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「ひとりでいること」のなにが悪い? ”内向的な人”のチカラを活かすための、3つの提言

「ひとりでいること」のなにが悪い? ”内向的な人”のチカラを活かすための、3つの提言

内向的な人や「1人でいること」が非難され、とにかく社交的な人が評価されがちな現代社会ですが、そのような流れになったのは、たかだかこの100年余りのこと。1人でいることは決して悪いことではなく、深い考えや新しいアイデアが浮かんできたりするものです。このスピーチでは「無理して社交的な人を演じていた」と語る弁護士で作家のスーザン・ケイン氏が、「内向的」「外交的」両方の人材が高め合う、新しい働き方を提案しました。(TED2012より)

スピーカー
弁護士 作家 Susan Cain(スーザン・ケイン) 氏
参照動画
内向的な人が秘めている力

なぜ「社交的であること」が評価されるようになったのか?

スーザン・ケイン氏 私たちはなぜ、うまくいかない方法で物事を進めるのでしょうか? なぜ学校や職場はこのようなシステムになってしまったのか? なぜ内向的な人が「ひとりになりたいな」と思うことに罪悪感を感じる世の中になってしまったのでしょうか? 答えは私たちの歴史的文化にあります。西洋文化では、特にアメリカでは、活躍する・英雄的な役割を担う人が、黙想する人よりも評価されてきました。特に男性のヒーロー像は、「行動する人」でした。しかしそんなアメリカでも、歴史の始めのほうには、歴史学者が言うところの「品性の文化」という時期があり、その時期には、人格の清廉された、品格・モラルある人こそが評価されていたのです。 当時の自己啓発本のタイトルは、例えば『品性の修養』がありますが、それらの著書は、エイブラハム・リンカーンのような謙虚で奢らない人をロール・モデルとして挙げています。ラルフ・ワルド・エマーソンは、リンカーンについて「地位や名誉があるにも関わらず、他人を恐縮させることがない、謙虚で奢らない人間である」と言っています。 その後20世紀を迎え、新しい時代、歴史学者が言うところの「個性の時代」に入ります。ここで何が起きるかというと、農業の時代からビジネスの時代へと移行します。人々は郊外から都市へ移り住みます。そして長年知っている地元の仲間と働くのではなく、各地から都市に移住してきた、まったく知らない人々と一緒に働くこととなりました。 そうなると、他者に自分をアピールする、知ってもらう必要が出てくるので、人間的な魅力やカリスマ性を持つことがとても重要となったのです。すると当然、世に出回る自己啓発本のタイトルも『人を動かす』等になるわけですね。そして、それら自己啓発本でもてはやされるのは、優れたセールスマンでした。そしてその考え方が、今日私たちが生きている世界に繋がります。私たちは過去のこのような文化を受け継いでいるのです。 社交性を持つことは必要ではない、と言っているわけではありません。チームワークは不要だ! と説いているわけでもありません。賢人を寂しい山の頂上へと駆り立てた前述のあらゆる宗教は、ひとりで行動することの美徳を説くと共に、愛することや信じることの大切さも教えています。科学や経済学の分野で私たちが直面している問題はとても大きな命題を持ち、且つ複雑ですので、前に進むためにはチームワーク・協力体制が不可欠です。 私が言いたいのは、チームの中で目立たない・偏見を持たれがちである内向的な人々に「彼ら自身でいられる自由」を与えることにより、世界が直面する多くの問題に対し、新たな解決策が見つかるかもしれないということです。

内向的な祖父から学んだこと

ここで、今日私が持ってきた鞄には何が入っているのかをお見せしたいと思います。何が入っているかわかりますか? SC3 本です。私の鞄の中には本がぎっしり詰まっています。これはマーガレット・アトウッドの『キャッツアイ』、 これはミラン・クンデラの小説。そしてこちらはマイモニデスの 『迷える者への導き』です。でも実は、これらは私の本ではありません。これらを今日持ってきたのは、私の祖父のお気に入りの本だからです。 私の祖父はラビ(ユダヤ教の多数派)で、妻を亡くした後、ブルックリンにある小さなアパートにひとりで住んでいました。そして小さな頃、祖父の部屋は私のお気に入りの場所でした。そこは祖父のやさしさ、温かさを感じられる場所でもあり、本が山ほどある場所でもあったからです。祖父の部屋のどのテーブルにも、どの椅子にも本が倒れそうなほど山積みになっていました。私の他の家族同様、祖父もまた読書を愛していたのです。 祖父はまた、読書と同じくらいに会衆(えしゅ、供養のための集会)も愛していました。その情熱は、彼の、ラビとして62年間続けた説教からも垣間見えました。毎週読書から得た英知を織り交ぜながら、難解な古代から続く人間的な哲学を説教しました。多くの人々が、彼の説教を聞くために彼のもとを訪れたものです。 しかし、このように慕われた司祭としての祖父ですが、実はとても謙虚で内向的な人でした。それはもう大変に内向的で、62年もの間、説教をし続けている同じ会衆の前で説教をするにも、会衆と目を合わせる事ができないくらいだったのです。演壇を離れている時もそうです。「ちょっとどうしているかなと思って」と人から電話を受ける時でさえ、かけてくれた人の時間を長くとってはいけない、という気持ちから祖父は手短に電話を切ろうとしました。 そんな内向的な祖父でしたが、皆から慕われていました。祖父が94歳で亡くなった時、祖父の死を悲しむ人々が彼のアパート付近に大勢やってきて、警察が交通規制をしなければならないほどだったのです。私はこれからも、大好きな祖父から私なりに学んでいこうと思っている次第です。

2つの性格を活かし合うための、3つの条件

先日、内向性について書いた本を出版しました。執筆に7年かかりました。この7年間、私は本当に恵まれていました。読んで、書いて、考えて、調べ物をして。これは祖父がひとりで、彼の本がたくさん詰まった書斎でやっていたことと同じです。しかし、ここからが違います。内向的で内向的なことを楽しんでいた私は、その後、私の本、そして内向性について講演をすることになってしまいました。 (会場笑) 人前でお話をするのは私にとって本当に挑戦でした。今日この場に呼んでいただいたのは本当に光栄です。しかしそれと同じ位に、人の前に立つことは内向的な私にとっては、とても緊張することなのです。講演前は必死に備えます。昨年、私は時間の許す限り、人前に立って講演をする練習をしました。そして私は去年1年を「デンジャラスに講演をする年」として過ごしました。 (会場笑) 練習したことで少し気持ちは落ち着きました。しかし、それよりも私を皆さんの前できちんと講演したいと思わせるのは、内向性、静かでいること、そして「ひとりでいること」に対する人々の偏見が劇的に変化する一歩手前であると私が感じている、信じている、そしてそうなるように願っているということです。本当です。 そこで最後に、私と同じように感じている方々へ心がけて欲しいことを3つお話します。 まず第一に、常にグループで活動しようとすることをやめましょう。本当に。やめてください。 (会場笑・拍手) ありがとうございます。もう少し具体的に説明します。職場ではカフェにいるように、カジュアルでナチュラルなアイディア交換が弾むように奨励するべきだと思っています。気軽にふらっとやってきて、その場で思いがけなく考え付いたことをシェアできるような。これが出来たら素晴らしいです。内向的な人にはもちろん、外向的な人にもとてもいいはずです。仕事の場ではもっとプライバシーを重視し、もっと自由を得て、そしてもっと自主性を重んじて欲しい。 学校にも同じことが言えます。生徒に他の生徒と一緒に活動することを教えるのは、もちろん重要です。しかし、個人として自分で考えて活動できるようにすることも大事なのではないでしょうか。特に外向的な子にとって、個人で活動できるように教育を受けることは重要だと思います。彼らは自分ひとりで何かをやる必要がある。なぜなら、ひとりで何かをするときに初めて、深い考えや新しいアイディアが浮かんだりするものだからです。 第2に、大自然に飛び込んでみてください。仏陀のように。自分自身から啓示を受けるのです。私は何も、「大自然に今すぐ行って、自分の小屋を建てて自然にこもり、一生ひとりぼっちでいろ」と言っているわけではありません。しかし、忙しい中で少しゆっくりして、もっと自分自身と向き合うことができる時間を取ることが大事だとお伝えしたいのです。 第3、ご自身はどんな荷物を準備して、何をカバンに詰めているのか、そしてなぜそれらを詰めたのか考えてみてください。外向的な皆さんのカバンにも、もしかしたら沢山の本が詰まっているのかもしれません。またはシャンパングラスやスカイダイビングの装備でいっぱいかもしれません。何の荷物に入れるにしろ、それをできるだけ取り出して、私たちと皆さんの活力や喜びをシェアしてください。 内向的な皆さんは、内向的であるがゆえに、荷物に何が入っているか人に見せたくないという衝動に駆られるでしょう。それでも結構です。しかし、時には、本当に時々でいいんです、自分の鞄の中に何が入っているのか、他の人にも見せてあげてください。だって、世界は皆さんを必要としている。そして皆さんが持っているものもまた、世界に必要とされているからです。 皆さんのこれからの旅が良いものになりますように。そして穏やかに、静かに話す勇気を持つことができますように。ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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