ただただ前にある道を進んでいくだけ

記者10:ワールドフィギュアスケートのスズキと申します。おつかれさまでした。今日は浅田選手の競技生活の最後と同時に、新しい道に進む入社式といいますか、セレモニーといいますか。いまの時期は新入社員の方も多いとおもいますが、その1人として浅田選手が、不安に思っていることとか、心配に思っていることとか、違う世界に進むということで、考えていることがあったら教えてください。

浅田真央氏(以下、浅田):私も、また新たな一歩だと思っています。でも不安とかは何もなくて、ただただ前にある道を進んでいくだけだと思うので、元気に前を向いて進んでいきたいなと思っています。

記者10:あと、先週プルシェンコ選手が現役引退を表明されましたけども、長く同じ競技の世界で戦ってきた仲間として、この偶然といいますか、何か思うことありますか?

浅田:プルシェンコ選手も引退されたということで、私よりも長い選手生活、そして私よりも、たくさんの記録を残してきて、ほんとにたくさんの人を魅了してきた選手だとおもいます。なので、心から「おつかれさまでした」と言いたいです。

最後の全日本選手権での思い

記者11:フジテレビのウチダレナです。本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。浅田真央さんの前を向く姿、戦う姿というのがほんとに、印象的だったんですが、その前を向く中で大事にしてきたこと、信念はなんですか?

浅田:幼い頃から言ってきたことなんですけど、何かこれがしたいという目標を持ってやってきました。だから目標を達成するためにいままでやってきました。

記者11:お忙しかった選手生活を終えて、時間が空くと思うんですが、一番やりたいことはどういうことですか?

浅田:1月、2月、3月と時間があったので、旅行に行ったり、美味しいもの食べたりいろいろなことができました。

記者11:ありがとうございます。

記者12:新聞の赤旗のカツマタといいます。先ほど、競い合うことの大切さとおっしゃっていましたけど、キムヨナ選手、彼女への思いはいま新ためてどうでしょうか?

浅田:15歳、16歳ぐらいの頃からシニアの試合だったり、ジュニアの試合だったり、一緒に試合に出てきました。ほんとにお互いに良い刺激をもらいながら、スケート界を盛り上げてきたのではと思います。

記者14:NHKのイチハシと申します。浅田さんお疲れさまでした。まず、最後の全日本選手権、「もういいんじゃないか」と感じたとおっしゃっていましたが、その試合にのぞむ前、何を思って、何がもういいじゃないかと思ったのでしょうか?

浅田:試合に向かう気持ちというのは、1つ1つ変わらないんですけど、ノーミスをする、完璧な演技をする、自信を持って滑る、という思いを持って演技しました。ただ演技が終わった後に、完璧ではなかったですし、自分の現役生活の最高の演技ではなかったので、たぶん悔しい気持ちもあったんじゃないかとは思ったんですけど、そのあとキス&クライに座って、得点が出て、順位が出たときに「あっ……もういいのかもしれない」というふうに思いました。

記者14:「もういいのかもしれない」ってどういうことですか?

浅田:全日本選手権には12歳から出場しているんですけど、一番残念な結果で終わってしまって、その結果もこの決断にいたるにあたって大きな出来事だったんじゃないかなとは思っています。

記者14:あともう1つ、もしも一度だけ過去に戻れるとしたら、いつの自分に戻って、どういうことを言ってあげたいですか?

浅田:うーん……26年間ですもんね。難しい(笑)。でも、本当に戻ることはないと思うので、今パッと答えは出てこないですね。

記者14:ありがとうございます。

もう一度人生があるならスケートはやらない

記者15:テレビ東京のスミと申します。21年間本当にお疲れさまでした。平昌までやりたいとおっしゃっていたことが、引退を悩ませていたことだとされていましたけれど、今、オリンピックについてどのように思われますか?

浅田:もう本当にあと1年で平昌オリンピックということで、たぶん選手の方々はみんなそれぞれいろんな思いを持って日々生活していると思います。なので私はエールを送りたいです。

記者15:これまでオリンピックの舞台も経験されていますが、真央さんにとって、オリンピックの舞台というのはどういう場所だったのでしょうか?

浅田:やはり4年に一度ですし、選手である以上はそれを目指して私も小さい頃からやってきたので、そこに出れた、そしてメダルを穫れたということは本当によかったなと思いますし、オリンピック本当にすばらしい舞台だなと思います。

記者15:最後に1つだけ。もし生まれ変わるとしたら、もう一度フィギュアスケーターになりたいですか? それともまた別のものになりたいですか?

浅田:今こうして26歳までスケートをやって、すべてやりきって、もう何も悔いはないので、もしもう一度人生があるならスケートの道には行かないと思います。

記者15:例えば、「何になりたい」というのはありますか?

浅田:いや〜、本当にいろいろありますね。なんだろう?

記者15:思い浮かぶものは何でしょう?

浅田:なんだろう……でも私は食べることが大好きなので、ケーキ屋さんとか、カフェとか、レストランだったり、そういうことをやっていたのかなって思ったりもします。

記者15:ありがとうございます。

記者16:文化放送のサイトウと申します。どうもおつかれさまでした。真央さんは、「自分が言ったことは必ずやり遂げるというポリシーがある」とおっしゃっていました。このポリシーはどなたから授かった教えなのでしょうか? 教えてください。

浅田:やはり母かなと思います。あとはまあ、こういう性格なので、すごく頑固といいますか、自分が決めたことに関しては頑固なつもりです。

記者16:自分が言ったことを必ずやり遂げるという、そのポリシーを貫いた体験はいつだったか覚えていらっしゃいますか?

浅田:小さい頃に毎年、延岡合宿という新人発掘合宿が、長野県であるんですけど、そこで絶対トリプルアクセルを跳ぶって決めて、はじめて降りたのが一番記憶にあります。

記者16:そこが現在の浅田真央という素晴らしいアスリートの原点と考えてよろしいでしょうか?

浅田:そうですね……(笑)、自分で言うのもあれですけど、そのときに「目標を達成するとこんなに嬉しいんだな」「また達成したいな」と思えた経験だと思います。

ご結婚の予定は?

司会者:最後に、彼女を送り出せるような質問ができる方いらっしゃいますか?

記者17:フリーランスのサカイユウトと申します。よろしくお願いします。浅田真央さんにお聞きしたいんですけど、ご結婚の予定はありますか?

(会場がどよめく)

浅田:いやー(笑)。ご結婚の予定ですか(笑)? ないです(笑)。

記者17:あっ……わかりました!

司会者:最後にじゃあ、もう1つしましょう。送り出してくれる質問を

(会場笑)

浅田:でもお相手がいればその方と一緒に、帰れたんですけどね(笑)。

記者18:台湾の中央通信社の記者です。お相手がいれば、例えば愛ちゃん(注:卓球選手の福原愛)。愛ちゃんみたいに台湾の人と結婚なさったりとか、そういうことは可能でしょうか? あと、ずっと寒いリンクにいらっしゃったので、台湾でのんびりみたいなこともあるんでしょうか?

浅田:そうですね、私、愛ちゃんと友達なので、もし台湾の方でいい方がいれば、ご紹介していただけばなと思います(笑)。私、ほんとに行ってみたい国が台湾なので、愛ちゃんに案内してもらえればと思います。

最後に感謝の言葉

記者19:扶桑社のフィギュアスケートライフのハセガワです。お疲れさまでした。今後、ザ・アイスも含めて、プロスケーターとしても活躍されていくご予定だと思いますが、今後プロスケーターとして、どう活躍されていくご予定ですか?

浅田:はい。一番近くにあるのはザ・アイスなので、まだプログラムナンバーも作ってないので、まずはエキシビジョンナンバーを作ります。そのエキシビジョンナンバーで、そのプログラムに今ままでのスケート人生を組み込めるよう、そういうプログラムを作っていきたいと思います。

司会者:よろしいですか、ありがとうございます。では以上で、本日の会見を終了させていただきたいと思います。最後に浅田真央のほうからみなさんにごあいさつをさせていただきます。

浅田:みなさん今日は本当にどうもありがとうございました。発表してからは、本当にこれまで、暖かい言葉をいただいて、私も本当に晴れやかな気持ちで引退を迎えることができました。

えー……。

スケート人生で経験したことを忘れずに、これから新たな目標を見つけて笑顔で……前に進んでいきたいと思っています。

……はい。みなさん、応援どうもありがとうございました。

(会場拍手)

司会者:みなさん、どうもありがとうございました。みなさん、本日は誠にありがとうございました。直前のご案内にもかかわらず、多くのメディアに集まっていただきまして、ありがとうございます。では、これで浅田真央の会見を終了させていただきます。どうもありがとうございました。