連結決算 全体損益

藤本隆氏:補足説明資料をご覧ください。2ページ目のスライド2、連結決算でございます。2017年3月期決算は、前年度と比較しまして、売上高は増収となりました。

営業利益では減益となりましたが、経常利益と当期純利益は増益となりました。売上高は3,906億円で、前年度比101パーセントとなりました。39億円の増加です。

上期は円高の影響を受けましたが、下期に需要堅調と円安の進行による増収となりました。エラストマー事業と多角化事業が増収、合成樹脂事業が減収。

売上原価は2,746億円で、前年度から56億円の減少となりました。売上原価率は前年度の72.5パーセントから、当年度70.3パーセントに低下しています。一般管理費との入り繰りがありまして、売上原価率は下がっております。

販売費・一般管理費は836億円で、前年度から115億円増加しています。新規連結子会社の影響や売上原価との入り繰りによる増加です。

営業利益は324億円で、前年度から20億円の減益となりました。使途別の内訳は、エラストマー事業で83億、合成樹脂事業で38億、多角化事業で203億円でございます。エラストマー事業は増益でしたが、他の2事業は減益となっています。

営業外損益は、為替差益は投資の評価益を計上して、差し引き39億円のプラスがありました。大きな為替差損が発生した前年度に比べて、47億円改善しております。

経常利益は363億円で、前年度から26億円の増益でした。特別損益には、投資有価証券売却益や固定資産の減損損失を計上いたしました。

そこの法人税、非支配株主損益を差し引きした当期純利益が301億円となりまして、60億円の増益となっています。ROEは前年度から1.6パーセント上昇して8.4パーセントです。

連結決算 部門別損益(石油化学系)

スライド3をご覧ください。エラストマー事業です。事業業界の状況といたしましては、世界のタイヤ販売は堅調に推移しておりますが、国内タイヤ生産は前年度比98パーセントと減少しています。

2016年度のエラストマー、当社の販売数量は、69万6,000トンとなりまして、前年比109パーセント、56,000トンの増加でした。

国内向けでは、タイヤ向けが不調で、全体でも前年度並でしたが、国外向けはタイヤ向け・非タイヤ向けとも増加しました。品種別では、S-SBRが引き続き順調に数量を伸ばしました。

売上高は、1,853億円になりました。販売数量の増加に比較しまして、年度前半の円高影響や市況低迷等もございまして、販売高は103パーセント、61億円の増収でございました。

営業利益は83億円となりました。前年度から8億円の増加です。上期は製品市況の低迷や円高の影響がありまして、低水準の利益でしたが、下期には販売も拡大、市況の回復による採算改善がありまして、1年間トータルでは増益となっています。

合成樹脂事業です。事業強化への状況といたしましては、4月から2月までの累計の日本国内での自動車生産は、前年度からやや増加した模様です。

2016年度、合成樹脂の販売は、主に国内車両向けが拡大しています。売上高は460億円となりました。原材料価格低下の影響や年度前半の円高影響がございまして、62億円の減収となりました。前年度比88パーセントです。

営業利益は38億円となりました。円高や売買スプレッドの縮小が影響しまして、前年度比13億円の減益となりました。非常に好調だった2015年度からは利益を減らしていますが、売上高営業利益率は8パーセントを超える水準です。

連結決算 部門別損益(多角化)

スライド4をご覧ください。多角化事業です。売上高は40億円増収でしたが、営業利益は15億円の減益となっています。

半導体材料ですが、2016年度はシリコンウェーハ出荷面積がやや増加している模様です。当社グループ製品は、ArFレジストやCMP材料が売上高を伸ばしましたが、年度前半の円高の影響もありまして、売上高621億円と、前年度比微減の売上高に留まっています。

ディスプレイ材料でございます。2016年度のパネルメーカー稼働率は、平均して約87パーセントと推定されます。液晶パネル出荷面積は、前年度比で伸びている模様です。

当社グループの製品は、液晶パネル生産拡大が続く中国市場向けなどで販売数量を伸ばしましたが、年度前半の円高が影響し、さらに競争激化による販売価格の下落が加わりまして、売上高568億円と、54億円の減収になりました。製品別では主力製品の配向膜、着色レジストともに売上高を伸ばしております。

その他です。ライフサイエンス事業が、連結子会社の連結時期の影響もありまして、前年度から大きく売上高を伸ばしております。

アートン材料の売上高は、フィルム販売から樹脂販売販売への切り替えもあり、前年度比でやや減収でした。OFC材料の売上高は前年同期並でした。ライフサイエンスその他の売上高は403億円、98億円の増収でした。

営業利益ですが、半導体事業のArFレジストや多層材料の数量が伸びまして、加えてディスプレイ材料も販売数量を増やしましたが、円高の影響が大きくて、その他ディスプレイ材料の競争激化がありまして、前年度から15億円の減益となりました。ライフサイエンス事業を含むその他の損益は改善しております。

連結決算 部門別損益(四半期推移)

スライド5をご覧ください。四半期推移です。2016年度の第4四半期は、前四半期対比営業利益27億円の増益でした。

エラストマー事業は、売上高・営業利益とも増加いたしました。販売数量ではS-SBRが数量を伸ばしているんですが、全体では国内外向けとも減少し、前四半期比95パーセントでございました。

しかし原料価格の上昇、製品市況の状況がございまして、売上高は60億円の増収でございました。営業利益は36億円となっています。合成ゴムの原料であるブタジエンの価格が急騰し、原材料価格上昇に販売価格設定が一部追いつかない状況ではありましたが、原材料価格上昇前の在庫の影響もありまして、前四半期から6億円の増益となっています。

次に合成樹脂事業でございます。売上高は増収、営業利益は減益となりました。販売数量は、主に国外向けが減少しましたが、合成樹脂の原料の価格上昇に対応した価格改定もありまして、売上高は13億円増加しております。営業利益は、スプレッドが縮小しまして、3億円の減益となっています。

多角化事業でございます。半導体材料は、ArFレジストと多層材料が伸びまして、売上高が6億円増加しました。前四半期対比、ArFレジストが105パーセント弱、多層材料が105パーセント程度でありました。

ディスプレイ材料は、パネルメーカーの稼働率は9-12月の90パーセント程度から、1-3月は春節の影響もあり、87パーセント程度になった模様です。この稼働率の低下もございまして、売上高はやや減少しました。四半期対比では、配向膜材料、着色レジストは横ばいでございました。

その他では、連結子会社の決算時期変更があり、ライフサイエンス事業の売上高が増加しております。多角化事業の営業利益は67億円となりまして、23億円の増益でございました。

連結決算 営業外損益 特別損益

スライド6をご覧ください。営業外収益・費用の表でございます。営業外収益・費用は、為替差益が17億円ありまして、前年度為替差損の30億から、差し引きで47億円改善しております。

その他、投資事業組合運用益、そしてエムビーエルベンチャーキャピタルの利益を計上しております。持分法投資利益は、エラストマー事業のジョイントベンチャーの関連会社が振るわず、前年度から減少しております。

当年度の営業外損益は、費用・収益合計して、39億円の益となっておりまして、前年度の費用8億円から47億円の改善でございました。

当年度の特別利益は、政策保有株式の見直しに伴う有価証券売却益29億円、スタジオ売却による7億円などを計上しております。特別損失は、遊休資産の固定資産減損損失21億円、関係会社株式や投資有価証券の損失、合わせて10億円計上しております。

連結決算 貸借対照表

スライド7にいきまして、貸借対照表でございます。貸借対照は3月末時点の対比でございます。資産は2017年3月末で5,760億円となりまして、前年度末から597億円増加しております。

増加の項目のうち、現預金・有価証券および有形固定資産の増加、これが大きいんですが、ハンガリーにS-SBRの工場を建設し、そのうちJSR MOL Synthetic Rubber Ltd. 、略してJMSRなんですが、そこによる増加でございます。

その他資産では、売上、受取手形、売掛金も年度末に向けての販売好調を反映しまして、128億円増加しています。その他の資産は、JMSRの連結子会社による変動による減少でございます。

負債は1,993億円となりまして、前年度末から453億円増加しております。流動負債は303億円増加しているんですが、原材料価格上昇の影響もあって、支払手形および買掛金が増加しております。固定負債の150億円増加は主にJMSRの借り入れ増加によるものです。

純資産は144億円の増加でございました。株主資本は、純利益による増加と、配当金支払いによる減少や、子会社株式買い増しによる減少がございまして、差し引き65億円の増加でございます。その他の増加は、非支配株主持分増加によるものでございます。

連結決算 キャッシュ・フロー計算書

スライド8をご覧ください。キャッシュ・フロー計算書でございます。営業活動によるキャッシュ・フローでは、それぞれの科目では変動がありましたけど、全体ではほぼ前年度並の475億円となっています。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、資金運用に関して大きな変動がございましたが、その他投資額が67億円増加しまして、337億円ございました。ハンガリーのS-SBR子会社の工場建設などの支出でございます。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金と自社株式取得と合わせた株主還元、157億円でございました。その他は、借入による増加などでございます。

連結決算 2018年3月期業績予想

スライド9をご覧ください。2017年度の業績予想でございます。売上高4,050億、営業利益は350億、親会社株主に帰属する当期純利益265億であります。

2017年度から交際財務基準による決算を行いますので、IFRSベースでの数字も開示となりまして、日本基準の場合の変動は、あまりございませんでした。

前提といたしました数字は、ここにありますように、為替レート、1USドル110円、ナフサ40,000円、他にブタジエン市況の価格は1,500ドルでございます。

事業別ですが、売上高が下に表にございます。エラストマー事業は市況の不透明感はありますものの、グローバルな自動車や自動車タイヤの生産は伸びると見ておりまして、その中で、S-SBRを中心に販売拡大を進めてまいります。ブタジエン価格の下落などの影響に、上期は伸び悩みますが、年度では増益を見込んでおります。

合成樹脂事業は、当社グループの子会社テクノポリマーが、US、UMG ABS株式会社と事業統合を進める計画でございますが、まだ公的機関の審査は済んでおりませんので、統合による影響は、この数値には織り込んでいません。2017年度も引き続き、高水準の利益を予想しております。

多角化事業は増益を見込んでおります。半導体材料事業は、引き続き伸びると見ております。当社もリソグラフィー材料では、最先端分野で販売を伸ばすとともに、洗浄剤、CMP材料の販売も拡大いたします。

ディスプレイ材料事業では、液晶パネルの製造面積は、引き続き伸びると見ております。厳しい競争環境の中で、中国への展開や事業改革で、収益拡大を図ってまいります。ライフサイエンス分野では、米国子会社の売上利益の拡大を見込んでおります。2017年度の減価償却はここに書いてある数字になります。

連結決算 損益日本基準→IFRS

スライド10でございます。日本基準からIFRSベースに切り替えるということで、組み換えの図を描いております。期首の業績予想においては、説明会を行うんですが、その他の営業外収益・費用に大きな金額は見込んでおりませんので、2つの基準の営業利益の間に大きな違いはございません。

その他、のれんが非償却になるなど、取扱い変更による影響もあまり大きくございません。

(参考)決算発表予定日

最後の11ページは今後のスケジュールなんですが、当社、今年度2017年度から、新しい3年間の中期計画JSR2019をスタートさせます。

その説明会を1か月後の5月24日に予定しております。時間は記載の通りでございまして、ご参加いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。ざっとでございますが、決算の説明でございます。