お金とアートの奇妙な融合

カリン・ユエン氏:画廊で毎年行われる美術品オークションなど、芸術がお金へと換算されていく場所は、そこら中に溢れています。ただ、中にはそういったお金のやり取りを受け入れるアーティストもいれば、交渉人にやり取りをすべてまかせてそれを避けようとするアーティスもいます。さて、それではお金そのものを表現するアートとは一体どのようなものがあるのでしょう。

こんにちは、Little Art Talksのお時間です。私はカリンと言います。今週の「5 Artist in 5 Minutes」は、全てお金にまつわるお話です。

アンディ・ウォーホル(1928-1987)というアーティストは、消費主義をすすんで受け入れる姿勢を評論家たちから批判されることもありましたが、市場文化への熱意を表現することに少しもためらいませんでした。

彼は、自分が何を表現しているかをしっかりと理解していましたし、作品の中でお金を題材とすることが多くありました。彼の初期作品のひとつに、201枚のドル紙幣を敷き詰めた絵をシルクスクリーンの版画で描いた作品があります。

この、7フィート半のキャンバスは、2009年にサザビーにおいて443.8万ドルで売却されました。この作品につけられた値段は、「好調なビジネスというのは、つまり最も魅力的な芸術のことだ。お金を稼ぐことは芸術であり、働くことは芸術であり、つまり良いビジネスとは良い芸術のことだ」という作者の言葉を体現するものでした。

アローラ&カルザディア(1974-,1971-)は、プエルトリコに拠点を置いて活動しているアーティストです。彼女は、2011年のヴェネティア・ビエンナーレにて、お金を引き出す度にユニークなメロディーを奏でる、綿密に設計されたパイプオルガンのATMを発表しました。

この作品は非常に人気を博し、毎日のように外まで行列ができるほどでした。美術館には拒否されてしまいましたが、たくさん預金残高がある人には、より精巧で長いメロディーが演奏されるようにとの案もあったようです。

ハンス・ぺーター・フェルドマン(1941-)は、ドイツのビジュアルアーティストです。彼の芸術へのアプローチは、規則正しく物を収集すること、適正な画像を見つけること、日々変わりゆくものを体現することであると評されています。2011年フェルドマンは、ソロモン・グッゲンハイム財団によって年2回開催される、ヒューゴ・ボス賞を受賞し、10万ドルの謝礼を受け取りました。

そこで彼は、フランク・ロイド・ライトが設計した美術館の壁一面に1ドル紙幣を10万ドル分壁に敷き詰めた作品を作ろうと提案しました。そこで、美術館の学芸員たちにより13日間にわたって紙幣(世間には流通していないもの)を、お互いがわずかに折り重なるようにして壁に留めていきました。

彼はこのように表現していました。「私は70歳で、50年代という芸術界にはほとんど資金がなかった時代に芸術に携わってきました。お金と芸術は、同時には存在していなかった。だから、私にとって10万ドルというお金はとても特別で、でも信じられないほどのものだった。だからこそ、そのお金の本質そのものを表現してみたかった」。

ドレッド・スコット(1965-)は、パフォーマンス写真やシルクスクリーン、ビデオ・インスタレーション、絵画など幅広いメディアで活躍するアーティストです。このパフォーマンスでは、ウォールストリートのボランティアたちに協力を仰いで紙片を燃やしていきました。

250ドルを皮切りに、ウォールストリート街のトレーダーや行きかう人々に自身のお金を燃やすよう参加を促しながら、10ドル札を5枚、1ドル札20枚を次々に燃やしていきました。

このパフォーマンスでは、一瞬のうちに百万ドルものお金がその価値を失いました。公の場でお金を燃やし紙幣を「なんでもないもの」に変えることで、彼は不合理に繁栄している、閉鎖的なトレーディング市場への言及を試みたのです。けれど、このパフォーマンスが開始されてから25分後に警察がやってきて、その15分後にはパフォーマンスは終了してしまいました。

flo6x8は、スペインの反資本主義者たちによるフラメンコダンサー集団です。彼らは銀行のロビーでフラッシュモブを行い、金融業界の悪行についてユーモラスと情熱を兼ね備えた歌と踊りで表現しました。

銀行の従業員や顧客たちは、このパフォーマンスに驚き、魅了され、また中にはこの突発的な行動をとるダンサーたちに腹を立てるひともいました。