、楽しみましたよ。お祭りとして。

攻殻のビジュアルを作った1つの世界観だった

山田:あと、これ誤解ないように言いたいんだけど、スカヨハを中心に、だから主人公を素子にして、素子目線で描くというやり方にしては、まあ間違ってないんじゃないの? あれ。

乙君:そうそう。なんにも間違ってないんですよ。ちゃんと丁寧に作ってるんですよ。だからおもしろくなくなっちゃうという、謎の現象なんですよ。これ。

山田:「守さん、最高っすよ!」って言いながら、「守さん、いなくていいですよ」「ひどいよ。これなあ」っていう(笑)。

久世:とりあえず、どかしまーす。

乙君:「これは押井のなにに影響を受けたんだろうな?」みたいな。

山田:結局、ルックなんじゃないのかなって。でも、それもまた映画じゃん。ビジュアルを作った1つの世界観というのがさ。それは系譜のなかで表れたというのは、まあしょうがないよなって感じもするよね。ですよ。

乙君:はい。いいですか。

久世:じゃあ、チーンしますか? 

乙君:じゃあ、次。

(ベルを鳴らす)

「岡村靖幸さんと同い年なんですよ、俺」

山田:はい。次、なに?

乙君:いや、自分がめっちゃしゃべりたいことがあるって。岡村ちゃんの話したいんでしょ?

山田:岡村靖幸さんっているじゃないですか。

久世:いますよー。ヒーローですよ、ヒーロー。

山田:岡村靖幸さんって同い年なんですよ。俺と。

久世:あら。へえ。

山田:そう。吉川晃司も尾崎豊も。

乙君:1個下じゃない? 岡村ちゃんって。

山田:一緒なの。65年なので。だから、同級生なの。尾崎豊と。

久世:(笑)。

乙君:(昭和)66? 65?

山田:66と65……。

乙君:まあ、その周りで。

山田:だから、同じ学年なんだよ。「吉川晃司と尾崎豊と3人でよく飲んでました」みたいな。

乙君:そうなんですよ。六本木でね。

山田:全員、俺の同級生なわけね。そこに大槻ケンヂとか奥田民生と吉井和哉も入るわけよ。みんな同い年で。

乙君:そうですねえ。

山田:だから、「なんなのよ。うちの世代は?」ってことなんだけど。

乙君:(笑)。

山田:よく言われたのよ。「太ってるときの岡村ちゃんによく似てるよね」ってさ、当時(笑)。

久世:それはうれしかったんですか?

山田:うれしかったんですけど。

久世:うれしかったんですね。

山田:そうそう。カルアミルクだったので。俺も。そうそう。

久世:カルアミルクで仲直りしました?

山田:カルアミルクで仲直りするでしょ。

(一同笑)

山田世代はチャラくて元気でキック力がある

山田:俺たちの世代は。キック力だから。キック力。

久世:キック力ね(笑)。

山田:モスコミュールとカルアミルクだから。そうそう。……うるさいよ(笑)。

いや、チャラいでしょ。要するに、あの世代はチャラくて元気だなというさ。

でも、チャラい時代にチャラくやっててさ、そのあとの暗黒時代に耐えられなくなって、みんな陥落していくわけだよ。俺の世代がみんな。みんな憂鬱になっていくんだけどさ。それを1周して通り抜けてきて、生き残ってる俺の同世代って「やっぱりすげえな」ってどこかで思っちゃうわけよ。「今、元気なバブル世代ってすごくね?」って思っちゃうの、俺は。

それで、なにか転向してるんじゃなくて、そのままバブルやってるヤツってやっぱり一番すげえなと思うんだよ。及川ミッチー(及川光博氏)もいいるんだけど、やつはビジネスだなって思うわけ。

乙君:えっ、ミッチーも同い年なんですか?

山田:ちょっと違うけど。ちょっと上。

久世:下の目線から見てでしょ。

乙君:まあまあ、同じアラウンドということですよね。

山田:でも、王子を演じてるという意味では。

乙君:そうですね。

山田:あの2人、よく似てんじゃん。岡村ちゃんとミッチーがやってることって、「ベイベ」ってやつでしょ?

久世:「子猫ちゃん」って。

山田:子猫ちゃん。

乙君:ああ、そこはねえ、深くて……。

山田:そう。そうなの。

乙君:ミッチーと岡村ちゃんはもう。

ミッチーという名の王子様ジャンル

山田:そのとおり。そうなんだよ。だから、今回の攻殻と同じで、ルックは似てるんだけど、ぜんぜん違うものだよなって、俺は……。

乙君:ルックは似てないですけどね(笑)。

山田:ええ〜、王子様症候群なんじゃないんですか? あれは。

乙君:ミッチーって、だってもうジャンルですもん。ミッチーという。

久世:え、岡村ちゃんもジャンルやで。

乙君:岡村ちゃんは一応プリンスの系譜があるじゃない?

山田:だから、プリンスノイローゼだろ。同じじゃん。同じプリンスノイローゼ。

乙君:いや、違う……ミッチー……まあ、いいや。

山田:お願いしますよ。じゃあ言ってくださいよ。

乙君:いや、いいっす。いいす。

久世:もうやんなさいよ。

山田:やんなさいよ。

乙君:あの、もう30分なので、ちょっと。

岡村靖幸と小室哲哉のスリリングな対談

山田:そうかあ。いや、それでね、YouTubeにいろんな動画があって。それでおもしろかったのが、岡村ちゃんが昔「いいとも!」に出てる動画とか見ると、本当にイカれてるんだよね。「この人、大丈夫かな?」というぐらいの、なんかもうぶっ飛んでんだよ。

久世:へえ。見たことない。

山田:それはいいんだけどさ、なんかいろいろあって久しぶりに出たテレビ番組で……。小室哲哉の番組に出ているのがあるの。その当時、一番ブイブイ言わせていたバリバリの頃の小室哲哉の番組に、「まさか出てくれるとは思わなかったよね」みたいな感じで岡村ちゃん出てくるだよ。

それで、まあボロボロなんだよ。見たかぎり。

乙君:岡村ちゃんが?

山田:「岡村ちゃん大丈夫?」って。もうぜんぜん王子じゃないんだよ。こんななっちゃって。

久世:やばー(笑)。

山田:「どうして最近活動してなかったの?」って言ったら、「いい詞ができなかったんですよね」とかって言うんだけど、これがなかなかスリリングな対談でさ。「小室さんって、聞きたいことあったんですけど……」といって、岡村ちゃんが「小室さん、ナンパとかします?」って言うの。番組で聞くんだよ(笑)。

それだけじゃない。「いやー、最近しないね。最近はさすがにね」みたいな感じで、大人な感じで(小室哲哉が)逃げようとするんだけど、「逃さねーよ」みたいな感じで。「いや、あれじゃないですか。小室さんのディスコへ行ったんですけど、かわいい女の子いっぱい踊ってるじゃないですか。そうしたら小室さんやっぱり『君、ちょっとうち来ない? デビューさせてあげるんだけど』みたいな感じで抱いたりとかするんですか?」って。

乙君:えー!?

久世:言うやん。

山田:みたいな、けっこうガンガンと小室にいくんだよ。もう哲哉のほうはふらふらしながら、テキトーに大人な感じでぬるぬるって逃げてくんだけど。

そこで一番最高だったのがさ、「小室さん、ヘアヌードってどう思います?」って言うの。それで「ヘアヌードとかって最近流行ってるじゃないですか。よしよしって思うんですよ」って。

乙君:よしよしと思う?

山田:よしよしと思うんだって。「ヘアヌードよし!」って思うんだって。

乙君:岡村ちゃんが?

山田:岡村ちゃんが。

乙君:ほうほう。

岡村ちゃん分析に「最高だよ!」

山田:岡村ちゃん、喜んでたんだよ。お気に召したらしい。だけど、そう言いながらも「いや、ちょっとやりすぎだろとかちょっと思うんですよ」って言うわけ。「『そんな脱ぐなよ』みたいな、『大事にしろよ。自分を』っていう感じってないですか?」って。

(一同笑)

小室に投げるんだよ。

久世:音楽は? 音楽の話は?

山田:音楽なんかぜんぜんしないんだよ。俺、それ見てね、「岡村、最高だな」と思って。

久世:最高ですね。

山田:一番最高だったのが、「踊ってる女の子を見てるじゃないですか。僕が」って岡村ちゃん言うのね。そうしたら「胸の大きい子と胸の小さい子は、それぞれ違った踊り方をして自分をアピールしますよね」「胸の揺らし方をやつらは計算してるんですよ」みたい、岡村ちゃん分析が入るわけよ。

岡村ちゃん、それを見ながら、「いいな」と思って見てるんだって。だけど、ふと思うんだって。「なんでね、あれほどまでにおっぱいにね、我々は惹かれるのか?」って言うんだよ。大真面目に小室に聞くの(笑)。「ただの脂肪の塊じゃないですか?」て言うの。良くない?

乙君:それ、まさにもう今日思った。

山田:なにそれ!? お前、今日、大昔の岡村ちゃんだったの?(笑)。

久世:すげえな(笑)。それはでも、居酒屋でよく話すような話でね。小室哲哉さんに。

山田:それを全盛期のキングだった頃の(小室哲哉に)さ、しかも潜伏期間を経て出てきていきなりキングに会って、「なんでおっぱいっていいんですかね」って話をする。

乙君:最高だよ!

山田:最高だよ。あれ見て、ちょっと惚れ直しちゃって。もう1回カルアミルク聴かなきゃなあって思って(笑)。

(一同笑)

山田:「愛はおしゃれじゃないよね」なんつって思ったわけですよ。なんかいいなと思って。

男女平等と言われる時代こそ、岡村ちゃんが貴重

それで、いわゆる俺の世代ってさ、本当にナンパしなきゃダメだったのよ。

久世:ナンパしなきゃダメだったの?

山田:ダメだったの。

しみちゃん氏(以下、しみちゃん):(笑)。

久世:つば飛んできた。後ろから。しみタソ。

しみちゃん:すいません。すごいなと思って(笑)。

山田:そう。ディスコってナンパしないといけなかったの。決まってたの、もう。そういうことできないやつは、もう腐れ童貞みたいな感じで本当にもう非人道的な扱いを受けてた。「そういうことっておかしいんじゃない?」みたいな感じで。

俺、『Bバージン』って漫画を描いてたんだけど、やっぱり当時のリア充からのオタクの圧力って半端なかったの。そういう文化みたいなものがいろいろ全部なくなっちゃって、男女が両側の彼岸に行って、それぞれが別のものを見てるみたいな時代になったときに、岡村ちゃんが貴重だなと思って。

久世:いや、この人は貴重ですよ。

山田:貴重でしょ?

久世:うん。突き抜けてるもん。気持ちいい。

山田:「電話なんかやめて六本木で会おうよ」だよ。

久世:そう。「今すぐおいでよ」。

山田:「おいでよ」っていう。「愛はおしゃれじゃないよ」。

久世:Hey everybody.