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大企業は「古き良き昭和」を引きずっている 起業家を増やすため、日本がやるべき“雇用の流動化”

大企業は「古き良き昭和」を引きずっている 起業家を増やすため、日本がやるべき“雇用の流動化”

グローバル時代のメディア・コンテンツビジネス、AI、VRなど未来を切り開くビジネスパーソンに必要な最旬テーマを語るイベント「SENSORS IGNITION」。その中で行われたセッション「日本3.0 日本の将来、何に投資すべきか?」では、グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナーの高宮慎一氏、iSGSインベストメントワークスの佐藤真希子氏、トーマツベンチャーサポートの斎藤祐馬氏が登壇しました。モデレーターはNewsPicks編集長の佐々木紀彦氏。イノベーションを起こすには「起業家のような人材」が必要。では、そういった人材を輩出するために日本ですべきこととはなんでしょうか。

シリーズ
SENSORS IGNITION 2017 > 日本3.0 日本の将来、何に投資すべきか?
2017年3月23日のログ
スピーカー
グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー/Chief Strategy Officer 高宮慎一 氏
株式会社iSGSインベストメントワークス 取締役代表パートナー 佐藤真希子 氏
トーマツベンチャーサポート株式会社 事業統括本部長/公認会計士 斎藤祐馬 氏

【モデレーター】
NewsPicks編集長 佐々木紀彦 氏

ニッチなところで目立つことが大事

佐々木紀彦氏(以下、佐々木) ロールモデル問題は、特に女性にとって大きいって話がよく出てくるじゃないですか。結局、イノベーション起こすためにダイバーシティが必要だって言われるじゃないですか。 それで、女性からのイノベーションといいますか、起業とか、そういったものをいろいろ活発化させるためには、佐藤さんはどういうことが大事だと思われてますか? 佐藤真希子氏(以下、佐藤) そうですね、なんだろう……。男の子と女の子を育てていて思うのは、女の人って物事を積み上げて考えていくんですよね。1個ずつ階段を上っていくんですよ。男の子って「ここから飛べるよ」と小さい頃から言って、足を折ったりするじゃないですか。 育て方とか、脳みそはあまり変わらないんですけど。結局そういうふうに「俺は飛べるんだ」というのを、女の子でも小さいうちから「あなたもできるよ」と言って、もっと育てたほうがいいんじゃないかな。 佐々木 教育から変えろ、と。 佐藤 教育はすごく大事で、やっぱり親の価値観とか考え方って、子供にすごく影響していると思うんですよ。 なので、ママたちも含めてもっと社会に出て、家庭の中からもっと変えていかないとダメなんだな、と。けっこうみなさん保守的ですよね。嫁ブロックとかもありますし。大企業を辞めてベンチャーにいくと給料が半分くらいになっちゃうというのもよくないんですけど、もっとそういうチャレンジをしてほしい。 女性も、もっと稼げるし、能力だけでみると男の人よりも高い場合のほうが多いので。もっと自信を持ってやったらいいと思うんですけど、なかなか難しいですね。 佐々木 ロールモデル、今後かなりポンポン出てくると思われますか? けっこう悲観的ですか? 佐藤 ロールモデルは、私はサイバーエージェントの新卒1期生だったんで、ずっとロールモデルはいなかったんですね。「ロールモデル、ロールモデル」とすごく言われるんですけど、それがいなかったから今ここに立ててると思うんですよ。 上の先輩がいなくて、自分でやるしかなかったから「女性で初めてのマネジメントになりました」とか。 VCも男の世界だと思うんですけど、「興味本位で飛び込んでみたら、気づいたら女の人がVC業界にほとんどいなかった」みたいな感じです。今ここに立てているところでいくと、ロールモデルなんてどうでもよくて。 とにかくニッチなところで、やっぱり目立っていくというのがすっごく大事なんじゃないかなと思ってるんですよ。

大企業は「昭和の日本2.0」を引きずっている

佐々木 わかりました。高宮さん、最後お願いします。 高宮慎一氏(以下、高宮) 「(なぜ起業家が)大企業から出てこないか」みたいな話でいうと……。佐々木さんのフレームワークでいうと、昭和の日本2.0を引きずってるからだと思っていて。 一生雇用されている前提で、特定のスキルに対して最適化されるプロフェッショナル人材じゃなくて、ある個別の会社の業務のやり方や、コミュニケーションみたいなものに対して、最適化された人材になっているから、独立してある塊で価値を出せる人材じゃない。 プロフェッショナル人材じゃないから、けっこう独立してベンチャーをやるとか、自分1人で解決して社内でベンチャー立ち上げるとかというのは、やりにくくなってると思うんですよね。 そこでいうと、なにができるのかみたいな話になると思うんですけど、雇用の流動化だと思うんですよ。大企業から人材が出てきている。厳しい話をすると、場合によってはクビになって出てくるみたいな話があってもいい。 逆に今度は国として社会保障のほうも、「老いさらばえていく大企業を守る」とかじゃなくて。国として戦略的にこの産業を伸ばすから、リソースをシフトしなきゃいけないときに、社会保障とかがセットになっていく。 人材としても1単位でバリューを出せるプロフェッショナル人材になるし。プロフェッショナル人材が戦略的に伸ばすべき領域に寄せられていく。 日本は、よく考えると特定の産業を伸ばしてきただけなので、実は政治レベルでリーダーシップをとって、「この領域を伸ばすぞ」みたいなことができるはずなんじゃないかなと思っています。 佐々木 そうですね、サラリーマンが終わるということですよね。最近、東芝の方と話していたのですが。東芝の社員で辞める人も増えていて、起業を考えている人もいるそうです。 高宮 そうだと思います。国というのも会社って考えたときに、会社が事業ポートフォリオを持っていて、事業がキャッシュフロー化して、最後は辞めちゃうみたいな感じになって。その代わり伸びる事業に入りますよね、というのは当たり前の話なんですね。 国も同じようなレベルで、戦略的に痛みも伴うかもしれないけど、意思決定ができれば、まだまだ日本3.0がいけるんじゃないかと思います。 佐々木 いけますね。東芝は辞めた人から成功者が出てきたらいいんですよ。盛り上がりそうですね。ありがとうございます。

子供の「もっとやりたい」を育てていくべき

残り3分強になってきたので、最後、質問をいただいてから終わりたいと思うんですけども、みなさん質問いかがでしょうか? 今回、どのセッションも質問がなかったみたいなんですけど。 (会場を見て)手を挙げていただきました! いきましょう。 質問者1 お話ありがとうございました。先ほど佐藤さんのお話の中で教育という話があって。今英語だったりプログラミングだったりが、小学校から必修になると思うんですけども。今後そういった中で、アントレプレナーシップを必修としていたほうがいいのか、それを自発的に個々でやっていったほうがいいのか、どちらがいいと思いますか? 佐藤 小さいときからお金を稼ぐという経験はさせたほうがいいと思っていて。プログラミングにしても英語にしてもたぶんツールでしかないので、なにをやりたいかなんですよね。そっちのほうが大事。 小さい子供でも、「こういうことをもっとやりたい」という気持ちを育てていくべき。それを実現する方法なんて山ほどあるので。もっと「お金を稼いでいいんだよ」「仕事っておもしろいんだよ」みたいなことをやっていったほうがいい。 日本人は奥ゆかしくて「自分が言葉にしなくても相手はわかってくれるだろう」みたいなのがありますが、これからは、どんどんなくなっていくと思うんですよ。 なので、それを言葉にする、発信するということを、訓練じゃないですけど、小さいうちからやっていかないといけない。プログラミングとかはあくまでもツールだというところで、実現したい世界のほうが大事だと思うんです。

起業家人材にある「リスクをとる」マインド

佐々木 教育という意味で、高宮さんが日本がアメリカからとか学ぶべきものってなんだと思います? 高宮さんはハーバードビジネススクール上位10パーセントですよね、5パーセントでしたっけ。 佐藤 すごいですよね。 高宮 今の佐藤さんが言ってること、そのままかなって。結局これも、昭和の2.0のレガシーを引きずってるみたいな話です。高度成長を前提として、常に右肩上がりだと思うと、今いいところに入れば、そのままベルトコンベアのようにみんな良くなるという時代なんですけど。 マクロで見たときに、日本のGDPの総額ってそんなに伸びない。下手すると……明らかに負け組勝ち組のような格差が出てくるとき、自分がリスクをとって主体的に伸びそうな領域を選ばなきゃいけない。「なにがやりたいの?」という話なんで。 その中で、リターンが必ずリスクとセットになってる。リスクをとるっていうマインドなんじゃないかなっていうのはすごい思っていて。そのマインドこそが、さっきの「イノベーター人材=起業家」ということだと思ってます。   佐々木 斎藤さん、どうですか? 斎藤さんは子育てとベンチャーを育てるのは似ていると、以前おっしゃっていましたよね。 斎藤祐馬氏(以下、斎藤) そうですね。ひと言で、人生の中で「これやりたいんだ」と言えるかどうかが、すべてですよね。 will、can、mustとかってよく職業選択でいいますけど、やっぱりcanはどんどん上がっていくんですよ。テクノロジーが上がっていく。なのでwillを持っているかどうか。willをベースに、mustは最低限出しながら、canは周りの人の力を借りてやっていく。これからもこの動きは、働いていくのかなと思います。 佐々木 そのwillの見つけ方というのが難しいと思うんですけど、そこは本を出されていますもんね。『一生を賭ける仕事の見つけ方』、みなさんぜひお買い上げください。 斎藤 ぜひ。 佐々木 全部書いてますので。

起業家の熱量を下げないために

次の質問を最後に。もう1問ございませんか? ではそちらの方。 質問者2 お話ありがとうございます。我々は今、4年目のスタートアップなんですけど、僕はゆとり世代の人間なんですね。すごくうれしくて、ゆとり世代というのが。 僕からしたらみなさんより自由に考える時間が……土曜日が多いわけですよね。その中でどうやったら野球やってる人はホームランを打てるかとか、自ら考えて。あるカリキュラムの中で生活してきた人間じゃないので。これからの僕も含め、20代前半とか27歳くらいまでの方たちは、可能性を持っているなと思っています。 あと、グローバルな人材と一緒に仕事をしていくと、より箱から出た考え方でイノベーティブな事業を起こせると思ってるんです。こういった考え方で、大手さんに影響している。やっぱりサラリーマンと仕事してしまうと、どうしても途中で止まってしまったりするんです。 そのときに突破する方法じゃないですけど、早く投資家の方と組んで、そういったネットワークを持ってる方から入っていったほうがいいのか。もしくはそのほかに、大手さんに新しいことを外部エデュケーションとして伝えていくやり方というのを、なにかアドバイスがあればいただきたいです。よろしくお願いします。 佐々木 トーマツベンチャーサポートに相談するのが一番(笑)。 斎藤 基本的に起業家の時間の使い方を見ると、例えば7件アポが入ってるじゃないですか。大企業とか金融機関とかあって、ほとんどムダな時間になりやすいんです。 大企業に各1人ずつくらいなんですよね、たぶんベンチャーと本気でやれる人って。そこの情報を投資家に聞くのでもいいし、僕らでもいいし。そういう人たちとだけやってくようにしないと、どんどん起業家の熱量が消火器みたいに下がっていっちゃうんです。 なので、僕から言いたいのは……佐々木さんにやってほしいのは「大企業のこの人だったらベンチャーが信頼して付き合っていい人リスト」。これをやってほしいですね。 佐々木 メディアが取り上げて、ということですね。 斎藤 やっぱり、ほとんどムダな時間になりやすいんですよ。起業家がせっかくがんばってやってるのに。しかもお金集めてなくなるまでに事業化しないと、つぶれちゃうんですよ。時間がすべてなのに、大企業の人といろいろやっていくと時間がなくなっちゃう。なので「この人」って認証してほしいですね。 佐々木 それいいですね、やりましょう。 斎藤 ぜひ。

企業内で見つけるべき「本当に意思決定できる人」

佐々木 高宮さんは、なにかアドバイスありますか? 高宮 そうですね。結局、大企業といっても、サラリーマンはどこまでいっても意思決定できないみたいなところがあって。意識高い部長の勉強につき合わされちゃってなにも動かないみたいな。本当にあるあるだと思っていて。 「本当に意思決定できる人って誰か」みたいなのを見極めるという認証に近い。とはいえ、なかなか表立って「トーマツベンチャーサポートの認証ランキング」とか、出しにくいじゃないですか? 斎藤 それは、まぁ佐々木さんが。 佐々木 (笑) 高宮 (笑)。そこの中でここの会社を動かすんだったら……誰が動かさなきゃいけないのかというのを見極めるうえで、逆にいうとトップがサラリーマンの会社だともうあきらめる。 やっぱりトップに上り詰めるためには、ある程度、起業家マインド持っている人っていると思うんですよ。トップ層の誰が本当にそういう起業家マインドをもって、新しいことを動かせる人なのか、ことをなせる人なのかというところを、ピンポイントでアプローチして。 そうなってくると、業界の横並びみたいなものがいいほうに働いてくるかもしれないし。 「先進的なA社がこういう取り組みをやったのなら、ヤバイ、一緒にやんなきゃ」みたいな感じにもなるので。なんというか、オセロの角はどこだろうみたいなものを、すごく考えて戦略的ににターゲティングするということかなと思います。 佐々木 佐藤さんはどうですか? 佐藤 私、新卒でベンチャーに入って大企業を知らないで育って、ベンチャーが大企業に営業するという経験をずっとしてきたんですけど。やっぱり、高宮さんとか斎藤さんがおっしゃってたみたいに、キーマンを押さえるというのが大事。あと、プロセスも大事ですよね。 この人を押さえて、次どうやったら決済が下りるのかというプロセスを確認する。あとは大企業の場合はこれをやったときに、その担当の成果がなんなのかを握るというところも大事だと思うんです。 結局その方が社内で評価されて、上に上がっていくと予算も増えていくので、まずは相手側の成果を握っていくのは、すごく大事だと思うんです。 佐々木 わかりました。ということで、そろそろ時間になりましたので、最後に記念撮影と参ります。みなさん客席をバックにしてお並びいただいて、撮影をしたいと思います。 それではみなさん、ありがとうございました、セッションは以上でございます。 (会場拍手)

  
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