logmi・ログミー

世界をログする書き起こしメディア

「誰もがみな“誰かのおかげ”でここにいる」スターバックス会長がアフリカの若者に学んだ言葉

「誰もがみな“誰かのおかげ”でここにいる」スターバックス会長がアフリカの若者に学んだ言葉

アリゾナ州立大学の卒業式に、同大学と提携するスターバックス会長のハワード・シュルツ氏が登壇。南アフリカで最初の店舗をオープンしたときのエピソードに触れ、雇用した若者に教わった「あなたのおかげ」を意味する言葉、「ウブントゥ(Ubuntu)」について語りました。

シリーズ
卒業式スピーチ > アリゾナ州立大学 卒業式 2017 ハワード・シュルツ
2017年5月8日のログ
スピーカー
スターバックス 会長 Howard Schultz(ハワード・シュルツ) 氏 
参照動画
Howard Schultz at ASU's 2017 Undergraduate Commencement

南アフリカでの新店舗オープンから学んだこと

ハワード・シュワルツ氏  クロー総長(アリゾナ州立大学総長)、あたたかい紹介をありがとうございます。友好的に、多くの面で協力してくださっていることにお礼申し上げます。またアリゾナ大学の委員会、学部、来賓のみなさまに感謝申し上げます。 2017年度の卒業生のみなさま、おめでとうございます。 (会場拍手) この日を迎えるまでみなさんを援助し続けてくれた人たち、スターバックスの奨学金制度を利用された330人の卒業生のみなさま。みなさんを本当に誇りに思います。 スターバックスとASU(アリゾナ州立大学)との協力でみなさんにこうした援助ができたことをうれしく思います。みなさま本当におめでとうございます。 (会場拍手) 今日は私自身の個人的な話から始めたいと思います。昨年、南アフリカで最初のスターバックス・コーヒーの店舗がヨハネスブルグにオープンしました。 それまで南アフリカを訪れたことはありませんでしたし、なにが待ち受けているかもわかりませんでした。実際、貧困レベルや街の状況などへの心の準備はまったくできていませんでした。2店舗をオープンさせるとドアの外まで列ができていて、いかに期待してくださっていたかが見てとれました。 ですが、オープン前に、緑のエプロン、スターバックスのシンボルである緑のエプロンを付けた50人の若者を集めて、一緒に座って数時間話をしたんです。彼らは生活の貧しさや窮状にも関わらず、自分たちの身の上話をしてくれましたが、そこには楽しさや感謝の気持ちが溢れていました。 その会話から私は2つのことを学ばせていただきました。1つは、その50人の若者はそれまで働いたことがなかったことです。それまでの人生で雇われた経験がないのです。初めて仕事につけたことで、自尊心や安心感を得られていました。 2つ目は、彼らがこれまでの人生を語っている間に、聞いたことのないアフリカの言葉を耳にしたことです。ネルソン・マンデラがよく使っていました。その言葉は「ウブントゥ」です。U、B、U、N、T、U。ウブントゥ(Ubuntu)です。 私はようやく勇気を出して「さっきからよく使っているその言葉はどういう意味なんだい?」と尋ねました。彼らは口を揃えて「ハワードさん、ウブントゥは『あなたのおかげ』って意味ですよ」とすぐに説明してくれました。「あなたのおかげで私はいます」。 今日この話をできることを光栄に思いますし、ぜひとも心に残していただきたい。これからする話もウブントゥの視点からお話するからです。

働く人たちを尊重する会社を作るために

私はニューヨークの公営住宅、当時は「プロジェクト」と呼ばれていた場所で育ちました。両親は2人とも高校を中退していて、毎月96ドルの家賃を払うのにも四苦八苦しながら、両親と私と妹と弟とで暮らしていました。 ですが今も覚えている子供の時の最初の記憶は、母が自分の信じるアメリカンドリーム、その希望を私に教え込んだことです。「より良い教育と熱心に働くことが、より良い生活につながる」。そこから私は、今からみなさんにお話するとても大切な教訓を学びました。 あなたはあなたの出自によって決まるものではないですし、アメリカンドリームはすべての人に開かれているのです。 私は7歳の時に、人生を決定づける出来事を経験しました。ある日学校から帰ってくると、父親がソファーで腰から足首までギプスで覆われて横になっていました。父は高校を中退し、退役軍人であり、厳しいブルーカラーの仕事を始めていましたが、1960年当時の仕事はとくに大変でした。パンパースがまだ発売されていなかった時代、オムツの回収や配達をするトラックドライバーだったのです。 1960年の3月、彼は氷で滑ってしまいました。1960年当時、教育をそれほど受けていないブルーカラーの人は、怪我をしてしまえば解雇されてしまいます。補償も、退職金も、健康保険もありません。 アメリカンドリームは音を立てて崩れ、両親は私が7歳にも関わらず絶望に打ちひしがれました。その時の心の傷や後ろめたさは今でも私の中に残っています。 自分の会社を立ち上げ、その会社が26,000店も店を構え、75ヶ国で30万人もの人を雇うようになるとは、子供のころは夢にも思っていませんでした。 (会場拍手) ありがとう。当初私は、父が働くことができなかった会社を作りたいと本気で考えていました。働く人たち、すべての人たちの尊厳に敬意を払って、尊重する。そんな会社です。 それこそが、オバマケアより30年も早く全社員に健康保険を導入したアメリカで最初の会社になり、非正規の従業員も含めたすべての従業員に株式を渡したことの理由なのです。ビジネスや人生での成功は、それを分かち合ってこそ価値があると固く信じているからです。 スターバックス・コーヒーは1992年に株式公開しました。1992年から2006年まではまるで魔法の絨毯に乗っているかのようにすべてが利益につながりました。 しかし2007年、音楽は止んでしまいます。全社で共有すべき価値観や目的、原理原則は失われていたのに、成長と成功が、そうした失敗とスターバックスに蔓延していた病気を覆い隠していたのです。 蔓延していた病気とはなにか。それは傲慢さです。 進むべき道を見失ってしまい、信じる信じないに関わらずもう少しで会社が無くなるところでした。こうした危機的状況の中で、私は愛することとそれに伴う責任、同時に、リーダーシップや勇気を持って倫理を全うするというのは受け身ではだめなのだと痛感しました。 私たち経営陣はまず個人のレベルで実践し、それから全社に広めました。私たちの本質的価値や他者に仕えるというリーダーシップを、組織全体に広がるよう刺激したのです。 どんなビジネスも、組織も、家族でさえも、その存在価値や存在意義は正しいものでなくてはなりません。スターバックスの核となる目的、存在意義は、その時以来、今に至るまで、利益と人道のバランスを取るという大変難しいものです。 今ではスターバックスの株式が持つ価値はかつてないほど高くなり、株主への還元や社会に与えた影響は過去25年で他に類を見ないほどです。私たちは世界で最も尊敬され、認知されるブランドの1つとなると同時に、雇用規則やリーダーのあり方というものも、他の人たちや社会へいかに貢献するかという本来あるべき価値観に沿ったものへと変わりました。 また最も重要な点として、ビジネス上の決定は経済的な観点だけでしてはいけません。また成功というものは資格のようなものでもありません。毎日毎日、謙虚さというレンズを通して得られるものなのです。 公営住宅で育った貧しい子供であっても、最も大きく革新的な大学の卒業式でスピーチを行う栄誉を受けられようになるのは、アメリカだけなのです。 (会場拍手)

心に留めておくべき3つの疑問

みなさんの両親、教授、過去の卒業生たちと同じく、私もアメリカンドリームの生きた証拠としてここに立っています。ですが、みなさんの中にはそうしたアメリカンドリームの強さに疑問を感じている人もいるかもしれません。それももっともです。 私たちの世代はそうできてきませんでした。政治のリーダーたちは民主、共和党どちらであっても、私たちが長年直面してきた問題に勇気と誠実さを持って取り組んでこれませんでした。 アメリカ国民に寄り添うのではなく、お互いに争ってきただけです。相手をけなし、私欲を求めるワシントンのルールがはびこっています。 ですが、こうした点を踏まえたとしても、私は将来を楽観視しています。とくにこうしてみなさんを見たときです。未来はワシントンにいる彼らではなく、みなさんにかかっているからです。 今日という節目の日に、明日からはどうなるのだろうという一抹の不安を抱えている人もいるでしょう。未来がどうなるかは、時が経たないとわかりませんが、門出の日に心細くなっているとしても、ぜひ自分自身を信じてください。 それから、ずっと心に留めておくべき3つの疑問をお伝えしましょう。 「どれだけ両親と家族を尊敬し敬意を払えるか」。 「どれだけ自分の成功を分かち合い、誠実に他の人に尽くせるか」。 「どれだけ謙虚さの点で率先し、勇気ある道義的な行動をする点で手本となれるでしょうか」。 みなさんは我が国において、最も恵まれた状態で卒業できる世代です。起業家精神を持ち、熱意と未来を作り出す責任を持つにふさわしい人たちです。 ですが、立ち止まってはいけません。教室で学んだことだけに頼らないでください。同情心、好奇心、感情移入、他人に尽くす気持ちを奮い起こしてください。自分が受けた以上に他の人へ与えてください。そうすれば自分が思ってもみなかった方法で返ってくると約束します。 みなさん一人ひとりはみんな誰かのおかげで今日ここにおられます。両親、兄弟、先生、近所の人、尊敬する人。私の母のように希望や確信を持たせてくれ、夢を育ませてくれた人です。 巣立って行かれたとしても、先輩たち、見守ってくれた人たち、今日隣りにいる人たちのことを時折思い出してください。その人が今日ここに来てくれているなら、抱きしめ、教育という機会と援助をくれてありがとうと言って、与えてもらったすべてを大切にしてください。

みんなそれぞれがお互いのおかげ

みなさんの世代は、分け隔てなくみんなが1つになれる世代です。イノベーションを起こし、創造し、手本になってください。 今の経済を組み換え、数え切れないほどの新しい仕事を生み出せる世代です。クリーンエネルギーを促進させ、人種差別を歴史の教科書に載っているだけの言葉にしてください。 (会場拍手) みなさんがそうするのです。認め合い、尊重し合い、多様性を称えていると世界中に知らしめる世代となるのです。 (会場拍手) この国で成功し、優しさを分かち合ってください。みなさんならできます。 大きな夢を持って、さらに大きくしてください。より革新的な夢、より懐の大きな夢です。みなさんならアメリカンドリームを守り続け、さらに強くできます。 私を公営住宅から解き放ったアメリカンドリーム。肌の色、宗教、性別、性的指向、出自に関わらずみなさんを後押ししたアメリカンドリームです。 忘れないでください。ASUはみなさんのおかげです。みなさんはASUのおかげです。みんなそれぞれがお互いのおかげなのです。 ウブントゥ! ウブントゥ! ウブントゥ! (会場拍手) みなさんご一緒に! ウブントゥ! ウブントゥ! ウブントゥ! 両親と家族を誇りに抱いて未来に進んでください。 2017年卒業生に神のご加護がありますように。おめでとうございます。 ありがとうございます。 ウブントゥ! ありがとうございます。

  
×
×
×
×
×
この話をシェアしよう!
シェア ツイート はてブ
「誰もがみな“誰かのおかげ”でここにいる」スターバックス会長がアフリカの若者に学んだ言葉

編集部のオススメ

無料で求人掲載できる!エン・ジャパンの採用支援ツール、engage(エンゲージ) PR

おすすめログ

人気ログランキング

TOPへ戻る